マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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今回は戦闘パートが殆どです。
緊張感が伝わる事を祈ってます。


第11話 『Respect for HERO』

 

⬜︎月寒公園⬜︎

◇事件が起こる15分前◇

 

公園にある駐車場付近にて、子供達と一緒にふれあいイベントを実施している、ヒーローを目指す青年がいた。

 

『Respect for HERO ガヲク』

ヒーロー好きの青年が、自分にも何か出来る事があると信じ、弛まぬ努力と強固な身体と精神を培い。彼の大好きで目標である“親愛なる隣人”を目指し、自作のスーツとアーマーに身を包み

「いつか誰かの“ヒーロー”になる」ため日夜活動をする。

主にガヲクを指しているのは個人ではあるが、彼を中心にチームが構成されている。

 

彼らは自らが企画したゴミ拾いを名目とした子供たちとのふれあいイベント中であり、拾ったごみを袋に詰め終え。

今はみんなで手を洗い、近隣住民のご厚意で豚汁とおむすびが提供され、それらを職員と共に参加者へ振舞っているところだった。

 

「ガッくん!」

 

子供達に元気良くそう呼ばれているのが、モノクロとメタリックシルバーが随所に輝くアーマーを着た青年であり、ガヲク本人である。

 

装着者の名は『ガク』

ヒーロー名という名目でガヲクと名乗っているが。

彼を知る者からは『ガッくん』の愛称で親しまれている。

 

「ガッくんガッくん!これ食べたら一緒に遊ぼう!」

 

「うん!遊ぼう!しっかり噛んで食べてね!」

 

とても和やかな光景が広がるその空間。

 

「ガク、ごみ処理終わったぞ」

 

大柄で筋骨隆々な眼光鋭い青年がガヲクに声をかけてきた。

彼の名は『リッシ』

チームの力自慢であり、豪快な肉弾戦を得意とする。

その戦闘力はアーマーを着用したガヲクと並ぶ程に充分通用する実力を有し、類稀なる身体能力と強靭な肉体は、他のヒーローからも一目置かれている。

 

「お疲れ様!リッシ君!マモル君!」

 

「まあああああじすげぇ量だったなぁ!枯葉だけでなに?数数えてねぇけどさぁ〜、50袋??アレはそんくらいカタイネ!」

 

明るく大らかな印象で大雑把に喋りながらその場でへたり込む青年。

彼の名は『マモル』

長身で端正な顔立ちながら子供の様な笑顔が特徴。

チームのムードメーカーであり、性格に相まったトリッキーな戦闘スタイルを得意とする。

回りくどいことは苦手で、どんな誰にでも真っ向から向き合う素直さを持ち、勢いこそが持ち味と言った性格の人物。

 

「そんなにないでしょ、2人ともちゃんと手を洗ったの?」

 

ため息混じりにおむすびを皿に並べている、小柄ではあるが引き締まった身体つきと特徴的なヘアースタイルとメガネがトレードマークの青年。

彼の名は『エイト』

チームの頭脳であり、司令塔に近い存在。

状況分析や作戦立案などからスーツや装身具に至るまでの全てのシステム周りを主に担当している。

有事の際にはしっかり動ける戦闘力を備えた、文武両道の人物。

 

「「あ」」

 

おむすびに手を伸ばそうとしていた2人はその言葉に動きを止める。

 

「…行ってきなさい…でなきゃご飯抜きだからね」

 

メガネの奥をギラリと光らせ、怒気を孕んでいるエイト。

 

「「やっべ!!」」

 

猛ダッシュで手洗い場に駆ける2人。

それを呆れた様子で見るエイトと仮面を被りながらもニコニコしているのがわかるガヲク。

 

「ところでガク」

 

「ん?なぁにぃ〜?」

 

「スーツのメンテナンスは?」

 

豚汁の鍋をおたまでゆっくりかき回しながら具材の量を確認していた手をビクッと止める。

 

「あ…あの…その…」

 

「ずっと黙ってたけど…昨夜は随分待たされたんだよねぇ僕…なんでだろうねぇ?」

 

詰め寄りながらもおむすび、たくあん、高菜炒めと卵焼きを皿に盛り付けるエイト。

 

エイトの言う昨夜、前日に当日のイベントに向けてスーツのメンテナンスをする予定だった。

しかし待てど待てどガヲクは現れず、そのためかエイトは若干の寝不足だった。

 

「まさかとは思うけどぉ…今の今まで…忘れてたとは言わないよねぇ???」

 

「んぐっ…」

 

それもそのはず、彼は自室に帰宅後恐ろしい程の空腹が襲い。5人前に近い量の食事をして満足し、そのままスヤスヤと寝こけていた。

良質な食事、良質な睡眠、両方を実践出来た末、彼の肌艶は良好だった。

 

深く深くため息をつくエイト。

 

「君のスーツは。初期段階じゃガク1人で作った物だけど、今では僕との合作になってる。見た目以上に内部は機械的なの知ってるよね?」

 

肉薄する距離で詰め寄るエイト。

 

「姿勢制御、稼動補助、負荷軽減、各部センサー…今じゃこれだけ盛り込まれてるんだよ?精密機器は整備が必要なの知ってるよね?」

 

「はい…ごめんなさい…」

 

おたまをそっと置き火を止め、その場で縮こまるガヲクを腕組みしながら見下ろすエイト。

 

ふぅと一息吐いて彼はガヲクに向けて語る。

 

「今は君1人だけど、ゆくゆくは僕らもスーツとアーマーを着る頃が来る。その時までは君が要なんだ」

 

盛り付けた皿を少し離れた場所にあるお盆に置き、火を止めたばかりの鍋から豚汁を器に掬ってそれも共にお盆に置くエイト。

 

「その為にも、僕は僕が出来る精一杯のサポートをしたい、だから忘れないでね」

 

用意したお盆を持ち、お手拭きと箸を置いて、ガヲクに向けて手渡すエイト。

それを視界に端にとらえたため、手を伸ばし掴んでお礼を言おうとしたガヲクはギョッとする。

 

「次やったらセキュリティロック機能追加して実質没収するから、覚悟してね?」

 

顔は笑っているが、目は明らかに笑っておらず、漏れ出るオーラは明らかに怒気を孕んでいる。

 

「は…はい!」

 

しかしそれもすぐに消える。

 

「ほら、ここはもう良いから、食べてきなよ。終わったら全部メンテナンスするから、忘れないでね」

 

声のトーンを優しく抑え、そう告げるエイト。

 

「うん、ありがとう、いただきます」

 

 

◇10分後◇

 

少し離れた場所に広場があり、そこの近くで100均に売ってる自前のキャンプ用の折りたたみテーブルとイスを使って休憩するガヲク。

食べ終えたガヲクは水分補給に水を飲み、ヘルメットを着用し直していた。

センサーが反応してフィッティングさせる、首を動かしてフィット感を確認するガヲク。

問題はなく動いている。

 

「よし!お腹も満たされたし!片付けてさっきの子と…ん?…んんんん!?」

 

立ち上がってお盆を手にしようとした次の瞬間。

何もない場所から黒い穴が空いた事に驚くガヲク。

そこからはまるでサイバーパンクの世界から来た出立の大柄で、逆立った黄色の髪が特徴的な男が現れる。

 

「なんだ!?ここはよぉ!思った以上にくせぇくせぇ!雑魚い文明レベルの臭いがプンプンするぜ!!!」

 

馬鹿でかい声で聞く人が聞けば不快に感じられる事を平気で言う男、略奪者集団で幹部の1人『ズゾロ』だった。

 

「あ、あのぉ…」

 

ズゾロに対し、低姿勢で声をかけるガヲク。

 

「あん???」

 

「失礼ですけど、その…その衣装は自前ですか??」

 

「…は?」

 

仮面は被っていても、キラキラした興奮は溢れ出て見てとれる。

 

「すごおおおおおい!かっこいい!この腕とかどうなってるんですか!?機械!?めっちゃくっちゃ硬そう!!」

 

機械で出来た両腕を叩いたりベタベタと触るガヲクの興奮っぷりにたじろぐズゾロ。

 

「お…おぉ…なんだ…こんなクソみてぇなとこでもわかる奴ァいるみてぇだなぁ!気に入ったぜオマエ!!」

 

肩をつかみ引き寄せられたガヲク。

 

「全てぶっ壊しにきたんだが!オマエだけは仲間にしてやる!一緒にこんなクソみたいなとこぶっ壊そうぜ!」

 

豪快かつ気持ちいい程の笑顔で、聞きたくない言葉を耳にしたガヲク。

 

「え?」

 

「まずは手っ取り早く!あそこにいるちょこまかしたゴミを潰すかぁ!きっと気持ちいいんだろうなぁ!この腕でブチブチ潰すのはよぉ!!」

 

指差した先にいるのは、広場で楽しそうに遊ぶ子供達だった。

それを嬉々とした表情で語る姿を間近で見たガヲクは戦慄と共に、臨戦体制へと移行し、引き寄せられた腕を振り解いて子供達を背にズゾロと対峙する。

 

「あなたは…なんなんですか!」

 

「おいおい!なんだどうした!一緒にそいつらをー」

 

「させません!!」

 

「あ?」

 

「僕がそんな事、させません!!いや!絶対に許さない!!」

 

なにかがっかりした様子で腕を下ろすズゾロ。

 

「そっかそっかー」

 

両腕を左右に伸ばし

 

「気に入ってたんだがなぁ…折角面白い…」

 

両拳を勢いよく打ち付け、不快で甲高い音を響かせる

 

「おもちゃだと思ったのによぉ!!潰してやるよ!!!オメエも!!!!」

 

耳障りな怒鳴り声と音の鳴った方向に目を向けたエイト、リッシ、マモル。

 

「え?なにあれ?」

 

「◎△$♪×¥●&%#?!」

 

口いっぱいにおむすびと卵焼きを頬張るマモル。

 

「ちゃんと飲み込んでからしゃべれ!」

 

マモルに水を押し付けるリッシ。

それを受け取り一気に水と共に流し込むマモル。

 

「んだよあいつっどっから生えてきた?!」

 

「生えてねぇよ!」

 

「おう!ツッコミありがと!」

 

「マモル、リッシ」

 

エイトは全体の状況を見定め、2人に指示を出す。

 

「2人は子供達と市民を避難させて、近くの職員に預けるんだ!」

 

「お、おう!」

 

「よっしゃ!まかせろ!」

 

リッシとマモルはその指示に応える。

 

「僕はガクのサポートに回る、終わったら戻ってきて!2人には言いそびれてたけど、今のガクのスーツは本調子じゃない…」

 

「「はぁ!?」」

 

声を合わせて驚く2人は、エイトに詰め寄る。

 

「それってやっべぇじゃん!!」

 

「全然わかんねぇけど!?何がどうなってんだ!?」

 

「昨日メンテナンスするはずだったのが出来てないんだ。日常活動程度なら問題ないけど、戦闘となるとそうはいかない。だから何かあった時のためにも…必ず戻ってきて!」

 

2人に新調したグローブとアームサポーターを渡すと同時にメガネの端に触れて、レーダーを起動するエイト。

 

「10時方向に職員の詰め所がある、そこまでみんなを誘導して、早く!」

 

「10時!わかった!!10時だな!!…10時ってどっち!!!?」

 

リッシの両肩を掴み肉薄する距離でがなりたてるマモル。

 

「しらねぇけど詰め所はあっちだ!!すぐ戻る!無理すんなよ!」

 

大回りして駆け出し、ガヲクの後ろにいた逃げ惑う子供達や市民に向かう2人。

エイトは真っ直ぐガヲクに向かっていく。

 

「ガク!」

 

「エイト君…あいつ…子供達を狙ってる…」

 

完全に臨戦体制へと構えているガヲクに対し、冷静に諭すエイト。

 

「みんなは2人に任せた。君は本調子じゃない事を忘れないで、今は戦うんじゃなく、逃げることが先決ー」

 

「あいつは!!」

 

エイトに向き合い肩を掴むガヲク。

 

「子供達を潰すって…そんな奴…放っておいちゃダメだ!!」

 

そう言われてズゾロを見るエイト。

 

「あんだぁ!?なんかゴミが増えたか!?おもしれぇじゃんか!!両方とも引き摺ってブチブチとバラバラに千切ってやるからよぉ〜」

 

ヘラヘラと耳障りで下卑た発言を続けるズゾロに対し。

予想以上に危険度が高い事を認識したエイトは、やむを得ず選択したくはなかったもう一つのプランを話す。

 

「わかった…けど条件がある」

 

エイトを一瞬見て、すぐにズゾロに向き直るガヲク。

 

「これからスーツのリミッターを解除する…」

 

何も言わずに静かに頷くガヲク。

 

「保っておそらく10分…いやそれより短い…5分を目安に最短で制圧する。出来なくてもリッシとマモルがすぐ戻ってくるから、それまで耐えてから全員で撹乱しながら離脱する」

 

「それじゃダメだよ!あいつをー」

 

「これが今取れる最適解だ!!」

 

ガヲクの反論を全力で遮るエイト。

 

「言っただろ?君が要なんだ、ちゃんと従って!」

 

「……わかった」

 

痺れを切らしたのか、ズゾロが何かを弾けさせながら2人に飛んで来る。

左右に避ける2人。

2人が立っていた所にはズゾロの腕、成人男性の2倍はする大きな拳が地面に突き刺さっていた。

 

「んだと?…かわしてんじゃん!!!!!」

 

何故か歓喜の雄叫びを上げるズゾロ。

 

「いいねいいねそうじゃないとそうでないとだよなあそうでないと楽しくないんだよわかるよなああああああああ!!!!!!」

 

「こいつ…重度のサディストのうえにバトルジャンキーかっ」

 

驚くほど饒舌になったズゾロに気味悪さを感じながらも分析をやめないエイト。

 

「喋ってる暇あったらよぉ」

 

拳を引き抜きエイトに身体を向けるズゾロ。

 

「かかってこいやああああああああ!!!!!!」

 

着用したグローブについたシールドを展開しガードの体制で身構えるエイト。

しかしその攻撃が届くことはなかった。

先に動いたのはガヲクだったのだ。

 

ガヲクはローリングソバットでズゾロの死角から頭部への一撃を叩き込む。

若干体勢を崩すズゾロだったが、驚異的な反射神経でガヲクの脚に手を伸ばす。

 

掴まれそうになったところ、うまく身体を捻り伸ばす手の指先を蹴って飛び退くガヲクは、そのままゴロゴロと転がりながら後退する。

 

「思ったより動きが速い…」

 

ヒヒヒと笑いながら飛びかかってくるズゾロ。

 

「やっぱオマエからだったか!!!!」

 

両腕を叩きつけようとするところ、後ろに一歩下がり交わす。

拳が上がる前に2発ガヲクは、ズゾロの左肩目掛けて拳を叩きつける。

地肌の様に見えたその肩は、見た目とは裏腹に異様な硬さをしていた。

 

拳を引き上げ、右へ左へと大振りに両腕を振り回すズゾロ。

それをうまく避けては、隙を見て拳を叩き込むガヲク。

決定打には至らない。

 

その姿を観察し記録しているエイト。

(反応速度は速い、けどそれに見合った戦闘センスが恐ろしく皆無。ただただ闇雲に力任せな攻撃を繰り出しているだけ。これなら十分勝てる!)

そう判断したエイト

 

順調に攻撃を交わしながらウィークポイントを探りつつ拳を叩きつけるガヲク、しかしなかなか打開案が見つからない。

何度か交わしながら、攻撃も見慣れ、叩き込む拳のペースも上げて行ったその時だった。

突然ズゾロの右肘が弾け、それと共に振りの速度が増したため、交わしきれず肩へと直撃を喰らうガヲク。

そのまま吹き飛び、地面にワンバウンドするも、空中で体勢を立て直して膝立ちしながら着地するガヲク。

 

「ガク!」

 

急いで駆け寄ると同時に何かをズゾロに投げつけるエイト。

ズゾロの足元へと転がり煙を発生させる煙幕弾だった。

近づき声を駆けるエイト。

 

「ガク!大丈夫!?」

 

肩アーマーが凹んでいる。

エイトの計算上、ガヲクのアーマーは。

推定、クレーン車を使った5tの鉄球からなる衝撃に耐えうるはずの装甲と計算されていたが、それを上回るだけの攻撃力と破壊力がある。

スーツに備わっていた衝撃吸収、負荷軽減と姿勢制御が無ければ、ガヲクの着装者であるガクの左肩から下は粉砕骨折になっていたかもしれない。

そう思うと、冷や汗と共に息を飲んでしまうエイトだった。

 

「くそ!あいつ素人同然の戦闘センスのくせに、人の嫌がる攻撃のタイミングを読むのはピカイチだ!」

 

「エイト君…リミッターを解除して…」

 

「ガク!?大丈夫なの!?」

 

すくっと立って左肩をぐるっと回すガヲク。

 

「なんとなくだけど、勝ち筋が見えてきたよ」

 

それを耳にして少し安心するエイトだったが、重要なところが抜けていた事を忘れていない。

 

「…さっきの答えを聞いてないよ」

 

「そんなこと言ってる場合じゃ!」

 

「ガク!!」

 

言い争ってる場合じゃない、渋々ではあるが了承するガヲク。

 

「わかった…あいつを制圧すれば良いんだよね!出来なくても2人が帰るまで耐える!」

 

「それが出来るならそうすべきだ、けど絶対に無茶はだめだ。さっきの攻撃でマニピュレーターの一部が危険信号を出してる…保って2分が限界だ」

 

懐から端末を出してスーツのダメージステータスを確認している。

 

「わかった…やって!」

 

「いくよ!」

 

端末でコードを打ち込み、承認させるエイト。

 

ガヲクには他者にはない特殊能力がある。

本人曰く、ヒーローごっこ遊びを極めた結果に行き着いたと言っていた。

【Switch ON】

戦況やシチュエーション、本人の好みに合わせてするのが主だが。

ガヲクことガクは、性格、仕草、癖、全てを切り替え。

最も適したヒーロー像へと“なりきる”事が出来る。

一種の暗示や演技に近いが、それが恐ろしく高い境地へと達している。

本人の身体に影響を及ぼす程に。

 

(このシチュエーションならクールキャラは…いや、違う!そんな生優しい感覚は捨てるんだ!最も制圧に適した相手を構築。設定は…分析に長けて、冷静沈着、容赦ない……これだ!!)

 

スーツの各部位には今までになかった様な、まるでパソコンのファンが回る様な音がする。

 

「Switch…ON…」

 

煙幕の向こうから腕が伸び、ズゾロは見えないはずのガヲクを正確に掴み掛かろうとする。

 

破砕音が鳴り響く。

煙が晴れた先、エイトが目にした光景は。

 

ズゾロの右肘部分を踏みつける様に蹴り、敵の拳を地面へと突き刺した姿勢で押さえつけているガヲクの姿だった。

 

「てんめっ!!!」

 

空いた左腕を右側に回し、ガヲクを掴もうとする。

再び弾ける音、攻撃も速度が上がるが、ガヲクは後ろに反る体制で交わし、オーバーヘッドシュートの様に上を通過した左肘あたりを蹴り上げる。

 

そのまま重力に任せて背中から地面に落ちたガヲク、すぐに右へ転がって距離を取り、転がった勢いと上半身のバネの力で立ち上がって姿勢を正すガヲク。

 

尻餅をつく体制で倒れたズゾロは、状況がうまく理解できず、周囲を見渡す。

ガヲクの姿を捉えた途端、何かをしようとニヤけたが、突然表情を変えて怒り心頭と言った様に声を荒げる。

 

「てんめえええええええええよくも俺のブースターをおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

先刻より弾ける様な音は、ズゾロの両肘に仕込まれた噴射口による噴射音だった。

その推進力を利用して、体格に似合わないスピードで攻め立てていたのだった。

 

ゆっくりとズゾロに向き直るガヲク。

 

「五月蝿い奴だ」

 

普段の彼からは考えられない、低く、冷徹で、冷淡な声。

 

「目障りで耳障りだから、お前の切り札は潰した」

 

グローブを締め直す様な仕草で、両手首を交互に握り、かけてはいないメガネを上げる様な仕草をするガヲク。

 

「僕の前から消えろ、バケモノが」

 

「ふざけんなよ雑魚どもがあああああああああ!!!!!!!!」

 

あちこちで黒い穴が開き、中から北見で暴れたロボット兵とドローン、大きな車輪の様なモノが追加で現れる。

数は北見の倍以上。

 

車輪のロボットが勢いよくエイトへと向かって走っていく、横に飛んで交わす。

ガヲクが地面を蹴り一気にエイトの元へと飛ぶ。

 

車輪の攻撃を交わしたエイトに、上空からドローンが正面に搭載されたドリルをけたたましい音を鳴らして向かってくる。

エイトは一瞬で危機一髪の状況。

 

「デアアアアアアアアアアア!!!!」

 

そこに勢いよく飛び込んだ青紫色の閃光、ドローンの両翼を切り裂き、直様蹴り飛ばす。

 

その後ろで、ガヲクにより元いた場所から数歩離れた場所に立っていたエイト。

 

「なるほど…」

 

ガヲクは急遽現れた閃光の姿を見て納得する。

 

「我らの“ウルトラマン”様のお出まし…か」

 

「本当にいたんだ…ウルトラマントリガー…」

 

ウルトラマントリガー

 

現着

 




今回も読んでくださりありがとうございます。
チームガヲクの掛け合いを考えるのはとても楽しいなと実感しました。
キャラの個性がバランス良いんですよね。
言い方良くないですが、とても扱いやすいキャラクターでした。

良ければ感想もいただけると励みになります。
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