それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす 作:タク-F
ヴ〜〜! ヴ〜〜! ヴ〜〜!
月明かりが夜の静けさを際立たせる静寂の風鳴本邸で私は束の間の休息を得ていた。しかしその中唐突に本邸に対侵入者用のけたたましい警報音が鳴り響いた。
「侵入者……か? この風鳴邸に忍び込むとはただの賊ではあるまい? と…………聞いても答えないのだろう? 目的は二課の技術を盗み出す事か? それとも日本の内政掌握か? いずれにしても良からぬ良からぬ輩である事には変わらんが……な」
八鉱は謎の侵入者の目的を分析し始めた。しかし侵入者の返答は彼の想像を大きく外れる答えだった。
「あ〜〜〜…………私実はそこまで大それた事をしたい訳じゃないんですよ。まぁそう言われても信じて貰え無さそうなのでまずは自己紹介をしますね?」
私の名前は
「哀れ……か? 私にはお前がそこまで自らの運命に悲観しているとは思えないが?」
私の嘘を即座に見破る挙動に冷や汗をかく少女だが、即座に切り替えたのか会話を再開した。
「鋭い慧眼の持ち主であり話の早い人と見込んで本題に入ります。しかしその前に確認を。貴女はバルベルデにてチャリティ活動をしている雪音夫妻の存在をご存知ですか?」
「彼らの活動は小さくも各実に世に希望をもたらす活動だった。しかし現地にてテロリストの襲撃を受け命を落としたと聞いている。まことに残念ではあるが……」
「流石政府の情報に精通する内政間ですね。では彼ら夫妻に1人娘がいてその娘が現地のテロリストに拉致されている事もご存知ですか?」
「そうか…………日本人の……それも未成年の少女がテロリストにより誘拐……か。確かに非常に大きな問題だ。ではこの情報を前置きとした場合君は私に何を求める?」
彼女の言い分は理解した。恐らく彼女の目的は恐らく雪音クリスをテロリストからの救出・保護させる事なのだろう。
「君の申し出は充分理解した。しかしだからと言って私がそれを鵜呑みにする必要が無いのも確かだ。故に証明してもらえるかな? 君の言葉が真実であり我々が協力するに足る理由を!」
問うまでもなく彼女の言葉は事実だろうという謎の確信は確かに存在した。しかし私の立場上その言葉をありのまま受け止める事はできない。故に彼女には確信と根拠を示して貰う必要があるのだろうが……
「そうですね……私の言葉をありのまま貴方が受け止める事は出来ないのは理解しています。故にまずは貴方達の真の敵の目的を語ります。そして信じていただければ私のお願いを聞いていただけますか?」
我々の中に潜む真の敵の目的……確かに
「まず真の敵である【彼女】の目的は先史文明期の共通言語の復活であり、彼女はその先にとある人物と邂逅する事です。しかしその過程で彼女は月を穿ちます。その結果地球の気候に多大な影響を及ぼす事は明白です。もちろん貴方達はソレを良しとはしないでしょう……」
「なるほど……此度の黒幕の正体か。差し支えなければ教えてもらっても?」
「先史文明期の名はフィーネ……確か音楽用語にて【終わりを告げる者】とは物騒だな。そして先程君は月を穿つと言ったが、察するに相当の武装を携えていると判断するが、我々にも対抗手段はあるのだろう?」
「まずは二課にも存在する対ノイズ兵器【シンフォギア】及び・先史文明期より存在する完全聖遺物ですね。それに後者は起動さえできれば使い手を選ばない事も大きな利点でしょう。そして最も重要な情報ですが、
「全装者の生存……か。恐らく生半可な覚悟ではなかったのだろう。そしてその装者の中に君の目的の人物がいる……違うか?」
この少女の挙動・表情は見えないが目線・加工されてるといえども口調を踏まえると僅かに動揺していた。
「…………流石防人を自負する風鳴の当主ですね。えぇ……私がここまでして欲しい装者がいます。その名は【雪音 クリス】……私の親友」です。現在私は自分の目的を果たす為にも裏の世界の住人に成り果てました。しかし彼女はテロリストに捕まったてはいえ彼女は未だ1人の少女です。もし……ですが、貴方達が彼女に平穏な世界へ送り届けて貰えるならこの身を闇の世界に関わらせるぐらいなら、平和な世界で過ごして欲しい……ただの親友のテゴですよ
「そうか……」
私は彼女の言葉を受け思考を逡巡させていた。しかし彼女の事実を話さずとも真摯な言葉を受け私も決心が固まった。
「良いだろう。君の言葉は信用出来ないが、このまま進めば我々にとっても不利益なことになるのは明白。ならば私は君に協力をしよう。君は私に二課に潜みし黒幕の目的を明るみにし、二課の内に内通者がいる。私は君の親友たる雪音クリス君をテロリスト組織から救出をし、日本に帰還させる事をする。此方は時期の確約は出来ない。よろしいかな?」
「えぇ! 得体のしれない私にこれほど対等な交渉をしてくださりありがとうございます!」
そう告げて彼女は出現時同様唐突に姿を消した。
「八鉱様! ご無事ですか! 賊は!」
「目的を果たして姿を消した。そしてこの情報を基に風鳴八鉱として司令を出す。バルベルデにてチャリティライブを行っていた中テロリスト組織に拉致された被害者を全員救出せよ! 人質の救出と敵勢力を確実に殲滅をするために人員を惜しむな! 」
「は……はぁ…………わかりました! 支給対応に辺ります」
「親友を日常に帰す為に敵対勢力の本部に乗り込み交渉を行う少女……か。この少女は明らかに常人ではないが……今はその正体を詮索しない方が吉……か。しかし……随分と回りくどい手段を取るものだな」
親しき友と過ごす……【風鳴】という家に生まれねば歩めたはずの翼の未来を私は憂いずにはいられない……
育美の暗躍から数カ月後……世界情勢に変革が起こる。
「おらぁ! ガキ共! ピーピー喚くんじゃねぇ! それ以上ほざけば殺すぞぉ! 」
「パパ……ママ……あたし……どうすれば……」
バルベルデでパパ達がチャリティ活動をしていた最中テロが発生し、パパとママがあたしの前で爆発に巻き込まれて殺された。だけどそんな中あたしはふと日本に残した親友への言葉を思い出した。
『育美……わかったよ。約束だ。いつ……何日なのか……何ヵ月なのか……はたまた何年かかるかも分からないけど……あたしは生きてこの街に帰って来る。もちろん……パパやママと一緒にな!』
その言葉が頭を過ぎる。
「そうだよな……
あたしは耐える……耐えて見せる! 負けねぇ! ぜってぇに負けねぇんだからぁ!
「あぁ? このガキ……瞳に力を宿している……? 気に入らねえ! お前等! ガキ共に身の程を教えてやろうぜぇ! 」
テロリストの怒号が響き被害者達が怯えてる。育美の言葉がなければ私は間違いなくあんな表情をしていた筈だ。でも……今のあたしは胸に秘めた想いがある。だからあたしの心が折れる訳にはいられない。
ガシャアァン!
「何だ!?」
「侵入者か!?」
壮大な物音に兵士達が慌てふためいていた。どうやらこのテロリスト組織に襲撃があったみたいだ。でも……
「やめろよ……どうせ返り討ちにあうんだろ? 命を無駄にしてんじゃねぇよ……」
希望を信じない呟きで悲嘆に暮れるあたし見えるは現実を考え意識を手放した。
「いたぞぉ! こっちに要救助者発見! 未成年の少女で衰弱気味! 誰か物資を!」
「正面フロア制圧! 隠し通路の痕跡無し! また……分岐点は4箇所です! 人質がこの奥に行く可能性を常に警戒!」
「「「は!」」」
指揮官の指示の基に国連から派遣された対テロリスト部隊が悉くバルベルデのテロリストを無力化していき、人質の解放を円滑化していた。そしてその様子を遠目に育美は見ていたが、あたしはその存在を認識すらしていなかった。
あのあと圧倒的な実力差で無力化された事であたしは保護され日本へと保護・送還される事となった。
「パパとママは死んじまった……だけどあたしは生きている。あたしは守るべき約束がある。ならあたしは何としても生きる! 絶対に生きて育美に再会するんだ!」
この数年後日本にて開催されたツヴァイウィングのライブ参加者と生存者狩りリストに幼馴染みの【結城 育美】の名前が記載された事を識るのは数年後に読まされたフィーネからもたらされた情報で絶望を識る事となる。
合法的にクリスを救出しようがしまいがフィーネに拉致されるのは既定路線なので大した問題はありません。
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