大西洋を往くアリア号。
優雅にクルージングする船上にて、俺たちは赤道祭に興じていた。
魔法で冷凍しておいた羊肉を塩とリンゴと蜂蜜に漬け込み、鉄板で焼き上げる。
なかなか雑で適当な味だが、甘じょっぱい味はいつの時代も正義。
自然の食べ物に甘じょっぱいものは存在しない。
甘さと塩っぱさをマリアージュしようとした奴。天才かよ。
「やはり肉……肉はすべてを解決する……!」
焼き肉には米が必要だ。
しかし米はない。いや旅の中で見つけてはいるが、ジャポニカ米がない。
だから酒だ。シャンパーニ地方で仕入れまくった安ワインをガバガバ飲む。
酒飲みならこれでいいのかもしれないが、やはり米が必要だ。
「次の目的地はジパングだ! 俺たちはあそこで米を入手する!」
もう何年、白米を食べていないだろう。
死ぬ。死んじゃう。
ジャポニカなライスを食べたい。細長いのはもう飽きた。パスタを千切りにしてちねり米にするのも限界だ。
「勇者様、聞いたことがありますっ。ジパングという国には、恐ろしいドラゴンがいるって!」
ソニアが情報提供してくる。
恐ろしいドラゴン、というのは十中八九ヤマタノオロチだろうな。
忘れがちだけど彼女も王女、各国の情報には詳しい。
「ソニア、俺たちは勇者パーティーだ。適当な風聞で戦うわけにはいかない」
「はいっ。だから、現地で情報収集を……」
「ジパング編は後回しだ」
「ええっ……」
ジト目のソニア。
だって、確かヤマタノオロチって結構な強敵だった気がするし。
船入手直後から挑めるというのに強敵。自由度が高いゲーム特有のトラップだ。
「今後の予定だけど、まずは暗黒大陸を南回りにぐるっと回って、カンダタとシャキアを南アジアの拠点まで送り届ける」
途中でテドンに立ち寄れるかもしれないけど、それはなしだ。
「船長、再確認だけどテドンについては知らないんですよね?」
「知らねえ」
俺の確認に、船長は即答する。
「寂れた山奥の村なんだろ? 知るわけねえよ」
「ですよねー」
さもありなん。この世界にああいう村は星の数ほどある。
まして内陸側となると、世界中の海を巡った経験がある船長でもお手上げだろう。
というわけで、テドン捜索は後回し。
「カンダタを届けたあとはジパングだ。黄金の国とか言われているけど多少砂金が採れるだけだから期待しないように」
米があるかは、じつは賭けだ。
ゲームでは弥生時代風だった。歴史的に見れば、日本人が米を食べ始めたかどうか、って時代だ。
仮に米の稲作が行われていたとしても、弥生時代の米なんて食べられたものじゃない。米(笑)
だが俺は信じる。
この現実世界とゲーム世界は差異がある。ひょっとしたらジパングはお江戸かもしれない。ひょっとしたら文明開化してるかもしれない。
俺は、白米が存在するという一縷の望みに賭ける。
「米入手後は大陸に上陸する。そして……」
俺は大きく息をつき、続ける。
「……そして、世界樹の葉を探す」
作中唯一の死者蘇生アイテム、世界樹の葉。
これを入手し、エイダちゃんを生き返らせるのだ。
業務スーパーの安い冷凍たこ焼き、揚げたらすげー美味しい
体に悪い味がする…!