王女とあの日の約束(アナデン二次創作 完結済)   作:小麦_AE

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※御注意※
こちらの作品は、アナザーエデンの二次創作小説です。


極力原作ゲームの世界観や設定に沿うようにしているつもりですが、作者小麦の誤解・曲解が存在する可能性があります。
また創作の都合上、個人の解釈で各キャラクターの過去や背景、未来を描写する箇所があります。

※少しでも世界観を崩したくない方、キャラクターの設定を忠実に守りたい方は読まれるのをご遠慮ください。※
※暴力やグロテスク、性的な表現は含まれておりません。※

※ネタバレについて※
※今回ネタバレに含まれる内容
※アナザーエデン断章「小さな王女の小さな大冒険」
※ベルトラン キャラクエスト
※フェルミナ キャラクエスト


今回の内容について
・断章と本編の間にこんなやり取りがあったのかな、あったらいいな、という個人的な妄想のお話です。
・今回はベルトランの話が中心です。



以上、苦手でない方のみご覧くださいませ。







第5話

 

 

〜港町リンデ 宿屋〜

 

フェルミナ「おはようございます。」

ベルトラン「おはよう。姫様は?」

フェルミナ「まだ休まれています。昨日は少し遅くまで起きていたので。」

ベルトラン「疲れもあるだろう。まあ、今日はゆっくりできる。」

フェルミナ「そうですね。」

ベルトラン「リンデへ来た用事はいいのか?」

フェルミナ「問題ありません。ここを発つ前に伝言を残して、また来るつもりです。」

ベルトラン「そうか。」

 

フェルミナ「…こういうものを、旅というのでしょうか。」

ベルトラン「旅?…ああ、言われてみれば旅行みたいなものだな。」

フェルミナ「旅行、ですか。」

ベルトラン「どうした?」

フェルミナ「少しの時間の旅であっても、お嬢様と過ごす時間は大切なもの、と改めて考えていました。」

ベルトラン「…そうだな。城での姫様の気持ちも、一緒に居る今の方がより分かる気がするな。」

フェルミナ「別れの後より、別れの前の方が辛いものなのですね。」

ベルトラン「大人で、特に不器用な俺たちでさえ、そう感じるのだ。姫様はさぞ辛かろう。」

フェルミナ「お嬢様はそれでも私たちの為に元気に見えるよう、振る舞われていたのですね…」

ベルトラン「嬉しくも寂しいような、何とも言えない気持ちになるな…」

フェルミナ「そういえば、旅と言いましたが…これを旅行とするなら、あの約束も果たされてしまうのでしょうか?」

ベルトラン「いや、これは約束のそれと言うには…」

 

ミーユ「おはようございます!」

フェルミナ「お嬢様、おはようございます。」

ベルトラン「おはようございます。遅くまで起きられていたと聞きましたが、早いですな。」

ミーユ「ふふ…ちょっとワクワクして早く起きてしまいました。」

ベルトラン「何か楽しみなことでも?」

ミーユ「分かりませんか?」

ベルトラン「うーむ…この宿屋の朝食とか?」

ミーユ「それも楽しみですが…ベルトラン…わたくし、そんなに食いしん坊ですか?」

ベルトラン「姫様が楽しみにすること…」

ミーユ「こうして3人が一緒に居ること、です!」

ベルトラン「ああ、そんなことですか…」

ミーユ「『そんなことですか』? 3人で一緒にのんびりできるなんて、そうそう無いんですよ?」

ベルトラン「確かに…そうですな。」

ミーユ「そうです。せっかくリンデに来たのです。楽しみましょう!」 

ベルトラン「リンデで楽しむこと…あまり思い付きませんが…」

ミーユ「そんなことを言って。わたくしはお父さまに連れられてでしか来たことは無いし、色々見てみたいのです!」

ベルトラン「分かりましたとも。一緒に参りましょう。」

ミーユ「もう!ベルトランは鈍すぎます!」

ベルトラン「姫様の御心は難しいですな。」

ミーユ「そもそもベルトランが最初に冷たいことを言うから…」

ベルトラン「うーむ…」

フェルミナ「…では、朝食を摂ったら、まずは海を見に行きましょうか?」

ミーユ「いいですね!途中の道ではゆっくり見られませんでしたからね…」

ベルトラン「その後はどうされます?」

ミーユ「うーん…何かあるんでしょうか…」

フェルミナ「後で考えても良いでしょう。」

ミーユ「そうですね。楽しみです!」

 

 

〜〜

 

 

ベルトラン「海を見るなら、灯台の方へ行ってみましょうか。」

ミーユ「灯台…見えているあれですね。行きましょう!」

フェルミナ「あそこなら、港を一望できますね。」

 

 

〜港町リンデ 灯台〜

 

 

ミーユ「海…広い…」

フェルミナ「近くで見るのは初めてでしたか?」

ミーユ「いいえ、小さい頃に見たことはあると思いますが、改めて広いな…と。」

ベルトラン「姫様ほど珍しくはないですが、何度見ても広いですな。」

ミーユ「この海が陸よりも大きく広がっているなんて…」

フェルミナ「この海の向こうにも、国があるんですよ?」

ミーユ「そういえば…海の向こうの東方の国と交易をしてるんですよね?こんな広いところを渡るなんて、想像できません…」

フェルミナ「そうですね…大きな船でも運べる物は限られます。それを繰り返し行き来して貿易をしているのです。」

ミーユ「そうなんですね!また世界が広がった気がします…でも、ここからでは向こうの国は見えないんですね…」

フェルミナ「ええ、ここからでは見えないほど遠いところです。」

ベルトラン「1つ、思い出しました。」

ミーユ「何をです?」

ベルトラン「姫様が遠くを見ようとして、城の屋根に登ってしまった時のことです。」

ミーユ「そんなこともありました…ははは…」

ベルトラン「確か、狩猟大会で優勝した後のことでしたな。」

ミーユ「そうでしたね…」

フェルミナ「お嬢様が城の屋根を登ってしまって、私が助けに行きましたね。」

ベルトラン「今思い出すだけでも冷や汗が出そうです。」

ミーユ「あの時は確か、優勝の景品で望遠鏡を頂いて…高い所からならよく見える、という考えで…」

ベルトラン「あの日も姫様は、世界の広さに感動されていましたな。」

ミーユ「あの日の、森の先まで広く広く見えた景色は、今でも忘れられません。わたくしの知っている世界はお城、あの森、町…そして海、とどんどん広がっていきました。そして、もっともっと広い世界があるのかと思うと、それだけでワクワクしてきます!」

フェルミナ「いつか、その広い世界も見られる日も来るでしょう。」

ミーユ「はい!見られるかな…まずは外に出られるか…です。」

ベルトラン「それは心配ありません。」

ミーユ「え?」

フェルミナ「脱出に関しては、お嬢様の右に出る者はいないでしょう。」

ミーユ「フェルミナ、それは言い過ぎですよ!」

ベルトラン「いいや、何しろ信頼できる実績がありますからな。」

ミーユ「うう…」

ベルトラン「いずれ王国どころかこの大陸でも収まらなくなるかもしれませんな。」

ミーユ「そこまでは行きませんよ!……多分。」

 

フェルミナ「…お二人とも。私は所用があるので、少しだけ席を外しますね。」

ミーユ「分かりました。わたくしたちはここに居ますね!」

ベルトラン「朝話していた件か。」

フェルミナ「はい。少し失礼します。」

 

ミーユ「ふふ…」

ベルトラン「どうされたのです?」

ミーユ「昨日、ベルトランに剣のことを褒められたのを思い出していました。」

ベルトラン「…姫様。」

ミーユ「はい。」

ベルトラン「初めて姫様に、剣をお教えした時のことを覚えておられますか?」

ミーユ「はい。『これは身を守るための剣です。』と。」

ベルトラン「剣を持つということは、敵からも剣という力を持つと見られるということ。相応に危険が伴うのです。」

ミーユ「今なら、分かります。」

ベルトラン「なので剣を持つなら、危険を退けるだけの充分な身を守る力をつけていただきたい、とお話ししましたね。」

ミーユ「はい。…昨日、もし2人がいなければ、と思うと恐ろしいです…。」

ベルトラン「それもありますが…剣の腕を鍛えられるようになってすぐ、あの森へ兵士を助けに行かれたことは覚えておられますか…?」

ミーユ「はい。そして、危ないところをベルトランが助けに来てくれました。その後、御守役を辞めると、お父さまへ…」

ベルトラン「そうです。…ただ、私は責任を取るというより、大切なものを失うのが怖くなってしまった、と申しました。」

ミーユ「何を話しているかは当時のわたくしには分かりませんでしたが、あの時はベルトランに嫌われてしまったのではないかと思ったことは覚えています。」

ベルトラン「そんなことは昔も今も、有り得ません。あのあとに私は、ずっと姫様をお守りすると誓いました。」

ミーユ「ベルトラン…」

ベルトラン「そして、あの日の姫様と、昨日の姫様のおかげで私は少し考えを改めました。」

ミーユ「え?」

ベルトラン「姫様は、あの時も兵士を守ろうと剣を取られ、昨日も私たちを守ろうと剣を取られました。それは私やフェルミナが姫様を守ろうとすることと同じなのでしょう。」

ミーユ「ベルトランやフェルミナと同じ…」

ベルトラン「…そう。私が姫様を守ろうとして出せる力は、自分1人の身を守る力より、とても大きいと気付いたのです。」

ミーユ「守ろうとして出せる力…ですか。」

ベルトラン「そして、失うことを怖いと思うのではなく、大切なものを守ること、その先に大切なものと共にあることこそが大切だ。とも学びました。」

ミーユ「何となく、分かります。」

ベルトラン「一線を退いた私も、姫様のように目の前の守るべき存在を守れるような、等身大の盾にはなれると考えています。」

ミーユ「等身大の盾…」

ベルトラン「姫様のおかげで、私の進む道も見えてきたような気がします。」

ミーユ「えへへ…昨日も今日も、ベルトランに褒められてしまいました。」

ベルトラン「ただ、姫様は心が広く大きいが故か、不利を省みず敵に向かっていってしまいます。力を付けられるまで、力量を量れるようになるまではどうかお気を付けください。」

ミーユ「…反省しています。」

 

フェルミナ「…でも、その勇敢さと優しさに心を救われる者も居ます。」

ミーユ「フェルミナ!戻ったのですね!」

フェルミナ「はい。」

ベルトラン「相変わらず気配の無い…姫様は今は陛下から剣を教わっていますね。そして陛下も先頭に立って剣を振るうお方なので、その剣を受け継がれているのかと思います。」

ミーユ「確かにそう…かもしれません。お父さまは常に誰かと共に居るので、自然その誰かを守る方に気が向くのかもしれません。」

ベルトラン「本来は守られる立場でいらっしゃるのですが…陛下らしいですな。」

ミーユ「別にお父さまのような剣士を目指していた訳ではないのですが、似てしまうのですね…」

ベルトラン「悪いことではないでしょう。」

ミーユ「まあ…認めたくないような気もしますが、今は憧れる気持ちがあるのも確かです。」

ベルトラン「そして、姫様が今より更に実力がつけられれば、周りの人間も守れるようになり、自然と人を率いるようになられるかと思います。」

ミーユ「人を率いられるかは分かりませんが…そう…なれるといいです…いいえ、なってみせます。」

ベルトラン「またお会いする時が楽しみです。さて、少し話し込んでしまいましたな。フェルミナも戻ったことですし、他にも見たいものはありますか?」

ミーユ「そうですね…」

フェルミナ「先程、交易の船が港に入っていたようです。」

ミーユ「船!それは見たいですね!」

ベルトラン「良いでしょう。そちらへ行きましょうか。」

 

 

〜〜

 

ミーユ(そう言えば…昨日お城でベルトランが言っていた心残りのことも、きっとあの日のこと、ですよね。)

 

〜〜

 

 

王女とあの日の約束(6)へ続く

 

 

 





最後までまでお読みいただき、ありがとうございます。

こちらの作品は、原作ゲームであるアナザーエデンの製作・運営に携わる全ての方々への敬意と感謝の上で書いております。

また、個人の趣味で楽しむ範囲の二次創作であり、商用での利用は一切考慮、予定しておりません。

小麦
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