バハラタでの奪還作戦手伝いを終えて、俺たちは改めて出発した。
この地に残るアミーラちゃんに代わり、まさかのパーティー入りしたカンダタは語る。
「あそこはいろいろな香辛料を扱っているが、そのなかには麻薬と呼ぶべきものもあるんだ」
「……植物由来の口に入れて刺激を楽しむ物、という意味じゃ似たようなもんか?」
「そうだ。昔は麻薬がやばいってわかってなかったから、香辛料の一種として扱われてた」
そう言われると、地球史のアヘン戦争なんかも違う見方があるのかもしれない。
現代の感覚でいえばアヘンが麻薬だとわかりきっているけど、当時だと先進国でさえ麻薬はそれなりに出回っていた。昔シャーロックホームズを読んだ時、イギリスが舞台だというのにアヘン窟が出てきたのを覚えている。
イギリスでさえそうなのだから、戦争の舞台となった中国では尚更だろう。
「身体に悪いと知りつつも購入してしまった間抜けな中国」ではなく、「そもそも麻薬を煙草くらいの認識で輸入していた」だったのだろうか。
「とはいえ今じゃそれなりに、麻薬が危ないってことは周知されている。だがバハラタという町は、それでもなお利益のために商いをやめねえんだ」
「需要があれば供給があるというか、供給されるから需要が生まれるのか」
「買う方に問題がねえとはいわねえが、売るほうに問題がないとは言わせねえよ」
カンダタは肩を竦めた。
「とはいえもういいだろ。今度360度全方向から締め上げられてバハラタって町がどうするかは、それこそ連中が判断することだ」
「もういいって?」
「バハラタは香辛料の商売で経済圏を築いた、自主性をもつ経済国家だ。その法律を外から変えさせるのは内政干渉だ。それでもなお捻じ曲げようと思うなら、全面戦争をするしかない」
「あんまりそういうやり方はやりたくないなぁ」
「だからこその対処療法だ。諸外国でバハラタとの取引を停止する協定を結び、奴隷拉致を徹底して防ぐ。こちらに許される範疇で、バハラタのやり方を封じ込める」
「バハラタに『今のままじゃ駄目だ』と思わせようって作戦か」
つまり、経済制裁。
武力による制裁と経済制裁は少し性格が違う。武力による制裁はうまくやれば1の労力で10のダメージを与えられるが、経済制裁は10の労力でキッチリ10のダメージを与えることになる。
同じ負担を負い続けるのだから、体力がないほうが先に尽きる。
「まあ、それでバハラタが変わるってのは無理だと思うけど」
「無理かどうかじゃねえ。俺たちは俺たちのやれることをやる、バハラタはバハラタの自己責任で選択していくだけだ」
その結果、世界屈指の貧困国になった地を俺は知っている。
半島の北側だ。建国時に戦争で解決する時代じゃなくなっていたからこそ、生き方を変える機会を失った国。
彼の国の悲劇は、周辺国がまともな国だったことだろう。
隣の国がイケイケでおせっかいに占領統治していたら、あるいはあの国の国民は、今よりまともな生活を送れていたかもしれない。
そうでもないかもしれない。すべては仮定の話だ。
「バハラタって王政か?」
「いや、一部有力な商人による議会制だ」
「それはそれで駄目そうだな……」
権益の奪い合いで先鋭化する未来しか見えない。
もう離れたとはいえ、イシスの王様としては身につまされる気分だ。
「ところでカンダタ、あんたってどういう戦い方をするんだ?」
色々と落ち込んでいたせいで、確認すべきことを忘れていた。
「俺か? そうだな」
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職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
9 遊び人
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ゲーム中のランダム種配布により性格を決定します。
性格 しあわせもの
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「俺はそもそも冒険者じゃねえ」
「ん? いや、そりゃ冒険者ギルドの人が戦えなきゃいけないってことはないか」
ルイーダだって戦闘職じゃないだろうし。
俺はアリアハンで会ったガラの悪い少女を思い出す。
旅立ってから5年、もう彼女も成人している頃だろうか。
「こう言っちゃなんだが、戦闘能力は期待するなよ。俺は『奴』を捕縛するのを見届けるのが仕事だ」
「奴、ねえ。そのターゲットってのはどんな奴なんだ?」
カンダタがここにいるのだ、敵の正体がまったく検討もつかない。
「そうだな、奴は……」
シャキア
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ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 6
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 26
容姿(かっこよさ、かわいさ) 8
頭の良さ 1
運動神経 3
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「奴の名はシャキア。海賊だ」
「海賊?」
「そうだ。それも、あらゆる旧世界の勢力に尻尾を振らない、危険な女海賊だ」
「海賊がどこかしらの勢力に属しているのが普通、ってのも闇が深いな」
それが犯罪組織とか悪徳貴族とかならともなく、れっきとした国家が海賊雇ってそうで怖い。
ロマリア王とかはたぶんやってる。あの腹黒男なら絶対やってる。
「にしても、女海賊か……」
原作ゲームでもいたわ、女海賊。
とはいっても地球の歴史でも女海賊で名を馳せた人物は複数いる。これだけで特定はできないか。
「海賊の家」という隠れ家もあるけど、これについては南米のどこか、ということしかわからない。
「その切れたナイフみたいな女海賊が、冒険者ギルド所属のアンタに何をしたっていうんだ?」
「海賊っていうんだ、略奪に決まってる。っていうか略奪したから海賊って呼ばれてるんだ」
「どこの勢力から略奪を?」
「新大陸への移民船だ」
つまりタイタニックか。いやニュアンスとしてはもうちょい前の世代だけど。
「新大陸ってあれだろ、世界地図の右側のデカイ大陸」
「その世界地図は東洋で使われてるものだな。ここらじゃ大抵は左に新大陸が描かれている」
どっちでもいい。つまるところはアメリカ大陸への移民船だ。
「移民船なんて大した金銭は積んでないだろ」
「人間だって商品になるぜ」
「……執拗に移民船を狙うのはなんでだ?」
「新大陸のどこかと繋がってるんだろう、そりゃあ」
原作ゲームを鑑みると、北アメリカ大陸に国家はない。これは中世時代の現実世界と同じだ。
南アメリカにはサマンオサって国家があった。現実にもインカ帝国という国家が存在したから、これも現実に準じている。
海賊が手を組みそうな組織というと……うーん、わからん。
史実の植民前の北アメリカ大陸にも意外と有力な勢力を築いたネイティブアメリカンの部族がいたとは聞いたことがあるけど、そこまでの知識はない。
「とにかく向かうぞ。奴はフランク王国のシャンパーニにいる」
シャーロック・ホームズはなろう系。
読んだ人ならわかります。