世界最古の魔法使い【一章完結】   作:I'mあいむ

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この時代ももう少しで終わらせたいですねー。ギャグ要素が少なくなってきたな。あれ、おかしいな?


旅に出て見よう!

ギンッと金属同士のぶつかる音が響く。

力任せに振るってはいけない。絶対に間違えてはならない。そんな緊張感の中、俺は武器を構えていた。

 

という訳でリアスと修行中の森田です。いやこいつ強すぎやろ。何で武器で衝撃波生まれてんだよ。頭可笑しいんちゃうん?

 

「クソっ!化け物が!」

 

「いやそれはあんたの方だろ。この前のあんたと俺、どっちが化け物だと」

 

「そっちやろがい!」

 

「頭おかしいのかあんた!?」

 

近接戦闘が弱いのが浮き彫りになったからリアスに稽古を付けてもらってる訳だ。いやあ人に何かを教えて貰うなんて前世ぶりだからな。ちょっと感慨深「うおっ!」

 

くっそ!強すぎる!相手の猛攻が凄すぎて守りに徹するしかねえ。さっきからギリギリだ。何度も負けそうになってる。

 

「そもそもっ!何でっ!衝撃波が出るんだよっ!」

 

「うーんと…根性!」

 

「ふざけんなああああ!!」

 

何だよ根性根性って!戦士ってのはそれしかねえのか!?

こっちは数百年前から筋トレしてモンスター相手に戦ってきたのに、結局才能か?才能なのか?

 

「甘いっ!」

 

「ぐえっ!」

 

やられてしまった。やっぱり近接戦闘が俺はおざなりだ。魔法の方が期間が長いんだからそりゃそうなるんだが。

元々この身に才は無し。というか前世が圧倒的に無かったのだ。いやあったのかもしれないがそれを体型が邪魔していた。つまりデブ。普通に太ってたのだ。今のこの筋肉からは考えられないね。

そしてその身体の状態を基礎として身体を動かすのが身に染み付いてしまっている。今世の身体の才能は発揮出来ないし元々無いのかもしれないし。

 

そもそもの話にもなるのだが、俺はこの身体の才能を生かせていない。前世の頭の使い方やら体の動かし方に引っ張られて何も生かせていないのだ。

 

勿論前世の知識によって上手くいってる部分もある。ファンタジーとかに触れてきたからそれなりに良い魔法も生み出せた。けど純粋な才能は全くいかせていないのでは?単純なスペックの問題で頭の回転とか筋肉の付きやすさとかは上がってるけども。

 

結局発想とか、感覚的な何かを掴む行いが上手く出来ない。

俺は他の人の数十倍の努力で何かを手に入れる必要があったりするのだ。一つの魔法を解読し覚えるのに速くて数ヶ月、遅くて数十年。新しく生み出すなら大体100年ぐらいかかる。それをふまえて考えると俺は大体一億年程生きたのかもしれない。

 

ジジイどころじゃねえな俺。ていうか流石にないだろ。流石に。

 

でもまあそうして積み上げて来たからここまで強くなれたのだ。近接は未だ数百年。筋トレはもう少し昔からだけど、まあこんなもんなのかもしれない。

 

「どうやったらそんな強くなるん……?」

 

「知らねえよ。俺もいつの間にか出来るようになってたんだ。ひたすらにやるしか無いんじゃないか?」

 

「リアスさん、俺はね、努力ってのが嫌いなんですよ。才能を持ってる野郎が嫌いなんですよ。努力が出来るかどうかも結局そうなってしまうのは余り好きじゃない。まあそれを覆すような英雄には俺はなれないんですけどね」

 

「ただのダメ野郎じゃねえか…」

 

そう、元々俺の性根は腐ってる。誰かに嫉妬し、自信の才や運の無さに絶望する、情けなく傲慢で矮小な一個人だ。

この世界じゃ生きる為に必要だったから鍛えたし、異世界で俺は好き勝手出来たからここまで来たのだ。本来はやらなかっただろう。

フリーレンと会いたいってのも大きいな。漫画を何回か見返すくらいには好きだった。

 

けど遠いなあ。あと千年かあ。あーでももうフリーレンとゼーリエは会ってるだろうから950年くらい?長えー。それ迄に何をしてろって言うんだ。旅だってそんな長くは続けたく無いような気もする。

 

「リアスさん」

 

「なんだ?」

 

「もし、フリーレンっていうエルフと会ったら教えて下さい」

 

「知り合いか?」

 

「魔王を倒す魔法使いです」

 

「はっ、面白い冗談だな」

 

「でしょ?」

 

***

 

「そう、遂に行くのね」

 

「ええ、本当にお世話になりました。と言ってももう少し先の話ですが」

 

俺は女将さんにここを発つ旨を伝えていた。

 

「それはそうだけどねえ。……あなたが来てもう十数年経つけど、何も変わらないのね」

 

「エルフですから」

 

当時の女将さんはまだ若く、何も知らない少女だった。二十歳にも満たないというのに、親が先立ち、その失意も冷めやらぬまま受け継いだ宿の切り盛りを行っていた。

 

そんな時に現れたのが俺。当時金を稼ぐ手段を探していた俺はここの事情を知り、頼み込んで働くのを許可して貰った。

彼女としても計算やら料理やらを出来る人間が欲しかったから渡りに船だったのだろう。

 

「それにしては人間過ぎるわよ。最初から最後まで謎だったわねあなた」

 

今では彼女も立派な大人。まあ未だに二十代で店を切り盛りするには若すぎるくらいなんだが。

 

「ええまあ。でも謎を聞きたい訳でも無いでしょう?退屈なだけですから。………常識を知らない浮浪者を働かせて頂いた恩は一生忘れません」

 

「そうね。いつかまた会いに来て」

 

「十年以内には必ず。女将さんもさっさと男を捕まえて下さいね。気になってるんでしょう?あの薬屋の子」

 

死ぬ前には必ず戻って来たいからね。知らない間に知り合いが死んだとか最悪だし。

 

「………本当に何でもお見通しね。別にあなたでも良いのよ?」

 

「冗談は止してくださいよ。僕の顔見たことあるでしょうに……」

 

こんなに年が離れてるんだ。それに、知り合いの子孫に手を出すとかあり得ないだろ。前世のあいつらとの約束もあるからな。

 

「ふふっ、そうね。その反応も十年前から変わらないわね。確かに警備に突き出さなかったのは自分でも驚きだわ」

 

「でしょう?まああの頃の女将さんにこの顔を見せたのはほんとに申し訳ないですけど」

 

俺だったら問答無用で突き出してるな。正味化け物でしかないからな俺。

 

「なら申し訳ないついでに聞いて良いかしら?」

 

「どうぞ」

 

「あなたは何であの時私に手を差しのべたの?経営困難に陥ってた宿に、何も出来ない小娘だった私に、あなたは何故か着いてきてくれた」

 

 

「別に手を差しのべた訳じゃありません。金が欲しかっただけです」

 

「本当に?ご先祖様は関係ないの?」

 

確かに彼女の祖先とは知り合いだった。しかし別に仲が良い訳じゃなかった。ちょっと会って話す機会が数回あっただけ。それも全部成りゆきで基本的には話さないような関係だ。

 

「……ええ、何も関係はないです。全くどうやって知ったんですかそれ」

 

「昔の日記に書いてあった」

 

「なるほど、まだ残ってたんですねそれ」

 

彼女の書いていた日記。一度だけちらっと聞いたことがある。最近日記を書いていると。お前のことも書いてやると。そんなことを言っていた。何でまだ残ってんのかは知らんけど。

 

「うん、世界を救ったのにいつの間にか居なくなってたって。何でそんなことしたの?」

 

「別に言う必要が無かったですから。数回しか会ってない人に別れを言う必要は無いでしょう」

 

「それはそうだけど」

 

「世界を救うのなんて簡単です。その最後に何があろうとも、救うことは出来ます。人一人救うことの方が何十倍も難しいですよ。だから別れなんていらなかった。ちょっと話をしただけですから」

 

「こんな宿の店員が英雄だなんて誰も思わないでしょうね」

 

「知らなくて良いんですよそんなこと。世界が平和になった訳でもなし。何か大層なことをした訳じゃないんですから」

 

「変わってるのも相変わらずね」

 

「ええ、本当に。恥ずかしい限りです」

 

***

 

それなりの準備をして、それなりに金を稼いで、そうしてまた季節は巡ってきた。

 

ぼちぼち別れの挨拶も済ませ、後は出発するだけ。この町では本当にお世話になった。色々な人と話して文化を知り、営みを見て自分がどうあるべきか、どうであったかを思い出させて貰った。

 

人と関わる機会が少なくなっていた俺は少しだけ自身のあり方を見失っていた。会話の楽しさを忘れていた。一定の場所に居着くのもここで一旦終了。これからは旅のターンだ。

 

「行くんだな?」

 

「ええ、そろそろ」

 

最後の準備をしていたところリアスが来た。女将さんも一緒らしい。

 

「最後だから聞くけど、何でいつも仮面してたんだ?」

 

「ほいっ」

 

「えっ、は?、ちょっと待て何だそれ!?」

 

幻の魔法を解き本来の自分の顔を見せる。自信の無い、不細工な顔だ。あっちでもこの顔は不評だったよ。

 

「分かりました?こんな顔で彷徨くと色々面倒なんです。魔物として扱われてしまいますから。仕事中に他の事に気を配るのも面倒ですしね」

 

「そういうことだったのかよ……」

 

「私は知ってたけど……。仕方ないわよそんな顔じゃ」

 

「あなた方美男美女には一生分からんでしょうね!」

 

「そんなに言わなくても…」

 

転生特典一つもない癖してこんなところは律儀なんだから、異世界ライフとしては最低な方だな全く。

 

「これから何処へ行くんだ?」

 

「北部高原を越えて中央の方へ」

 

「統一帝国の方に行くのか……。心配無いとは思うが気をつけてな」

 

「ええ、女将さんとリアスさんもお気をつけて。後これどうぞ」

 

「これは……」

 

「手形の束と……何かの飾り?」

 

この日の為に用意しておいた物だ。折角出来た知り合いだ。餞別くらい用意しとかないとね。

 

「そっちの手紙は名前を書いて念じればその人の所に届けることが出来ます。結婚式とかあったら僕も呼んで下さいね」

 

「なるほど。ならこっちのは」

 

「魔除け、のような物です。大抵の魔物はそれで寄ってこなくなりますから」

 

「便利過ぎるわねこれ……いくらかかったの?」

 

「自前ですから。しっかり無料です」

 

二人が明らかに顔をしかめた。そんな化け物を見るような目をしないでくれよ。

 

「何でも出来すぎだろ……」

 

「出来ないこともありますよ。生きてる長さが違うだけです」

 

「本当に、あなたって何時から生きてるのよ」

 

「僕も覚えてませんよそんなの。どうでも良いことです」

 

「まあ、ありがとな。上手く使わせて貰うよ」

 

うん、二人とも喜んでくれてはいるみたいだな。人のプレゼントとか考えたこともないからな。ちょっと緊張してたんだ。

 

「じゃあ、僕はもう行きますね。また何年後かに帰って来ますんで」

 

「ええ、またいつかね」

 

「俺らが死ぬ前には来いよ」

 

「その前には手紙をお願いします。それじゃ、さようなら」

 

 

これから何をしようか。

 

この世界のどうでも良い部分を見ていこう。紡がれない部分を記録していこう。

 

ヒロインすら居ないモブの異世界ライフだ。俺にとっては好都合。

 

「取り敢えず、楽しんでいこう」

 

こんなにも綺麗な世界で自由なんだからな。

 

***

 

 

「行っちゃったわね」

 

「そっすね。行っちゃいました」

 

ずっと分からないままだった。自分のことなんて何も話してくれなかったが、まあそれなりに信用はしてくれていたんだな。こんなのをくれるくらいだしな。

 

「エルネアさん……」

 

隣の良く知る顔は泣いていてた。そりゃそうだ。彼女は俺なんかよりも長くあいつと一緒に居たんだろうから。

 

「ずっと居ると思ってたのよ。いきなりに現れて、こんなに長い間付いてきてくれたのに……今さら行かなくても良いじゃない……」

 

「行きましょうエルネアさん。あいつの話聞かせて下さいよ。俺は何も知らないんで」

 

「リアス君………そうね。ええ、こんな所で泣いてたらまたあの人が来ちゃうわよ」

 

少しだけ治まったようだ。様子を見てみればいつもの笑顔が戻ってきていた。

 

何者だったのか、何をしていたのか、何が目的だったのか、全く分からない奴だった。けどまあ悪い奴ではないんだろうな。

 

「次はいつ来るんでしょうね」

 

「そんなの、分かるわけないわ。誰も彼のことを知らないんだから」

 

「エルネアさんもなんですか?」

 

「ええ、家も、何処から来たのかも、何をしに来たのかも。まあ昔何をしたのかだけは知ってるわ」

 

なるほど。エルネアさんも知ってることは少ないらしい。本当に謎だなあいつ。

 

「え、何すかそれ」

 

「うーん、これは秘密かな」

 

「まじっすか。でもエルネアさんも知らないなんて。あいつ本当に胡散臭いですね」

 

「ええ、最初っから胡散臭くて、怪しくて、謎で、変な人だったわ」

 

いつの間にか隣には満面の笑みが咲いていた。

 

 




誤字報告や感想ありがとうございます!
因みにこの作品恋愛とか想いが重い(激寒ギャグ)が無いです。そこのところお願いします。

次の次の世界(東方は何れ絶対にやるので除外)

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