【三次創作】ホロライブ ビルドライバーズ with リ・イマジネーションズ   作:波音四季

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明けましておめでとうございます。本作を始めて2回目のお正月を迎えました。本年は昨年と比べて牛歩の投稿となると思いますが、よろしくお願いします。

というわけで今回は、実の話。あんまりグラハムのリ・イマジっぽくない彼ですが、ちょっとした秘密が…。そして、新たな敵の姿も…。

本当は序・破・急の三部構成にしようと思ったんだけど「そんなに長々とやる事でもない」「そんなに沢山ネタがない」等の理由で1話完結にしました。なので、前回の予告もちょっと変えてあります。


CHAPTER09 ガンプラ剣豪

それは突然の出来事だった。

 

ステラゲイザーから青白い光の柱が放たれ、暴走しているとしか思えない滅茶苦茶な戦い方。明らかな異常、彼女の意思によるものではない事は明白だ。

 

―ズバアァァァァァァァァァァァァッ!!―

 

エピオンの斬撃によってステラゲイザーは沈黙……だが、使用者である「星街すいせい」は意識不明の重体へと陥ってしまった。

 

 

 

 

 

流星家 剣道場

実「……」

 

薄暗い道場で座禅を組み、目を閉じていた。

 

実(あの時、俺が勝っていれば…)

 

GWDWC一回戦、実は自身の推しであるすいせいと対峙。流星流決刀術の応酬の末、彼は敗北した。

 

実(俺が勝っていれば、すいちゃんにあんな事させなかった)

 

傲慢だ。自分でもそう思う。だが、そう思わずにはいられない。

 

四回戦から一週間、すいせいは既に快復しており、原因も悪意ある者によるハッキングだと判明。警察も動いているとニュースでは伝え聞いている。だが、ただのハッキングならすいせいの暴走は何なのか?相当強い精神攻撃を受けたとしか思えない。一部の者の中には「フルシンクロを使おうとして失敗した」という説が最も有力とされている。

 

実(所詮は憶測…だが、彼女がフルシンクロを使ったのは、そうしないと勝てないと思ったからだろう。俺が一回戦で勝っていれば……)

 

もし自分がすいせいに勝っていれば、確実に四回戦までは進めていた。そうすれば、ハッキングは実が受ける事となっただろう。結果として、すいせいが実に置き換わっただけで、起こる事象に変化はない。それでも、推しのすいせいがあんな風に傷付くことはなかった。

 

実「もっとだ…。もっと強く、もっと力を…」

 

懐から1体のガンプラを取り出す。

 

『ムラマサ』

『機動戦士ガンダム00』に登場する『スサノオ』を改造した機体。

サイドバインダーのGNドライヴ[Τ(タウ)]と背中のコンデンサをオリジナルGNドライヴに変更することで、ダブルオーガンダムを超えるトランザムを可能とした。さらにボディに追加装甲を取り付けることでトライパニッシャーは使用出来なくなったが、防御力を向上させることが出来た。だが、この機体の堅牢性と機動力のつり合いが取れておらず、さらに実の戦闘スタイルともマッチしなかった為、長らく予備機としてバトルで使用されずにいた。

 

実「もうそんな事は言ってられん。圧倒的な機動力と圧倒的な防御、そこに俺の持てる技術全てを投入すれば、『モノノフ』や『リ・ヴァイス』よりも強力な機体となるはずだ」

 

そうだ。もっと強く…もっと…もっと…!

 

 

 

1週間後

ホロライトシティ 神羅城

玲二「実の様子がおかしい?」

 

修羅『はい。先週から使う機体を変えたですが、それが明らかに師匠に合っていないんです。にも関わらず、師匠はその機体を使ってバトルを続けていて…』

 

玲二はテレビ電話で修羅と話をしていた。

 

玲二「心当たりはあるか?」

 

修羅『さぁ…GWDWCで負けた事が原因と思ったんですが、どうも違うようで…』

 

玲二「というと?」

 

修羅『今の師匠はまるで……憑りつかれているようなんです。我武者羅(がむしゃら)というか、なんというか』

 

「憑りつかれているよう」という言葉に引っ掛かりを感じた玲二はさらに追及する。

 

玲二「まるで以前に憑りつかれた人間を見たような口ぶりだな?」

 

修羅『そうなんです。モノノフクアンタが完成する少し前の事なんですが…』

 

修羅が語ったのはこうだ。

 

モノノフクアンタが完成する少し前、実たちが住む古尾(ふるお)市に鞍刃(くらは)という名家があり、その蔵から刀が一振り盗まれた。盗まれたのは『村正』、なぜそんな物があったかと言うと、鞍刃家はかつて名匠千子(せんじ)村正の弟子鞍刃士道(しどう)の子孫であったからだ。盗まれた村正は多くの人を斬り殺した妖刀として封印されていたが、鞍刃家の者がその刀を質に入れようとして封印を解いてしまい、刀に封じられていた怨念に憑りつかれてしまったのだ。これを受けて鞍刃家は、身内の不祥事を表沙汰にしないように親交があった流星家に協力を依頼、同家に下宿していた修羅も協力することとなった。

結果から言うと、流星家と鞍刃家の数名が負傷したが、実が流星家に保管されていた名刀『正宗』で村正を叩き折ることで憑りつかれていた人物は解放、奇跡的に死者を出すことなく事件は収束した。と思われたが、そのすぐ後に完成したモノノフクアンタの動作不良が発覚。いくら調べても原因は不明、一部メンバーは村正の呪いと考えたが、実や友人のリーに恩師のハジマ教授はそうは考えず、モノノフクアンタを動かす最適解を見つけ出した。

 

修羅『というのもあって、事情を知る者の中には「ついに憑りつかれた」と言い出す者もいる始末なんです』

 

玲二「なるほどな。それで、具体的に俺にどうしてほしい?」

 

修羅『もし本当に憑りつかれているなら、何とかしなければなりません。しかし、元凶の「村正」はもうありません。いい知恵を貸していただけませんか?』

 

玲二「そうだな…」

 

この世界では怨霊が原因で事件が起こることが年に何回かあり、かくいう玲二も過去にとあるカメラに宿っていた思念体絡みの事件に関わったことがある*1。もしもあの時と同じ状況なら『村正』なる妖刀が怪しいが、それは既にない。となると…。

 

玲二「修羅、その刀の他に気になる物はないか?」

 

修羅『気になる物……やはり師匠が使っているガンプラ『ムラマサ』しかないと思います』

 

 

 

さらに1週間後

 

Game Mode:Online Battle

Field:Standard

PlayerA:KZH

PlayerB:Ryusei Minoru

 

ガンプラウォーズのオンライン対戦モード、森林エリアにて葛葉と実は向かい合う。

 

葛葉「急に呼び出して悪かったなぁ」

 

実「…なんの用だ?」

 

葛葉「いやね?お前との決着がまだ着いてなかったと思ってよ、年が明ける前に清算しとこうと思ってな」

 

実「なるほどな…。だからその機体なのか」

 

『ファントムゴースト』

エントリーグレードのストライクをベースにしているがその殆どがフルスクラッチで作られた葛葉のオリジナルガンプラ。各部位にはダガーやトンファー等の近接武器を仕込んでおりその上からボロボロの布を包帯のように粗く巻き更にその上からボロボロのフードを被っているまさに幽霊のような機体となっている。

 

葛葉はオンライン対戦で実を呼び出し、2023年夏に行われた陣取りゲーム*2の決着を着けるべく決闘を挑んだようだ。

 

実「良いだろう。GWDWCでは戦えなかったからな。今回はあの時のような卑怯な番外戦術はなしだぞ」

 

葛葉「分かってるよ。しかし、お前の機体…」

 

対峙する実のムラマサを観察する。

 

葛葉「ごちゃごちゃし過ぎじゃねぇか?扱えんのかよ?」

 

実「余計なお世話だ。いくぞ!」

 

 

 

その頃

戦闘が始まった地点から離れた岸壁の上、3つの機体が戦闘の様子を観測していた。

 

玲二『どうだ?』

 

唯華「う~ん…機体に変なもんは憑いとらんなぁ」

 

るしあ「ですね。あのスサノオのカスタム機は、いたって普通のガンプラなのです」

 

椎名唯華の『幽霊武者頑駄無“霊夢”』にるしあの『ネクロガンダム レイス』、傍には修羅の『ブラックナイトスコードシヴァ』も控えている。

 

『ネクロガンダム レイス』

『ガンダムデスサイズヘル』をベースに改造した機体。使用者は潤羽るしあ。

機体を作るきっかけとなったのはるしあがアナザー時空の記憶を夢の中で見て、「戦えなくても良い。再び復元して、お兄ちゃんと共に蘇らせてほしい」という願いを聞いたのがきっかけ。プレバンで見つけて早速購入し、組み上げた物の改造案が浮かばず、外見上をネクロマンサーっぽく仕上げた程度で留まっていたが、後にGEがレゾナンス・フェイズシフト装甲や迷彩CAMOマントを販売した事と、みしろの助言によりそれを採用。

機体自体はレゾナンス・フェイズシフト装甲を採用した事によって色を変換やマントを活かしての位置の欺き、スキルによって屍を呼び出し、時には自ら死霊と化して確実にキルを取る。その姿はまさにネクロマンサー。

 

『幽霊武者頑駄無“霊夢”』

『SDガンダムHEROES』に登場した『78代目武者頑駄無』を唯華が改造したオリジナルガンプラ。黒を基調とし所々に淡いピンク色のラインが入っている。鎧も所々ボロボロでまるで落武者のようである。

 

神羅化によって強化された2人の霊能力で実が本当に怨霊に憑りつかれているのか、もし憑りつかれているなら浄化出来るのかを確かめる為に玲二が協力を依頼したのだ。さらに言うと、葛葉が実に決闘を吹っ掛けたのもこの為だ。

 

修羅「機体に問題がないとすれば、やはり師匠自身に?」

 

唯華「それなんだけどねぇ…」

 

玲二『歯切れが悪いな?何か良くない物が?』

 

るしあ「そうじゃないのです。むしろその逆」

 

修羅「逆?何もないという事ですか?それならそれで良い事なのでは?」

 

唯華「いやぁ…にしてもこれは綺麗すぎるんよ。怨霊と戦った人間とは思えんわ」

 

怨霊や悪霊といった生者に厄災を齎す霊を浄化するという行為は危険が伴う。戦った生者がそれらの怨みや呪いを受けてしまったり、憑りつかれてしまうかもしれないからだ。大抵の呪いはその道に精通していれば払うことが出来るが、怨念が強ければ強いほど受ける呪いも強力なモノとなり、完全に払うことが出来なくなる。この世界の陰陽師や退魔師を生業(なりわい)とする者達は何かしらの払い切れない呪いをその身に受けており、そういう類のモノを一切受けなかったのは安倍晴明などの歴史上の名立たる陰陽師や呪術師だけとされている。

 

るしあ「沢山の人を斬った刀にはそういう怨念が憑きやすいのです。特に『村正』は、伝承の影響もあって良くないモノを引き寄せたり、怨念を増幅させることもあるのです」

 

修羅「言霊(ことだま)というやつですか。確かにあの時村正を手にした男は、人斬りというより知性を失った怪物と言っても過言ではないモノでした」

 

唯華「当然そんなのと戦えば、無傷で生き残ったとしても呪いで苦しんでいて不思議じゃない。でも実にはそんなのがこれっぽちもない。理解できへんわ」

 

2人の発言を受けて玲二はしばし思案する。

 

以前大和が無呪羅のラストと戦った時、彼女の『CHARM』による攻撃で魅了されたことがある。その時彼の窮地を救ったのは、大和の魂に宿る存在だった。また、新がЯの精神攻撃を受けた時は、同じく魂に宿る存在がЯを討ち払った。この事から、リ・イマジネーション達は彼らの基となった者達によって守られていると考えられる。

 

玲二(実が『グラハム・エーカー』のリ・イマジネーションならおかしくはないか)

 

 

戦闘は葛葉が()していた。

 

実(鎧が重い…!トランザムを御せていない…!)

 

葛葉「どうしたどうしたァ?シナンジュ使ってた時の方が強かったぞォ!」

 

実「やかましい!トランザム!」

 

―TRANS-AM―

 

葛葉「スキル発動!」

 

○スキル『幽霊の影』

機体の攻撃力を90%ダウンさせる代わりにその身体を霧状に変化させる。使用回数は一回のみで使用時間は20秒間である。

 

トランザムを発動させて両手の刀を振るうが、ファントムゴーストのスキルで空を斬るだけに留まる。

 

実「おのれぇ!」

 

トランザムとスキルの時間が切れ、互いに距離を取って仕切り直す。

 

葛葉「……あーやめだやめだ」

 

実「なんだと?」

 

葛葉「今のお前ならいい勝負できると思ったけど、話になんねぇや」

 

実「ふざけるな!そちらから挑んでおいて、やめるも何もあるか!」

 

葛葉「『ふざけるな』はこっちのセリフだっつーの。大体お前、何をそんなに焦ってんだよ?」

 

実「焦ってなど…」

 

葛葉「ヘッ!大方すいせいさんがああなったのは、自分のせいとでも思ってんだろ?」

 

実「っ!」

 

葛葉「図星か。あのよぉ、すいせいさんの暴走にお前は関係ねぇよ」

 

実「……」

 

葛葉「そりゃあファンのお前からしたら、自責の念に駆られるのも無理はねぇけど、この件でお前を責めた奴はいたか?いねぇだろ?それなのに自分を追い込んで、合わねぇ機体使って、後輩に迷惑かけてちゃ世話ねぇぜ。お前だって本当は分かってんだろ?」

 

実「だが、それでも……それでも俺は…」

 

その時である!

 

―ザシュゥゥゥゥゥゥンッ!!―

 

ムラマサとファントムゴーストの間を斬撃が通り抜けた。

 

実「何だ!?」

 

葛葉「オイオイオイオイッ!玲二!こんなの聞いてねぇぞ!?」

 

玲二『俺は何もしてない!観測チームも違う…まさか、ハッキング?だが、外部からの干渉はなかったぞ?』

 

そこへ『スサノオ』のカスタム機らしき機体が舞い降りてきた。黒と赤で塗装され、カメラアイを覆うバイザーは不気味な紫に輝いている。

 

『カゲキヨ』

『機動戦士ガンダム00』に登場する『スサノオ』を発展させた機体。

機体色以外に大きな変化はないが、神羅の力を宿している為すべてのステータスにおいて、並みのガンプラを上回る。また、元々装備されていた刀は『二刀痣丸』へと強化されており、連結して大太刀とすることも可能。『カゲキヨ』とは『平景清』のこと。37度に渡って源頼朝を襲撃した伝説の平家武者とされており、スキルもそれに準じたものとなっている。

○スキル『カゲキヨは影である

致命傷を受けても自身を影とすることで破壊を免れる。このスキルはこの機体が参戦する全てのバトルを通して合計37回まで使用出来る。

 

機体名以外のステータスが全て黒く塗り潰されていて相手のスペックが何一つ分からない。

 

実「何者だ!」

 

『……俺はディバイン。神託を受けた代行者にして……ガンプラ剣豪…!』

 

実「ガンプラ…剣豪?」

 

玲二『皆気を付けろ!そいつは只のハッカーじゃない!』

 

玲二が叫んだ直後、修羅のシヴァがカゲキヨの背後から斬りかかるが、カゲキヨは自身の刀を使いノールックでシヴァのヒートソードを受け止める。

 

修羅「なっ!?」

 

ディバイン『ふんっ!』

 

ヒートソードを振り払い、シヴァの胴体を斬る。

 

唯華「修羅下がり!」

 

唯華が武者頑駄無の右肩の鎧に桃色のオーラを纏わせる。するとオーラは徐々に広がっていき二人を覆う程の防御壁となってカゲキヨの追撃を防いだ。

 

ディバイン『防御壁か』

 

修羅「今だ!」

 

シヴァの胸部装甲が開き、無数の針が障壁の内側からカゲキヨに襲い掛かる。至近距離からの短針攻撃を諸に受けたカゲキヨの正面は針山と化し、さらに上空から霊体化していたネクロガンダムが姿を現す。

 

るしあ「もらったああああああ!!」

 

ビームサイズがカゲキヨを袈裟懸けに斬り捨てた。

 

修羅「やったか?」

 

上半身を斬り裂かれたカゲキヨは爆発することなく黒い粒子となって消えてしまった。

 

葛葉「何だ?大したことなかったな」

 

玲二『いや、呆気なさすぎる。皆、警戒しろ!』

 

るしあ「はいなのです!もう1度霊体化して―ドシュ―

 

唯華「……るーちゃ、っ!?」

 

ネクロガンダムの背後から無傷のカゲキヨがコックピットを貫いていた。

 

―残影 三十五―

 

ディバイン『今のは効いたぞ。次はこちらの番だ』

 

ネクロガンダムを討ち捨てると、二刀を連結する。

 

ディバイン『儚きは常…この世は並べて…塵芥(ちりあくた)…!盛者必衰の太刀!

 

大太刀による一閃が防御壁内にいるシヴァと武者頑駄無ごと斬り捨てた。

 

実「なんて奴!」

 

葛葉「実、下がってろ。その機体じゃ無理だ」

 

実「何を!」

 

ムラマサが斬りかかるが、カゲキヨが軽く刀を振るうだけで吹っ飛ばされる。

 

ディバイン『ベース機が同じならばと思ったが、期待外れだったか』

 

その2機の間にファントムゴーストが割り込んでくる。

 

葛葉「俺が相手になってやんよ!」

 

ディバイン『面白い…!』

 

2機が斬り合いを続ける傍らで、実は悔しそうに顔を歪める。

 

実(俺は…どうすればいいんだ…)

 

悲劇を繰り返したくないと思った。だから強くなろうとした。

 

強くなりたいと思った。その為に力を手に入れた。

 

力をモノにしようとした。でも出来なかった。

 

実「俺は…俺は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―カァン―

 

金属を打つ音にハッとして顔を上げると、実の周囲は真っ白い空間に覆われている。

 

―カァン―

 

すぐ目の前、刀鍛冶らしき人物が小槌を金床に打ち付けている。

 

―カァン―

 

実「貴方は…?」

 

「ん?おう、来たか」

 

振り向いたのは、実によく似た顔立ちの白髪の男。

 

実「誰なんだ?」

 

士道「(オレ)ァは士道、鞍刃士道だ。会えて嬉しいぜ、坊主」

 

実「鞍刃士道?俺は…死んだのか?」

 

士道「あ~心配すんな。ここは…まぁ、お前の心ン中っていったところだ。」

 

実「心の中…。何故俺はここに?」

 

士道「ンなもん、子孫が困ってたら助けるのが先祖の役目だからな。―カァン―……チッ、また駄目だ」

 

打ち終わったばかりの刀を床に打ち付けて叩き折る。

 

実「な、何故?」

 

士道「(オレ)が求めるのはこんなもんじゃねぇ。師匠が辿り着けなかった究極の一刀『都牟刈(ツムカリ)村正』儂はそこへ辿り着かなきゃならねぇ。だが、それは一朝一夕に出来るもんじゃねぇ。数多の研鑽を経て、幾多の刀塚を築いて漸く辿り着けるんだ」

 

実「死してなお、子孫の心に宿り、刀を打ち続けるのですか?」

 

士道「ったりめぇよ。(オレ)ァは師匠の弟子だ。その一方で(オレ)にとって師匠は…お前等風に言うと『推し』なんだよ。師匠が志半ばで死んだ時ゃそりゃ悲しかったし、くだらん理由で自分を責めた事もある。そして我武者羅に刀を打ち続けたが、ある時気付いた。闇雲に打ったって意味がない。(オレ)自身が成長しなくちゃ、都牟刈には永遠に到達出来ねぇ。だから(オレ)は自分を磨く事にした。(オレ)が求める究極の一刀、都牟刈へと至る為に!」

 

実「……」

 

士道「坊主、お前もそうじゃねぇか?闇雲に強さを求めるあまり、余計なもんを背負い込み過ぎてねぇか?」

 

実「…そう、ですね」

 

士道「それからあまり自分を責めるな。それでもってんなら、頭下げて謝って来い。(オレ)ァもう師匠には会えねぇが、お前さんは違う。そうだろう?」

 

実「はい。ありがとうございます、名匠鞍刃士道!」

 

士道「よせやい。しかし、今度の相手はちっとばかり厄介だ。(オレ)等の力が必要になりそうだ」

 

実「他に誰かいるのですか?」

 

周りを見回すが、白い空間が続くだけで誰もいない。

 

士道「おうよ。今は(オレ)に統一されてるが、お前さんの魂にはあと二人いる。なんなら、もう気付いてるんじゃねぇか?」

 

玲二が真魔神となった際に放った波動を受けたリ・イマジネーション達は、自らに宿るかつての魂を感じ取れるようになっていた。特に常日頃から鍛錬を続ける者達は特に早い段階でそれが可能となっていた。実もその1人だ。

 

士道「お前さんの『他者を指導する』能力は間違いなく()()()()()()()のだ。そしてもう一人は…」

 

実「皆まで言わなくとも分かります。彼らもまた、俺なんですから」

 

士道「そうかい。なら、こっからはお前さんの出番だ。もしかしたら、お前さんなら辿り着けるかもしれねぇな。(オレ)と師匠が目指した究極の一刀によ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葛葉「てめぇこの野郎ッ!!」

 

カゲキヨの斬撃をトンファーで受け止める。だが、カゲキヨが刀を押し込み、ファントムゴーストが膝をつく。

 

ディバイン『ここまでだ…!』

 

ゾクッ

 

ディバイン『っ!?なんだ?』

 

突然怖気を感じ、辺りを見回す。

 

実「……」

 

そこに佇むのは、鎧を捨てGNドライヴもサイドバインダーごと切り離したムラマサだ。その姿はベース機のスサノオに近い。

 

カゲキヨはファントムゴーストを蹴り飛ばすと、ムラマサに大太刀を向ける。

 

ディバイン『先程までとは違う。この僅かな間に何をした?』

 

問いかけに答えることなく、ムラマサは左手を出す。

 

実「過分を捨て

 

過ぎたる力は必要ない

 

実「重さを捨て

 

身を守る鎧も必要ない

 

実「(はや)きを捨て

 

トランザムすらも必要ない

 

実「己を知った

 

俺が手にするべきは、唯究極の一刀のみ

 

実「そこに到るは数多の研鑽

 

ミノル・スズキが積み重ねた研鑽が

 

実「此処に辿(いた)るはあらゆる収斂

 

グラハム・エーカー束ねた収斂が

 

実「八重垣造るは千子の刃

 

鞍刃士道が継承した刃が

 

突き出した左手に鍔も装飾も施されていない無銘の打刀を剣製(けんせい)する。

 

実(俺はまだそこに到る事は出来ない。だが、いつか、必ず到る!)

 

ディバイン『っ!儚きは常…この世は並べて…塵芥…!盛者必衰の太刀!

 

実「それが俺の!都牟刈、村正だアアアアアアッ!!!

 

ザシュゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

カゲキヨの一閃がムラマサを捉える直前、ムラマサの鍛造した無銘刀が振るわれた。

 

ディバイン『ば、バカな…!?』

 

大太刀ごと両断されたカゲキヨは切り口から炎を吹き出して炎上する。火達磨となったまま崩れ落ちるが、再び黒い粒子となって消えてしまった。

 

葛葉「また消えた?どっから来やがる?」

 

2人は背後を警戒するが、2機とは離れた場所に黒い粒子が再集合しカゲキヨが出現する。

 

―残影 三十四―

 

ディバイン『まさか1回の戦闘で影を二つも失うとは…しかも、神の力を持たない攻撃で…』

 

葛葉「何?おい、今なんつった!?」

 

ディバイン『これほどの力なら、供物として申し分ない。その機体、いずれ頂くぞ』

 

それだけ言い残して、カゲキヨはスゥっと消えてしまった。

 

葛葉「逃げた!?玲二!今の奴追えるか?」

 

玲二『ダメだ追えない。おかしい…どんなに腕のいいハッカーでもステージに出入りしたのなら僅かでもその軌跡が残るはずだ。だが、こいつは何だ?突然現れて、突然消える。まるで瞬間移動だ』

 

玲二がカゲキヨとディバインなる人物を追おうとしてる一方、全力の一撃を繰り出したムラマサは倒れ伏した。

 

葛葉「おい!大丈夫か!?」

 

実「無論だ。掴んだぞ、流星流決刀術を超える新たな力の一端を」

 

*1
本家ホロライブビルドライバーズ第92話『スナップストーカー』第93話『供養、ガンダム撮影』参照

*2
本家ホロライブビルドライバーズ第134話~第136話『陣取りゲーム』参照




○流星実
戦国時代の刀鍛冶「鞍刃士道」の生まれ変わり。転生する際に「ミノル・スズキ」の魂が混ざり合ったことで、「グラハム・エーカー」「ミノル・スズキ」の2つの魂を宿す特殊なリ・イマジネーションとなった。
ミノルが教官であったことから、実自身も「他者を指導する」能力がずば抜けて高く、修羅の練度の高さも彼の直接の指導によるため。
「過ぎた欲望」「過重な鎧」「無用な疾さ」を捨てたことで究極の一刀「都牟刈」を見出すことが出来た。

○鞍刃士道
「グラハム・エーカー」のリ・イマジ。刀匠「千子村正」の弟子であり、生前は師が成しえなかった究極の一刀へと辿り着くために人生を捧げた。道半ばで生涯を終えたが、その想いは魂に刻み込まれており、幻影を介して実に伝えたことで彼が「都牟刈」へ辿り着く手助けをした。

○ディバイン
「ガンプラ剣豪」を名乗り「カゲキヨ」を駆る謎の人物。何らかの組織に属しているようだが、現時点は「リ・イマジか否か」も含めてすべてが不明。

ご都合主義や後付けにしては無茶苦茶すぎる気もするが、ガンダム作品からして後付けのオンパレードだし、なんなら「ELSと融合してるグラハムがリ・イマジ化してる」こと自体おかしいし。


NEXT CHAPTER
エデンのプラモデル保全機構から呼び出しを受け

玲二は仲間達と共にエデンへ向かう

最高司書官が語る1年前の事件とは?

そして、新たな敵がその姿を現す

次回『CHAPTER10 LIBRARY』
「奪われた機体を取り戻す為に、どうか力を貸してください」
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