マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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今回は独自設定を盛り込みすぎている気がします。
ウルトラマンをローカルヒーローが手を組むと言う現実ではあり得ない状況も、これから上手く書いていければ良いんですが。
あいも変わらず、駄文ですが、ご容赦下さい。


第4話 『邂逅 2つの“引き金”』

 

 

北海道北見市にはヒーローがいる。

その名も

 

『鳥戦士ミントリガー』

 

ホジロワシとオオワシの混血であり亜種の彼は、純白の姿から自然界にて「天空の白い翼」と呼ばれる程、美しく雄々しい姿をしていた。

ある日、高山で『ヒカリノカケラ』を見つけ変身能力を得て、自然豊かな北見に降り立ち。

この地を守護している。

 

そしてその守護者が

 

まさにトリガーの前に立ち

 

「ようこそ」という言葉で歓迎の意を表している

 

トリガーは戸惑う。

 

無理もない、彼にとって

“ウルトラマン”意外に初めて出会う“ヒーロー”なのだから。

 

片膝をついているトリガーに向けて、手を差し伸べるミントリガー。

 

差し伸べられた手を取り立ち上がるトリガー。

 

オーロラの様に美しく彩る顔は、まるでバイクヘルメットのシールドバイザーの様に景色を複雑に反射させる。

表情が読み取れないその顔だが

 

トリガーもといケンゴには

 

優しい笑顔を向けてくれていると直感で感じる。

 

 

◆数分前◆

 

約8000mの上空を飛行するミントリガーに通信が入る。

 

〈ミントリガー、応答願います〉

 

「聞こえます、状況を教えてください」

 

通信元は北見市役所の通信司令部。

 

〈現場は市内ショッピングモール近辺の車道。そこで何者かが破壊行動を行い、一般車両7台損壊、怪我人3名、幸いにも死者は出ていませんが…本当に幸いです〉

 

「随分大胆ですね…市民の避難状況は?」

 

言葉とは裏腹にミントリガーは静かに憤っていた。

 

〈避難は7割と行ったところです。ただ付近の監視カメラで確認した映像によると、現在は戦闘中の様で、近くには幼い少女と、悪の秘密結社らしき存在の姿を目視しました〉

 

「ヤバイ仮面さん?となると…元凶は彼が?」

 

〈いいえ、どうやら暴れている犯人と関連性は高いと示唆いたしますが、戦闘直前に言い争いをしていたと、モール常駐職員より報告されていますので、元凶かは不確定です〉

 

各地へは行政職員が常駐している。主に市民への出張所や窓口手続きだが、有事の際に迅速な避難誘導など、情報を収集するためである。

 

しかし今回は、その優れた情報収集力により、皮肉にも情報自体の密度が仇となり。

全容が見え難い事に、焦り出すミントリガーだったが、ふと気になる事を思い出す。

 

「戦闘中と言ってましたが、悪の秘密結社の方ですか?」

 

それに対し職員はとても言いにくそうに話す。

 

〈そこが…1番の不確定要素です。職員の話によると戦闘中なのは「マナカ・ケンゴ」だそうです〉

 

「まさか…俳優が戦っていると?」

 

マナカ・ケンゴ

ドラマシリーズ『ウルトラマントリガー』の主人公の名前である。

演じた俳優は、今でも意欲的に活動をする元アイドルグループの1人だった。

 

〈いいえ。俳優の所属事務所に問い合わせましたが、現在関東地方でロケ中だと…〉

 

わけがわからない状況だが、ミントリガーにとって重要なのは。

誰かが現場で犯人と戦っていると言う少しの安心感だった。

一般市民という可能性と不安の方が強いが、不可解なのは報告にある

「マナカ・ケンゴ」

の名前である。

 

(まさか本物が?)

 

可能性として1番低いが、ミントリガーには“ヒト”には持ち得ない確信に近い直感を感じていた。

 

「わかりました、直に現場上空に到着、目視で状況を確認します」

 

〈ご武運を、我々も避難誘導に尽力します〉

 

「了解、現着、以上」

 

上空約3000mから見渡すミントリガー。

 

戦闘しているのは顔を赤い単眼マスクで隠した黒ずくめの男と、報告通りの男性の姿の2人。

 

(マナカ…ケンゴ…あのスパークレンス…小道具じゃないのか?)

 

銃口から放たれるエネルギー弾を見て驚愕するも、落ち着いて視野角を広げるミントリガー。

 

情報通り、少女が1人いたが、子犬を抱えている。

その傍らには、ヤバイ仮面とシャベリーマン。

 

再び戦闘中の2人に焦点を向けた瞬間。

 

マナカ・ケンゴらしき男は投げ飛ばされてしまう。

 

すぐさま降り立とうと男に向かうミントリガー。

しかし彼は途中で降下を止める。

 

“マナカ・ケンゴ”らしき男性が

瞬い光に包まれ、その光は移動して敵へとぶつかって行く

いや、正確には蹴りを食らわせた瞬間を目の当たりにし。

光は収縮、そこに立っていたのは紛れもなく

 

『ウルトラマントリガー』

 

そのものだった。

 

吹き飛ばされた犯人は、突っ込んだ先の茂みの中から勢いよく飛び出し、少女へと襲いかかる。

 

咄嗟に動くミントリガー。

 

急降下とともにホルスターから巨銃型の専用装備

【蒼禅空-あぜく-】

を構え、照準を犯人に合わせる。

 

 

◆現在◆

 

トリガーとミントリガーの握手に固唾を飲んで眺める人物がいた。

 

「社長…アレ…ミントリガーじゃないですか???」

 

マイクの様なマスクを被った男

『シャベリーマン』はあたふたする

 

「落ち着け…とりあえず…たたたたタイムマシンを探すんだっ」

 

「漫画のオマージュしてる場合じゃないですよ!!」

 

明らかに取り乱している社長こと

『ヤバイ仮面』はすかさずつっこまれる。

 

「わぁ!すごいすごい!ミントリガーとトリガーだぁ!」

 

大喜びする少女。

 

「レナ!!」

 

後方より、少女の母親が、防護服を纏った職員と走ってくる。

 

「よかった…ダメじゃない勝手に……ええええ!?トリガーとミントリガー!?」

 

驚愕する母親に対し「ハハハ」と笑いながら左手で手を振り。

右手は愛銃をノールックで後ろに発砲する。

 

銃弾は動こうとしていた赤目に放たれていた。

赤目はそれを腕の鉄鋼で防ぎ、多少驚いた様だった。

 

銃声にビクつく一同

 

視界に敵の姿を逃さず、赤目が動く瞬間を捉えて構えたトリガーだが、ノールックで赤目に命中させているミントリガーの射撃の腕に唖然としていた。

 

「見えてないと思ったか?少し待ってろ、じっくり相手してやる」

 

相手に振り向きもせず、

先ほどまでの優しい印象は嘘の様に好戦的な言葉と、溢れ出る闘気で赤目を牽制する。

 

「社長」

 

ミントリガーは同じトーンでヤバイ仮面を呼ぶ。

 

「な、なんだ!」

 

「彼は貴方の仲間か何かですか?」

 

鋭い眼光を向けられてヤバイ仮面は多少たじろぐも、すぐに立て直す。

 

「クライアントだっ!しかし契約不履行により解除の同意済みだ、故に!関係ない!!」

 

「そうですよ!!こっちだって暴れるとは容認してません!!」

 

「だから……」

 

綺麗な直角90度の角度で一礼をする2人。

 

「「損害賠償請求だけはご勘弁下さい!!!」」

 

静かにため息をつくミントリガー。

 

「わかりました」

 

その言葉にホッとする悪の秘密結社だったが。

 

「事情は後でしっかりと聞くとして、避難誘導を……手伝って下さりますよね?」

 

ゾッとする2人。

 

「ここは従った方がいいなぁ〜」

 

「そ〜ですねぇ〜」

 

コソコソと話し合う仕草はするも、ボリュームを一切下げていない悪の秘密結社。

時として聞こえる様なパフォーマンスは必要と言うビジネスマンらしい姿勢である。

 

「うむ!任せたまえ!ささ!そこの子供よ!お兄さんと手を繋いでこの場から逃げるとしよう!そうしよう!」

 

「あ、では私はこちらのマダムの手を…」

 

警戒する親子と吠える仔犬。

 

罰が悪くなったヤバイ仮面とシャベリーマンは哀しさと怒りの表情を作り

キッと赤目に向ける。

 

「おいジゼル!覚悟しろよ!そちらのヒーロー様がお前を叩きのめす!」

 

「思い知ると良いですよ!浅はかな自分に!」

 

ヤバイ仮面とシャベリーマンは渾身の、しかしながら社会人らしく言葉を選んで、赤目の男『ジゼル』を非難する。

 

「私としては…貴方とも戦って…」

 

挑発する赤目の男ジゼル。

 

「図に乗るなよ…!」

 

空気が重くなると同時に、激しい怒りの闘気が赤目へと向けられる。

 

「本当なら私自ら手を下したいところを我慢してやってるんだ…弁えろっ」

 

その姿は間違いなく、普段見られない

【悪の秘密結社】の長に相応しい貫禄だった。

 

(能ある鷹の典型だな…)

その姿を目にしたミントリガーは実感しつつ心の中で思うのだった。

 

重苦しい雰囲気のまま立ち去る悪の秘密結社。

 

職員の誘導で親子もその場から離れようとしていた時。

 

レナと呼ばれた少女がトリガーとミントリガーに駆け寄り、トリガーへと抱きつく。

 

「ありがとうトリガー、大好き」

 

戸惑うも、頭に手を置き、見上げてくるレナへ、静かに頷くトリガー。

 

「ミントリガー、頑張ってね」

 

「ああ、また会おうね。君も、君の家族を頼んだぞ」

 

満面の笑みで頷くレナ。

ミントリガーの言葉に勇ましく吠える仔犬。

 

母親の元へと走っていくレナは、最後に一度大きく手を振って誘導されていった。

 

「トリガー」

 

呼ばれたトリガーはミントリガーを見る。

 

「すまないが、力を貸してくれるか?」

 

その質問に対し、静かに且つしっかりと頷くトリガー

 

「ありがとう」

 

ふふっと笑みを漏らしながら感謝を述べるミントリガー

 

「もうよろしいので?」

 

「ああ、待た……随分せっかちな」

 

言い終わらない間に、ジゼルはミントリガーへと一気に距離を詰めて裏拳を叩きつける。

しかしそれを片手で受け止めるミントリガー。

 

ジゼルは防がれた拳を引き剥がし、その勢いを利用して状態を捻り一回転させて回し蹴りを放つが、ミントリガーはそれを愛銃のグリップエンドで殴って弾く。

 

不敵に笑うジゼルは、真正面から乱打を始める。

 

左手から裏拳を頭部、腕部、また頭部とラッシュしながら踏み込んでいくが、同等の力加減で同じく裏拳をぶつけるミントリガー。

右拳を顔面目掛けるもまた銃で弾かれ、左手はボディブローの体制に入るもミントリガーの肘にはばまれる。

 

振り上げた上段の蹴りに上体を反らせて避け、そのまま重力に任せて力強く振り下ろす踵落としも、左足を横に広げ軸に半回転させてそのまま距離をとるミントリガー。

 

「なるほど」

 

何かを確信したジゼル。

 

「私の攻撃をここまで凌ぎ切る存在がいたとは…嬉しいかぎり!」

 

「幸い目が良いんでね」

 

「北の地には強者がいると伺いましたが、来て間違いない様ですね…貴方素晴らしいですよ」

 

「それはどうも、けど俺はそんなに強くないよ、本当に強い人はここじゃなく…札幌か本土にいると思うな」

 

興味深い情報を得て更に興奮するジゼルだったが、次のミントリガーの言葉を聞き

 

「だからさ……おまえ、自分で思ってるよりも、大したことないよ」

 

憤慨する。

前傾姿勢で突撃せんとする体制を取る、が

 

突然ジゼルの動きが止まる。

 

「全く…もう時間ですか…せっかくこれからなのに、まぁいいでしょう」

 

残念そうに臨戦体制を解くジゼル。

 

「私はここで失礼しますが、そうですね…このままじゃ気持ちが収まりませんし、嫌がらせをしてから帰るとしましょうか」

 

突然上空と地上に黒い穴が5つ現れ、そこから

 

ドローンの様な飛行物体が十数体

大型のロボットが5体出現する

 

ミントリガーとトリガーは構え直し、臨戦体制を強める。

 

「では、いずれまた」

 

ゆらゆらと手を振り踵を返そうとするジゼル。

 

「待てっ!最後に聞かせろ!」

 

去ろうとするジゼルを制止するミントリガー。

 

「おまえは侵略者か?それとも…神々か?」

 

質問の意図が読み取れないジゼルだったが、すぐ様答える。

 

「面白い質問だ。あえて言うなら、“略奪者”と言ったところでしょうか?」

 

ケラケラと笑いながら言い放つ。

 

それに対してすぅーと息を吐き

 

「そうか、それは良かった」

 

ジゼルを睨みつけるミントリガー。

 

「ならおまえは、俺たちが対処すべき相手……“討伐対象”だな、覚悟しろ」

 

舌打ちしながら穴に入りきると、全ての穴が閉じる。

 

残ったのは“置き土産”の、恐らく自立型であろう兵器。

 

トリガーとミントリガーは

 

それらと対峙する。




読んでくださってありがとうございました。

小説内の行政機関は、私たちの行政よりも役割を広く担って貰ってます。
ウルトラマンで言う「防衛隊」であり、ファンタジー世界で言う「ギルド」の様なモノです。

また、私たちの世界と同じ様にメディアやエンタメ、アニメや特撮は共通した世界観にしています。

ウルトラマンもあるし、ライダーも戦隊もいますが、この世界でもフィクション扱いです。

実在するのは、ローカルヒーローが“ヒーロー”としてリアルに存在するという点です。
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