マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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お久しぶりです。

今年2023年も残すところ1日と半日もないですね。

そんな中でも最新話となりますが。

年が明けた時でも結構です。

良かったら読んでみて下さい。


第13話 『Never Surrender』

 

⬜︎月寒公園-広場-⬜︎

◇トリガー現着直後◇

 

ミントリガーから預かった双刃剣を双剣状態にし、向かってくる車輪の機械兵を次々と叩き伏せるトリガー。

 

逆手に構え、向かってくる車輪を弾き返しつつ、ハンドスラッシュを交えての攻防が始まる。

 

「まさか北見から札幌に?…どうして」

 

「さてな」

 

エイトはトリガーを目にして疑問を浮かべるも、それに対し興味なさげに返すガヲクだが、気になる点があった。

 

「あの武器、ミントリガーさんのか。なるほど」

 

「じゃあミントリガーさんも近くにいるって考えた方がいいよね」

 

「だろうな。おそらく何らかの理由で先行させた、そんな所だろう」

 

冷静に状況を分析しているところに、ズゾロが襲い掛かり、重々しい拳を叩きつけようとする。

 

「しゃあべってんじゃああねぇやあああああ!!!」

 

振り下ろされた拳を左右で躱す2人。

ガヲクは再び交わしたと同時に地面にめり込んだズゾロの拳を踏みつけ押さえ込む。

 

「消えろと言っただろ、頭が著しく良くないらしい」

 

ガヲクの一言に全身を震わせるズゾロ。

怒りの沸点は限界をとうに越えていると見えるその形相は、額のあちこちに浮き出た血管が見える。

 

無理やり力任せに引き抜くズゾロ、冷静さを欠いているため、不具合もあってか機械の腕はバチバチと火花が放っている。

 

「ガク、残り時間も少ない」

 

「あぁ、速やかに排除する」

 

そう言って走り出すガヲク。

 

エイトは、その返しに不安を感じていた。

 

(深くスイッチが入ってる…いつものガクならこんな直接的な言い方はしない…)

 

ガヲクの特殊能力と呼んでも良い“Switch ON”は、彼自身が導き出したヒーロー像やキャラクターを設定して自ら成り切る事。

その結果、完全なるコピーに近い形で、言動、仕草、戦闘力、果ては思考すらも模倣する。

その選別には少なからず、彼自身が持つ「遊び心」から成り立っているため、幾分か彼自身の意思が反映されている。

そのため普段からどんな相手であっても言葉を選び、立ち向かうガヲク。

それは元来の性格の良さと優しさや思慮深さから成せる事ではあるものの。

 

今の彼は違う。

 

彼が今回モデルケースとして選び抜いたのは。

コミックス、アニメで人気の作品

『ULTRAMAN』より『諸星弾-もろぼしだん-』のキャラクター性質を反映させている。

 

防衛隊の実働部隊であり現場指揮を執る立場にある。

冷静かつ飄々とした言動が特徴的、悪事を働く者には情け容赦ない冷徹な一面を持つ。

 

ガヲクにとって。

今は非常にならなくてはならないと自覚はしつつ。

しかし自分には非常になりきる事は出来ないと判断。

ならばこそ“なりきる”事で、皆を護るため、それを成そうとした結果の選択だった。

 

それにより深くなりきり過ぎてしまう事を、エイトは「深くスイッチを入れる」と表現しているのだった。

 

初手はガヲク。

左脚の前蹴りを繰り出す。それを機械の腕でガードする。

その後すぐ右のミドルキックを繰り出し、2回、3回、4回、5回とムエタイやキックボクシングの様に最短距離で相手に叩き込む。

押す力、弾かれ戻る力、これを利用して下半身の体幹と上半身の捻りを利用して正確無比に叩き込むガヲク。

 

6回目にしてフェイントを織り交ぜ軽く跳び、ガードに集中していたズゾロの頭頂部目掛けて肘を打ち込む。

 

一瞬意識が朦朧とするズゾロ。

 

すかさず下がると見せかけ、ガヲクは全身のバネを活かしたドロップキックを放ち、ズゾロのガードする腕目掛けて叩き込む。

 

直接のダメージはないが、その反動でズゾロは下がり、その勢いでガヲクは後方へと距離を取る。

 

ズゾロはバランスが取れず、体勢を崩して尻もちをつく。

 

その様子を視線の端で見ていたトリガー。

 

 

◆トリガーインナースペース◆

 

車輪とドローンを一通り倒したトトリガーことケンゴ。

 

ケンゴはガヲクの戦いの様子を目にして驚く。

 

「すごい戦闘センスだ…若手有望株って本当なんだな。けどなんだろう…彼の戦っている姿を見ると、凄く辛そうで、不安だ」

 

関心するケンゴ、しかしその姿に違和感と共に不安を感じていた。

 

その不安は一旦遮られる事となる。

 

追加の機械兵がトリガー目掛けて猛襲をかけて来た。

 

「彼らのためにも、こっちは僕が惹きつける!」

 

再び戦闘体制に入り、双剣を握ったまま右手を前方、左手を胸の辺りに構える。

 

 

⬜︎公園広場⬜︎

 

 

加勢してきたトリガーは、飛び回るドローンと迫り来る車輪型の対処をする。

 

重力を無視し、縦横無尽に飛び回る姿を見て唖然とするエイト。

 

思ったよりも粘っている相手に対し忌々しくぼやくガヲク。

 

「見た目通りの重量級の様だ…鬱陶しいな…」

 

「おおおおおい!!!!」

 

状況に似つかわしくない元気な声を上げる人物。

ガヲクの仲間『マモル』と『リッシ』が到着した。

 

「だいじょぶか?!もう心配ねぇかんな!!…お?」

 

「みんな避難完了だ!…あ?」

 

「「トリガー!?」」

 

それぞれ言い終わると同時に、2人の視界に端に入った人物に対し、揃って驚愕の声を上げる。

 

「おい!ウルトラマンいんぞ!どこのアクターだ!?アレ保護しなきゃなんじゃね!?」

 

狼狽えるリッシ。

 

「いや!まず加勢だろ!!俺行くか!?俺行っていいよな!?な!!!」

 

興奮するマモル。

 

「落ち着きなよ2人とも、根本的な問題がある」

 

身構える2人を冷静に静止し、決定的な一言を伝えるエイト

 

「アクターは飛ばないし飛んでる相手を加勢する術を持ってるの?」

 

「「………あ」」

 

変わらない2人のペースに少し緊張が解けた結果、冷静に戻れた自分に安堵するエイトは、ガヲクに指示を出そうとする。

 

「よし、ガク、ここは退こー」

 

「ざあああああああけんじゃああああああねえええええええええ!!!!!!!」

 

ズゾロの怒号が響く。

 

「文明レベルの雑魚なdowner以下のくせしやがってぇ!」

 

立ち上がり腕を無造作に振り回すズゾロ、かなり頭に血が昇っている様で、まるで癇癪を起こした幼年期の子供の様な反応。

 

「なんあいつ?めっちゃブンブンぶん回してっけど、え?おこなん?引くわー」

 

「大丈夫か?どう見たって悪いのあいつじゃんか」

 

つい口から漏らしつつも、ゆっくりと拳に力を込めて構えの姿勢でズゾロに対峙するリッシとマモル。

 

案の定わかりやすく猪突猛進し、わかりやすく掴み掛かろうとするズゾロ。

 

先に前に出たのはリッシだった。

 

力を込め握りしめていた拳を開いたリッシは、伸びてきた機械の右腕の人差し指と小指を掴み押さえ込もうとする。

 

しかし重量の違いか、止めるまでには行かず、勢いを削ぐまでで留まった。

 

止められないと判ったリッシは、両腕に渾身の力を集約させ。

両腕の力を少しだけ上に上げ、全身を使って一気に下へと下げ、その場に屈む様な体制で地面へと叩きつけた腕を押さえ込む。

 

屈み切ったのと同時にリッシの頭に手を置いて、ズゾロの顎目掛けて蹴りを叩き込もうとするマモル。

 

それは僅かに届かなかった。

 

ズゾロは押さえつけられている機械の腕をその場に置き後方へと下がる。

 

焦って咄嗟に動いたせいか、再度尻もちをついてしまうズゾロ。

 

「外した!!」

 

リッシは手元の腕を見る、敵の腕は間違いなく掴んだままだった。

 

「あ!あいつ腕置いたまんまだぞ!」

 

「マジ!?外せんのそれ!?」

 

そのやりとりを見ていたガヲクは2人に近づく。

 

「ほぉ、まるでトカゲの尻尾切りだな…リッシくん」

 

そう言ってリッシの肩に手を置くガヲク。

呼ばれたリッシは顔をガヲクに向ける。

 

「ゴミ拾い参加者でない奴には、早々に持ち帰ってもらおう」

 

ニカっと笑いリッシは腕を持ち上げ、振りかぶり。

 

「なぁ〜〜〜るっ!!!」

 

文字通りの如く“腕を殴りつける”のだった。

 

追い詰められたショックか、それとも一瞬でも先刻の蹴りに恐れをなして装備を捨ててまで後退した事か。

完全に呆けていたズゾロは、勢いよく投げられた腕をモロに顔面へヒット。

 

そこにガヲクが駆け出し、ズゾロの死角から膝の裏を思いっきりローキックを叩き込む。

 

バランスを崩したズゾロだったが、なんとか踏ん張り即時に投げられた腕を着け直す。

反撃に転じがむしゃらに殴りかかるも、全てを躱される。

 

「なんか今日のガク…らしくないぞ?」

 

疑問に思うリッシ。

 

「スイッチが深く入りすぎてるんだ…」

 

懸念している点を話すエイト。

 

「それって前言ってた心配事??」

 

以前にも聞いていた様で、それを思い返して聞き返すマモル。

 

「今のガクの戦い方は、容赦ないキャラ設定を選択して、それに成り切る事を徹してる。あんなにも深く入りすぎて、負担がないと良いんだけど」

 

「それって…物忘れ多くなるとか?ってアレか?」

 

心当たりがあるらしいリッシ。

 

以前とある戦いの後、ミーティングをしていた時。

仲間の名前がパッと出てこなかった事があった。

 

頷くエイトは続けて言う。

 

「大抵は時間が経てば治っていたからいいけど…」

 

「あぁ…あいつ…気にし過ぎるとこあるからなぁ…」

 

心配そうに見る2人に対し。

 

「全然心配なくね?」

 

「「え」」

 

マモルもその前情報はすでに聞かされていたが、それをあっけらかんと言って退ける。

 

「だって終わったらだいたい元通りじゃん?今まで100%だぜ?」

 

そう言って2人を交互に見て同意を求める顔をする。

 

「のめり込むとこあっけどさ、ガクはガクだよ。信じようぜ、俺らがガク信じなきゃダメっしょ?」

 

揃ってガヲクを見る3人。

 

ガヲクはズゾロの大振りの一撃を跳躍して避けると共に、両肩へと手を置き逆立ちの状態から後方へと回り込み。

辛うじて立っていたズゾロの身体は傾き、背中を地面に叩きつけられる。

 

状況が理解できていないズゾロ。

 

今の今まで地面と接する事が経験上なかったのだろう。

茫然自失と言った表情を作っている。

 

そして今まさに無力化に成功したガクを見て、エイトは声をかける。

 

「ガク!もう十分だ!一旦離脱しよう!」

 

「エイトくん、リッシくん、マモルくん」

 

ガヲクは臨戦体制を解かず3人に言う。

 

「全員でこいつを無力化する」

 

「何言ってるんだ!もう十分だろ!そいつはもう戦意喪しー」

 

叫ぶエイトの声を掻き消す様に。

倒れていたズゾロは白目をむいたままその場で長く大きな雄叫びを上げながら荒々しく立ち上がる。

 

「upperの俺様がよおお!こんなカスどもに舐められるなんざ我慢なんねんだや!!!」

 

「あいつどうした??」

 

「まだ終わってなかったのかよ!」

 

「まずい、もう時間がない…2人とも急いで!ガクを押さえてでも離脱するよ!」

 

三度猛攻を始めるズゾロ。

 

しかしやはり見切られてしまい、イライラが募る。

 

「本当に五月蝿い奴だ」

 

ズゾロから繰り出される大振りな左フックを自身の左手に流し、ズゾロの顎に目掛けて右の肘打ちを打ち込み。

牙の様な装飾のついたズゾロのマスクを砕き、顔が露わとなった。

 

そこにもう1発肘打ちを喰らわせる。

 

 

はずだった

 

 

スーツの駆動音がピタッと止まり、途端全身が重くなる事を感じるガヲク。

 

「?」

 

疑問符が浮かぶガヲク。

 

意識が飛び飛びになりつつ攻撃が来る事を予測していたズゾロ。

 

両者のどちらかが先に動く事で大きく変わる状況。

 

そしてその軍配が上がったのは。

 

 

ズゾロだった。

 

 

受け流された腕を一気に戻し、横薙ぎの一撃を、ガヲクは右肩と側頭部に喰らってしまい。

 

吹き飛ばされる。

 

スーツの機能が止まってしまったせいで、満足に四肢を動かすことが困難なガヲクは。

まるで固定されたマネキンの様に右肩と顔面を地面へ叩きつけられ、勢いはそれでも消えず、バウンドしながらごろごろと転がって行く。

 

リッシ、マモルは素早く駆け出し、派手に転がるガヲクを全身を使い2人がかりで止める。

 

「ガク!!おい!!!」

 

「どうしたんだよ!!おいガク!!!」

 

「スーツが機能停止したんだ!2人はそのままガクを担いで!」

 

ガヲクを抱える2人に目を向け3人の前に立つエイト。

 

「「前!!」」

 

そう言われたと同時に手の甲にあるサポーターからシールドを展開させて防御するも、何かが勢いよく飛んできた。

 

野球ボール程の大きさのそれを3つ程シールドで弾いた。

 

安堵したエイト。

 

リッシは突然左肩を手で押さえる。

 

「リッシ!?エイトオオオオ!!!!」

 

叫ぶマモル。

 

エイトはシールドを敵に構えたまま振り向こうとしたが。

 

腹部に違和感を感じる。

 

左の脇腹から、出血している。

 

認識した途端、猛烈な痛みを感じ手で押さえ、その場に跪く。

 

「エイト!!」

 

リッシはエイトの方へと駆け寄る。

 

しかしそれは彼を介抱するためではなく、迫り来る敵の攻撃を押さえ込む為だった。

 

「くそがああああああああ!!!また邪魔すんのかああああああああああ!!!!!!」

 

ズゾロの機械の腕の指先が無くなっているのを目にする。

間違いなく自分と仲間に手傷を負わせたのはこの指先だと確信したリッシの感情が、怒りに満たされた。

 

「ぎゃあぎゃあうるせんだよトサカやろおおおおおおおお!!!!」

 

罵声を浴びせる両者。

 

「リッシ!離れて!」

 

言われると同時に一歩離れて下がるリッシ。

 

シールドを展開したままサポーターを外し、それを下から突き上げる様に出された両腕に当てると、衝撃で弾き出されたかの様に両手を上げるズゾロ。

 

そこへすかさず、ズゾロの顔面目掛けて何かが投げつけられ直撃。

 

地面にゴロンと転がったそれは。

 

ガヲクのヘルメットだった。

 

「チャンスだ!!みんな!!!」

 

声を上げたのは、ガヲクこと

 

ガクだった。

 

その声を聞き、一斉に動き出す3人。

 

リッシとエイトはズゾロの足を掴み、力いっぱい持ち上げる。

 

マモルはガクを支えながら近づき。

 

マモルは飛び蹴り、ガクは右ストレートを叩き込む。

 

マモルの蹴りはズゾロの顔面目掛けて直撃。

 

ガクの拳は狙いを外したとは言え、右腕の装甲を凹ませる。

 

攻撃の勢いを押さえきれなかったズゾロは、地面に膝をつく。

 

「また…まっっったがよぐぞがあああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

屈辱にまともな思考が出来なくなっているズゾロ。

 

立とうとするが、膝が完全に笑っていた。

 

驚愕の余り言葉を無くすズゾロ。

 

息も絶え絶えなエイト、ガク、リッシ、マモル。

 

完全に戦闘膠着状態と言ったところ。

 

そこに突然、黒い穴が現れ、そこからとある人物が出て来る。

 

 

◆トリガーインナースペース◆

 

「あらかた片付けた、次は……!?」

 

戦っていた4人の方に目を向けたケンゴの目に映ったのは。

 

北見の街を襲撃した犯人。

 

「あいつは…!」

 

 

⬜︎公園広場⬜︎

 

現れたには赤目の単眼にロングコートのサイボーグ『ジゼル』

 

「やれやれ、不甲斐ないですねぇ、ズゾロ……さん?」

 

「ジ…ゼル」

 

突然現れた男に警戒する4人。

 

「なんだあいつ」

 

マモルがそう言い終わると同時に、急激に距離を詰め拳を向けるジゼル。

 

そこに割って入ったトリガーは、ジゼルの左拳を右腕で受ける。

 

「また会えましたね…と言うことは、彼もきっといますよねぇ?!」

 

叩きつけた拳をそのまま無理やり押し付け、少し離れたところ。

拳銃を取り出したジゼルはトリガーと後方のガク達目掛けて乱射する。

 

それをとっさにバリアを張って防ぐ。

 

「イイ反応ですねぇ〜、ゾクゾクしますよそのセンス!」

 

「おいジゼル!」

 

突然がなりたてる声に怪訝そうに見るジゼル。

 

「テメェ邪魔すんじゃねぇ!」

 

形勢逆転と見るや否や、突然強気に出るズゾロに対し、小さく舌打ちをするジゼル。

 

「すみませんズゾロ……さん、仲間が危機的状況に思えたので加勢させて頂きたく馳せ参じた次第ですよ、邪魔はしませんので、お好きな方をお相手くだ」

 

大きな何かが倒れる音が周辺に鳴り響き、けたたましいバイクのエンジン音が近づいて来る。

 

「おやまぁ」

 

ミントリガーを見るや否や、男は不敵にヘラヘラと下卑た視線を向ける。

 

「また会えましたねぇ、決着…つけたかったんですよ、貴方とは!」

 

「おまえは…」

 

敵に銃口を向け、撃鉄を降ろすミントリガー。

 

視野角を可能な限り広げ、状況を把握するミントリガー。

 

素顔を晒し、頭から血を流すガク。

腹部を押さえて苦悶の表情を作るエイト。

目立った外傷はないものの、息も絶え絶えのマモル。

怪我はしているものの、息を整えつつあるリッシ。

 

「久しぶりだな、ガヲクチーム」

 

ジゼルに銃を突きつけたままガヲクの面々に向けて声をかける。

 

「随分と男前になったみたいだな、かっこいいよ、君たちは」

 

その言葉を聞き、何かを察したのか、カントは各々の名前を呼ぶ。

 

「ガクくん、エイトくん、リッシくん、マモルくん」

 

ハッとなりカントと目を合わせる一同。

 

「ここから先は僕らにもカッコつけさせてもらうね」

 

唖然としている4人の中で、唯一意図を勘付いた人物が口を開いた。

 

「しゃーねーっすね!じゃあ俺らは市民の防衛につきます!!」

 

「おいマモッー」

 

マモルの発言に意見しようとしたリッシの口を塞ぐマモル。

 

「おらみんな行くぞ!」

 

ガクを抱えていそいそとその場から立ち去るマモル。

 

それに追従する様に何か言いながらマモルについていく

 

「トリガー!」

 

ミントリガーはトリガーを呼ぶ。

 

「頼む」

 

頷くトリガー。

 

撤退して行くガヲクチームのしんがりを務めるのだった。

 

 

⬜︎公園内大通り⬜︎

 

 

「おい!マモル!おい!」

 

黙ってガクを抱えて歩み出したマモルに声を荒げるリッシ。

 

「お前無視すんなよ!なんであそこで引くんだよ!俺らはまだ」

 

「わっかんねぇのかよっ!!」

 

怒りと苦悶の表情で涙を堪えるマモルに気圧されるリッシ。

 

「俺たちは…ものすんげぇ気ぃ遣われたんだよ!!先輩達に!!!」

 

気遣い。

 

それは尊重と思いやりの善意からなる行為。

 

しかし、それは時としてそのベールの下にある真理に勘づく人へ、深く傷つけてしまう行為となる。

 

それをいち早く感じとったのは

 

紛れもなく

 

マモルだった。

 

「あっこで俺たちは邪魔だったかもしれない…そう言うのは簡単だったのに言わなかったんだ!俺らが弱かったから!!」

 

「はぁ!?まだ俺らはやれたぞ!ざっけんなよ!」

 

「いや…あのまま戦ってたら、僕らは足手纏いになってたかもしれない」

 

冷静に今の状態を分析するエイト。

 

「少なくとも僕は、役立ててた自信ないよ…」

 

体制を崩しかかったエイト。

 

そこに瞬時に現れたのは、トリガーだった。

 

それを朦朧とした意識の中で真っ先答えたのはガクだった

 

「トリガー…ありがとう…」

 

「ガク!?…」

 

「起きてるかガク!?」

 

ガクは各々の顔を見て、なんとか笑みを作る。

 

「悔しいな…気を遣われたこともそうだけど。わかっていても、まだまだ僕らは…未熟だった。それがとても…」

 

下唇を噛みながら、苦悶の表情を作るガク。

 

「強くなろうよ!ガクだけじゃなくって、僕達も!」

 

トリガーに支えられながらも、ガクの肩に手を置くエイト。

涙を浮かべながら、強い眼差しでしっかり見据えて来る。

 

「あぁ…強くなろうぜ、俺ら今までガクだけにその役目背負わせてたじゃんさ?俺らも強くなって、そんでもってさ」

 

マモルは片腕を高々と上げて言う。

 

「“チームガヲク”じゃなくて、俺もガクもエイトもリッシも“ガヲク”を名乗るんだ!!」

 

「だな…1人でも全員でも“ガヲク”やろうぜ!!今はそのための」

 

「「「「一時撤退だ!!!!」」」」

 

ガヲクチーム改めて

 

チーム名『ガヲク』

 

戦線“一時”撤退

 

 

 

 

「つーか…え?これマジトリガー?なんでここいんだ?」

 

今更な反応を示すリッシだった。




読んでくださりありがとうございます。

また次回もバトルになります。

よろしくどうぞ。
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