あの人について、ですか?恩人です。ここで働いてた時はたまに何でも屋みたいなことをしてました。それ以外は何も知らないです。だって何も教えてくれませんでしたから。秘密主義と言えば良いんでしょうか。ああ、けどあの人は私を一人の人間として接してくれていましたね。子を授かって分かったんです。あれは子供を見る目でも、憐れみの目でもありませんでした。私を他と何ら変わらない人間として見てくれていました。え?好きだったかって?ふふっ、ありえないです。何でって、あの人この店名を考えたんですよ?そんな変人ですから。
フェダル伯爵領 幻異亭女将エルネア
ハグッハグッゴクッムグッ
「やっと終わった……」
ズルズルバクッズー
「何でこんなことに……」
ボリボリゴクッハグッズル
はい、シュベア山脈の頂でパーティーする転生者、森田です。
いやマジで暇だった。だって何度も探索探索探索探索。しかも手がかり無し。西へ東へ南へ北へ。ここにたどり着くまで軽く一週間はかかったぞ。流石にあり得ない。あの貴族のクソジジイ殺してやろうかな。そんなガラクタ家宝にすんなよカス。奪われんなよゴミが。
自分がそこまで被害を食らった訳でもないのにここまで悪態が出てくるのだ。それほど面倒な依頼だったというのを理解しておいてもらいたい。
実際俺も少しばかり手助けしてしまった。しかしそれでもこの依頼は受けて貰わなければいけなかった。この世界の運命を、作品を変えたくないから。身勝手だが、それでもやるべきだと思っただけだ。
さて、そんな訳で剣の魔物は倒し、あとは戻ってまた旅を続けるだけだ。
ん?ああ、これだけだよ。少し面白くなかったかな。でも仕方ない。それしかないんだから。あ、そういえば魔物達の様子がおかしい。何やらそわそわしてるというか、凶暴性が増したというか。とにかくいつもと違う。まるで何かに急かされているようだった。まあこういうのは時々あるもんだ。理由は分からないけどな。
次はエトヴァス山の秘湯かな。いやーこの寒さをさっさと解消したいよ。……………もう時間が無いなあ
***
「ホントに労力に見合わねえなあ………」
という訳でエトヴァス山の足湯到着!森田です。
いや、初めて来たけど想像以上だわ。道中のモンスターが面倒すぎる。俺でも行きたくないと思うレベルだったよ。北部高原みたいに命の危機っていう感じじゃないんだ。モンスターの多さ、その配置とモンスター自体の知能。全てが嫌がらせかと思う程に面倒な道のりだった。
ゲームとかでもよくあるだろ?クリアはしやすいけど時間がとにかくかかるステージ。そんな感じのやつだった。結論だるい。結局この一言に全てが詰まってるね。
そんなこんなでみんな結構疲労困憊。ヒンメルの顔にも疲れが滲んでいた。近くの町に温泉がある筈だし、しっかりと休んで欲しいな。少なくとも北部高原前までには疲れを抜いておかなきゃいけないからね。
北部高原の難易度は相当だ。今の彼らでは運が悪ければ死ぬだろう。それだけヤバい場所なのだ。
そしてそれは当たり前になっていく。何れ慣れる訳だ。人間っておかしいね。
北部高原を越えれば更に戦いは激化する。特に北はレベルが違うからね。今回はその前哨戦とも言えるかもしれない。いつか果てしない死闘、極限の戦いに直面することになる。
彼らは勝てるだろうか?俺のせいで何かが変わってしまったらと思うと、どうしても不安になる。いや、やるしかないのだ。もう腹は括るしかない。彼らもそれを承知でこの道を進んでいるんだ。今までどれだけの命を踏みにじってきたのかという話だ。その程度の予想外、全てはね除けるのだろう。
何故なら彼は勇者ヒンメルなんだから。
***
辺り一帯に広がる混沌とした気配。幾つもの生物が生息し、食らい合う場所。その生存競争を生き抜き、ヒエラルキーの頂点に立つことで明日がある。正しく弱肉強食の世界であり、剥き出しの野生がそこには存在していた。
とまあ長々と偉そうなナレーションをした訳だけど、もう俺はここを離れるんだよね。
という訳で、祝ストーカー脱却!森田です。
今まで散々語ってきた事態が遂に来たらしいのだ。らしいってのはまだ自分の目で確認できていないからだ。けどこの魔力反応はヤバい。
俺は大陸の半分くらいなら魔力探知が可能だ。勿論色々な工夫が必要だが。そしてそんな工夫凝らしてみたところ、これまで感じたことの無い程のデカイ魔力反応があった。
確実に人類が滅びる。勇者一行じゃ敵わない。明らかにゼーリエ案件。そういう類いの物だった。
俺はギリギリまで待った。彼らを見ていたいから。そして俺が対処出来そうなギリギリ、それが今だった。
一番最初に感知した時でさえ思ったのだ。死ぬのは確定だと。どうしても死ぬ。それが分かってしまった。けど死ぬとしても治癒不可能なレベルの傷を負うだけ。それからどれだけ戦い続けられるかを考慮した場合ここまで粘れたのだ。
そして今から俺はその死地へ赴く。分かっていた。分かっていたことだった。
『あなたは近い内に死ぬ。魔物の手によって』
あの時から覚悟はしていた。そして今、その覚悟が試されようとしている。
だけどさ、行かないなんて選択肢は無くて、俺にはもう答えは一つだけだった。
南の勇者の戦い、ヒンメルの魔王討伐、後の時代の魔法使い。俺には負けられない理由があった。
世界を救うこと。それが俺の命で叶うならとても安いものだ。けどそれ以上に、後の時代にヒンメルが残したもの、その美しさが分かるからこそ俺に止まることは出来なかった。
最早深夜に差し掛かるかという時間。何故か今日はヒンメルだけが一人で起きていた。
静謐が流れる。しかし俺はこんな時間も嫌いじゃなかった。最後は彼らの顔を見たかったが、それは高望みかな。彼らと一緒に居れたこと。それこそが俺の人生への報酬のように感じた。
青い髪が火に照らされて靡いている。月の光が差し込み、辺りは神秘的な雰囲気を纏っていた。
この光景もこれで最後だ。勇者ヒンメル。それは正しく勇者だった。そのあり方は確かな救世主だ。人を救い、世界を救い、平和にする。この人にならそれができるのだと思ってしまった。
惜しむらくはその先をこの目で見れなかったことだが、まあ仕方ないことだ。
時間だ。もう行こう。グズグズしてたら手遅れになるかもしれない。
「もう行くのかい?」
ハスキーな声が響き俺の足を止める。その響きは何処から発せられのだろうか。振り返ればその透き通るような虹彩が、確かに俺を貫いていた。
「マジかよ…」
未来への精算が始まる。
次回フリーレン編最終話です。
次の次の世界(東方は何れ絶対にやるので除外)
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