中二病がカッコつけてたら世界の敵になってしまった   作:刹那木ヤクモ

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引き続き、拙作をよろしくお願いいたします。


第8話

「…様。…義様。起きてください。正義様…っと、お目覚めになられたようですね。」

 

「……ああ。起きた。すまない、苦労を掛けたな。」

 

「いえいえとんでもない。全然問題ないですよ。」

 

オッハーッ!!うーん良い夜だ。風が気持ちいいぜ。意識を失っていた間にちゃんと到着しているようでなにより。ここは日本…ではないな。小高い丘のような場所に居る。目の前に広がるのは辺境の都市と言ったようなところだろうか。2、3階建ての洋風の住居が所狭しと並んでいる。それなりに発展してそうなこの都市丸々全部夢幻とやらの拠点ってマジ?流石にジョークだろ。俺の知らないだけで宗教勢力が都市一個保有してる世界だったなんて知りたくなかったよ。

 

「エレジーは時間停止を使い単独で先行しています。何かあれば賢人を通じて我々にも情報が送られてくるでしょう。とは言えそれまで止まっているのも時間の無駄ですし私はもう仕掛けてしまいます。正義様はどうなさいますか?」

 

どうなさいますか?って言われてもなぁ…。ぶっちゃけたところ、そんなに乗り気ではないので積極的に動かなくても良いかなって思っているんだが。好きなテレビ番組見れなかったし。テンションがハイかローで言えばローなんだよな。まあ美味い飯と宿と信仰分は働いてやるか…。

 

「お前と共に行きあぶれた雑兵の相手でもしよう。後方射撃は任せておけ。」

 

「そうですか。出来る限りお手を煩わせないよう努力いたしますね。」

 

微笑みながら言うランバン。てかずっと思ってたんだけどなんで俺コイツからの好感度異様に高いの?主神の代行者補正が掛かってるにしてもバカみたいにへりくだるからちょっと怖いよ?もっと自信持ってこうぜ強いんだからさ。いややっぱり自信持たなくて良いわこのクソ邪教のトップめ。俺はいつか絶対にここを抜け出してやるからな覚悟しておけよ…!!

 

取り敢えずランバンについて歩く。彼は既に自身の能力で装甲甲冑を装備しているため表情は窺えないが余裕綽々と言った雰囲気を醸し出している。元気そうでなにより。これから大量殺戮を繰り広げるであろう人間が浮き足立っているというのも考え物なのだが。

そんなこんなで都市から大分離れた場所に陣取り片膝を立てて座るランバン。それを後ろから眺める。

 

「…では、始めましょう。エネルギータービン接続。出力安定。焼き払え。レーザーキャノン、発射!!」

 

前に見たときから比べて増設されている肩の巨大な砲身からエネルギーの塊が都市に向けて照射される。パリンと音が響く。例の守護結界とやらが割れた音だろうか。コンマ数秒だけエネルギーの塊が何もない筈の空間に静止していたがそれも束の間、都市に向けて莫大なエネルギーがぶつけられる。うっわぁ。目の前にあった都市の一角が文字通り吹き飛ばされた。馬鹿みたいなイカれた能力。これが《戦車》。俺との特訓の時は本当に1%しか出していなかったんだなこれ。毎度思うけど《正義》がこれより強いとかある?ないだろ。

 

その後も砲撃を続けるランバン。歩兵部隊と思われる人間が出撃してはランバンの砲撃の余波で吹き飛ばされ絶命しているのが強化されている視力でよく分かる。うーん、よっぽど親しいヤツの死とかじゃないと動揺しないようになってきてしまったな。大分この業界に毒されてきたってのが改めて理解できた。

 

(…あー、あー、もしもし。聴こえるか。俺だ。賢人だ。エレジーさんから連絡が入った。夢幻のトップの暗殺に成功したらしい。指揮系統もぐちゃぐちゃになってる。今が攻め時だ。俺に伝えられたことは以上だ。こっちは特段動きはない。花音さんも居てくれてるし守りに関しては安心してくれ。んじゃ、幸運を祈ってるぜ。帰ってきたら焼き肉にでも行こうじゃねぇか。)

 

「…とのことです。一段とギアを上げていくとしましょうか。焼き肉も私たちを待っています。」

 

ちょっと嬉しそうな声になるランバン。何だお前そんな声出せたのか意外だな。人間味を少し感じたところでお前がクソ邪教のトップであることには変わらんけどなカスが!!俺の人生めちゃくちゃにするきっかけを作りやがってこの野郎。焼き肉に行った暁にはお前の焼いた肉全部俺が食ってやるからな覚悟しとけよ。

 

そんな事を考えている間にもランバンの砲撃は続いている。街一個消し飛ばす勢いで砲撃が続いているが大丈夫なのこれ?主に人道的に。いーや大丈夫じゃないね、人道なんてコイツらが理解するわけもないし。

 

てかずっと暇なんだけど。雑兵相手は任せておけって言ったけどここまでやることがないとは思っていなかった。だって全部ランバンが吹き飛ばしてしまうのだから俺の仕事など残るはずもないのだ。本当に俺が来る必要あったの?とか考えていると一人、砲撃に巻き込まれても立っている人物を発見する。

 

「ランバン。見えるか?お前の砲撃に巻き込まれて尚無事なヤツが居る。」

 

「ええ、こちらでも確認しました。恐らくは奴こそ《愚者》でしょう。《愚者》の能力は『反射』。ありとあらゆる自身に命中する攻撃を反射する能力ですが、貴方の銃弾であれば貫くことも容易いでしょう。私は一度攻撃を控えます。正義様、奴を始末してきてください。」

 

「…分かった。任せておけ。」

 

《愚者》よ。覚悟しとけ。俺だって焼き肉食いたいんだからな…!!

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