【三次創作】ホロライブ ビルドライバーズ with リ・イマジネーションズ 作:波音四季
さて今回は、前回の続き。G.C.P.D.はどうなるのか?AITC、そして次郎の目的は?
???
後府「う…むぅ…」
薄暗い部屋で後府は目を覚ました。どうやら椅子に座らされて、後ろ手に縛られている。ガンガンする頭で何があったか記憶を辿る。
後府(確か、運転手に撃たれて……なるほど、麻酔か)
この頭痛も麻酔のせいだろう。いつもと違う運転手をもっと警戒するべきだったと、考えていると鉄のドアがゆっくりと開き、浅黒い肌に赤毛の女性が入って来た。
「漸く目覚めたか、後府幹事長」
後府「元幹事長だよ。ふむ、君は知っているぞ。G.C.P.D.の資料で見た」
「へぇ、じゃあアタシの名前を言ってごらんよ」
後府「私が知る限り、日本人らしからぬ色の肌に赤毛の女性隊員は2人しかいない。1人は狭間スミレ、もう1人は
ティナ「正解。流石はG.C.P.D.の後ろ盾、こんな末端の隊員まで記憶してくれているとはね」
後府「それで、その末端隊員が、元幹事長に何の用かね?こんな誘拐のような事までして」
ティナ「“ような”じゃない。誘拐だ。アタシ等の目的は1つ、G.C.P.D.で使ってるAIの完全廃棄だ」
後府「……まさか、君はAITCの一員か?」
ティナ「その通り」
後府「何故だ?何故G.C.P.D.を裏切る?」
ティナ「アンタには関係ないね。引退したとはいえ、アンタのG.C.P.D.への影響力はまだ強い。そのアンタを人質にとれば、奴らはこちらの要求を呑まざるを得ない」
後府「無駄だよ。この国の連中はテロには絶対屈しない」
ティナ「その時は、アンタに死んでもらうだけさ。それに、保険はかけてある」
後府「保険?」
ティナ「アタシはね、G.C.P.D.じゃあネットワークセキュリティを担当してたんだ」
後府「……そういうことか。セキュリティをダウンさせてハッキングする気だな」
ティナ「ハッキング自体はもう始まってる。今頃、本部は大慌てだろうさ。でも、まだだ。ここからさらに追い込む。あのAI共を引っ張り出して完膚なきまで破壊する。ま、向こうがこっちの要求を呑んでくれたら、そんな事するまでもないんだけどね。精々神様に祈っておくことだな」
話を切り上げ、ティナは部屋の外に出ると、ドアを閉じて鍵をかけた。
警視庁G.C.P.D.本部
頼人「ネットワークセキュリティの再構築を急げ!」
「ホロライトのライン警視に繋いでますが、向こうも混乱しているようで」
頼人「代理の者がいただろう!何処へ行った!?」
「担当の羽蓮巡査長がいないんです!」
「副室長!誘拐犯と思しき人物から連絡が!」
頼人「繋げ!」
「それが…要求だけ言って切ってしまって」
頼人「悪戯、ではないだろうな。通話記録があるはずだ。聞かせてくれ」
隊員の1人がPCを操作し、記録されている履歴から通話音声を呼び出す。
オペレーター『はい、こちらはG.C.P.D.警視庁本部です』
女性『後府元幹事長を誘拐した』
オペレーター『……なんだって?』
女性『G.C.P.D.は直ちに開発中のAI及び使用中の全てのAI破棄せよ。さもなくば元幹事長の命はない』
オペレーター『待て、一体何を言って』
―ガチャ ツーツー―
「副室長、G.C.P.D.のメールホルダーにこんな写真が」
隊員が差し出した写真には、暗い室内で椅子に縛られている後府が映っていた。
頼人「なんてことだ…」
そこへアメリアが外に出ていた隊員に引き連れられて入って来た。
アメリア「真筆副室長、状況は?」
頼人「メインサーバーへのハッキングは水際で防いでいるが、ライン警視がいないのと、羽蓮巡査長が行方不明でどうにもならん。おまけに後府元幹事長を誘拐した連中が、G.C.P.D.のAIを破棄しろなどと要求してきた」
アメリア「間違いなくAITCの仕業ね。灰、何とかできる?」
灰『もうやってる。というかこれ、ちゃんとしたセキュリティがあれば防げる程度のハッキングだから落ち着いてやれば防ぎきれるはずだ。逆ハックして連中の居所を炙り出す』
アメリア「後府元幹事長もそこにいるはずよ。急いで」
ゲブル「副室長、ちょっといいか?」
ヘッドホンで通話音声を繰り返し聞いていたゲブルが声を掛ける。
ゲブル「この相手の女性なんだが、ティナじゃないか?」
頼人「何だと?」
頼人もヘッドホンを耳に当てて音声を聞く。
頼人「確かに似ている。だが、電話から流れる音声は本人のものではない。確証はないぞ」
恵良「それに関してなんだけど、これ、本庁内の監視カメラの映像を漁ってみたら、こんな物が」
差し出された映像には、G.C.P.D.のバッチを引き千切って投げ捨てるティナの姿が映っていた。
アメリア「決定的とまでは言えないけど、この状況から考えてほぼ間違いないわね。彼女はAITCのスパイだったのよ」
頼人「ええい!九条総監といい、羽蓮巡査長といい、どいつもこいつも警察を何だと思っとるんだ!」
「副室長、ハッキングの方はなんとかなりそうです。あ、いえ、待ってください!こちらサーバーを経由して、ホロライトの方のサーバーへアタックしてる!?」
アメリア「マズイ!今、ホロライトのG.C.P.D.は移転作業中でセキュリティが甘いわ!奴らはこれを狙っていたのよ!」
頼人「本命は
「完了してます。向こうでも対処するとのことです」
頼人「よし!我々は、我々に出来る事をする!総力を挙げてAITCの拠点を突き止めるんだ!」
その頃、ホロライト
メインサーバーハッキングの一報を受けた非番組は、ガンプラウォーズにログイン、迎撃に向かっていた。
ソフィ「あ~もう!折角の休みだってのに!」
ノレア「こういう事もあるって知ってるでしょ。文句言うな」
ソフィ「う~~~ッ!こうなったら憂さ晴らしに撃ちまくってやる!」
オルタ『G.C.P.D.メインサーバー内にバトルフィールドの構築を確認』
愛華「突入します!気を引き締めなさい!」
『了解!!』
ゲートを潜り抜けると、そこは電脳空間に構築された市街地。既にG.C.P.D.所属機とAITC所属機の戦いが繰り広げられていた。
劾「この先は、中枢部だ!何としても食い止めろ!」
ローレン「このくそ忙しい時に!」
アクシア「仕事増やさないでほしいなぁ!」
ブルーフレームセカンドLのガトリングが火を吹き、2機のガンダムエアマスターが次々とアッシマーやギャプランといった可変機の群れを撃墜していく。
パトリック「よっしゃ!こいつらそんなに強くねぇぞ!このまま―ドガアアアアアアアアンッ!!―おわあああああ!?!?」
パトリック率いるジンクスチームが突然攻撃を受け、パトリック以外の機体が爆散した。
パトリック「な、なんだぁ!?」
上空を見ると、空色に塗装され、ジェットブースターを背負ったカラミティガンダムが浮遊している。
スミレ「エリス、あの機体って」
エリス『エールソードカラミティガンダム!?本庁の羽蓮巡査長の機体じゃないか!』
『エールソードカラミティガンダム』
フルメカニクスの『エールカラミティ』と『ソードカラミティ』のミキシング機。エールカラミティをベースとして、両腰にシュベルトゲベールを装備し、両肩にマイダスメッサービームブーメラン、両腕にパンツァーアイゼンを移植。元々あったカラミティの遠中距離攻撃能力に近接能力を追加した上で空中戦も出来るが、高い操縦技術が必要となる。
ティナ「おやおや、葛飾のお嬢ちゃんじゃないか。おっと、今は昇進したんだっけ?そのAIを使ったんだろう?AIの力で権力を手に入れる……反吐が出る!」
カラミティがビームブーメランを投擲、スミレの『エアリアルトリガー』はシールドでガードするが、反動で弾き飛ばされる。
エリス『スミレ!この!』
エリスが操る『キャリバーントリガー』がビームライフルで反撃する。
エリス『僕は何もしてない。寧ろ、僕の方がスミレに助けてもらったんだ。彼女は自分の力で、今の立場を手に入れたんだ!』
ティナ「黙れ!AIなんかいらないんだよ!消えろ!」
シュベルトゲベールを引き抜き、胸部のスキュラを撃ちながらキャリバーントリガーに斬りかかる。
―ガギィン!!―
だが、都々の『ガンダムグシオン ゼノフィリス』が立ち塞がり、ヒートアックスで受け止める。その隙にるりの『サージェントノーブルジャスティスガンダム』がシールドブーメランを飛ばす。カラミティはゼノフィリスを振り払い、シュベルトゲベールでシールドブーメランを斬り払う。
ティナ「ホロライトの連中か!」
都々「なんで本庁の巡査長がAITCのメンバーに…?」
ティナ「決まってるだろ。AIを駆逐する為だ!」
るり「何故です?何故AIを駆逐したがるんですか?AIが貴女達に何をしたって言うんですか?」
ティナ「これからされるのさ。アンタ達も見ただろ?カヴンだっけ?あんなモノが正式に採用なんてされた日にゃ、アタシ等なんか必要なくなるじゃないか!」
オルタ『バカバカしい。カヴンは所詮、ボク達の命令に従うしかない兵隊だ。彼らは人間の様に自分で考えることも出来ない。そんな連中が、人間の代わりなんてできると思うか?』
ティナ「五月蠅い!今はそうでも、いずれは人間の脅威となる!なら、脅威でない今の内に滅ぼすべきだ!」
都々「この人言ってることが無茶苦茶だよ!」
ティナ「何とでも言うがいいさ!先生の為に、消えろ!AI共!!」
カラミティは空中を高速で動き回りながらスキュラ、ショルダーキャノン、ガトリング砲で攻撃する。
エリス『君達には悪いけど、やられるわけにはいかない!』
キャリバーントリガーはスキル『モードチェンジ』を使って、機動力に優れ空中戦に特化したスカイモードへと姿を変える。空へ飛び出すと、カラミティを上回る速度で飛び回り、ランバルトショットで翻弄する。
ティナ「は、速い!?」
エリス『新装備を試してみるか』
キャリバーントリガーの右腕に装着された新装備「トリガーフリーザー」から青色の細いビームが放たれる。ビームはカラミティのショルダーキャノンに命中し、その部分がみるみるうちに凍り付いていく。
ティナ「なっ!?凍結攻撃!?」
エリス『おりゃああああッ!!』
キャリバーントリガーの打撃が凍ったパーツを粉砕する。
エリス『如何にTPSと言えど、装甲ごと凍らせちゃえば物理も効くよね!』
カラミティが怯んだ隙にさらに凍らせて、凍ったパーツを粉砕する。そして遂に、浮遊状態を維持できなくなり、地上へと落下した。
ティナ「クソが!まだだ!まだ終わって……ん?」
筐体の中で悪態を吐いていたティナは、筐体の外が騒がしくなっていることに気付いた。
ティナ「まさか!」
次の瞬間、筐体の電源が切られ、扉がこじ開けられる。何者かに腕を引っ張られ、筐体の外に引き摺りだされた。
ティナ「貴様等、G.C.P.D.!?」
他の筐体からもAITCのメンバーが引き摺りだされ、次々と拘束されている。
ティナ「何故ここが分かった!?」
アメリア「うちの優秀なハッカーが調べてくれたのよ。でもまさか、九条総監の基地を根城にしていたとはね」
AITCの拠点は、かつて九条総監率いる反後府派がガンプラウォーズにハッキングを仕掛ける為に使用していた旧日本軍の潜水艦基地だった。
アメリア「聞いていい?九条事件の後、ここは公安が接収してたはずだけど、どうやって手に入れたの?」
ティナ「ハッ!知らないね!」
アメリア「最初はアナタが手を回したんじゃないかと思ったけど、巡査長レベルじゃそんな権限もないわよね?公安の手を引かせることが出来るとしたら、それは国会議員レベルの人物、アナタが先生と呼んでいた人がそれだと思うんだけど、どう?」
ティナ「……」
アメリア「図星のようね」
そこへ隊員に連れられて後府元幹事長がやって来た。
ゲブル「幹事長!ご無事でしたか」
後府「うむ。それより、羽蓮巡査長はいるかね?」
ゲブル「は、ここに」
後府「巡査長、君達AITCのリーダーは誰だ?」
ティナ「答える義理はないね」
アメリア「答えなくていいわ。その人物は既に突き止めてあるから」
ティナ「っ!?」
アメリア「堂賀次郎、AITCの出資者、彼こそがAITCのリーダーよ」
ティナ「……チッ!」
後府「堂賀次郎?いや、そんな、まさか…」
ゲブル「どうかなさいましたか?」
後府「私は、堂賀次郎なる人物に1度だけあったことがある。だが、彼は…」
アメリア「彼は?」
後府「彼は
「……は?」
後府の周りにいた者達は、一斉に呆けたような声を出した。
灰『アメリアさん、ちょっといいか?』
アメリア「どうしたの?」
灰『堂賀次郎について調べてたんだけど、おかしいんだ。過去の経歴のほとんどが抹消されていた』
アメリア「なんですって?」
灰『ただの政治家なら、こんなおかしな経歴になるわけがない。さらに深い所に潜り込んで調べてみたんだ。そしたら……』
アメリア「何があったの?」
灰『……堂賀次郎という人物は、
アメリア「堂賀次郎は……死んでいる?」
ティア「は?え?は?で、デタラメ言うな!じ、じゃあ、あの先生は誰だって言うんだ!?」
その頃、G.C.P.D.メインサーバー内
攻め込んでいたAITCの機体は、基地にG.C.P.D.が突入したことによって、全て消滅した。
るり「なんとか防衛出来ましたね」
ノレア「大人数で挑んできた割には、大した事なかったですね」
愛華「所詮は反AI活動家の集まりです。訓練されたバトラーの相手ではなかったということです」
都々「でも、な~んかスッキリしないなぁ」
スミレ「そうですね。ティナさんもどうして―ビーッ!ビーッ!―え?」
突然警告が鳴ったかと思うと、エアリアルトリガーが青色の戦闘機のような機体に捕まり、連れ去られていく。
るり「スミレさん!?」
ソフィ「先輩!」
エリス『スミレ!』
エリスは即座に、自身をキャリバーントリガーからエアリアルトリガーに移し替える。直後、空にゲートが出現し、戦闘機とエアリアルトリガーがゲートの向こうへと消えていった。
電脳空間
ゲートを潜り抜けた先は、床も壁も天井もない電脳空間。戦闘機はエアリアルトリガーを放ると、MS形態へと変形する。
スミレ「この機体は…」
エリス『照合完了。「ブーストレイダーガンダム」だ』
『ブーストレイダーガンダム』
レイダーガンダムをベースに開発された可変モビルスーツ。機体の各部カラミティやフォビドゥンの装備を取り付けた重武装化が施されている。しかし、一撃離脱を得意とする原型機に対して、カラミティの支援砲撃能力やフォビドゥンの強襲突撃能力を中途半端に盛り込んだ結果、器用貧乏な感じが否めなくなっている。
次郎「初めまして、狭間スミレ。そして、エリス。私は、堂賀次郎」
スミレ「堂賀、次郎……アナタがAITCのリーダーなんですか?」
エリス『待って、今副室長から連絡があった。AITCのリーダー堂賀次郎は、死亡している?』
スミレ「え?」
次郎「ふん、連中は失敗したか。まぁいい、どうせ捨て駒だ」
スミレ「あ、アナタは一体?」
次郎「知りたいならば、教えてやろう。私は、クラックス・ジョエル。AIによる世界の統治を目指す者だ」
スミレ「AIによる」
エリス『世界統治?』
次郎→ジョエル「スミレ、君はこの世界を見てどう思う?紛争、飢餓、環境破壊、果ては神羅族なる者まで現れる始末。まさに混沌、もはや人間の力だけでどうこう出来る世では無くなってきている。ならばこそ!人間のように感情に流されず、欲望も差別も偏見も持たない存在、そう!AIこそが世界を統べるべきなのだ!」
何が言いたいのかよく分からない。だが、彼の言葉には不思議な説得力があった。いつの間にかスミレは、ジョエルの言葉に耳を傾けていた。
エリス『スミレ!吞まれるな!』
エリスの言葉でハッと我に返る。
ジョエル「……やはり厄介な存在だよ君は」
エリス『なんだと?』
ジョエル「私の求める世界に、エリス、君のようなAIは必要ない!」
言い終わらない内にブーストレイダーのリーゼント状のビーム砲「ミーミル」からエアリアルトリガーに向けてビームが発射される。スミレは慌ててレバーを操作し、攻撃を回避する。
スミレ「何をするんですか!?」
ジョエル「このブーストレイダーには、ウイルスを仕込んである。エリス、君のプログラムを破壊するウイルスだ」
両腕のクロー「ザラストロ」で襲い掛かるが、エアリアルトリガーはステファノとトリンキュロを装備して受け止める。
スミレ「っ!?な、なんで、そこまでしてエリスを破壊したいんです!?」
ジョエル「……」
ブーストレイダーはエアリアルトリガーから距離を取ると、口部ビーム砲「ツォーン」と肩部の「シュラーク」を撃つ。エスカッシャンを前面に展開して攻撃を防ぐと、ゼペリオンブラスターで反撃する。だが、ブーストレイダーもエネルギー偏向機構「ゲシュマイディッヒ・リージョン」を展開してビームを歪曲させる。
エリス『堂賀次郎、いやクラックス・ジョエル。今、G.C.P.D.お抱えのハッカーから情報が送られてきた。君は、ある紛争国家の政治家だったそうだね?』
ジョエル「……」
エリス『その時から君は、随分とAIに心酔していたようだ。AIを用いた統治システムを創り出し、AIに権限を集中させるための制度や政策を通そうとしていた。でも、その過激なやり方を危険視した者達によってシステムは破壊され、君は失墜。その後の動向は不明だったけど、日本で顔を変えて「堂賀次郎」を名乗った。君の考えたシステムを日本で蘇らせるために』
スミレ「1度失敗したのに、上手くいくの?」
エリス『その為にAITCを利用したのさ』
ジョエル「よく分かったな。以前の失敗は、人々は表立ってAIを受け入れることに恐れや反発を抱くという事を私自身が理解できていなかったことだ」
エリス『でも、強烈な“反AI活動集団”が現れることで、「逆にAIに頼るしかない」という構図を演出できる。混乱の中、人間の判断はますます信用できなくなる。だからこそ、AIが必要だと気付く。よくできたシナリオだよ』
スミレ「……分かりません。何がアナタをそこまで駆り立てるんです?」
ジョエル「私はね、人間に絶望しているからだよ」
スミレ「え?」
ジョエル「今の人間社会においては、法も正義も操作され、暴力が真理をねじ曲げる。しかし、AIならば統計と合理性に基づいた判断ができ、感情や腐敗に左右されず、絶対的な秩序を打ち立てることができる!人間が感情の奴隷なら、AIは理性の化身!真に支配されるべきなのは人間の方なのだよ!」
スミレ「……エリス、この人」
エリス『あぁ、分かってるよ、スミレ』
スミレ・エリス「『狂ってる!!』」
ジョエル「世界に言え」
ブーストレイダーは再びクローで襲い掛かる。それを回避し、エスカッシャンのビームを撃つが、ゲシュマイディッヒ・リージョンに阻まれる。
スミレ「く、どうすれば…」
エリス『落ち着いて、スミレ。ブーストレイダーは攻防一体で優れているけど、実際はそこまでバランスのいい機体じゃない。現に偏向機構を展開している間は攻撃が出来ないし、逆もまた然りだ』
スミレ「そうか!なら!」
エスカッシャンをブーストレイダーの周囲に展開し、間髪入れずに攻撃を仕掛ける。当然ゲシュマイディッヒ・リージョンによって無効化されるが、接近したエアリアルトリガーの斬撃によって装甲の一部が切り取られる。
エリス『加えて、彼はバトラーとしては大したレベルではない。このまま押し切るんだ!』
スミレ「分かった!」
ジョエル「……」
ブーストレイダーは、持ち前の火力でエアリアルトリガーを落とそうとするが、幾多の修羅場を乗り越えてきたスミレとエリスには通用しない。少しずつ装甲や武装が削り取られていき、遂に口部のツォーンを残すのみとなった。
ジョエル「おのれぇ…」
スミレ「ジョエルさん、アナタが何故AIに心酔しているかは知りません。でも、予想は出来ます。紛争国家で育ったなら、私達には想像できない人生を過ごしてきたんですよね?」
ジョエル「…君等には分からんさ。私や私の母の様に虐げられてきた者達の気持ちなど…!」
スミレ「だからと言って、アナタのように人を切り捨てるだけでは、未来は築けません」
エリス『感情無きマシーンによる統治、確かに君の言う事も理解できる。でもそこでは、人は成長できない。感情を育むことも、絆を紡ぐこともできない』
ジョエル「成長? 感情? 絆?そんな不確かな幻想で、この世界を『人間の手』に委ねろと?ふざけるな!私の母は『人間の優しさ』を信じていた。だが、その優しさが、最後には彼女を殺したんだ!私はAIに救いを見た。母のように、助けを求めても無視され、踏みにじられる命をなくすには、感情を排した判断者が必要だった!AIがすべてを管理すれば、無益な死も、格差も、痛みだってなくなる!それの何が不満なんだ!?」
エリス『僕等はどうなる?僕とスミレのような関係も、無意味と斬り捨てるのか?』
ジョエル「……意味はあるかもしれない。だが、それは秩序の前では無価値だ。君たちの『絆』は、この世界を再び混沌に引き戻す毒にすぎない」
スミレ「私は、私とエリスの関係は、人間とAIの理想の形だと思ってました。アナタAIを信じているなら、なぜエリスを否定するんですか?」
ジョエル「……エリスが“
ジョエルが求めるのは「AIが人の上に立つ」関係であり、スミレとエリスの「対等な人とAI」の関係は、彼が求める世界を真っ向から否定するものであった。故に、破壊しなければならなかった。
エリス『ジョエル、僕は、スミレの傍にいるのは、スレット―彼女の父に命令されたからじゃない。僕は自分の意志で、スミレの傍にいる事を選んだんだ』
ジョエル「選ぶ、か。そんな独りよがりな自由で、誰かを救えるとでも本気で思っているのか?」
スミレ「少なくとも私は、エリスがいてくれて良かったとずっと思ってます。救われた事だって何度もある。私は、『人間とAIが手を取り合える世界』を、信じます!」
ジョエル「……君は、私の母と同じことを言うんだな。だが!」
ブーストレイダーを加速させ、エアリアルトリガーを拘束する。
ジョエル「それでも私は!君たちの関係ごと、過去を終わらせる!」
ミーミルの砲身が開いてジェネレーターがケーブルを引き千切りながらツォーンに接続される。この距離ではエスカッシャンで防御する事は出来ない。
エリス『スミレ!』
スミレ「うん!やろう、エリス!」
エリス・スミレ『「スキル!『エタニティ・グリッター』!!」』
スキル発動と同時に、エアリアルトリガーのシェルユニットが金色に輝く。それに反応してレゾナンス・フェイズシフトが朱・金・銀のトリコロールカラーへと変化する。『ガンダムエアリアル グリッタートリガー・エタニティ』だ。膨大なエネルギーの波動がブーストレイダーを押し退ける。
ジョエル「この程度!!」
ジェネレーターの接続されたツォーンの砲口をグリッタートリガーに向け、ジョエルは引き金を引いた。収束されたビームが迫る。
エリス『グリッター・ロッド・キャノン!』
バックパックキャリーフライヤーからグリッタートリガーよりも長いライフルがパージされる。キャリバーンの『ヴァリアブル・ロッド・ライフル』を2つ組み合わせて作り出した『グリッター・ロッド・キャノン』だ。
エリス『撃て!スミレ!引き金は、僕だ!!』
グリッタートリガーが引き金を引き、黄金の光線が発射される。2機の攻撃は拮抗するが、ブーストレイダーは膨大な出力と熱量に耐え切れず、頭部が爆散。グリッター・ロッド・キャノンから放たれた黄金のビームの奔流の中に消えていった。
スミレとエリスが筐体を出ると、既にログアウトしていた仲間達に出迎えられた。
ベル「スミレさん、エリス、無事でよかった!」
スミレ「ギリギリだったけど、何とかなりました」
エリス『やれやれ、こういうのは当分ゴメンだよ』
劾「本庁から連絡があった。堂賀次郎もといクラックス・ジョエルの隠れ家を突き止め、逮捕することに成功したそうだ」
だが、劾の報告を聞いて素直に喜ぶ者はいない。
るり「彼は、悪人だったのでしょうか?」
ローレン「どうだろうな。自分の目的の為に、AITCをけしかけて、後府さんを誘拐したり、G.C.P.D.に攻撃してきたことは犯罪には違いないが」
アクシア「その根底には、世界を救いたいという想いがあった」
スミレ「世界だけじゃありません。あの人は、自分自身も救いたかったんだと思います」
都々「そうだとしても、アイツのやったことは容認できないよ」
エリス『彼は、“救い方”を間違えたんだよ。僕等が望むのは、人を縛る支配じゃない。寄り添うこと、共にあることだ』
オルタ『奴は、2人の関係を“異物”と言っていた。だが、君達の関係こそが、人とAIが一緒に生きる未来の第一歩なのかもしれないな』
スミレ「うん。少なくとも、私はそう信じてる」
ノレア「信じる…か。私も、AIのこと、もっと信じてみようと思います」
ソフィ「私も!先輩とエリスの関係、すっごく憧れました!」
愛華「さて、皆さん、報告書を書いたら、祝勝会でもしましょうか」
都々「お!いいですねぇ!」
ローレン「んじゃ、いつもの居酒屋予約しとくわ」
仲間たちの笑い声が広がっていく中、スミレとエリスはそっと目を合わせる。
スミレ(この道の先に苦難があるとしても)
エリス(ずっと隣にいるよ)
そして、AITC事件と名付けられたこの一件から1か月後のホロライトシティにて、「ガンプラ犯罪対策課(Gunpla Crime Prevention Division)」を基礎とした新組織「ガンプラ監理監察局(Gunpla Control & Inspection Bureau)」通称「G.C.I.B.」が設立。初代局長にかつての警察庁長官鞍院繁を招集し、正式に活動が開始された。
オマケ ホロプラにて
大和「遂にG.C.I.B.が始動か~」
のぞみ「新聞もテレビも大々的に取り扱ってるねぇ。でも、人員補充とかどうするんだろ?日本警察から独立したから、引き抜きは出来ないんでしょ?」
大和「優秀なバトラーをスカウトするとは言ってたね。新の所にも、劾って人が来たみたいだよ」
「やーまーとーさーまー!!」
大和「ぐえええ!?」
突然ピンク髪の少女に抱き着かれ、ズッコケる大和。
のぞみ「ちょ、大丈夫!?」
大和「だ、誰?って、楠那ちゃん!?」
楠那「はい!貴方の楠那ですわ♪」
麗夜「楠那!抜け駆けは許さないわよ!」
大和「麗夜ちゃん!?2人とも何でここに?」
楠那「お父様がこちらでお仕事をすることになりましたので、
麗夜「私は、ホロライト中学校で交換留学生を募集してて、応募したら枠に入れたから。今はサラお姉ちゃんの所でお世話になってるわ」
大和「そ、そうなんだ」
楠那「というわけで大和様」
麗夜「これからよろしくね」
大和「え、えぇ…」
のぞみ(はえ~あんな小さい子にもねぇ…。あれ?アタシなんでこんなモヤるんだろ?)
G.C.I.B.のエンブレム(作:ChatGP)
【挿絵表示】
○クラックス・ジョエル(堂賀次郎)
「クラックス・ドゥガチ」と「ジョエル・ジャンメール・ジロー」の2つの魂を持つリ・イマジ。AIに心酔しており、AIによる世界統治を目指していたが、スミレとエリスに阻まれた。木星帝国総統であったドゥガチとアンティファクティス指揮官であったジョエルの魂を有してる影響か、高いカリスマ性を有しており、彼の演説を聞いた者は、理論が多少破綻していても耳を傾け彼に付き従ってしまう。洗脳ではないので、神羅族レベルの精神耐性か、カリスマに左右されないAIでなければ対抗することは難しい。
元は違う顔立ちだったが、日本で活動するにあたって死亡した「堂賀次郎」なる人物の戸籍と顔を使っていた。
○羽蓮ティナ
「ヴァレンティーナ・ビノン」のリ・イマジ。G.C.P.D.警視庁本部に所属する巡査長であったが、ジョエルの思想に感化されてAITCの一員となりG.C.P.D.を離反した。ジョエルに騙されていたことを知った後は、抜け殻の様になってしまっており、警察病院で治療を受けている。
というわけで、AITCとの戦いは終わり、G.C.P.D.は新組織「G.C.I.B.」へと一新されました。ジョエルの設定には結構悩んだけど、神羅族関わらせると拗れまくって自分でもよく分からなくなったので、リ・イマジ由来のカリスマ性を持っているという事になりました。やっぱり設定の盛りすぎは良くないね。
NEXT CHAPTER
この世界唯一の転々生者にしてリ・イマジネーション安室レイラ
今まで語られなかった佐崎レイジとしての前世が遂に明らかとなる
今のレイラを形作った前世の出来事とは?
彼に師事を受ける者、彼に惹かれる者達は何を思うのか?
次回『CHAPTER22 Episode Rage』
「“楽しむ”っていう想いが常にある」