世界樹の葉。文字通りの葉っぱのアイテムだが、その詳細については少なくともドラクエ3では語られていない。
他のシリーズだと巨大な木として描かれていた気がするけど、そこまではっきり覚えてない。
ドラクエ3でも設定上はそうなのかもしれない。ただいかんせん古いゲームなので、そんな専用グラフィックとか用意されているはずもなく。
とにかく、死者蘇生のアイテム、くらいの情報しかないのだ。
入手方法はフィールドマップ上の特定の場所で「しらべる」を使うこと。つまりイベントなどもなく、普通に落ちてる。
地球でいうところの中国っぽいあたりの大森林のど真ん中にその地点があるわけだが、その位置関係が割と意味不明だ。
極寒の地であるムオルの北。ジパングよりはるかに北方。
……と思いきや、北緯を見るとロマリアとほぼ同じくらいだ。
というか、ゲーム中の地図を信じるならジパングがほぼ赤道上にあることになる。
そんなわけがない。「でもジパングには四季があるから」って言えなくなる。
ムオルで森林限界のような演出をしておきながら、更に北に大森林があるのも意味不明だ。
なにが言いたいかというと、ドラクエ3の世界地図はまったくアテにならない。
これはまあ、ある意味仕方がないことでもある。地球でも古地図を見れば、かなりいい加減だったり間違った表記が多い。ジパングだってよくわからない島として描かれている。
こういうのは断片的な情報から描かれた地図だ。だから、信じられるのは大まかな位置関係くらい。
つまり……大森林は、地球でいうところの中国大陸だと推測される。
……いや中国、クソ広いんですけど!
中国大陸を一つのエリアと考えるのはナンセンスだ。あれだけ広大な土地が、地政学上ひとくくりで語れるはずがない。森林があれば砂漠だってある。
原作ゲームで地名も出てこなかった以上、4つの山に囲まれた地形、ってあたりからざっと聞き込みするしかない。
自分で歩き回っての調査は無理だ。中国は広すぎる。
本腰を入れて調査すれば、一生モノの仕事になる。
……エイダちゃんのために、そこまでやることは、残念だができない。
「勇者様?」
ルナリアの声に我に返る。世界樹の葉について考えていて、ぼうっとしていたようだ。
「すまん。えっと、まあ今後の予定はそんな感じだ。そこから先はその時に考えよう」
準備を万端に整えてヤマタノオロチに挑むのも良し。
女海賊を捕虜にしているのだから、海賊の家に案内させるのも良し。
原作を知る者ならこれらの地に存在する秘宝を知っているだろう。ゲームクリアに必須となる、いわゆるキーアイテムが手に入る。
とにもかくにも、予定は未定だ。
「勇者様、私、私……」
ルナリアが真摯な瞳で見つめてくる。
まるでその眼差しは恋する乙女だ。
「私も……お酒を飲んでもいいですか?」
「駄目」
船の上で泥酔して落っこちたらヤバい。
なにがヤバいって、ルナリア落水→クラーケンに食われる→腹を裂いて脱出というオチが見えてくるくらいヤバい。
というわけでルナリア禁酒。悪酔いするのはせめて陸の上にしてくれ。
「お願いします。なんでもしますから」
「こんな場面でなんでもすると言われるとは思わなかった」
「一生のお願いです」
「一生涯有効の無期限お願いかな?」
「お肉を前に酒が飲めないなんて、後生です」
「さてはお前もう飲んでるな?」
「酔ってません」
「飲んでるかどうかって訊いてるんだよ」
ルナリアはグビグビとボトルをラッパ飲みし始めた。
禁酒失敗。