マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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遅くなり申し訳ございません。
私の書き方の問題なのか。セリフだけはもう既に出来ていて、その他の文章表現に手間取りました。

不定期ペースですが

読んでくださると嬉しいです。


第10話 『いざ札幌へ』

 

 

⬜︎市役所職員出入り口⬜︎

 

朝の6:30。

天城と愛宕屋は入り口でばったりと会う。

 

「おはようございます市長、いつもより少し早いですね」

 

「色々とやることがあってね」

 

忙しい事に少し疲れを感じつつ、仕方がないと乾いた笑いを交えて応える天城は、すぐに真剣な表情を作る。

 

「報告はまとまってるかい?」

 

それに呼応する様に愛宕屋も表情を引き締め、荷物から液晶端末を天城に手渡す。

 

「はい、こちらをどうぞ」

 

ざっと目を通す天城。

それにはケンゴがこの地に辿り着いた際のポイントがわかりやすくまとめられていた。

・森林で土の採取をしていた

・突然白い大きな犬と出会う

・鳥居が突然現れる

・犬に蹴られて鳥居を潜った

・潜った先がここだった

 

報告書はその後の状況や補足説明も続いていたが、天城が1番気になった事は感知しない建造物と場所に対する情報だった。

 

「鳥居…周辺に神社なんかあったかな…」

 

「1番近い神社でも、ケンゴくんの証言された場所から数十km離れてます、残念ながら心当たりになるものはないかと…」

 

歩みながら端末を見ていた天城はピタッと立ち止まる。

 

「愛宕屋くん…」

 

愛宕屋には緊張が走った。

市長は自分には気付けなかった何かが見えたのか?

その期待も込めて真剣に見つめる愛宕屋。

 

「ケンゴくんって…いつの間にそんなに仲良くなったの!?」

 

「……」

 

「なんでそんな冷めた目で見るの!?」

 

何も語らない愛宕屋であった。

 

 

⬜︎市役所内エレベーター前⬜︎

 

1階エントランス近くにあるエレベーターには早朝にも関わらず、職員が多かった。

その列を見ながら、エントランス前に設置されてる来客用のソファに腰掛け、いつものリュックを抱えていたケンゴ。

 

その姿が見えた愛宕屋と天城は、何かを話しながら彼へと近づいて行く。

 

「あ!おはようございます!」

 

それに気づいたケンゴは笑顔で挨拶をする。

 

「おはようございますケンゴくん」

 

さも当然の様にケンゴくんと呼ぶ愛宕屋に対して何か恨めしそうに睨む市長の天城。

それに対し一切の無視を決め込む愛宕屋だった。

 

「これから札幌に行くのかい?」

 

気を取り直しケンゴと会話を始める天城。

 

「はい!なんですけど…ミントリガーが少し待っててって言うので、ここで待機してました」

 

「あぁ…そういえば、昨夜ゲートの使用許可申請、車道側だったね」

 

「そうですね、多分アレで行くんでしょう」

 

「車道側?」

 

待たされているケンゴの疑問に対し、2人は察しがついているらしく。顔を見合わせて何かを確認していた。

説明に入る愛宕屋。

 

「ゲートには一般用と車道用とがあるんですよ。一般用は職員のIDパスを使えば入れますが、車道用を使うには車両登録申請と車道使用申請が必要なんですよ」

 

「へー」と感心するケンゴの、耳にエンジン音が聞こえてくる。

 

「早速来たらしいね、外に行って駐車場側に向かうと良いよ。行ってらっしゃいケンゴくん、気をつけてね」

 

「あ!はい!行ってきます!」

 

ケンゴを外に出る様に促した天城。

足早に出ていくケンゴを見守る2人だった。

 

「市長、今さりげなく“ケンゴくん”って」

 

にやにやしながら天城を見る愛宕屋。

 

「さぁ、今日も笑顔で明るく元気よくだよ!みんなおはよう!」

 

その場にいる職員全員に大きな声で挨拶をする天城をみて、失笑を禁じ得ない愛宕屋だった。

 

 

⬜︎市役所-駐車場-⬜︎

 

市長に言われた通りに駐車場へときたケンゴは。

 

「ミントリガー?どこだろ?」

 

エンジン音が鳴る。

その方向から、瑠璃色のオートバイに跨ったミントリガーが現れる。

 

「よう、お待たせ」

 

そう言ってケンゴにヘルメットを手渡すミントリガー。

 

「え?オートバイ?」

 

戸惑うケンゴにミントリガーが構わず促す。

 

「ヘルメットにはインカムがついてる、走行中も会話できる様になってるから。とりあえず後ろに乗ってくれ、一緒に走ろう」

 

 

◇数分後◇

 

2人乗りで平原にある車道を走るミントリガーとケンゴ。

のどかで、遠くには山が見える豊かな土地の道路で風を受けながら、2人は語り合っていた。

 

〈まさかミントリガーにこんな趣味があるとは〉

 

インカムで通話をしながらミントリガーの後ろにしがみつくケンゴ。

 

〈意外だったか?〉

 

〈そうだね、意外だったかも。勝手だけど飛び回ってるイメージだったから〉

 

ふふふと笑うミントリガー、ゆっくりと語り出した。

 

〈ヒーロー活動して間もない頃だ。開発部に装備を任せに行ったら、整備室にこいつが転がっててな。聞けば昔市長が乗ってた物らしくて、整備し直す予定だったらしいんだけど。その時の俺は随分興味を持ってたんだろうな、そうこうしてたら市長の厚意で譲り受けたんだ。色々整備が必要だったけど、2人でじっくりパーツ揃えたりやってたら、楽しくなってさ。〉

 

〈市長さんも乗るの!?〉

 

ケンゴのリアクションに噴き出すミントリガー。

 

〈そうだな、結構あの人も乗り回してたよ。その時は俺は人間社会のことよく分かってなかったけど、今ならわかるよ。イメージないよな?〉

 

インカム越しでもわかる様に、お互い笑い合う。

ミントリガーは続けて語る。

 

〈もちろん飛ぶのは好きだよ、大空は開放感があるし、俺のアイデンティティみたいなもんだ。正直目的地に行くなら、俺は飛んだほうが速いともわかってる。だけど…不便かもしれないけど…それも人の身体を得たからこそ知り得た真実だ。それもこれも大事な事だし、なによりもさ〉

 

広大で広い平原の先を抜け、検問所の様な場所に着き、ゆっくりスピードを落として、オートバイを止めるミントリガーは。

後ろのケンゴに肩越しで見ながら言う。

 

〈同じくらい、こいつで感じる風が好きなんだ〉

 

〈そっか、なんか良いね、そういうの〉

 

2人は一度目を見合わせ、そのすぐ後、管理者によりゲートを開けて誘導される。エンジン音を鳴らし、再び走り出す。

 

地下道へのトンネルへ入り、抜けた先は。とんでもなく広く天井の高い空間だった。そしてその中心と言っても良い場所には、車両用の大きな転移ゲートが見える。

 

他にも、何か大きな資材運搬用の車両や、イベント企業の車両、職員の車両など。

果ては風車を設置する予定なのか、大型トラックに横たわっている風車が見られる。

 

〈風車って…ああやって運ぶんだね〉

 

それを物珍しそうに見るケンゴに対し、ミントリガーがインカムで話す。

 

〈風力発電用だろうな。以前までは人間と小型車両だけだったんだけど。大型が運用できる様になったのも、だいたい5年くらいかな?〉

 

〈そうなの?〉

 

〈そもそも、このゲート自体出自が謎でさ。なんであるのかわかんないままなんとなく使ってたんだけど。10年くらい前かな?市長の計らいで分析班が設立されて、彼らが解析した結果、地球じゃない異星のオーバーテクノロジーだって事が判明したんだよ〉

 

〈え!?なんかさらっと凄い事言ってない!?〉

 

〈そうだよな、俺も聞かされて驚いたよ。さて…そろそろゲート潜るぞ〉

 

ゲートは青白い光を発しながらゆらめいている、所謂壁の様な面が広い範囲で展開されている。

ケンゴは初めて見た時、どこかで見知った物の様に感じていた。

そして直様気付く。

 

〈僕が潜ってきた鳥居も、こんな光を発してた気がする…けど…なんか違う〉

 

違和感の正体に、すぐに気づいたケンゴは驚愕した。

 

〈そっか!この感覚!エタニティコアに似てるんだ!〉

 

【エタニティ・コア】

宇宙開闢と同等のエネルギーを秘めるとされる、地球の超古代文明の秘密にかかわる謎の物体。

膨大なエネルギーを有するそれは、宇宙を創り変える事も出来ると言われている。

ケンゴの世界では、このエタニティ・コアを中心とした、熾烈な争いが繰り広げられていた。

かく言うケンゴは、この謎の物体の欠片を所持しており、彼はこの力をコントロール出来る様になっていた。

 

2人はゲートを潜り、一瞬にして通り抜ける。

ミントリガーは速度を少し緩めながら、走行は続けてケンゴに先刻の発言について尋ねる。

 

〈それ本当か?もし本当なら…なんかの手がかりがそこにあるかもな…後で愛宕屋さんに連絡入れておいてくれ〉

 

驚きを隠せなかったミントリガーは、若干上擦った声で返したが、ケンゴに共有を促していた。

 

〈そうだね!わかった!ありがとう!〉

 

元気よく返事するケンゴ。

 

〈さて、それじゃあ地上に出るぞ〉

 

速度を上げるミントリガー。

地上の光が差し込むトンネルの出口に向かう。

 

 

⬜︎札幌某所⬜︎

 

ゲート近くにある駐車場にバイクを停めた2人に近づく人物がいた。

 

「おはようございます!ミントリガーさんとマナカ・ケンゴさんですよね!」

 

元気良く声をかけてきたのは、パンツスタイルのスーツ姿に、一際目立つ金髪に眼鏡をかけた女性。

 

「札幌市役所から参りました、広報部所属預かり輸送班の『宮村』と申します!はじめまして!カントさんより要請があって本日はアテンドを承りました!よろしくお願いします!」

 

ハキハキと明瞭快活に自己紹介を済ませた宮村を、いつもの笑顔で迎えるケンゴ。

 

「よろしくお願いします宮村さん!」

 

「では!案内します!こちらへ!」

 

 

⬜︎大通り公園⬜︎

 

ケンゴ、ミントリガーの2人は、案内役の職員宮村に誘引されながら、公園の中に入る。

 

「宮村さん、一つ質問してもいいですか?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

ケンゴは宮村を一目見た時から気になっていた事を聞くことにした。

 

「その、職員ってそういう髪もありなんですか?」

 

「あ!そうですよね!すみません。誤解しないでください、この髪は、私が輸送班に所属してるので、たまたま規定がないってだけです。一応広報にも顔を出すので、公の場ではウィッグする様にしてますけど、基本はコレです」

 

詳しく深掘りしたいと思ったケンゴだったが、宮村が先に口を開く。

 

「あ、私マナカさんに言わなきゃ行けない事があって…」

 

何か申し訳なさそうにする宮村。

 

「はい、なんですか?」

 

「実は私…ウルトラマンあんまり観たことなくって…だからその…なんというか…迷惑かけるかもしれません!」

 

90°の角度でお辞儀をする宮村。

 

きょとんとするケンゴ。

 

噴き出すミントリガー。

 

「なんだ、じゃあ」

 

宮村の手を取り、姿勢を引っ張って直すケンゴ。

 

「一緒ですね!僕も昨日初めて観たんです、ウルトラマン!」

 

「え???」

 

歩みを止め、言葉の意味を理解していない宮村。

 

「宮村さん、気にする必要はないよ」

 

ゆっくり近づくミントリガーは続けて簡単に説明をした。

世界の事や状況を知ってもらう為に本人にドラマを観せた事。

ざっくりとした現在の世界情勢やヒーローの立ち位置と行政の役割等。

その上でミントリガーは宮村を諭すように話した。

 

「だから、これから知っていけば良いんだ。なんてったって君の目の前には“本物”がいるんだから」

 

「はい!!」

 

ハッとすると同時に人懐っこい笑顔を向け、今日1番の良い返事を返す宮村。

 

「宮村さんは職員になって長いんですか?」

 

歩みを再開した時、ケンゴは宮村に尋ねる。

 

「いいえ、やっと半年です。元々車で運送業をしてて、そうこうしてたら色々とバタついて。そんな時行き付けのお店に職員の方が来て、店の店主とも仲良くて、なんやかんやしてたら紹介されたんです」

 

ゆっくり歩みを進めながら話し出した宮村は、どことなくそれまでの色々な事があった事を表情から伺える。

しかし、だからと言って悲観している様ではなく、その瞳には輝きを秘めていた。

 

「最初は手伝いのつもりだったんですけど、イベントやら避難所の食料輸送と炊き出しとか色々こなしてて、それやってたら広報の人に気に入られてって感じですかねぇ。食事って大事じゃないですか、生き物にとって大事な事だし、食べるだけでも問題ないけど…折角なら楽しい方がいいし、どんな状況でも」

 

ケンゴを真っ直ぐ見据えて、宮村は笑顔で言う。

 

「ご飯が美味しければ、笑顔が自然と溢れると思うんです!…ま…自分が豊かじゃないと出来ない事ですけど…でも前より出来てる気がするんで、これからなんです!」

 

ケンゴは思った。

この人も、笑顔の花を咲かせている、その花を他の誰かの為に配ろうとしてる

そう思うと同時に、なんだか凄くかっこいいと感じた。

 

ケンゴはふと思い返す。

 

「そうなると、さっき言ってたお店って、めっちゃ美味しいんじゃない?」

 

「興味ありますか!?」

 

「うん!ね!ミントリガー!」

 

ふふふと静かに笑い、端末を見ながら何かを打ち込むミントリガー。

 

「そうだな、時間があったら立ち寄りたい、案内頼めるかな?」

 

ミントリガーは端末を宮村に向ける。

それを見て一呼吸反応が遅れるが、端末を出してお互いかざす。

 

「連絡お待ちしてます!店主も喜びます!あ、カントさんいらっしゃいました!」

 

和気藹々と話しているところ、間も無く目的地に着くところに気付く宮村は、2人に手のひらを見せながらゆっくりと進行方向へと促す。

 

その先には男性が立っていた。

白衣の様な白いコートと、清潔感のあるオフィスカジュアルに身を包み、ネクタイはしていないが、グレイのベストが見える。

 

「お連れしましたカントさん!」

 

カントと呼ばれた男性は、優しい微笑みの中に、深く遠くを見据えた鋭い眼光を向けてくる。

 

「ありがとうございます、宮村さん」

 

宮村に一礼をした後にケンゴへと近づくカントと呼ばれた男性。

 

「はじめまして、マナカ・ケンゴさん。僕はこの北の大地の自然を研究してます『望月 神斗-もちづき かんと-』と申します。カントと呼んでください!お会い出来てとても嬉しいです!」

 

先程までの鋭さは和らぎ、笑顔で手を差し伸べるカント。

どこか唯ならぬ緊張を感じたケンゴだったが、それに応えて手を握る。

 

「ありがとうございます!マナカ・ケンゴです!僕の事もケンゴと呼んで下さい!」

 

そして握手を交わした次の瞬間

 

「本物だあああああ!!!」

 

と大興奮のカント

 

「噂を聞いて、ずっと話したいと思ってたんです!ヒーローとしてだけじゃなくて、植物学者のケンゴさんに話……ああああああ!!!!!」

 

カントは興奮して、ケンゴのリュックに目を向けた。

 

「本物のルルイエだああああ!!!!!お願いします!見せて頂けますか!?」

 

テンションの上がりようと、とんでもない熱量の歓迎にケンゴも嬉しくなり、快くリュックを開ける。

 

「うわぁすごい…つぼみの状態でもこんなに生命力が感じられるなんて…しかも花特有の瑞々しさとこの香り…大切にされてなきゃこれは維持できませんよ!」

 

「落ち着きなさいカント」

 

冷めやまぬ興奮を抑えられなくなったカントに、静止を促す声が上空から飛んでくる。

比喩ではなく、文字通り上空から飛んできたそれは、白銀に輝く梟。

梟はカントの上げた左腕に留まり、ケンゴを見る。

 

「初めまして、マナカ・ケンゴくん…もといウルトラマントリガー」

 

ウルトラマンと呼ばれてハッとするケンゴは、若干の緊張を覚えていた。

 

「私は『ジール』この北の大地を守護する神々の内の“一柱”だ。よろしく頼むよ」

 

ケンゴにとって、これが神々とのファーストコンタクトであり、自然界の象徴に近い存在を目の当たりにして、冷や汗を感じていた。

 

そこに優しく背中に手を当てるミントリガー。

無言だったが、安心しろと言わんが如く諭していた。

 

「カントさん、ジールさん、お元気そうで何よりです」

 

2人に向けて深く一礼をするミントリガー。

 

「そちらこそ元気そうだね、ミントリガー、仲間や家族は元気かね?」

 

「仲間はいつも通りです。あいつらはきっと今でもまた飛び回っている事でしょう、便りがない事が何よりの証拠です」

 

姿勢を正し、誰かの話をするミントリガーは、何処か誇らしげだった。

 

「ミントリガーさん、また今度手合わせお願いします」

 

「えぇ、自分で良ければいつでも」

 

ケンゴにはわからない会話をする3者。

疑問符を頭に浮かべながら話しを聞いていたケンゴ目掛けてジールは突然飛んでいき、咄嗟に腕を前に出す。

カントの左腕からケンゴの右腕へ移動したジール。

 

「では早速だ、話しをしようか」

 

 

◇約30分後◇

 

ケンゴがここに辿り着くまでの経緯。

ケンゴがいた世界の情勢。

現在のケンゴの戦力的情報や不調。

これらを話した後、ジールは思案する。

 

「やはり気になるのは鳥居…か」

 

ケンゴが北見に来る前に潜って来たという鳥居。

それにこそ糸口があると感じたジール。

 

「近くに神社とかー」

 

「いや、あそこは私ではなく竜神の管轄だが、鳥居はそんな近くに存在しないさ」

 

カントの言葉を遮る形で否定したジール。

 

「何か心当たりはありますか?」

 

「ない事もないが…ケンゴくんとお呼びしていいかな?」

 

ジールは何か心当たりがあるらしく、ケンゴに呼びかける。

 

「この件は一旦預からせて貰おう。そんなに時間はかからないはずだ、待って貰えるか?」

 

その言葉の頼もしさに、ケンゴは安心を覚える。

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

大きな声で返事をするケンゴに、微笑するジール。

 

「よし、そうと決まれば…」

 

そこへけたたましいブザー音を鳴らす各携帯端末。

 

それと同時に、遠くの方で爆発音が聞こえる。

 

それはまるで地震速報や自然災害、あるいは空襲警報の様な、聞くだけで危険を知らしめる音が全員の耳を刺す。

 

「み、みなさん!大変です!」

 

真っ先に口を開いたのは、職員の宮村だった。

 

「現在月寒公園付近で戦闘!周辺には多数のロボットが現れて破壊活動を行ってるらしいです!」

 

【月寒公園-つきさむこうえん-】

 

現在ケンゴ達がいるのは

【大通公園-おおどおりこうえん-】

 

それぞれの距離は約5kmはする。

車で行けば約十数分とさほど遠くないが、一刻を争うこの状況だった。

 

「誰かが戦ってるらしいが、誰が戦っているんだ」

 

ジールの問い掛けに宮村は答える。

 

「戦闘中なのは『Respect for HERO ガヲク』です!」

 

「ガヲク?」

 

聞き慣れない呼び名を耳にしてケンゴはミントリガーに尋ねる。

それに答えたのはカントだった。

 

「札幌で活動する、簡単にいえば“若手有望株”ですかね」

 

ミントリガーは端末を手に宮村に近づく。

 

「宮村さん、現場の情報と避難状況を」

 

「はい!転送します!」

 

全員の端末に情報が入る。

避難状況は約6割。

清掃活動にて子供達とのふれあいイベント

戦闘開始から約5分経過

と記述されていた。

 

「すぐに行かないと…ケンゴ!」

 

ミントリガーはケンゴに近づく。

 

「お前は先に行って援護を頼む」

 

「わかった!あ!!でも僕ここの地理が…」

 

「焦るなケンゴ、俺たちのポテンシャルを発揮する時だろ?」

 

そう言って人差し指を上に向け、そのまま上げては指を下に向けて下がる動作をするミントリガー。

それを見て眉間に皺を寄せるケンゴだったが、彼の意図を知る。

 

「そっか!空から!」

 

頷くミントリガー。

 

「俺はバイクでカントさんと一緒に向かう。先に行ってくれ」

 

「わかった!」

 

専用の武器であり変身アイテムでもあるGUTSスパークレンスを構えようとしたケンゴは、前に背負ってるリュックをどうするかと周りを見渡す。

 

「マナカさん!」

 

そこに宮村が声をかけてきた。

 

「資料で確認済みです!その子は私に預からせて下さい、安全な場所に避難させます!」

 

真剣な眼差しと、強張りはしているが口角を上げて笑顔を作ろうとする宮村を見て、ケンゴは彼女を信じることにした。

 

「うん、ありがとう宮村さん」

 

リュックを預け、GUTSスパークレンスと共に、GUTSハイパーキー持ち、キーのスイッチを入れる。

 

〈 Ultraman Trigger -Multi Type- 〉

 

スパークレンスのグリップへと運び、挿入。

 

〈 Boot Up “Zeperion” 〉

 

GUTSスパークレンスの銃口部分を開き、腕を前へと伸ばす。

 

「未来を築く、希望の光ッ!」

 

ケンゴはスパークレンスを頭の上に掲げ、叫ぶ。

 

「ウルトラマンットリガアアアアアアア!!!」

 

公園に響き渡る様な雄叫びと共にケンゴは光に包まれ、光は徐々に収縮する。

 

銀色で端正な顔立ちと青紫をベースとして赤と銀、随所にゴールドのアクセントのある。

スマートな戦士がそこに立っていた。

 

「トリガー!」

 

名前を呼ばれて振り返ったトリガーに向かって何かが飛んできて、咄嗟に掴む。

ミントリガーの専用武器 双刃剣の状態にある【鳥牙】を装備したトリガー。

 

「使ってくれ!後で会おう!」

 

その言葉を聞き、頷いたトリガーは、勢いよく上空へと飛び上がり、一度静止してから間も無く飛び立って行った。

 

「すっげ…まぁじでウルトラマンじゃん…」

 

初めて見る目の前のウルトラマンに若干の興奮を覚える宮村。

 

「なんか…ティガみたい…」

 

記憶の中のウルトラマンを思い浮かべたところを、カントに聞かれた

 

「ティガは知ってたんだね」

 

「とある理由で子供の頃チラッと観てたので…あ!すみません!私はこのままシェルターに向かいます!途中市民への避難誘導もあるので!」

 

「宮村さん」

 

去ろうとした宮村を引き止めたのはミントリガーだった。

 

「ありがとう、ルルイエをよろしく」

 

「宮村さん、また後でね」

 

「気をつけて行くのだぞ」

 

それに合わせてカントとジールも挨拶をする。

 

「はい!皆さん…ご武運を!」

 

ピシッと敬礼をする宮村。

そして切り替えた宮村はリュックを大事に抱えながら注意深く走っていった。

途中市民が目に入った様で、良く通る大きな声で公園内の市民に呼びかけながら進んで行った。

 

「カント、鎧を召喚する」

 

「わかりました」

 

「カントさん、先に道路沿いに向かってください、すぐピックアップしに行きます」

 

いうや否やカジュアルな服装から普段の戦闘形態に戻り飛び立ったミントリガー。

 

それと同時に鎧を装着しようとするカントも、トリガーが飛んでいった方向へと直進する。

 




今回も読んでくださった方々、ありがとうございます。

ペースが下がってきてしまいましたが、お付き合い下さると幸いです。
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