ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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賢者会議2

 

 

 神秘の中華大陸、その奥地。

 大陸の叡智が集まる学術都市カサン。

 進化は進化を誘発する。新たな知識は相乗効果によってより高みへと昇華され、カサンの文明レベルは既に中世とは言い難い領域に達していた。

 蒸気機関車が人を運び、高収量品種の稲が穂を垂れる。

 来るもの拒まず、出るもの追わず。

 ただひたすらに次の次の知識を求める町。それがカサンだった。

 ―――そのカサンに君臨せし、4人の賢者達。

 

 魔法使い オババ。

 脳筋騎士 キラマ。

 吸血鬼  アンヤ。

 猫    猫。

 

「いや面子」

 

 俺は思わずツッコんだ。

 バクダ引退は決定事項なのか。

 議長は猫氏の賢者就任を認めるのか。

 なぜ彼(彼女?)は部屋の隅、何もいない場所をじっと見つめているのか。

 

「まさかキューレ、そこにいるのか……?」

 

 お兄さんが怖いこと言い出した。

 

 

 

 

 

 

 学園の会議室にて、賢者たちと対面した俺達。

 しかし困ったことに、賢者のうち一人にとって、俺は妹の敵(かたき)だった。

 彼には彼の言い分があるのだろう。俺にだって俺の言い分がある。

 だから、俺は必死に言葉を紡ぐ。

 

「やんのかコラ。すっぞオラ。ザッケンナコラー!」

 

「勇者さまぁ、喧嘩を爆買しないでくださぁい」

 

「貴様はもう少し器用に生きられんのか……」

 

 アンヤは苦々しく俺を睨みつけ、新たなる賢者の猫を抱き上げてゴロゴロしはじめた。

 自分を落ち着けるためにアニマルセラピーを試みている……

 

「むしろこれは、敵対するつもりはないという意思表明なのでしょう」

 

 ルナリアがそう言った。

 確かに、敵対するつもりなら妹についてここで言及する必要はない。

 

「その通りだ。俺に、貴様ら勇者パーティーと敵対する意思はない。死ね」

 

「……敵対する気はないんだよな?」

 

「俺からは何もしない。事故死しろ」

 

 ヤツからどんよりとした呪いのオーラが伝わってくる。

 兄心は複雑らしい。

 

「これこれ、若い者同士で盛り上がるのはいいが今は会議じゃ。イチャイチャするでないぞ」

 

 ズッキュンと俺達にウインクする魔法オババ。

 俺たちの闘争心は浄化された。

 

「勇者よ。すまんな、急に突っかかって」

 

「いや、俺達のほうこそ。妹さん……キューレのことは残念だった」

 

「わしのウインク一つで冷めすぎじゃろ、最近の若者かお主らは」

 

 魔法オババは若干傷ついた様子で俺たちのことを睨んだ。

 オババの中で、ズッキュンの自己評価が高すぎる。

 

「……繰り返すようだが、俺はお前とやり合うつもりはない。一文の益もない」

 

 キューレの兄アンヤは存外に思慮深く、感情より利益を優先する男のようだ。

 あるいは、そんな性格だからこそ学術都市にいるのかもしれない。

 

「よしよし、自己紹介は終わった。わしの魅了(チャーム)もふりまけた。よーし、では会議の議題をあげることとしよう。心して聞くが良い」

 

 俺たちは手元の察冊子をめくる。

 そこには、彼女の筆跡による議題が書かれていた。

 

「うむ……今日の議題は、『なんかアポイントもなく急に来た勇者の取り扱い方について』じゃ」

 

「本人の前で議論するの!?」

 

 思わずもう一度ツッコむ俺。

 会議はいよいよ、混迷を極めてきた。

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