模型戦士ガンダムビルドファイター Gを越えし者 作:デルタイオン
あの時、俺は始まったんだ。
他の人からしたら途中かもしれない。でも、あの瞬間。俺のガンプラは始まったんだ。
「ビギニング30………俺は………俺は越えたい!!あのガンダムを!!」
俺は、この時愛を覚えた。熱い熱を持つこの愛。いつか必ず、果たしてみせると決意した。
「ん?もしかして、欲しいのか?ガンプラ」
後ろから来た父が尋ねる。
「お父さん。うん、俺欲しい。けど、無いんだ」
「無い?いや、沢山あるじゃないか。ほら、これとか……」
売り切れやここに無いという訳では無い。ここには全てのガンプラが集まっている。初代ガンダムやZガンダム。F91までもが集まっている。
父が選んだのはインパルスガンダム。しかし……
「ううん……それじゃない。戦うためのガンプラが欲しいんだ。でも、みんな魅力的だけどわからないんだ。わからないけど……」
「う〜ん……そう言われてもなぁ……」
父は困惑したように頭を掻く。
そんな父の後ろから新しい人が来た。
「そうか……その気持ち少しわかるな。届きそうで届かない。しかも、ここには無い新たなものを見つけたい。そんな感じかな。なら、改造をすべきだな」
メガネを掛けた研究者のような白衣を纏った人はそう言った。
「改造?」
「そう、改造。あのビギニングガンダムも改造を加えてあのような出来栄えになってるんだ」
「……改造…………そうか。ありがとうおじさん!!」
その時。俺は一瞬にして閃いたかのように走り出した。ここのガンプラは全て見てきた。だからどこに何があったのかうろ覚えだが覚えていた。
目的のガンプラを手にし、改造パーツやプラ板も掻き集めた。
大金叩いて買ったこの沢山の素材で、俺だけのガンプラを作る。
フルスクラッチとまではいかないけど、そこに至るまでの初めてのガンダム。
「………初めて、運命が交わった気がした。俺は……俺は自分だけのガンプラを作る!!作って、あのガンダムを倒す!!」
俺は帰って父の補佐の元素組みを始めた。夜ふかしをして改造パーツやプラ板を切り取ったりしてやっと完成したガンプラ。
「やっと完成したな……これでまだ素組みと同じ感じか。先は長いな」
「うん。でも、楽しい……楽しみだよ。このガンプラ……ノードガンダムが完成するその時が!!」
ライトに照らされたガンダムは小さく、アンバランスな感じのする頭部アンテナや追加装備として作成している蒼黒い鳥。
「そうだな……でも、戦闘用にするには惜しい出来栄えだな。このノードガンダム。観賞用にしたいほどの出来栄え………そのくらいに強そうなガンプラだ」
「出来栄えがガンプラには影響するの?」
鋭い所を質問されたことに一瞬父は驚くが、直ぐ様説明を始めた。
「ああ、ガンプラの出来栄えが強度や操作性に影響するんだ。この前見た大会はほぼ全てのガンプラが最高値をキープしてる」
「流石は世界大会……でも、この状態でも動けるよね?」
ニヤリと笑う俺。父もその意図がわかったのかニヤリと笑った。
「ああ……明日の昼にシュミレーターにでも行くか。今日は流石に父さん疲れた………」
そういう父の目の下には仕事から帰ってきた時以上に酷い隈が出来ていた。
「俺も疲れた……じゃあ明日!!約束だよお父さん!!」
夜ふかしで疲れているかもしれない。だけど、俺にはまったく感じなかった。若い事をこれ程喜ばしいと感じるのはこういう時だけだろう。
「ああ……約束だ。ああ、そうだ。もしもの時は店員さんに聞くんだぞ。突然の仕事で行けない時もあるからな」
父はそう言い、明日になると早朝の電話で会社にすっ飛んで行った。
「わかってたかのように言ってたからこうなると思ったけど……すみませ〜ん」
俺は商店の中に居た。しっかり昼も夜も寝て体調は最高潮。興奮を抑えながら店員さんに話しかけた。
「ん?君は初めての人かな?」
「はい。ガンプラバトルをさせて欲しいのですが……」
「あいよ。なら付いて来て。シュミレーターは巨大だからね。2階にあるんだ」
店員さんに付いて行くと巨大な繭のようなシュミレーターがズラリと並んでいた。
「ここがシュミレーター。で、あっちに服とマニュアルがあるから。ちゃんと読んでくれよ」
「はい」
まさか着替えるとは思わなかったが、臨場感溢れるしっかりとしたパイロットスーツに興奮が湧き出る。
マニュアルを読み、カードを入れ、ヘルメットに端末を差し込み、ハロ型のスキャナーにガンプラをセットする。追加装備は残念ながら自宅に置いてきた。未完成だったからだ。
「Cで……あとはコマンドを確認して………3対3のオンラインに参加と………」
『準備は出来たか?』
外部に居る店員さんの声だ。
「はい、大丈夫です」
オンラインにて参加者がすぐに集まった。ランダムに組み分けられ、味方の機体を確認する。敵の機体は確認不可能になっている。
対戦前の出撃シーンに入った。
『よろしくな!!』
「はい、よろしくお願いします!!」
『サポートするから気を張りすぎないようにね』
「わかりました!」
優しい人達で安堵すると同時にカタパルトに接続され、適度な緊張感に身を引き締める。
『ファントムドム!!行くぜぇ!!』
『ザク、出る』
味方が名乗りと共に出撃をした。
「よし………カルマ・ショウ!!ノードガンダム!!お願いします!!」
ピーーー!!
射出されたノードガンダム。ガンダムMarkIIの頭部に可動式大型アンテナを片方に取り付け、機体重量に不釣り合いな程にスラスターユニットを増設した高機動戦闘特化の怪物。
その怪物が今、
ファントムドム:追加装備のミサイルポッドやサブアームを一機搭載し、マシンガンによる弾幕形成を可能としている。ファントム要素は無い。逆にうるさい。
ノードガンダム:主に脚部にスラスターを追加し、盾に小型ミサイルを装備。外見上ガンダムMarkIIとの違いは無いが、バックパックをよく見ると接続部位が追加されている。
ザク:ザク