マナカケンゴの休日   作:LeeMinwoo

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週末も終わりですが、みなさんいかがお過ごしですか?
こんな事をここで聞くのもなんですが。
本当に誰かの楽しみになっているのか。

未だに不安です。

ですがそれは別として。

しっかり物語を紡いで終わらせたるよう、無理ないくらいに頑張ります。


第8話 『ヒーローと言う存在」

 

「第…1話?」

 

観させられた動画の説明を聞くが

その言葉の意味するところを、ケンゴは理解し切れていない。

 

「なにを…言ってるの?」

 

正確には、理解を拒んでいるに近い。

 

「冗談…だよね?」

 

ゆっくりと首を横に振るミントリガー。

 

「さっきも言ったけど、誤魔化したり、嘘をついたりはしない」

 

また俯くケンゴ、もう一つ気になった言葉を思い出した。

 

「ミントリガー…」

 

ゆっくりとミントリガーを見つめてから、絞り出す様に。

1番“聞かなくて”ははならない事を聞くケンゴ。

 

「さっき言ってたね…“俺の世界”って……どう言う意味?」

 

核心をつく問いかけだった。

覚悟は決めていた、しかし言葉がなかなか出てこないミントリガー。

 

「落ち着いて聞いてくれ…さっきエントランスで、市長が話した事あったろ?TPUへの連絡が困難って」

 

考えながら、なんとか核心に触れる事を遅らせようとしているミントリガー。

 

頷くケンゴ

 

「アレにはちゃんとした事情があって…やりたくないとかそう言う拒否ではないんだ…出来ない理由があるんだよ…」

 

「ミントリガー…」

 

俯いたままケンゴはミントリガーに向けて言う。

 

「話を聞くから…誤魔化さないで…」

 

しくじった…誤魔化さないって言っておきながら俺は…

 

どう伝えたらいいのか、ミントリガー自身も目の前の新しい友人に、可能な限りショックを受けない様にと、頭を悩ませながら言葉を選んでいた。

 

結果それは

 

相手の不信感を募らせる結果となる

 

誠意を持って向き合わなくてはならない

 

そう感じたミントリガー

 

「ここは…ケンゴがいた世界とは、違う世界なんだ」

 

「え?」

 

「TPUは存在しない、GUTS-SELECT もない、ましてや」

 

ケンゴは感じた

 

苦しそうに言葉を紡ぐミントリガーの感情を

 

「トリガー…いや、ウルトラマン自体、俺たちにとっては、フィクションの存在なんだ」

 

呆然とするケンゴ

 

再びモニターを観たケンゴは

 

深くため息をつき

 

そうか…これは番組の“タイトルロゴ”なんだ…

 

それを知ったケンゴは

 

襲いかかる不安に耐えられず

 

涙を流す

 

「僕は…なに?…フィクションって事は、作り物なんでしょ?、ひょっとして僕自身…」

 

「待ってくれケンゴそれは…」

 

「全てが、君の世界では僕は存在しない!そうなんだよね!?答えてよミントリガー!」

 

その言葉を聞いたミントリガー

 

考える、どうすれば

どうやって言葉を紡げば、ケンゴを救えるんだ

 

それを必死で考える

 

やがて気がつく

 

どう伝えたら良いのか、その言葉を編み出した

 

「ああ、“俺の世界”ではな、俺の世界とケンゴの世界、それぞれがあって、それぞれ違う」

 

混乱していたケンゴ、その言葉を聞いて、何かを言おうとするが、ミントリガーは続ける

 

「ケンゴ、俺には俺の世界がある様に、ケンゴにも、君の世界があるんだ」

 

「僕の…世界?」

 

そう、シンプルな話だった

 

どうして思いつかなかったのか、どうして最初からこう伝えられなかったんだろうか

 

不安がる友人に対し、上手く伝えきれなかった自分を悔やむミントリガー

 

「ケンゴはさ、今ここにいるけど、ここではないケンゴの世界で生まれて、育って、たくさんの経験をして、たくさんの人々と出会って、たくさんの笑顔を築いてきた、違うか?」

 

「笑顔…」

 

「そしてたまたま、理由はわからないけど。“たまたま”俺たちの世界に来てしまった、それだけなんだよ」

 

そう言ってケンゴの隣に腰掛け、肩に優しく手を置くミントリガー

 

「自分を否定しないでくれケンゴ。それは今までケンゴが築いた今は“過去”になった“未来”を否定する事になる。大切な家族や仲間や、君の世界の人々を、ケンゴは否定するのか?」

 

そう言ってミントリガーは、窓際を指差した

 

そこには、ケンゴの希望、ルルイエがいた。

 

未だ不安は拭えない

 

しかし、先程と少し気持ちが違う

 

不安のせいで

 

絶望していたせいで

 

混乱していたせいで

 

頭から抜けてしまっていた

 

ここが何処か

 

自分が何か

 

ではなく

 

「僕には、還るべき世界がある」

 

目を合わせるケンゴとミントリガー。

 

「君は、“未来を築く、希望の光”なんだ。俺にその手伝いを、一緒にいる間でいいから、させてくれないか?」

 

大粒の涙が溢れ出る

 

余りにもたくさんの事が押し寄せ

 

知らない情報、知らない土地、知らない人々、なのに彼らは自分を知っている。理解不能な状況を、あえて考えない様に後送りにした結果、今の様に不安を抱いていたが、ミントリガーの言葉に少しの安心を得たケンゴ。

そしてそれらは感情として溢れ出て

 

ケンゴは大きく

 

声を上げて

 

泣き叫んだ

 

ミントリガーは、ケンゴの側に寄り添い、彼の背中に手を当てる。

 

 

その様子を

 

部屋の外で聞いていた人物が2人いた

 

北見市市長 天城

秘書 愛宕屋

 

心配になって来た彼らは

 

この状況を静かに飲み込む

 

「市長、ゲストは、帰還をお望みの様です」

 

「予想はしていたよ、愛宕屋くん」

 

決してゆるんではいないネクタイを整え直し「引き締めろ」と己に言い聞かせるが如く、強く決意した天城。

 

「至急集められるだけ職員を集めてくれ」

 

足早に歩き出す天城

 

それに続く愛宕屋

 

「なんとしてでも、彼を元の世界に還す。その方法を見つけ出そう、これは我々の“最優先事項”だ」

 

「承りました、では私はその後“調査部”の元へと赴きます」

 

その数時間後

 

職員を集め

 

「マナカケンゴを必ず帰還させる」

 

それが

 

北見市役所全職員の共通認識となった。

 

 

◇十数分後◇

⬜︎資料宿直室⬜︎

 

落ち着きを取り戻したケンゴ。

 

「ありがとうミントリガー」

 

室内に設置されたウォーターサーバーから汲んだ水を、食器棚にあったサーモマグにて手渡すミントリガー。

 

一口飲み、カラカラになっていた口の中を潤すケンゴ。

 

「せっかく用意してくれたのに、ちゃんと観られなくってごめんね、少ししたら続きを観るよ」

 

「無理しなくていいよ」

 

お互い気遣いもあるが、本心からそう思い相手の尊重を示していた。

 

「ううん、大丈夫」

 

ゆっくりとタイトルロゴを観ながら語るケンゴ。

 

「大丈夫、これは僕に似た他の誰かが、僕を演じてくれてる。それだけだよ」

 

実際ケンゴは、俳優の顔を目にした時、自分だとは思えなかった。しかし気が動転していた事もあり、そう思えたことすらも疑ってしまう程だったのだ。

 

「そう思ったらさ」

 

笑顔を向けながら話す

 

「なんか、単純に作品として、好奇心がわいてね」

 

ふふふと静か笑うミントリガー

 

「そうだったのか、それはまた予想出来なかったよ、その答えは」

 

お互い目を見合わせて笑い合った。

 

「あの…こう言っちゃなんだし…聞いていいのかわかんないけど…」

 

何か申し訳なさそうにするケンゴ

 

「僕は、Zさんとリブットさんにしかまだ会った事ないけど、どれくらいいるの??ウルトラマンって」

 

『ウルトラマンZ-ゼット-』

Zは青い体躯にクリスタル細工の様な美しくキラキラと複雑な反射で輝く眼が特徴の【宇宙警備隊】新人ウルトラマン。

地球人『ナツカワ・ハルキ』と同化しており、ウルトラマンになった事によって共有出来るエピソードで会話が弾んだ理解者である。

今はとある宇宙で起こっている事件の為に日夜奮闘している。

 

『ウルトラマンリブット』

ウルトラマンのイメージに相応しい赤とシルバーの体躯に、左手には専用装具【リブットブロッカー】が特徴の若き光の使者。

自らの出生とそれによって得た強大な力に重積に気負っていたケンゴに「己が戦う本当の理由」を気づかせるために特訓を通して導いてくれた。

宇宙警備隊とは別の独立組織【ギャラクシーレスキューフォース】へ光の国より出向している程、実力、判断力と精神力において高い水準を誇る戦士でもある。

 

ケンゴにとって、ウルトラマンとしての先輩であり、仲間であり、短い期間ではあったが、よき学びを授けてくれた恩師であった2人。

 

そのほかにもいると思っていいのか?その疑問がなんとなく浮かんだケンゴだった。

 

何が飛んでくるかと思ったらそこか…

と安堵すると同時に、ミントリガーにとっては答えに困る 内容この上なかった。

これからケンゴが出会うであろうウルトラマンの話しを交えてもいいのか?そもそも今のケンゴはどの辺までの記憶のケンゴなのか?

 

そうやって思案した結果

 

ミントリガーはちょっと面倒になり

 

教える事を諦めた

 

「あぁ…えっとぉ〜…いっぱいいるとだけ言っておくな」

 

「えぇ〜詳しく教えてもらえないの??」

 

「俺の判断じゃ、それを話す点について、決めかねるかな…ごめん」

 

正直に頭を下げるミントリガー

 

その仕草がどこかおかしく、面白いと感じた

 

「わかった、じゃあミントリガーたちの事を教えてよ」

 

「俺たち?」

 

「そう!まずは聞きたい!気になってた事があるんだ」

 

「ん?」

 

気になっている事と聞かれて、何かあったか思案するミントリガー

 

「ヒーローって何人くらいいるの?」

 

これなら応えられる、そう思ったミントリガー

 

「詳しくは知らないけど、各地にいるよ」

 

「各地!?」

 

頷くミントリガー。

 

手持ちの端末で何かお調べ出し、そのまま画像をケンゴに向ける。

 

「オホーツク…ヒーロー…連合??」

 

そこには写真と共に、オホーツクヒーロー連合の紹介が載せてあるとあるヒーローのHP。

 

『砕氷船士ガリヤー』のHPであった。

 

「俺の住んでる地域周辺だけでも、これだけいるんだ」

 

「へぇ…彼らも僕みたいな変身してこの姿?」

 

「そうだな、変身してるかな?」

 

歯切れの悪さに疑問を抱くケンゴ。そしてケンゴは次に、ずっと密かに気になっていた事を聞く事にした。

 

「ねぇミントリガー」

 

声をかけられて、隣に座るミントリガーは何も疑いもなく顔をケンゴに向ける。

 

「変身解かないの??」

 

しばらくの沈黙

 

ケンゴは、なんとなく、聞いちゃいけない事だったのかな?とあわあわし出すが

 

噴き出すミントリガー

 

変身したヒーローは事件が終われば元に戻る。

ケンゴにとって自分も含め皆そうだと思っていたため、ミントリガーのオフスタイルが気になっていたケンゴ。

 

「そうだよな、俺が馴れ馴れしく距離縮めちゃったもんだから、その辺ちゃんと説明してなかったな」

 

うんうんと頷きながら、座っていたソファから立ち上がり。

 

部屋の入り口付近に何故か設置されていた、一際目立つ“止まり木”の端を掴むミントリガー」

 

「改めて、自己紹介と行こうか」

 

止まり木に寄りかかる様なスタイルでそう言うミントリガー。

 

「俺はミントリガー、大自然に産まれ育ち、人の姿を得た、ホジロワシとオオワシの混血で亜種」

 

何処からともなく周囲に高密度な風圧が現れると共に、ミントリガーは光を発する。

 

やがて光が収まり、入り口付近に設置されていた止まり木に

 

1羽の純白で大きな鳥が留まっていた

 

「え?ええええええええええ!?????」

 

ケンゴの声は、資料室のあるフロア中に広まったのだった。

 

 




読んでくださりありがとうございます。

次回の更新は来週末をまた予定しております。

お時間が許す時で結構ですので。

よろしければ読んでいって下さい。
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