スペシウム光線しか使えないけどウルトラ兄弟に入れるよね?   作:Sashimi4lyfe

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超危険指定惑星・Z-24(1)

ミーナの後を追ってただただ宇宙空間を飛行していたゼルガだったが、飛べども飛べども一向にミーナが減速する様子はなかった。一体何光年の距離をたどったのか知る術はなかったが、通り過ぎた星雲やブラックホールの数からして5千万光年は下らないだろうとゼルガは推測した。

 

(まだ飛ぶのかよ...そろそろちょっとは疲れてきたけど...)

 

それでもゼルガは愚痴をこぼさなかった。いや、それを彼のプライドは許さなかった。

 

(技術局の頭でっかちな機械オタクより先にへばれるかよ...)

 

彼の変な偏見を覆すように平気な様子でミーナはずいずい先に進んでいく。

 

「...見えた!!」

「マジか!...ハァ...よかったぁ...

「もしかしてお疲れ?言ってくれたらちょっと減速してあげたのにぃ。」

 

疲労を隠せなかったゼルガをおちょくるような口調でミーナは言った。

 

「ざけんな!誰がこのぐらいで...」

 

二人があれこれ口喧嘩をしている内にZ-24の地表がはっきりと見えてきた。

灰色の台地が広がる荒れ地のような惑星かのように見えるが、惑星が自転をするにつれ反対側の面が露になると、そこには惑星の半分以上を占めるほど巨大な海が広がっていた。例えるなら、地球から緑がなくなったような光景、と言ったところだろうか。

 

「この惑星に上陸する前に忠告しとくけど」ミーナは一段と声を張り上げた。「この惑星の正式名称は超危険指定惑星Z-24。つまりアンタが通常の任務で見かける巨大生物よりも狂暴な個体がうじゃうじゃいるわけ」

 

『超危険』と『通常よりも狂暴』というキーワードにゼルガはぴくりと反応した。

 

「だから並大抵の攻撃はこいつらには無意味に等しい。けっこーヘビーな任務だから、よかったら私一人で行ってきてもいいんだけど...?」

「...なんで黙ってたんだよ...」

 

ゼルガの体が小刻みにプルプルと震え、感情を押さえているような声でぼそりと言いこぼす。

その様子を見たミーナはまるでゼルガをいたわるように、

 

「アンタも上の命令で仕方なく私についてこられさせたんでしょ。このことはナイショにしといたげるから、ここで私が調査を終わるまで...」

 

「こんなおもしろそーな所だってどうして黙ってたんだ!??」

 

「...はァ??」

「強えヤツらがうじゃうじゃいるなんて聞いてねーぞ!おい、ミーナ、案内しろよ!」

「........」

 

全く予想していなかった事態だった。

ゼルガは――ミーナの予想の500倍ほど――底抜けてバカだった。

 

「ミーナ、おいミーナ!?しょうがねぇな。先、行ってっぞ!」

「え!??ちょ、ちょっと待ちなさーい!!」

 

ミーナを待ちきれずZ-24の大気圏内に突入したゼルガが見た光景。

それは、『弱肉強食』という四語熟語を体現したようなものだった。

 

地上のいたるところで巨大怪獣たちの大乱闘が繰り広げられている。ある怪獣は口から火を噴き、ある怪獣は空を飛び、強靭な肉体で敵を圧倒する個体もいれば、群れで行動し敵を袋叩きにする個体もいる。

 

「す...すげぇ...」

 

ゼルガは目の前に広がる景色に開いた口がふさがらなかった。

これにはミーナも驚きを隠せないでいた。

 

「...AAA級の巨大生物反応はキャッチできていたけど、こんな数の巨大生物がいたなんて...おっと、こうしちゃいられないんだった」

 

右腕のガジェットになにやらコマンドを入力し、ミーナは激戦区へとひらりと飛び降りていった。

 

「アンタ、私の護衛なんだから、ちゃんとついて来なさいよ!」

「オ、オイ!ちぇっ、こんな任務さえなけりゃ、アイツらとケンカできてたのにぃ...」

 

ゼルガが嫌々ミーナの後をついて行くと、ミーナはガジェットから砲弾のようなものを怪獣に打ち込んでいた。力の限り暴れ、荒れ狂っていた怪獣もミーナの攻撃を受けた瞬間に力尽きたようにバタバタと倒れていくのだった。

 

「ワンマンショーじゃねーかよ。やっぱりコイツ一人でもよかったんじゃ?」

 

ゼルガはひとまず空中にとどまり、ミーナの様子を見ることにした。

倒れた怪獣に歩み寄ると、彼女はカプセルのようなものに怪獣の体液を採取し、ホルスターの中へとしまっていく。

 

「何やってんだ?お前。」

「生態系データベースを作製するために体液サンプルを採取してんの。どうやってこのスケールの巨大生物が同一の生態系で共存できてるのか。これが解明できれば、私の研究も捗るってわけ」

「ふーん...」

 

彼にはミーナの言っていることはちんぷんかんぷんだった。

 

「...!頭、下げて!」

 

ミーナがいきなり血相を変えて叫ぶ。その様子から状況を把握したゼルガが体を前に倒すと、ミーナはガジェットに素早くコマンドを入力する。

 

「モード:ライフル!」

 

ガジェットの砲口が細長く突出し、ライフル銃のような形に変形する。そして空を貫く鋭い爆音と共に銃弾が閃光の如く発射されると、はるか遠く豆粒ほどの大きさほどにしか見えなかった鳥形巨大生物になんと命中した。

 

「...ふーん。やるじゃん」

「アンタに褒められてもちっともうれしくないけどね」

「いや、オレが褒めたの、そのガジェットの方だけど。」

「...!!!(怒)」

 

悔し紛れにゼルガに向かってガジェットを発射するも、ひらりと軽くよけられてしまった。

 

(えっ...速っ!?)

 

さっきまでちゃらんぽらんな態度をとっていたゼルガに自慢の銃弾をかわされ、少しミーナは驚いたようだった。

 

(たまたまだよね...きっと...)

 

「そう怒んなって。それにこいつら、まだ生きてんぜ」

 

難癖をつけるようにゼルガは倒れた怪獣たちを指さして意見する。

 

「そういう仕様なの!このガジェット...バレットトレーサーの銃弾には高純度麻酔弾が入ってるの。だからこの怪獣たちも深い眠りに入ってもらってるだけ。まだプロトタイプ(開発途中)だけど、これが完成すればもう怪獣たちを殺さなくても他のウルトラ戦士たちが任務を遂行できるようになるはず...」

「へぇ。すげーんだな。でも、一つ設計ミスがあるぜ」

「...今度は何?ふざけんのもいい加減そのくらいにしないと、このことメビウスさんに...」

「音、デカすぎだ。」

 

はっ、とミーナが辺りを見回すと、おびただしい数の巨大生物たちがそろりそろりと近寄って来ていた。恐らくさっきのミーナの銃撃の音をたどってきたのだろう。

 

冷静を装っていたミーナの仕草にも焦りが見て取れる。この距離からでは、もう逃げるという選択肢は残されていない。かといって、彼女にはこの状況を打破できる解決策は思いつかない。

 

「慌てんなって。こーゆー時のために護衛ってもんがいるんだろ?」

「無理よ!この数の敵、どんな技を使ったって...まさか、何か秘策が!?」

「ない。」

「じゃあ、最強形態にフォルムチェンジとか!?」

「できない。」

 

あっ...詰んだ。

頭の中が真っ白になったミーナは、その場で膝から崩れ落ちてしまった。

 

だが、彼女は知らなかった。

ウルトラマンゼルガという男がどういうウルトラ戦士なのかを。

 

 

 

 

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