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大陸における調査期間を12面サイコロで決定します。
2ヶ月
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「え、あるの?」
「ありますな」
中国大陸に到達し、現地のラーメンがラーメンっぽくないと嘆きつつ最初の町で調査したところ。
適当な商人に買い物ついでで訊ねたところ、十字に並んだ奇妙な山についてあまりにあっさりと情報が手に入った。
大陸最初の町ということで適当に選んだ場所だったけど、それなりに発展している印象を受ける。
ジパングと同じ木造の建物だけど、町並みを1世紀進めた感じ。
「4つの山が十字に並んだ土地ですよね? かなり有名ですよ」
「まじか」
俺はとりあえず目についた露天の商人に訊いたわけだが……まさかいきなり当たりとは。
ここまで見つかるかどうか不安に気を揉んでいたのはなんだったんだ。
「ここから遙か西にカサンという地があります。カサンは岩山が連なる険しい地ですが、特に有名なのはお客様が仰る通り十字に聳える四聖山という山なのです。聖なる山にはそれぞれに神殿が建てられており、賢者様が世の真理を追い求めて研鑽しているのだとか」
「それっぽいような、そうでもないような話だな」
「お客様、ここまで話させておいてそれはあんまりでございます」
「スマン」
俺は商人に謝礼を支払った。
「そこは小粋に、うちの商品を買ってほしいのですが」
「俺たちは商人じゃないからな。いらない物が増えても困る。現金で済まさせてくれ」
「お綺麗な女性を連れているではありませんか。せっかくですし、贈り物なんて如何です?」
商人はルナリアとソニアを見つつ、手元の装飾品を示した。
所詮は庶民向けの装飾品、さっき渡した謝礼の方がずっと高額だ。ここから更に売り込みをする意義は薄い。
とはいえ現金をそのまま受け取りにくいというのは、商人らしい矜持なのかもしれない。
「奥方ですかな?」
「うん」
説明が面倒になったので肯定する。
「え、マジですか」
ルナリアの聖女服もソニアのドレスも、どちらも彼にとっては異国の華やかなドレスという印象だろう。
異国のドレス姿の美少女を二人連れた男。しかも二人とも嫁らしい。
商人は俺をジロリと見る。
「死ね」
商人の仮面があっさり剥がれ落ちた。
「俺にそんな口をきいた奴はお前が初めてだ。おもしれー男だ。貴様もヒロインにしてやろうか」
「はあ……?」
俺の言葉に商人は首を傾げつつ、小袋を幾つか取り出した。
「装飾以外となると、こういうのはどうでしょう?」
「なんだ、食べ物か?」
「トゲトゲ飴です。長く保つので土産も良いかと」
「金平糖だな」
俺は金を支払って、ルナリアとソニアに1袋ずつ渡す。
「変に残るものよりは、こういう消え物の方が貰って嬉しいだろ?」
「ありがとうございまぁーすっ!」
「お気遣いありがとうございます」
俺たちは移動を始める。
二人は小袋に入った飴菓子を口に含み、コロコロと溶かすようにして食べた。
「ですが勇者様ぁ、消え物を喜ぶのは男の子の発想ですよぉ?」
「そうなのか? 俺は貰ったお土産とかで小物が増えてくのは嫌いんだけど」
「お菓子なんて野暮ですよぉ。こういうのは形に残る物を贈るのが粋なんですぅ」
ソニアは小袋からもう金平糖を一つ取り出して、口に放り込む。
言い分の割に気に入っているらしい。
「次からは勇者様はもっと、女の子の喜ぶものを贈らないとダメでぇす」
「私は消耗品のほうが嬉しいのですが」
ルナリアは物が残るのは好きではないらしい。
たぶん実家が孤児院を経営しているので、配れる小さなお菓子とかが好ましいのだろう。
「ところで先程、私たちのことを嫁扱いしていませんでしたか?」
「してないぞ」
「どうして2秒でバレる嘘をつくんでしょーね、この人ぉー」
「勝手に嫁扱いするのも問題ですが、嫁扱いするならするでちゃんとエスコートしてください」
フリをして欲しければ対価を払え、というわけか。
「みかじめ料だな」
「言い方」
「お友達代だな」
「言い方ぁー」
「ほれ」
俺は二人が飴を食べている瞬間を見計らって、商人からこっそり購入した物を手渡した。
「やる」
「これは、櫛ですか?」
「べっ甲の櫛ですね! なんですか、ちゃんと形に残る物も買ってあるんじゃないですかぁー!」
「間違って買った。やる」
少女二人は顔を見合わせた。
「どうも? ありがとうございます……?」
「勇者様ぁ、そのプレゼントの渡し方はお子様すぎますよぉー」
だまらっしゃい。男児たるもの、雨の日に無言で傘を押し付けて相手を困らせるのがマストなのだ。
相手が困る? それはそう。
イケメンではないのにアレをやってみせたカンタこそ真の勇者…!
作者も高校生のころ、雨の日にカバンに入っていた予備の折りたたみ傘をクラスメイトの女子に貸したことがあります。
「あっ、いいから。大丈夫。いやいいから。大丈夫だから」
奥ゆかしい人だったのでしょう。
ありし日の作者もまた、真の勇者だったのかもしれません。
ちなみに傘は結局、通りかかった部活の先輩が「じゃあ俺が借りるわ」と持っていきました。