マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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少し遅れました。

今回は前編と後編の様な構図にしました。

わかる人がいらっしゃるか不明ですが、私の作風には全面的に

元ラーメンズ 小林賢太郎さんに関連する小ネタを仕込んでおります。

わかる人がいると非常に嬉しいのですが…


よろしくどうぞ。


第18話 『合成獣-キメラ-の王』

 

 

 

⬜︎北見市-7日堂 店先-⬜︎

 

 

食事を終え、ひとときの他愛のない団欒を楽しんでいた清掃班とヤバイ仮面達。

 

そこに突然

 

彼らの持つ端末に、緊急通知が流れる。

 

それに次ぐ様に、激しい破砕音と車のクラクションが、彼ら宣告までいた、工事現場の方面より聞こえて来るのを耳にする。

 

一同は一斉にその場から立ち、店の外へと飛び出した。

 

「なんの音だ!?」

 

「社長!あの方角!」

 

1番勢いよく店を出たヤバイ仮面とシャベリーマン。

 

工事現場の方に、土煙が立ち

 

黒い煙が登っていた。

 

間違え様のない異常事態を目の当たりのした職員達は、一瞬にして切り替える。

 

「全員裏口に回って避難だ!!!焦らずゆっくり!!!」

 

待機列の客に向かって、怒号にも似た声で叫ぶ新井。

 

「父ちゃんは俺が運ぶ!安蒜!おまえは母ちゃんを!」

 

「私も手伝います!」

 

新井の指示を聞き、率先して申し出るシャベリーマンの顔を見て、深く頷く新井。

 

「シャベリーマン!」

 

ヤバイ仮面は一点を見据えて、部下の名を呼び、指示を出す。

 

「お前は彼らを安全な場所まで送れ!」

 

「え?社長?どこ行くんです??」

 

「私はあそこに行く」

 

「あそこってそっち現場じゃ!?社長!!」

 

真っ直ぐと工事現場のモール前に向かうヤバイ仮面の背中を、もどかしく見るシャベリーマンだったが。

託された自身の役目を、全うする事にした。

 

 

⬜︎北見市市庁舎-市長室-⬜︎

 

 

「報告は以上です、文書にも纏めておきます」

 

ジールとの会合と敵との戦闘について、口頭での報告を終えたミントリガー。

 

「大丈夫だよ、今の報告は録音したから、議事録はこっちで用意しておくよ。私もたまにタイピングしないと、すぐ怠けちゃうからさ」

 

ICレコーダーをチラッと見せて、指先を動かしタイピングしている動作を見せながら、笑顔を向ける天城。

 

「サボる口実を作らないで下さい。議事録は私がやります」

 

上司の発言に釘を刺す愛宕屋は、口の両端こそ笑っているものの、目は一切笑っていない。

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

ふふッと静かに笑ったミントリガー。

 

のどかな空気を掻き消すが如く

彼らの端末に、緊急通知と庁舎内の警報が鳴る。

 

「まったく、こんな立て続けに…」

 

天城は通知を見て、珍しく悪態をつく。

 

「何者かが昨日の事件現場で暴れている様です」

 

通知を冷静に読み上げる愛宕屋。

 

「愛宕屋くんは司令室にて指揮。現場職員に市民の避難優先とし、状況把握を急がせなさい」

 

「承知しました」

 

指示を受けた愛宕屋は市長室にある絵画を額縁ごと外し、その奥に隠されたレバーを引くと、隠し扉が現れる。

 

その後、その先に入るでもなく、急いで社長室の窓を全開にする。

 

「ミントリガーは現場に急行」

 

天城はミントリガーに向け指示を出す。

 

カジュアルな服装から通常のスタイルに早着替えを終え、全開となった窓へと近づく。

 

「状況は追って伝えます」

 

全開にした窓を押さえながら愛宕屋はミントリガーに言った。

 

「了解しました、行きます!」

 

勢いよく外に飛び出し、そのまま上空へ飛び去って行った。

 

愛宕屋が窓を閉めた途端、再び端末が鳴り出す。

 

「そんな!?市長!」

 

通知を見て、愛宕屋が慌てて天城の元へと近づく。

 

「紋別でも問題発生です」

 

通知の内容は

 

紋別のイベント会場にて、敵の襲撃があった事が記載された通知だった。

 

「よりによって…」

 

苦虫を噛み締めた様に渋い顔をする天城。

 

「愛宕屋くん、司令室の指揮は私が取る。君は調査部を動かして各行政に通達及び紋別の状況をいち早く確認と共有。君の裁量と判断で構わない、市民の受け入れ、もしくは誘導の人員選出も視野に入れて動いてくれ」

 

天城は愛宕屋の肩に手を置き、指示を出す。

 

「委細承知しました」

 

端末を取り出し、豪快に市長室のドアを開け放ちながら、何処かへと電話をする愛宕屋。

 

口調は完全に、駿菊モードに変わっていた。

 

「慌ただしい日々が続くな…」

 

愛宕屋が出て行ったのを確認し、宣告開け放たれた、隠し扉へと向かう天城。

 

その先には、小さいエレベーターがあり、それに乗り込み、ボタンを押す。

 

エレベーターは下へと下がっていく。

 

胸ポケットから、懐中時計を取り出し、ボタンを押して開く。

 

時間を確認したのではなく。

 

蓋の裏には、天城にそっくりな老いた老人と、瓶底の様なメガネをかけた少年が写った写真が入っている。

 

「平和維持は難しいですね…祖父様」

 

写真に写し出されていたのは、天城の祖父と10歳前後の天城だった。

 

蓋を閉じ、胸の前に一度ギョッと握りしめて、懐ではなく、背広の胸ポケットに入れ、胸を手のひらで2度叩く。

 

エレベーターは止まり開け放たれた先には、様々なLEDで彩られ、まるでゲーミングPCさながらのキーボードや機材。

 

たくさんのモニターが各デスクに設置され。

男女総勢20名以上のオペレーターが並んで座っている。

 

エレベーターが開け放たれた事に気づいた者から順に席を立ち、気をつけの姿勢で天城を凝視する者もいれば、驚きのあまりざわつく者も見える。

 

天城が来たのは宣告通り、ヒーローや現場職員達のサポートと指揮命令を司る【司令室】だった。

 

「いつもは愛宕屋くんの役目だが、緊急のため指揮は私が取る!みんなよろしく頼む!!」

 

各々、事の緊急性を実感した司令室の一同は、一斉に

 

「よろしくお願いします」

 

と合わせて応えた。

 

 

⬜︎北見市上空⬜︎

 

 

上空1000mに到達したミントリガーに通信が入る。

 

〈天城だ、聞こえてるかいミントリガー〉

 

「市長?愛宕屋さんじゃないんですか?」

 

出る前と状況が違う事を気にするミントリガー。

 

〈彼には他に当たってもらっているが、その説明は省く。落ち着いて聞いてほしい〉

 

前置きを聞いて緊張が走るミントリガー。

 

〈現在紋別でも、同時に襲撃があった、状況は確認中。取り急ぎ、君の向かっている場所の情報を伝えて貰うよ〉

 

「…わかりました」

 

今すぐにでも駆けつけたい気持ちだが、感情を抑えて任務に徹する事に切り替えたミントリガー。

 

通信は天城からオペレーターに変わる。

 

〈司令部よりミントリガーへ。現場は昨日の事件現場、モールエントランス前の車道です。避難誘導は現在3割、目算では10分必要かと思われます。〉

 

「敵の情報はわかりますか?」

 

〈獣の様な異形のモノが多数、例の穴から出現した模様ですが、そちらの討伐は終わってます〉

 

「終わってる?」

 

予想外の返答が飛んできた事に驚くミントリガー。

 

オペレーターは続ける。

 

〈監視カメラの映像から確認しましたが、ヴィークが殲滅した模様〉

 

(あいつ…そんなとこにいたのか…)

 

〈ヴィークとのコンタクトが取れておりません。信号も追えないため、端末を切っている様です〉

 

(切っている…一体なんのつもりだ…何かあるんだろうが…やれやれ……)

 

相棒の行動が読めない自分に苦悶するも、今は状況把握に努める。

 

〈加えて別情報ですが。復興支援中の“悪の秘密結社”の方々が近くにいるという事。ですが戦力としてカウントしない様にと市長より申し伝えられてます〉

 

ケンゴが来てから、状況が目まぐるしく変わっていたとは言え、その後の彼らの情報は失念していたことに気づく。

 

復興支援を手伝っている事には、流石に予想外だったミントリガー。

 

〈彼らはあくまで復興の手伝いをしてくれているだけです、私たちを手伝う義理はないため、こちらの事情に巻き込む訳にはいきません。可能な限り我々で対処しましょう〉

 

「了解、あと5分ほどで現着します」

 

 

◇数分前◇

⬜︎モール前⬜︎

 

 

黒い穴からどんどん虎が現れるが、出てくるたびに目に止まらぬ抜刀で切り抜けて行くヴィーク。

 

あちこちに虎の頭や四肢が転がる。

 

その光景は文字通り

 

死屍累々と言ったところであった。

 

「あぁ〜あ…用意した合成獣-キメラ-が…どうしてくれるのさ?」

 

残念そうな仕草をするエレ

 

「帰ったら怒られちゃうじゃん」

 

仲間を討たれた事実よりも自身のその後が心配なエレは、心底不満そうにする。

さながら拗ねた子供の様子。

 

蹴散らされた虎の死骸を掴み

 

ヴィークに次々と投げつける。

 

それを最小限の動きで避けるヴィーク。

 

そんな中でも穴からは絶えず虎が出現し、ヴィークへと飛びかかって来るが。

それらを見事一閃で始末して行く。

 

痺れを切らしたエレは、再び直接攻撃を仕掛ける。

 

大きな二対の腕を振り回し、殴る、引っ掻く、掴みかかるとあの手この手で攻めている。

 

しかしヴィークは全ての攻撃は掠りもしない。

 

「ちょこまかと鬱陶しいね」

 

「おまえはうるさいよ」

 

納刀し、今まで躱してきた攻撃を、柄頭で相手の拳に叩きつけ、逸らすか弾くかで対処をする。

 

戦闘開始時には気怠げそうにしながらも余裕が見えていたエレだったが。

襲撃が初手で潰された上に、攻撃がうまく行かず、しだいに感情的になって行く。

 

それに対し、ヴィークは最初こそ憤慨していたが、冷静に相手の動きを読み、着実に追い詰めて行っている。

 

その最中に、乱入者が現れる。

 

「貴様ああああああ!!!!!!」

 

ヤバイ仮面の音声変換で独特なエフェクトがかかった、怒号があたり一面に響き渡る。

 

ヴィークはビクッとなり動きを止める。

 

「よくも…せっかく直した道を…そのうえこんなに汚しおって…」

 

あたり一面の惨状を見て、怒りに身を震わせる

 

乱入者の姿を見たエレは、何かに気がつく。

 

「お前たしかぁ…ジゼルの話し蹴ったバカだっけ?」

 

嘲笑うエレ。

 

ヤバイ仮面はその言葉を聞き、全意識をエレに集中させる。

 

「貴様……ジゼルの仲間か」

 

ただでさえ虫のいどころが悪いヤバイ仮面にとって、1番耳にしたくない名前でもあった。

 

「なら遠慮は必要ないな」

 

なぜならそれは彼らが今ここで、復興支援をさせられている、元凶の仲間が目の前におり。

何より、そんな相手に謀られた己への不甲斐なさに憤りを感じる。

 

「ホウレンソウの“ホ”の字すらまともに出来ないとはな」

 

組織体系はさっぱりわからないものの、敵であるはずの情報を共有しない。

 

それ即ち

 

相手は完全に

 

こちらをなめきっている事

 

それが1番許せないことだった。

 

ヤバイ仮面は左腕のアームカバーに隠してある操作パットを起動。

 

ベルトの右腰に着いたボタンを、

迅速且つ正確な順序で入力。

 

「“悪を成す”ことと“破壊”は“我々”にとって同意ではないと伝えたはずだ」

 

言葉を発し終わると同時に。

 

青黒い炎の様な霧に包まれ、金属が折り畳まれ、重なる様な音をさせるヤバイ仮面。

 

エレはその様子を見て、またもや虎を数匹呼び寄せ指示を出す。

 

1匹の虎は一目散に霧へと飛び込んでいくが。

 

霧の中で宙吊りになり、ジタバタともがき出す。

 

やがて音は鳴り止み、霧が消えると。

 

配色はさほど変わってはいないが

 

アーマーの形状が変わり

 

全体的に引き締まった形となった

 

虎の首を片手で掴む

 

ヤバイ仮面の姿がそこにあった。

 

虎はなおも抵抗を続けるが

 

ヤバイ仮面はそのままエレ目掛け、振りかぶることもなく易々と放り投げる。

 

それを肥大化した片手でキャッチするも、勢いを殺し切れずズズっと数cm下がったエレは

 

純粋に驚愕していた。

 

そこへ

 

「ヴィーク!」

 

上空より白い影が降り立ちヴィークを呼ぶ。

 

「ミントリガー!」

 

呼ばれたヴィークは、相棒の元に駆け寄る。

 

ミントリガーは真っ先にヤバイ仮面を見やる。

 

「社長、あなたは避難をー」

 

「断る!」

 

言葉を遮られたミントリガー。

 

「折角直した道を、こいつは壊し汚した!道は生活の要だ!労働者の功績そのものだ!!それを奴らはいとも容易く穢した……」

 

労働者の苦悩と苦労を代弁し、何より共に現場に立った者の無念を代弁するが如く、両拳を握り震わせる。

 

「不愉快極まりない…」

 

相手を一瞥もせず指差し、ミントリガーに訴えるヤバイ仮面。

 

「こいつにはケジメはつけてもらう。市長にもそう伝えておけ!」

 

身体をミントリガーに向け、言い放ったヤバイ仮面。

 

ミントリガーは唖然とする。

 

〈ミントリガー聞こえますか?〉

 

そこに通信が入った。

 

〈そこは彼とヴィークに委ねましょう。ヴィークには端末をつける様に要請し、貴方は早急に紋別へ向かって下さい〉

 

「何かあったんですか」

 

〈紋別市より貴方には護衛依頼が来てます、詳細は移動中に〉

 

オペレーターの声は若干震えていた事に気づくミントリガーは、それ以上この場で言及する事をやめた。

 

「了解」

 

指示に従い、ミントリガーはヴィークを呼ぶ。

 

「ヴィーク、端末は持ってるな?」

 

「ん?あるけどなんで?」

 

懐から端末を取り出すヴィーク。

 

「電源切ってるだろ」

 

「え?あ!…ごめん忘れてた…ごはん中だったから」

 

そう言いながら、電源を入れ直すヴィーク。

 

ミントリガーは一息ふぅと吐いて、話を続ける。

 

「そうだったんだな、何かあったわけじゃなくて良かった。すまんが簡単に説明するぞ、耳を貸してくれ」

 

ミントリガーは耳打ちで状況の説明を簡単にする。

 

・紋別でも襲撃があった事

・自分は紋別に急行する事

・ここはヤバイ仮面と共に任せる事

 

「わかった!終わったらそっち行けばいい?」

 

その言葉を聞き、少し笑ってしまうミントリガー。

 

ヴィークは基本天邪鬼な性格ではあるものの、出来る出来ないの判断は早い。

この状況にも関わらず“終わる”事を視野に入れた発言に、ミントリガーにとっては何よりも心強かった。

 

「ああ、先に行ってる」

 

ミントリガーは飛翔する体制に入った。

 

「社長!」

 

ミントリガーに呼ばれるも、既に敵を凝視して睨みを利かせているヤバイ仮面に対し

 

「ここは任せます」

 

ミントリガーは一言添えて、その場を飛び立った。

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。


以前読者の方に「ドゲンジャーズは出ますか?」と聞かれましたが。

私は「ドゲンジャーズとしての活躍頂く予定はありません」と答えました。

その理由は今回の話しにあります。

ドゲンジャーズ自体は私も良いコンテンツだと思います、しかし

私なりの解釈で、私が構築世界に生きる、ヤバイ仮面さんを書きたかったので。

ドゲンジャーズシリーズとして出してしまうと、どうしても制約が出来てしまうため、出来ませんでした。

その為、ローカルヒーロー、ローカルヴィランと言う概念を無くして
その世界に生きて生活している存在とさせて頂いた次第です。

これからも、きっと誰も見たことのない、かっこいい彼らを書ける事を、目指したいと思います。
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