マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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バトルパートが続きます。
ff7 のバイクアクションをイメージして書いてみました。

雰囲気を掴んで頂けると幸いです。


第12話 『Smash Out』

 

 

⬜︎札幌市某所⬜︎

 

 

現在札幌市全域で避難指示が出ている最中。

大通り公園とその道路を挟んだ茂みから飛び出して来たヒーロー。

 

白銀の鎧とローブに身を包み、梟の顔を模した仮面と、背中には大きな梟のシンボルが金色に輝く白騎士。

『梟の戦騎カント』が現れる。

左腕には彼の師であり相棒『ジール』が籠手の様に張り付いている。

 

事件発生から数分が経っている最中、街並みには人がいた形跡はあれども姿は殆ど見られない状況。

 

数名の市民と避難誘導をする職員に遭遇する。

 

「カントさん!」

 

職員の1人がカントに近づく。

 

「現場詳細はもう共有済みですか?」

 

「ありがとうございます。先ほど転送されました、これから急行します。皆さん気をつけて」

 

「ありがとうございます!カントさんもご武運を!」

 

職員に会釈をした後、避難中の市民に軽く手を振るカント。

 

そのままガードレールを飛び越え、車道に出て月寒公園方面へと走り出す。

 

「カント、私は上空より索敵をする」

 

左腕に装着されたジールは、カントにそう伝えるとともに一旦離れる。

 

「わかりました、僕はこのまま向かいます」

 

「何かあれば念を飛ばすが、用心するんだ」

 

そう告げて飛び立ったジール。

 

走り出して間も無く、後方よりバイクの走行音が聞こえてきたため、脚を止めた。

 

瑠璃色のオートバイに跨り『ミントリガー』が左手をハンドルから離し猛スピードで近づいてくる。

 

意図を理解したカントは、左手でその腕を掴む用意をし頷く。

 

両者の手がガシッと手首を掴み合い、慣性の法則と遠心力の容量でカントはバイクの後部に飛び乗る。

 

カントは仮面の後方下部にあるスイッチを押しインカムをオンにし、仮面の内部モニターに映し出される情報をミントリガーに伝える。

 

〈大通公園周辺の避難状況は9割に達してるみたいです〉

 

〈流石に早くないですか?職員の連携と札幌市民の高い意識の賜物ですね〉

 

〈それはどこも一緒でしょう〉

 

お互い自分たちをサポートしてくれている職員と、自分たちが全力で戦える様に支持してくれている市民への行動に感謝していた。

 

自分たちが気兼ねなく戦えているのは、迅速に動いてくれている皆のおかげ。

 

それを再認識する。

 

〈この先の現場は7割、きっと彼らが頑張ってくれているから…直に終わるでしょうけど…〉

 

〈ヒーロー見習いとは言え、彼も皆に愛される存在であり、実質ヒーローです。仲間にも恵まれてますし、何より今回に限っては〉

 

急カーブを曲がり切りミントリガーは直進で更に速度を上げ、一旦止めたセリフの続きを口にする。

 

〈ウルトラマントリガーが向かってますから〉

 

それを聞いて興奮を止められないカント。

 

〈そうですね!僕もついに、本物のウルトラマンとの共闘なんですね!〉

 

気持ちが高揚しているカント。

 

「2人とも!!」

 

上空よりジールがカントの腕に収まり直り、アーマーを経由してインカムに音声をリンクする。

 

〈1km先で接敵する、飛行タイプが20、走行している車輪型が30、推定8mの大型ロボットが1体。速度を上げて迂回すれば現場に着くのは4分弱だが、ルートを変えれば街が破壊される〉

 

行き先では煙が上がっている、一目見ても街に被害が出ている事が伺えてしまう。

 

現状スピードメーターは時速70キロに差し掛かり、徐々に速度を上げている。

 

〈なるほど…前回より多いですね…〉

 

うんざりしたトーンでボヤきながら、怒りを静かに募らせるミントリガー。

 

〈このまま進めばそれらと対峙する事になるだろう、普通に相手をしては更に現着が遅れる〉

 

〈…そうですね〉

 

後部シートにあるタンデムグリップを握る力が強まるカント。

 

〈なお、索敵の結果…目的地までの市民の反応は………0だ〉

 

沈黙する2人。

 

その言葉を聞き、ミントリガーはギアチェンジして。

事前に車体左側に設置されたホルスターに納めておいた愛銃【蒼禅空-あぜく-】の安全装置を解除する。

 

カントも同じく、次元収納された専用の長剣【白月剣-はくげつけん-】を取り出す。

 

〈いいか?2人とも今は一刻を争う、最短で現場に向かうべきだ…だからこそ…〉

 

静かに聞く2人にジールは続ける。

 

〈3分だ…3分で殲滅しつつ目的地に辿りつきたまえ!!〉

 

ミントリガーは銃へ貫通弾のカートリッジを装填。

 

カントは剣を強く握り直し一振りする。

 

完全に何かのスイッチが入った様な三者は共々、怒り、悔しさ、興奮と全てを込めて掛け合う。

 

〈いいか2人とも!これ以上この地を蹂躙などさせん!ツケを払わせ“割に合わなかった”と後悔させるのだ!!〉

 

〈〈仰せのままにっ!!〉〉

 

ミントリガーはハンドルを傾け、乗り捨てられたであろう車両運搬車を見つけ向かうと、ジャンプ台の代わりにして勢いよく飛ぶ。

 

そこにはジールの宣告通り、ドローンが飛び交っている。

 

ホルスターから銃を引き抜いたミントリガー。

 

視野角を最大限まで広げ、目視出来たドローンの数は10機。

左手に構えた銃を水平にし、引き金を弾く。

左端から1発撃ち、命中。

発砲による跳ね上がりを利用して次のターゲットに狙いをつけ引き金を弾く。

更にターゲットに向ける。

 

一部では【馬賊撃ち】と呼ばれる手法で、室内や近距離戦での掃討戦に最も効果を発揮する。

 

しかしこれを“常人を遥かに凌ぐヒーロー”が扱う事の、ましてや銃撃を得意とするミントリガーによってブラッシュアップされ、その緻密な照準制度は近距離のみに限らず、広範囲にて戦術的勝利に導く。

 

対空状態にあった約3秒弱。

 

ミントリガーは6発放ち、全て命中。

 

脅威認定したドローンが着地しようとする車体目掛けて突貫してくるが、後部に座るカントがそれを阻む。

 

両脇を締め力を溜め、後ろに反る体勢から後方へと一気に振り切り白月剣を投げ飛ばす。

 

白月剣は弧を描いて近づいて来るドローンを旋回しながら切り裂き、さながらブーメランの様に飛んでいく。

 

見事に3機撃墜し、1機は辛くも攻撃を交わして近づいて来る。

 

ジールの目が光る、その瞬間飛んで行った白月剣があり得ない軌道で旋回しながら真っ直ぐドローンの後部目掛けて飛んで行き、真っ二つに切り裂く。

勢いは止まず、白月剣はその先にいる姿勢を正したカントへと飛んでいき、振り返らず左手でそれを掴み取る。

 

カントは後部の端に屈んだ状態で脚を乗せ、バイクの着地と同時に前方より迫りくるドローンへ跳躍。

3体を横薙ぎの一閃で斬り伏せた後、身体を空中で一回転捻りして再度座席に跨る。

 

飛行タイプ、残り7機。

 

ドローンは形状を変えて、丸い球体へと変わり、相変わらずと言った軌道を描いてる突っ込んでくる。

 

ホルスターに銃を戻し、ハンドル操作をしながら弾の再装填をするミントリガー。

 

勢いよく向かって来る鉄球に白月剣を叩き込むが、強度が上がったのか材質が変わったのか弾き飛んだ。

 

〈さっきは斬れたのに!〉

 

〈基本形状も変わっている、密度が上がったのだろう、どう打開する?〉

 

驚愕するカントにジールは諭すと共に気付きへと導く。

 

(まずは良く見ろ、ジールは密度が変わったと言った、そこに糸口があるはず。形状が変わった、いや、畳まれた、丸い形に変形出来るとしたら?もしくはコレが基本の形だったとしたら?)

 

近づいて来る鉄球を次々と白月剣で弾き返すカントは思案する。

 

ミントリガーも鉄球目掛けて貫通弾を撃つが、凹ませるまでで貫通できず、鉄球は勢いよく吹き飛ぶ。

 

(中々硬い…だが質量が纏まった分、良く飛ぶ様だな!)

 

ミントリガーは何かを思いついた様で、ホルスターにしまい直すミントリガー、別のカートリッジに換装する。

 

その間もカントは思案し続けていた。

 

(自由自在に切り替わるんだ…なら…継ぎ目や隙間があるはず)

 

カントは弾きながらも注意深く観察する、並大抵の動体視力では出来ない。

 

そして彼は見つけた。

弾き続けた結果に入った僅かな亀裂を。

針も通るかわからないほどの狭い隙間を見つけ、切先を突き刺した。

 

刺されたドローンは沈黙してその場に落下し勢いよく転がっていく。

 

(なるほど、なんだか脳筋みたいだけど……まずは叩いて歪ませればいいんだ!)

 

カントは白月剣の峰側で強打して弾き、再度近づいてくる鉄球の歪みや継ぎ目の隙間を見逃さず刺して1機破壊。

更に近づいた鉄球に対し、刺さったままの鉄球同士をぶつけて、盛大に破壊する。

 

ミントリガーは散弾に換装し、一点集中ではなく、面での範囲攻撃に切り替え。

撃ち抜くのではなく、衝撃によって外装を歪め、内部への圧力破壊を狙う。

3連発で撃ち、3機のドローンに着弾し、内2機は沈黙して転がる。

残り1機はゆらゆらと並走するが、車体を鉄球から少し離し勢いよく距離を詰め、その勢いと共に蹴り飛ばす。

 

打開策がそれぞれ見つかり対処した結果、吹き飛んだ1機を除いて殲滅。

 

見事に第一陣を蹴散らした。

 

〈実に不快だなっ!!〉

 

唐突に怒りを露わにするジール。

 

〈どうしました!?〉

 

驚くミントリガー。

 

〈私は“科学”というヒトが作り上げた技術を高く評価している。私の助言があったとは言え、カントの鎧は仲間達が作り上げた“ヒトの叡智の結晶”それに比べ……なんと内部も外部もお粗末な機械兵器か!度し難い!無駄の極みだ!〉

 

〈あはは…お怒りのポイントそこなんだ〉

 

〈確かに戦ってみて思いますよね、システムと強度がアンバランス過ぎるというか…雑?〉

 

苦笑いするカントと、静かに納得しながら笑うミントリガー。

 

〈次が来ます!〉

 

ミントリガーが一言そう告げた後。

ジールの情報にあった車輪型が勢いよく走って来る。

丸い盾を重ねた様な車輪の様なロボット。

ミントリガーは向かって来るそれをハンドリングで全て交わし、そのまま走り続けるも、車輪は追尾して駆け回り並走して来る。

 

右側面から近づく車輪に対し、白月剣の強い一撃を喰らわし、吹き飛ばす。

硬そうな印象のため力一杯叩き込んだが、派手に壁面へめり込んだ車輪。

切り裂くことは出来なくとも、無力化は可能。

 

左から迫り来る車輪にはミントリガーがギリギリまで引き寄せて散弾を叩き込み吹き飛ばす。

 

道路には乗り捨てられ駐められた車も増え、ミントリガーは銃をホルスターに一旦収めて運転に集中し、エンジンの回転率を調整する。

 

その意図を汲み取ったカントは、可能な限り神経を研ぎ澄まし左右を見る。

 

近づく車輪に白月剣を叩き込んでいく。

 

しかし車輪の盾の様な側面のせいで中々刃が通らず、弾いては近づきを何度も繰り返す。

 

〈せめてもっと遠くへ吹き飛ばし、効率よく対処する方法はないかなぁ…〉

 

とボヤきながらも状況を見て模索するカント。

 

〈いい考えがありますよ、もう少し凌いで下さい、この先で一掃します〉

 

カートリッジを換装する。

 

〈お?わかりました!〉

 

再び次々と近づく車輪に向かい剣を叩き込むカント。

右から左から、ひいては車高の低い車を踏み台にして飛んでくる車輪もあり、それを見て目の色を変えたカントは、より観察する。

 

向かって飛んでくる車輪を真ん中から真っ二つに輪切りにする。

 

〈車ってのは生活の基盤なんだよ…それを踏みつけるって〉

 

怒りを露わにしてつい漏らしてしまうカント。

 

〈まぁ言っても…わからないかっ!!〉

 

剣速を更に速めるカント。

 

ミントリガーは視野角を最大まで広げ、何かを探す。

 

そして丁度いい位置に探していた建造物“歩道橋”が見えた。

 

一旦歩道に入り歩道橋を勢いよく駆け上がる。

全てではないものの、何体かがバイクの後ろをピッタリとついていた。

 

〈左から失礼!〉

 

上半身を右に捻る様に後方を空けるカント。

 

〈どうぞ!〉

 

そのまま追従してギャリギャリと削りながら階段を登って来た5つの車輪に向かい、先刻装填した弾丸を全弾打ち込む。

 

車輪は一瞬にして氷に包まれ、階段ごと大きな氷のモニュメントとなる。

 

〈そこで止まって、砕け散れ〉

 

登りきり一旦動きを止め再びカートリッジを炸裂弾に換えて撃ち込み、氷と共に爆散させる。

 

反対側の歩道へと階段を降り、勢いが増した事で加速したバイクは十字路を抜け、残り1kmと行った場所だった。

 

見るからに停まっている車両の数も減り、かなり開けてきた。

 

再びカートリッジを氷結弾へ換装し、ミントリガーはハンドルとブレーキを駆使して“わざと車体をスピン”させる。

 

驚きはしたがカントも即座に己が成すべき事を実行。

 

スピンした遠心力を使って並走する車輪を斬り裂くか吹き飛ばして戦力を削ぐ。

 

思惑通り猪突で向かって来る車輪は、次々と白月剣によりスクラップとなる。

 

〈止めます!斬って!〉

 

端的に伝えるミントリガー。

 

〈了解!〉

 

応えるカント。

 

そして更に車体は後輪だけを浮かせて設置している前輪を起点に旋回し、車輪の足元へ氷結弾を撃ち動きを封じた結果、横並びになる車輪。

 

そこへ後部シートのカントが旋回と力一杯の一振りで氷を斬る。

走行不能となりゴロゴロと乱雑で綺麗な断面図の見られるモニュメントが道の真ん中に出来上がる。

 

再び走り出した先には、ロボット兵器。

腕を左右地面に振り下ろしながら進んでくる。

 

左腕が地面についたそこへ、腕を伝ってバイクで駆け上がる。

そこに先刻ミントリガーが貫通弾で吹き飛ばした鉄球が彼ら目掛けて突貫しに来る。

しかしカントがすぐ白月剣を突き刺し、刺さったそのままでロボットの頭部へとフルスイング。

 

鉄球と共に飛んでいき、大きな穴ができた首元には内部が露見する。

 

肩に乗ってバイクを止めたミントリガーは。カートリッジを炸裂弾に換え、露わとなった穴に2発撃ち込み。

その間にカントもシートへ座り直して離脱する。

 

内部で炸裂した弾は他の部位に誘爆を起こして爆散する。

 

着地して走り抜いた先は公園の入り口。

 

そのまま広場へ滑り込んだ先で、3者は辿り着いた。

 

 

⬜︎月寒公園の広場⬜︎

 

 

背後には巨大なロボットが大きな音を響かせて、バチバチと火花を鳴らしながら倒れる。

 

「2分55秒…見事だ2人とも」

 

先に口を開いたのはジール。

言葉とは裏腹に、彼に喜びの感情はなかった。

 

もちろんジールだけでなく、カントも、ミントリガーも。

 

彼らの前に広がる光景は。

 

ボロボロで満身創痍ながら、闘志の炎を燃やし続けているガヲクのチーム。

 

その隣には、ミントリガーが貸した【鳥牙】を双剣状態にして構え、4人を庇う様な位置で立つウルトラマントリガー。

 

対するは筋骨隆々で大柄な大きな腕を持つ男と、もう1人。

 

「おやまぁ」

 

ミントリガーを見るや否や、男は不敵にヘラヘラと下卑た視線を向ける。

 

「また会えましたねぇ、決着…つけたかったんですよ、貴方とは!」

 

鈍くギラリと光る赤目の単眼。

北見を襲撃し混乱を招いた張本人が、そこにいた。

 

「おまえは…」

 

敵に銃口を向け、撃鉄を降ろすミントリガー。

 




読んでくださり、誠に有難うございます。
ジールをもう少しカッコよく表現したかったのですが、自分の文才が足らず、まとまらなかったので、色々削りました。

また次回もバトルパートになります。

お時間ある時にどうぞ。
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