生活の基盤と言える業務内容が再び変わったため、落ち着いて創作活動ができずにいました。
コツコツと書いてはいたのですが、かなりの難産でした。
かなり雑な文章になっている気がします。
ご容赦ください。
楽しんでいただけることを祈ります。
「竜人さん!!」
先の戦闘で負傷し生死を淵を彷徨い、奇跡の全快による生還を果たした竜人は、仲間たちの前でゆっくりと満足そうに目を瞑った。
その姿に焦り駆け寄る沼上だったが、きよっぴが両の手を向け静止させた後、穏やかな声色で彼女に伝える。
「大丈夫、眠っただけだよ」
その言葉を聞き、今日1番の安堵と深いため息をつく沼上。
きよっぴは眠っている竜人に目を向け、安心する反面、今も変わらず黄金色の膜に包まれている竜人の現状について思案する。
(なんだろう…この光…龍神の光と、何か違うモノが混じっている様な…)
その源流が、竜人をセイリュウジンたらしめる【龍神の加護】とも呼べる源。
しかしそれとは違う気配を感じていたきよっぴ。
それは、まるで龍神の力と竜人を包み支える様に、優しく、慈愛に満ちていた。
それぞれの流れる力の本流を覗こうとし、竜人に直接触れようとするきよっぴ。
その直後、竜人だけがあたかも時が隔離されて止まったかの様な現象が起こる。
「万が一のために時間を停めた」
【タイムジャック】
エンガイザーライジングが行使する特殊能力。
対象の時間の流れを隔絶し停止させる。
精神統一の一貫の上に成り立つ技術で、繊細且つ緻密な精神操作が必要とするため、ライジング自身も使い所に悩んでいる。
「知っての通り、こいつは結構精神を消耗するんだ、長くは保たない。気持ちはわかるけどさ、探るのは今じゃないと思うぜ」
その言葉にハッとするきよっぴ。
ライジングの能力は仲間であるきよっぴも把握はしているため、その負担を良く知っていた。
気になる点は多いものの、ひとまずは仲間の安否を優先にする事にした。
「そうだね、ありがとうライジング。運び出そう!」
停止した状態の相棒の状況を確認し、担ぎ上げるきよっぴ。
「ガリヤーさん!こちらへ!」
宮村がガリヤーに声をかけ、後部ハッチへ誘引する。
中には、大きな箱型のコンテナが積められており。宮村がハッチのドアロックを全て開放する。
車内にあるレバーを下ろすと同時に、車体後方へコンテナは、重々しい音を鳴らして地に落とされた。
「その液晶に手を翳してください!班長が言ってました、新しいガリヤーさんの“拳”です!」
ガリヤーは言われるままにコンテナ上部にある液晶へ手を翳した。コンテナはゆっくりと解錠され、中身が露わとなる。
中には破壊されたガリンコナックルと同様に赤とシルバーで彩られた、機械式の巨大なガントレットが、手のひらを半開きにした状態で格納されている。
「これが…新しい僕の”拳“」
中身を直視したガリヤーは、一言発して息を飲む。
〈この装備はユーザー登録がされておりません。マスター、レジストアクティベーションを行います。右前腕部にナックルの装着を推奨します〉
緊張していたところを、相棒の淡々とした言葉に促され、挿入口に腕を入れるガリヤー。
腕が入り切り、ロックされる感触を実感する。
その姿を恐る恐る覗き込む職員2人は、緊張と不安の表情を作っている。
「沼上さん、宮村さん、ありがとう」
彼女たちの心情を感じ取ったガリヤーは、2人に向けて優しく伝える。
〈スーツ内のメモリー情報転送。ユーザー『鴻野ミナト-こうのみなと-』の情報を入力。コアユニット確認。エンジン起動。各部信号回路。各部アクチュエーター異常なし。…〉
機械音とビープ音が交互に鳴り、一つ一つのチェックが続く中、ガリヤーは深呼吸をしながら、相棒の準備完了を待つ。
〈システムオールグリーン。【ガリンコナックルⅡ(仮)ver.7】をアクティベートします。マスター、名前の登録を〉
「名前?僕の名前は登録したでしょ?」
〈装備の正式名称を今決めます〉
「え!?今!?そんなの後でいいじゃん!」
MERUの思わぬ言葉に驚き、声が上擦ってしまう。
それに対し、いつも通りに淡々と続けるサポートAI。
〈ネガティブ。(仮)などの低俗な名前でよろしいのですか?ワタシはごめんです〉
「急に我儘言うじゃん君…」
唐突な自己主張に苦笑いし、緊張していた心を落ち着かせる事が出来たガリヤー。
〈マスター、名前を〉
しかし、淡々と急かしてくるMERUに対し、ガリヤーは強く返す。
「ああ!わかった!なら君が決めてくれ!」
〈…ワタシ、がですか?〉
一瞬の沈黙の後、抑揚のない自動音声が、何処か端切れ悪く返事をした。
それが何か可笑しく感じたガリヤーは少し噴き出してしまいつつ、いつもの優しいトーンで言葉を伝える。
「うん、相棒がつけてくれた名前なら、文句は絶対言わないから」
〈……ラジャー。装備名称変更。命名【ガリンコGFナックル】と致します〉
「GF?」
「マスターの求めた“動き掴める指”から着想を得て“Grab”と“Finger”の頭文字を取りました。安直かもしれませんが、シンプルで分かり易い方が良いと思いましたので…変更はまだ可能です」
何処か不安そうに感じた相棒の反応。
それには間違いない尊重の気持ちがあった事に、嬉しくなったガリヤー。
「いいじゃん、それで行こう!」
〈イエス、マスター。登録およびユーザー認証完了。全てのロックが解除されました。【ガリンコGFナックル】アクティブ。ゆっくりと拳を握り、慎重にコンテナから引き抜いて下さい〉
指示を聞き、頷くガリヤー。
半開きにだったガントレットの指は、機械とは思えないほど滑らかな動きを見せ、一本一本花びらが閉じる様に集約される。
ガリヤーは後ろに下がりながらコンテナから引き抜き、半分埋まった状態だったナックルは、その全容が明らかになる。
ナックル全体の印象は以前と変わらないフォルムをしていたが、随所で色彩のコントラストが鮮やかさを増し、メインカラーの赤はスーツに合わせたガンメタリックレッドとなり、細部のディティールが掘り込まれ、白とシルバーのアクセントがより際立っている。
円錐形の2ステップドリルも2門新調され、艶のないレッドだった切れ刃も、微粒子の輝きを携え、まるで熱を持ったかの様な印象が伺える。
〈マスター、一度拳を降ろして下さい〉
MERUにそう促されたガリヤーが約4倍の体積を誇る拳を下に降ろした途端、折りたたまれていた鉄板が肩まで擦り上がり接続、形状を蛇腹の様に変え、見事に右腕全体を被う強固なショルダーアーマーとなる。
握った拳を開き、指を動かすガリヤー。
一本一本遅延なく、彼の意思通りに動いている事を確認し、小指から親指の順番に折りたたみ。
作り上げた鋼鉄の拳でガリヤーは渾身の正拳突きを放つ。
質量と大きさからはあり得ないスピードで繰り出された正拳突きは、辺りに大袈裟な程、空気を震わせる。
感触は非常に良いものの、大きな違和感を感じるているガリヤー。
「前より軽く感じる、軽量化に成功した?」
完成するまでの期間、ガリヤーは装備運用テストのため、多くのプロトタイプを装着してきた。
多少なりともその大きさと重量にはストレスを感じていた。
それが今、完成品と至った新しい拳の感触は、最初からあった手足の様に錯覚を起こすまでになっている事に、驚いている。
〈ネガティブ。総重量、総面積は共に以前の1.7倍です。ですが現在のスーツに最適化されているため、殆ど重量を感じない仕様になっております〉
「そういえば、新しいスーツができた時にそんな事言われたな…」
左手を首の後ろに当てて、軽く天を仰ぎ何かを思い出したガリヤー。
〈加えて、肩を覆うショルダーアーマーが駆動系の補助も担ってますので、今までよりもよりシームレスな運用が可能となっているのです〉
「なるほど、解説ありがとうMERU」
ガリヤーは真っ直ぐ前を向く。
「ライジング!きよっぴ!竜人を頼むよ」
敵を一点に見据えたまま、仲間たちに声をかけたガリヤー。
その背中を見て、きよっぴとライジング、職員の2人は安心する。
「任せて」
きよっぴは静かに応え、ライジングは手を振って返事を返す。
ガリヤーは職員の2人に目を向けた。
「宮村さん、沼上さん、2人も気をつけて」
彼女達は職員とは言え、非戦闘員。
仲間たちとは違って、目を見て伝える必要があると思っていたガリヤー。
「「ご武運を!!」」
しかしそれは杞憂だったと思い知る。
宮村と沼上の眼は、この状況にも関わらず、強い眼差しを向けていた。
仮面の下で驚きつつ笑顔したガリヤー。
そして迷わず敵に向かって駆け出した。
一方で共に動き出そうとしたミントリガーだったが、竜人を救ったアマテラスの行動に虚をつかれる。
アマテラスは敵とは関係ない方向に全速力でかけて行った。
(まずい、今見失ったらっ!)
手がかりを失うわけにはいかないと思いつつも、一切油断できない敵の存在も気掛かり。
迷ったミントリガーの元へ、一つの黒い閃光が戦地に降り立つ。
「ミントリガー!」
ミントリガーと同じ鳥類種でありヒーローのヴィークが、今まさに現場入りした瞬間。
ミントリガーは愛銃のセーフティロックを掛けて相棒に近づく。
「いいところに来た!」
ミントリガーはヴィークの胸の前に愛銃の蒼禅空を差し出し、アマテラスが走り去った方角を指差す。
「俺はあの白いのを追う、ここは任せた」
簡潔に言い放つミントリガーに対し一瞬硬直するヴィークだったが、戸惑いながらもミントリガーの指差した方角を見る。
「白いの?はぁ!?こんな時に犬追いかけてる場合!?何勝手なこと言ってんの!?それにオイラ銃なんか使えないよ!?」
遠くで白い狼の姿が見え、相棒の目的は聞き取れたものの意図を理解が出来ず、反発するヴィークだったが。
「練習してたのは知ってる」
「エッ!?なんッ!」
ミントリガーの一言にギョッとするヴィーク。
半ば押し付ける様に蒼弾空を預けるミントリガーは、ヴィークの肩をグッと握る。
「頼んだぞ、相棒」
そう言って、高く飛翔したミントリガーは、アマテラスを追った。
一瞬呆然とするヴィーク。
相棒と呼ばれ、その愛銃を託され、この場を任された事をじわじわと認識する。
「ったく……相棒とか…勝手なんだから…ほんとに…」
ヴィークは左手で愛刀の爪牙を取り出し、鞘に納めたまま力強く地面に突き刺す。
蒼禅空のセーフティーを解除し、チャンバー内の弾倉を確認。
突き立った刀を鞘から左手で引き抜き、2回素振りをした後逆手で構える。
「ほんっと!めんどくさいなぁ!!」
言葉とは裏腹に、嬉々として照準を確認しながら、敵との距離を測る。
◇1分前◇
⬜︎最前線⬜︎
トリガーが正面から敵を力で押さえつけ、堅実に関節部を攻撃しているドラゴンとパラディン。
敵幹部アーラとヒーロー達が応戦している最中、勢いよく猛進する赤い戦士。
「伏せて!!」
後方から仲間に声をかけ、巨大な拳を振るい、アーラに一撃をお見舞いするガリヤー。
アーラの巨体は約1m半後退する。
予想以上の質量と破壊力に驚愕するアーラに構わず、ガリヤーは大きく開いて手のひらで鋭く尖った左前脚を掴み左右に揺さぶり、平行バランスを奪う。
傾むき踏ん張ろうとしたアーラに対し、掴んだ脚を引き寄せるガリヤー。
見事に前屈みに倒れかかったアーラ目掛け、両脚を地につけてしっかり踏ん張り、ドリルの回転を加えた正拳突きを放つ。
アーラは咄嗟に固い甲羅の爪で防ごうとするも、回転する鋭利なドリルの掘削に負け、防いだ腕は絡まり根本から抉り取られ。
慣性の法則と運動作用を利用したガリヤーの拳がアーラ本体に叩き込まれ、弾き飛ばされたボールの様に十数メートル戦線を下げられる。
「お前、それ!むちゃくちゃカッコよくなったじゃねぇか!」
「これでアドバンテージは私達に傾いたな」
凄まじい威力、甲高く耳に刺さる回転音、仲間の見慣れない装備と姿に、パラディンとドラゴンは嬉々として声を上げた。
トリガーもガリヤーの一撃に合わせて、ヒーロー達の傍で敵を牽制しつつ後退していた。
「みんな、ほんの少しでいい。奴の動きを止めてくれ」
拳を突き出し、未だもんどり打つ敵に向けるガリヤー。
「アイツは、僕とトリガーで仕留める!」
その言葉に反応したトリガーはガリヤーを一瞥し、頷いてみせた。
手首をくるりと一度回し脱力したかと思いきや、握り拳を打ち鳴らしたドラゴン。
「なるほど、言い切ったな」
盾を突き出し、ガリンコGFナックルに向けるパラディン。
「後からなしとかゆるさねぇぞ。あと力み過ぎだ、らしくねぇ」
意図を察知したガリヤーは、軽く小突く様に盾を叩く。
「うん、2人とも、よろしく!」
その言葉を聞いたパラディンとドラゴンは、脱兎の如く敵へ駆け出し。もんどり打ちながら体制を戻すアーラを阻止しようと奮戦する。
「トリガー」
拳を握り、構え直して準備を整えようとしたトリガーを、ガリヤーが呼び止める。
「すぐに終わるから、少しだけ聞いてくれるかい」
真っ直ぐ敵を見ながら、トリガーの右隣に立ち、話し出すガリヤー。
「君は言ってたね“みんなの笑顔を護りたい”って」
トリガーはじっとガリヤーを見つめ、頷いて見せる。
「僕はひょんな事から、ヒーローとなって“みんなの笑顔の連鎖で世界平和”ってのを目標に掲げてる。少し違うけど、セイリュウジンも“笑顔のため”戦っている」
依然正面を見据えながらガリヤーはトリガーに言葉を紡ぐ。
それに応える姿勢でトリガーは大人しく、ただひたすらガリヤーに耳を傾けていた。
「トリガー…いや、ケンゴ……僕らは同じ“みんなの笑顔を目指し戦っている”仲間だ」
ガリヤーはトリガーを
マナカ・ケンゴを呼び
今は光の戦士の姿にある彼に焦点を合わせ、先刻装着したナックルの拳を握り直す。
「頼む!みんなの笑顔のために……僕と一緒に…」
今一度トリガーに身体ごと視線を向け
一緒に戦ってくれないか?
ガリヤーは、そうトリガーに言うはずだったが、途中で止めてしまった。
トリガーが真っ直ぐガリヤーを見据えながら右拳を握り、腕の甲を向けられ、驚きのあまり止まっていた。
ガリヤーはその所作の”意味“を知っている。
【クロスタッチ】
光の戦士達の間で組み交わされる、絆を表す挨拶の一種。
トリガーことケンゴにとっては、隊員同士で日常的に交わされる挨拶の一種だったが。
ガリヤーにとっては、それを向けられ受け止める意味合いが違った。
目の前にいる存在は、彼からすれば“昨日まで空想特撮の代表格”である“ウルトラマン”の1人。
その彼が、光の戦士達が交わす絆の証を、自分に向けている。
それはつまり
ウルトラマンとの確かな絆が出来た事を示していた。
知っている者からすれば、叙勲に近い程この上ない栄誉。
喜びに震える身体を抑え、ガリヤーも左腕を上げ、クロスする様に腕を当てる。
「ありがとう…行こう!トリガー!!」
紋別の守護神ガリヤーと光の化身トリガーが動き出す。
一方、ドラゴンとパラディンに阻まれつつも体勢を整えたアーラ。
アーラの周辺を旋回するように左右で包囲しながら、攻撃を加えるヒーロー。
そこにヴィークが愛刀を逆手に斬り込み乱入する。
「硬っ!何こいつ!簡単に斬れないじゃん!」
先の戦闘で敵幹部の丸太のように太いを斬り落としたヴィーク。
平常時とは違う逆手持ちん構えとは言え、その一撃さえも弾かれる敵の硬度に、驚きと悪態をつく。
「ヴィーク!加勢に来てくれたのか!」
乱入に気づき声をかけるドラゴン。
それに構わず次の一手と後退しながら、右手に構えた蒼禅空-あぜく-の引き金を絞る。
弾は見事に左手首、左肘の2箇所に命中。
着弾箇所はたちまち氷柱が発生し
関節部を基点として凍結が広がり、アーラの動きを鈍らさせている。
「冷却弾!?それミントリガーのだろ!?お前も使えたのか!」
放たれた特殊弾の効果と、その手に見慣れた巨銃を見たパラディン。
正確に敵の関節部に着弾させているヴィークの射撃精度に驚く。
それに対し何処か気恥ずかしげに返すヴィーク。
「あまり期待しないでよ!ミントリガーみたいに弾は作れないから!」
ミントリガーは自らの力の源である【ヒカリノカケラ】を利用してカートリッジを生成し、戦闘に運用している。
ヴィークは同じ根源によって進化した鳥類ではあるものの、彼の様に弾丸を作り出す技術と力はない。
「そのミントリガーはどうしたのだ!?」
「知らないよ!!オイラにこれ預けて飛んでった!」
刀を振い相手を牽制、そして後退し、銃弾を的確に間接へ撃ち込んでいく、ヒット&アウェイの戦法でアーラを翻弄するヴィーク。
慣れない戦法ながら、密かに練習していた事を見抜かれていた事への若干の気恥ずかしさと期待を込め任された事への嬉しさを抱き、善戦する。
「“相棒”の事だ…きっとなんかあるんだよっ!」
「そうかよ、じゃあ信じるしかねぇな!」
足関節も含めておよそ10箇所の関節部位とその他5箇所に氷柱が形成され、ぎこちない動きで攻撃を振るうアーラ。
「動きが鈍くなったぞ!」
状態を見たドラゴンが仲間に叫ぶ。
次弾を撃とうと構えたヴィーク、しかしトリガーを引いても弾が発射されず、カートリッジを確認した途端。
チャンバー内のカートリッジが粒子となって空気に溶けて行った。
「ごめん!もう弾切れだよ!」
ヴィークが言い終える前に、ドラゴンとパラディンはアーラの左右に周り、凍結し脆くなった関節を叩き、アーラの脚を削いだ。
迅速且つ的確で洗練された動きに驚くヴィーク。
脚の不自由が効かなくなったアーラを、両サイドで押さえ込む太陽戦士達。
「充分だ!やる事は決まっている!私達が更に押さえて止める!!」
「氷はお前の専売特許だろ!そいつごと砕けっ!!」
2人の太陽戦士は、大きな声を轟かせた。
「「ガリヤアアアアアア!!!!」」
仲間より確実なバトンを渡されたガリヤーは、ナックルのドリルを回転させ、アーラ目掛けて突貫する。
横薙ぎにドリルを振り、蜘蛛の脚間接を砕くガリヤー。
バランスを崩し前のめりになったアーラの本体目掛けドリルを携えた正拳突きを叩き込む。
しかしドリルの先端は、アーラが瞬時に作り上げた巨大な攻殻の盾で防がれる。
「サッギヨ゛リ硬度ヲアゲダワ!!モ゛ヴゴワゼナ゛イ゛ッ!!!」
最適なタイミングに繰り出された攻撃を防ぎ切り、ここぞとばかりに得意げな声を向けるアーラ。
しかしそれは、ヒーローたちにとって
思惑通りの運びだった。
「それで止めたつもりだろうけど、悪いね」
ガリヤーは握った拳を開き、アーラの下部にある蜘蛛の頭部に指をめり込ませる。
そしてそのまま、少しずつ指を折りたたんでいく。
すると
5本の指の握力と重量によって固定された掌を起点にし、万力で締めていくようにドリルに先端がジリジリと確実に接点を研磨していき、更に押し込む力が強まっていく。
分厚く鋼鉄にも近い硬度を上げたはずの外殻を一点集中で掘り進むドリルは、回転と摩擦によって更に熱気を放ち、落ちる削りカスとなった粉塵がパチパチと音を鳴らして火花を散らす。
やがてドリルは全体が赤みを帯び、回転させながら焔を纏い、近くにいた全員が感じられる程熱を発しはじめた。
「なんだ!?急にあったけぇぞ!?」
「これが新型のドリルか…私たちの太陽程ではないが、このエネルギー…まるで火の化身だな」
〈GFナックルの切り刃は“とある鉱石”と“ガリメタル”を合成した特殊合金です。鉱石には摩擦を加えると熱を帯び、自ら発火する性質をもっております。それを耐熱耐冷耐久性に優れたガリメタルと運用する事により“砕く”と“燃やす”がの両立が可能です〉
驚く太陽戦士達に対し、淡々と状況解説をするMERU。
歓喜と驚愕、脅威と動揺に表情を歪めるアーラ。
「お前はドリルと言うモノをわかっていない」
ガリヤーは掘り進むドリルをただ一点に見つめながら、静かにアーラに語る。
「ドリルってのは、突いて、押して、削り、たった一点の、小さな穴を穿ち、広げて突き進み、道を……切り開くものだ!」
見事ドリルの先端が貫通を果たした。長年の経験から感触を感じ取ったガリヤーは、即座にドリルを逆回転させ穿った穴に摩擦熱を加えて行く。
削りカスが舞い散り火の粉が広がった結果、アーラの構えた盾を中心に燃え広がる炎。
「ヤメデ!ヤメデ!ヤメロオオオオ!!!」
焦り、狼狽するアーラを尻目に追い込むガリヤー。
「ドリルの扱いで……」
ガリヤーは逆回転させたドリルを一気に戻すとともに、速度を上げて行く。
蜘蛛の頭部を掴んでいた掌を閉じ、拳と共に渾身の力で押し込む。
「僕の右に出る者なんかぁああ!!いやしないんだああああああああ!!!!!!」
掘り進んだドリルは見事に盾を砕き、腕の関節を絡めて砕き引火。
燃え盛る炎と共に前進するドリルはアーラの腹部へ喰らいつき、鳩尾を貫いた。
声にならない断末魔と悲壮感に彩られた表情を形作るアーラ。
四肢の殆どを絡め取られたアーラは、咄嗟にトンボの様な羽根を背中から生やし、生存本能に従って離脱しようと上昇する。
しかしそれを予測し、阻むものがいた。
全身燃えたぎるような熱気を纏った“超古代の剛力戦士”がアーラの頭を左手で鷲掴む。
「逃さないっ!!」
振り切り上空を仰いだガリヤーはアーラの位置と距離を測り、色が切れ動かぬ塊となった蜘蛛の身体をナックルで掴み。
協力な腕力で無理矢理持ち上げ、だらりとした蜘蛛の四肢を引き摺りながら、ガリヤーを起点に回り始める。
約6回半の旋回後、上空でアーラを掴むトリガー目掛け、蜘蛛を投げつける。
「行けえええええ!!!トリガアアアアアアアアアア!!!!!!!」
トリガーはアーラを左手で掴んだまま両手に光を集約、円を描くように腕を回し巨大な光球を作り上げ、胸の前に集約。
圧縮された光球を直に浴びせられ断末魔を上げながらジタバタとのたうち回るアーラを右手に光球ごと掴み直し、飛来して来る蜘蛛に向かって下から大きく振りかぶり叩きつける。
光球は高熱の奔流をとなって上空に真っ直ぐ解き放たれた。
【デラシウム光流】
ウルトラマントリガー パワータイプの行使する最も高火力な光線技であり必殺技。
光線はアーラと分離した蜘蛛と共に徐々に上空へ押し出され、エネルギーが体内へと蓄積。
たちまち全身へ駆け巡ったエネルギーの奔流は驚異的だったアーラの再生能力を阻害し破壊、後に爆発四散する。
ガリヤーとトリガーのコンビネーションの末、見事強力な敵を撃ち倒した。
トリガーは地上へと降り、ガリヤーが出迎える。
「ありがとう、トリガー」
ガリヤーは感謝の言葉と共に、左腕の甲を前に突き出す。
トリガーも同じように左腕を突き出そうとしたが、一気に襲い来る疲労に体制を崩しかける。
「え、大丈夫???」
咄嗟に抱えて支えるガリヤーに、トリガーは顔を向けて、2回頷いてみせる。
「うん、改めて言わせて」
戦友の無事を確認したガリヤーは伝えたかった言葉と思いを口にした。
「ようこそ紋別へ!大歓迎だ!ウルトラマントリガー!」
読んでいただきありがとうございます。
一先ずはこれにて紋別編は終了になります。
次回からは登場人物による情報整理と日常パートがしばらく続きます。
お時間があればどうぞ読んでいただけると助かります。
改めまして
本当に、本当に、ありがとうございました