それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす 作:タク-F
クリスにとって2度目の襲撃を退けた二課及び育美だが、育美はとある事を確かめる為に二課内部への侵入を試みていた。
リディアン女学院に到着した育美はまず二課への侵入ルートと備えの手段を模索していた。
「ははぁ……なるほどエレベーターシャフトがここならカ・ディンギルに接続する場合は……」
二課の上層で育美が行っているのはカ・ディンギル屹立時に必要な仕込みであり、その魂胆を芯から把握出来る人間はそうそういない。そして目的のポイントを発見した。
「おっ……あったあった。ここからならエレベーターシャフトに侵入出来る。そして1度警備を突破できたら二課内を探索しておこう。二課職員もそうだけど協力者の4人組が隠れる場所等も作成すればあるいは……」
そしてカ・ディンギルを通じて二課の本部へと侵入を果たしたルリは施設の散策をひっそりと開始した。当然二課に感知される事はないように対策を施して………………とある部屋の前で足を止めた。
「ガングニールが……反応? 面倒だなね……下手に二課に感知されると面倒だし対応しないとフィーネがどんな行動をするか………………うわぁ……」
育美が憂鬱な気持ちで反応する原因を解明して苦悶の表情を浮かべた。
「謎の光……? …………並行世界!? 行かなきゃ! せっかくの機会だもん!
傍から見れば10秒前まで憂鬱な表情を浮かべた人間とは思えない言動だが、
導かれた光によってやって来た世界でルリが最初に見たモノ……それは
「あぁ〜〜コレは正しく並行世界だな? だって火炙りで貼り付けにされる見覚えある、男性ってのは
育美は決心したのか周囲の散策を始めた。
「キャロルちゃんは……いた。どうやらイザークさんが身代わりにでもなって逃がしたってところかな? なら接触は容易か……」
「君! ここは危ない! 早く逃げないと!」
「でもパパが! パパがこのままだと死んじゃうよおぉ! 」
泣きじゃくるキャロルを抱きしめ育美はその場を離れながら走り、その最中語った。
「私は通りすがりで今の状況は何も知らない。でも今の君の言葉から根拠はないけど推測は出来る。君は貼り付けの彼の娘で何かしらの要素があって逃された……違う?」
「…………違わない。私を逃がす為にパパは……」
「わかったよ。なら充分やりようはあるね。だから私の言葉に素直に頷いてね?」
育美の問いかけにキャロルは頷く。
「父親が娘を逃がす理由は1つ……愛だよ。その為なら父親は自らの危険さえ厭わない。だから君は何があっても生きるべきだ。それが父親の願いであり残された者の義務だから」
「愛と……義務?」
困惑するキャロルを前に育美は言葉を続け? 。
「生きる理由は何でも良い……父親の想いを裏切るモノじゃないならソレを探すべきだ。ソレが今の君にできる全てだから」
そして処刑台からイザークさんの遺言が語られた。
「キャロル! 全てを識るんだ! そして見つけるんだ! 自分だけの答えを!」
その言葉を最後にイザークさんの身体は業火に包まれ姿を消した。
「貴女は……どうするの?」
「やるべき事を探す……まだ私には叶えたい夢や野望があるからね!」
そう告げて育美はキャロルのもとを離れると光に包まれた。
「…………救わないといけない少女が1人増えた……か」
その呟きは誰にも届かない。
育美の去った場所から離れ身を隠したキャロルは考えた。
「私……どうしよう? まずはパパがお世話になったって組織2行ってみようかな……?」
ギャラルホルンの光が少女達の運命を狂わせる
現代に戻った育美は今後の立ち回りを考えていた。
「今後どうしよう……」
「あの……育美さん……でしたっけ?」
「何か表情が怖いッスね!」
「お困りでしたら私め達がお力添えを!」
頭を抱えながら結社の廊下を歩く育美に声をかけて来たのは後にヴァネッサ・ミラアルク・エルザ……後にノーブルレッドと呼ばれる3人だった。
「おや……貴女達ですか。いえいえ今後の自分の立ち回りに色々思うところがあるだけだよ?」
「そうですか」
「でありましたら」
「何かあれば是非教えて欲しいんだぜ!」
3人との会話を終えて育美はサンジェルマンに報告を行った。
「ご報告します。バルベルデに蔓延るテロリスト国連により鎮圧され、その人物の中には歩く憲法違反こと風鳴弦十郎の姿も確認されたと……」
「バルベルデテロの鎮圧に国連が介入し、条約違反の存在……これは無視出来ない事態かもしれないわね。引き続き情報収集・報告を継続しなさい」
「了解しました。またキャロルですがシャトーの建造過程は此方の想定の凡そ5割だと思われます。そしてアンティキティラの人形の捜索ですが全世界ではなく恐らく大規模な裏組織に保管されている可能性が高いかと思われます。ただし、壊滅済組織の可能性もあるのが厄介ですが……」
「いや、その視点は私には無かった。ある意味ではなかった。捜索過程・方法を見直すとしよう」
「及ばず申し訳ありません……」
深々と頭を下げる育美にサンジェルマンはふと考え込む。
「錬金術の進捗はどうかなか? 君の求める域に近づいているのかな?」
「え……あぁ……はい。進捗は順調ですがまだもと領域には……」
「だろうな。錬金術とは想像を絶する年月の研鑽を経て至る領域だ。如何に君が才や知識があろうと経験が足りない。よく学び、修練するのだな」
「修練ですね……わかりました。ありがとうございます。その時に至るまで修練を続けます!」
サンジェルマンの言葉から目標に至る過程を見つけた育美は結社での報告を終えて部屋を後にした。
私の目標は奏さんやセレナさんを含む装者全員の生存……だけどそこにはキャロルちゃんも含まれた。計画は練り直しだけどある意味ではやることは変わらない。
「錬金術の基礎にして結論は解析・分解・再構築だったよね。なら……」
原点に立ち返った私は不思議な光にまたしても包まれた。
『目が覚めたか? 小娘』
「貴女は……夜刀神十香さん(反転体)? 何故貴女がここに?」
「夜刀神十香……確かに私にそう名付けた人物がいたな。何故お前がその名を識っているかは些末な事だがまぁ良い」
十香さんは私が名前を識っている事に怪訝そうな顔つきをするもすぐに考えを終えた。そして改めて問いかけ直した。
「お前は何故力を求める? そして何を成す?」
当然の疑問だが私は即答した。
「私は救いたい人達が幾人もいます。その中には仲間の為に命を落とした者もいました。しかし私はその人達も救いたい! なら私はその力を正しく使う為に力の使い方を学びたい! 教えて下さい! 精霊の……霊力の扱い方を!」
「ふむ……人を救う為に……な。ならばお前の覚悟を問おう。その答え次第で私が力を託すか答えよう」
十香さんの言葉は冷淡だ。しかし明らかに私に覚悟を問いている。ならば私の答えを返す。
「私は弱い! 1つ1つの力を極めるのは無理かもしれません! なら私は自分が身に付けられる全てを手に入れる為に努力し続けます! それが最善でないならば最善に至る為に努力し続けます!」
私の言葉に十香さんは少しだけど頬を緩めた。
「哀れで矮小な小娘よ……お前の言葉は
十香さんは私に紫・水色・黒・金・赤・藍・黄緑・虹・灰・白・橙の
「その力は間違いなくお前の欲する力だ。そしてお前の覚悟は本物だ。しかし
十香さんはそう告げて光りが消えて元の場所へと帰っていた。
「十香さん……私は頑張ります! 覚悟を果たす為にも……貴女達の期待に応える為にも! そして私の夢の為にも!」
次の目標はセレナさんを救う事……その為にも錬金術を学び続ければあるいは!
霊結晶は託されたものの、育美の実力は未だに天使をコントロールできなかった頃と大差はありません。しかし確実にその実力は理想に近づいています。
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