ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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学術都市国家カサン3

 

 

 

「うっま……」

 

 俺は感動していた。

 

「麻婆豆腐、香辛料多めな肉野菜炒め、ゴージャスなおうどん、鶏肉を煮込んだ赤いスープ……どれも絶品すぎる」

 

「名前適当じゃのう」

 

 魔法オババがツッコむ。

 いや麻婆豆腐以外の描写が適当なのは勘弁してくれ。本格中華なんて俺には名前がわからない。

 とにかく美味い。脂っこいのが難点だが、料理のクオリティが他の地域とは一線を画している。

 香辛料の扱いが特筆されるだけあって、どれも赤い印象を受けるが、いざ口に運ぶと様々な味わいが演出される。

 例外なく美味い。料理としての完成度が違う。

 

「これが世界3大料理の実力……いやほんと美味い」

 

 そもそもこのメニューの多さが異常だ。世界を巡ってきた経験上、この世界の飲食店はメニューが1つか2つと決まっている。

 高級店とはいえ、メニューが現代感覚で豊富なのはヤバい。

 

「美味い! 美味い!」

 

「ガハハハ! 酒だ、酒だ!」

 

 語彙力を失って食欲に従う男連中。

 

「これは、少し重いですね……」

 

「私はこれくらいでやめておきまーすぅ……」

 

 対して、油っこさのあまりに食欲を失っている女性陣。

 なんともわかりやすい評価基準なのだろう。カロリーは美味しさの指標とはよくいったものだ。

 なぜこの地方の料理が脂っこいのかは諸説ある。昔読んだ漫画だと、この辺の川の水が泥臭いから油でコーティングして泥臭さを防いでいると言っていた。

 あるいは、大陸の水は硬水なので、煮るという調理法が発展せず蒸すか炒めるか揚げる方向に発展したのだとか。

 どちらにしろ水が原因なあたり、なんとも難儀な土地だ。

 

「して、お主の聞きたいことじゃが……おおよそ検討はついておる。わしのスリーサイズじゃな?」

 

「違う。この地に、死者蘇生のアイテムを探しに来たんだ」

 

「うむ。バスト129,3、ウエスト129,3、ヒップ129,3じゃ」

 

「ドラ○もんじゃねーか」

 

「死者が生き返るわけないじゃろう。何言っとるんじゃお主は」

 

 急に素に戻るな。

 

「この辺に世界樹ってのがないか? たぶん大きな木だ」

 

 4つの山云々はあえて言わなかった。変に情報を出しては先入観が入って適切な情報が得られないかもしれない。

 

「……ないのう。そもそも大きな木なら見てわかるじゃろう」

 

 たしかに。

 そういえば原作ゲームでは、世界樹が特別大きいという描写されてはいなかった。

 

「訂正、大きな木じゃないかも」

 

「特定するための唯一の情報が消えたのう……」

 

 困り顔の魔法オババ。

 

「もっとないのか、こう、ヒントになりそうな情報は?」

 

「んー、そうだなぁ」

 

「ほら、特徴的な4つの山の中心にあるとか」

 

「アンタやっぱ知ってるだろ」

 

 ほっほっほ、と笑って誤魔化す魔法オババ。

 なんだろう、なにか条件を満たすとなにか聞かせてくれるって感じだろうか。(ゲーム脳)

 

「勇者よ、生き返らせたい者がおるのか?」

 

「ああ」

 

「これまで誰もが、近しい者の理不尽な死を歯を食いしばって受け入れきたのじゃ。それが人の理。お主はそれに逆らうのかのう?」

 

「今まで存在しなかった蒸気機関作って常識を覆してる連中が何いってんだ」

 

 俺からすれば世界樹の葉で生き返るはずがない人間を生き返らせるのも、蒸気機関車で行けるはずがない場所まで行くのも同じだ。

 死を覆すのが背信的だというのであれば、薬学にも回復魔法にも頼らず生きればいい。

 魔法オババは目を丸くして、再びほっほっほ笑いをした。

 

「一利ある、かもしれん。そうじゃ、常識を否定してこその賢者じゃ。わしも少々考えがつまらん方向に固まっておったのかもな」

 

「世界樹について思い出したか?」

 

「まだ思い出す気にはなれんのう」

 

 思い出す気になるってなんだよ、言葉がおかしいぞオババ。

 

「ほれほれ食え食え、高い酒も頼め。思い出す気になるまで飲んでくれ」

 

「わしを酔わせて何をする気じゃ、いやらしいことをする気じゃろう春画みたいに!」

 

「…………。」

 

「急にしらけるのはやめんか? 乙女心が傷つくのじゃ」

 

「俺の食欲や気力も傷ついたよ」

 

 そういや宿とってねーや、もうお開きにして宿屋探して屁をこいて寝ようかな。

 

「明日の昼過ぎ、町中央の学園に来るのじゃ」

 

「学園?」

 

 確かに町の中心には大きな建物があった。てっきり城か役所かと思ってたけど、学校だったのか。

 

「ここは政治的にも独立した、特殊な学術都市じゃ。そして権力の集中による独裁を防ぐべく、代表は1人の議長と3人の論者による議会制となっておる。それらを合わせて、カサンの4賢者と呼ぶのじゃ」

 

「つまり、賢者ってのは特別な資質や魔法を持った奴とかじゃなくて、校長先生的な研究者達の代表ってこと?」

 

「うむ。まあ漫然と過ごしていてなれる身分でもないがなの」

 

 急に安っぽく思えてきたぞ、賢者様。

 

「昼過ぎには理事会がある。その場でお主を紹介しようぞ」

 

「賢者会じゃなくて理事会て言っちゃったよ」

 

 がっかりだよ。がっかり賢者だよ。

 なんていうかこう、薄暗い大聖堂のようなホールで、闇に包まれながら賢者たちが互いを牽制しあいつつ会議するんじゃないのかよ。

 もうイメージが蛍光灯の明るい会議室で折りたたみの長テーブルを囲んで、参加者の前にはペットボトルのお茶が置かれているってのに固定されちゃったよ。

 なんで紙コップがパイルダーオンしてるんだろう。あれいる?

 

 

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