ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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猫鍋

 

 

 ガゼルと再会した、その翌日。

 宿屋の大部屋にて、俺は仲間達に主張する。

 

「アッサラームの名物、俺だけ食えてない!」

 

 俺が提案したというのに、結局俺はアッサラーム名物料理の食事会を食べそこねてしまった。

 美人で左右を固めてのご馳走を期待していたのに、実際は✝闇の勇者✝と✝腹黒商人おじさん✝に挟まれてのエロダンス鑑賞。

 率直に言おう。ダンサーには失礼だが、まったく楽しめなかった。

 

「アミーラちゃん、それ一応ダンスの衣装だろ? ちょっと踊ってくれよ」

 

 俺の無茶振りに、アミーラちゃんはロボットダンスを踊ってくれた。

 誰だファンタジー世界にロボットダンス持ち込んだやつ。

 俺だわ。

 アミーラちゃんのロケットパンチを受け止めつつ、俺は皆に提案する。

 

「俺もご馳走食べたい! おごるから飯行くぞ! 女の子だけついてこい! 男はいらん!」

 

「おうご馳走になるぜ」

 

 船長がまず立ち上がった。

 男はいらんって言ったのに。

 

「しゃーねえな」

 

「付き合ってやるぜ」

 

「タダ飯と聞いて」

 

「男の誘いは受ける主義だ」

 

 次々と立ち上がる船員の屈強な男達。

 だから男はいらんってのに。

 

「ソニアは来るよな、俺に惚れてるんだし」

 

「すいませーん! わたしはちょっと、昨日のダメージが残ってるといいますか……」

 

 ウインクしつつ欠席を主張するソニア。

 ダメージってなんのこっちゃ、と思いきや、どうやら昨日の宴会で食べ過ぎたからカロリーが不安らしい。

 魔王討伐の旅の中でもカロリー計算してるなんて、女の子って大変だ。

 

「ルナリアは?」

 

「私は勇者様に惚れていないので行きません」

 

「それわざわざ理由に上げるの感じ悪いな……」

 

「冗談です。私も昨日食べ過ぎたので、ちょっと……」

 

 お腹を擦るルナリア。

 俺の子かな。

 

「よしてめえら、飯に行くぞ!」

 

「オウッ!」

 

「「「ダンチョネー! ダンチョネー!」」」

 

 意気揚々と歌いながら船乗り達が宿を出ていく。

 その歌、若いやつ絶対わからないぞ。

 

 

 

 

 

 

 場所を移して飲食店。

 ちょっとワイルドな牛丼を主食に、サラダやスープ、パンなどが並んでいる。

 前に来た時はそれどころじゃなくて名物料理を食べる余裕なんてなかったけど、これがアッサラームのごちそうメニューらしい。

 

「いや牛丼じゃないわ。豚丼?」

 

 一口食べて、肉質の違いに戸惑う。

 感触が豚肉っぽい。味付けは醤油ベースの甘じょっぱいものではなく、もっとシンプルな感じだ。

 

「キャットフライの肉だそうだ!」

 

「ああ、あれかぁ……」

 

 ガツガツ食べている船長が教えてくれた。あの空飛ぶ猫の肉らしい。

 いや猫とは違う動物だろうけど、キャットフライは。

 

「猫を食べるというと、あのスペースオペラのラノベを思い出すぜ」

 

 ワープ空間が平面宇宙という概念で、読者に戦術をイメージしやすくしたのは画期的だったと思う。

 あとヒロインがかわいい。

 とはいえこのご時世、魔物の肉はだいたい食べる。食糧難は地下世界の専売特許ではないのだ。

 思うに、世界を救いたいなら勇者なんかじゃなく大規模プランテーションの農場主になるべきなのだ。

 ハーバーボッシュ法を発明するか、緑の革命でも起こそう。

 

「あ、その大規模農園するための土地がないのか」

 

 おのれ魔物。魔物さえいなければ人類みなブラザーで平和なのに。

 地球の歴史を見てみろ。魔物がいなかったおかげで平和……平和?

 

「うーん、仮にこの戦争に勝利して魔族皆殺しにしても、どうせ次は人間同士で殺し合うんだろうな」

 

 ならばこの旅に意味があるのか。そうとも思うけど、その戦間期だって誰かの慰めにはなるのだろう。

 

「にしても、豚……猫丼とパンが同時に供されるのは納得いかない」

 

 米とパンを同時に出すなよ。

 海外だと米は野菜扱いとか聞くけど、少なくともパンと対等の立場とは考えられていないようだ。

 

「…………?」

 

「アミーラちゃん、俺がひとりごと言いまくりながら飯食ってるのを、そんな目で見ないでくれ」

 

 今日の食事会にて唯一の女性参加者であるアミーラちゃんが、俺を不思議そうに見ていた。

 男連中は昼から酒のんで悪夢のように騒いでいるし、アミーラちゃんは無言キャラだし。

 俺の会話相手がいないから、ひとりごとを言うしかないんだよ。

 

「というかアミーラちゃんはどうして来たんだ? 昨日ちゃんとご飯食べたんだろ?」

 

 ふるふると首を横にふるアミーラちゃん。食べてないの?

 詳しく聞くと、昨晩は現地の商人と商談している途中で魔族を見つけてシバいていたらしい。

 そんなサクッと、敵幹部倒しましたと言われても。

 

「それって猫に化けてたヤツ?」

 

 頷くアミーラちゃん。

 あれか。原作ゲームでアッサラームの民家の2階にいたやつか。

 ひょっとしてガゼルが昨日言ってた、一緒に来ていたっていう物資の管理をしてる魔族だろうか。

 ブーメランの一撃で倒したらしい。

 描写もろくにないまま倒される魔族かわいそう。

 

「そういうのはちゃんと報連相しなさい」

 

 それだけ指摘し、俺は船長たちに話を振った。

 

「船長、聞きたいことがあるんですが」

 

「げふっーっ!」

 

 ゲップで返事された。汚い。

 

「あぁん? んだよ勇者、孫娘はやらんぞ」

 

「いらない。そうじゃなくて、雷について聞きたいんだけど」

 

 俺は昨晩の疑問を解くべく、気象現象の専門家に訊ねることにした。

 エルマン氏は雷を知らなかった。

 不思議な話だけど、地方によっては雷が発生しない場所もあるかもしれない。だから専門家に聞いてみることにした。

 中世世界における気象学の専門家、海の男に。

 ……いやこの連中は海というよりは砂漠と湖の船乗りだけど。

 

「カミナリ? なんだ、それ」

 

「知らないのか……ほら、大雨の時に空がピカッと光って、ゴロゴロ鳴るやつ」

 

「知らねーなぁ。てめーら、そんなの見たことあるか?」

 

「「「ないでーす」」」

 

 うーん、どういうことなんだろう。

 空にいる風の精霊とかが影響してるんだろうか。

 雷の精霊……っていうのは、ドラクエにいるのかな。

 急にテイルズ感でてきた。言葉通じなさそう。

 

 




最近食事がめんどうくさくて夜にトースト食べてます。
マーガリン塗ってるからこれは料理。
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