ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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失われしロトの剣

 

 カサンの学園の校舎、俺たちはとある研究室前の廊下にいた。

 

「じゃあ、よろしく頼みます」

 

「承知した。しっかりと検査しておこう」

 

 賢者の一人、キラマにエイダちゃんとキューレを預ける。

 剣の道を極めん……とか自己紹介していた脳筋騎士だが、彼は生理学方面の賢者らしい。

 良かった、ちゃんと学問も修めてた。

 キラマは2人をつれて研究室に入っていく。俺たちは廊下で待機だ。

 

「にしても、あの人も研究者だったんだな」

 

「別に不思議なことではあるまい。考えなしに反復訓練をするだけでは身体の動かし方は学べないのだ。騎士が身体や筋肉の仕組みに精通するのは当然のことだ」

 

 アンヤはそんなふうに賢者仲間の男を評した。

 昭和の野球部と現代のオリンピック選手の違いみたいなものだろうか。

 重いコンダラで試練の道を整地する時代ではないのだ。

 

「「ぬわーーっっ!!」」

 

「なんだなんだ」

 

 研究室の中から2人の声が聞こえた。

 俺とアンヤは顔を見合わせ、おそるおそる研究室を覗く。

 フランス革命の少女漫画に出てきそうな、キラキラした美形がそこにいた。

 

「む? 貴様ら、誰が入っていいといった」

 

「……お前、キラマか?」

 

「そうだが」

 

 長髪にキラキラした瞳。まさか、あの鎧の中身がこんなのだとは。

 

「甲冑を脱いだら美形とかベタだな。メガネと取ったら美少女、みたいな?」

 

「なんだそれは。今は検査中だ、でていけ」

 

 見ると、エイダちゃんとキューレが目隠しされて亀甲縛りで天井から吊るされていた。

 

「何やってんの?」

 

「検査だ」

 

「なんの?」

 

「いろいろだ」

 

 亀甲縛りの縄はケーブルのように機械に繋がれている。

 あの縄は立派な検査器具らしい。

 

「これは魔力の質や流れを可視化する装置だ。これで2人の魔力の流れを見て、異常がないか調べている」

 

「そ、そうか。いや、真面目な検査ならいいんだ」

 

「らめえええええっ! 魔力潤ばしっちゃにょおおっ!」

 

「くっころ! くっころおおっ!」

 

 2人はなぜかエロい感じになっている。

 スポーツ生理学ってこういうのだっけ。

 

「終わった後、白目剥いてダブルピースとかしてないだろうな」

 

「気にするな。日常生活に影響はない」

 

「夜の生活には影響あるの……?」

 

 キラマは答えずに検査に戻る。

 

「んっ、ふぁっ!」

 

「おほっ、おーっ!」

 

 2人が声をあげる。さて、どうしたものか。

 

「……変だ。魔力の流れ方がおかしい」

 

 エイダちゃんたちに繋げた装置を調整しているキラマが言う。

 俺とアンヤが覗き込むと、レントゲンのような感じで魔力の流れが映像として表示されている。

 魔力とともに内臓の配置なども見えてくるわけだが……

 

「エイダ嬢の魔力の流れを見てみろ」

 

「……なんかおかしくない?」

 

「だからおかしいと言っているだろう」

 

 内蔵が、その。

 なんか、違う。

 

「どういうことだ? エイダちゃん、死者蘇生の時に、その、なんかステータスバグっちゃった?」

 

「これだからゲーム脳の若者は。そんなことあるわけないだろう」

 

 アンヤにダメ出しされる。

 世界樹の葉を増やしておいて、世界のバグ説を否定された。

 

「そういった急激な変化によるものではない。長期的に、この者に対してなにか変調をおこしうる何かがなかったか?」

 

 キラマはそう言うものの、長期的といっても。

 エイダちゃんの身体は毎日俺が魔法をかけて確認していた。誰かが魔法をかけて弄っていたとは考えにくい。

 

「それでは?」

 

 ルナリアがジト目で俺を糾弾してきた。

 

「それって?」

 

「毎日のエイダさんへの回復魔法は勇者様がかけていました。それが、なにか長期的な作用を起こしたのでは?」

 

「ばかいえ、俺は普通に魔法をかけたぞ」

 

「勇者様の魔法は感覚的なので、前々から心配ではあったのです」

 

 おうおうなんでいなんでい。おれっちがなにをやらかしたって言うんでい。

 

「感覚的ならばそれはそれでいいのです。そういう人もいます。ですが、回復魔法は正しいイメージを浮かべなければ失敗することがあるのです」

 

「へえ、初めて知った」

 

 周囲の視線が集まった。

 

「いやいや失敗のリスクについては確かに初めて知ったけど! ちゃんとイメージはしてたし、実際死体はきれいに保存されてたじゃないか!」

 

 必死に弁明する。俺はエイダちゃんの亡骸を修復する際、ちゃんとイメージしていたのだ。

 生前のエイダちゃんを思いうかべ、この子本当に男なのか、やっぱ女の子なんじゃないか、なんて考えつつもちゃんとイメージして。

 

「…………。」

 

「急に黙ったぞコイツ」

 

「勇者様ぁー……」

 

「アンタ、まさか」

 

「待って。確信もなく人を疑っちゃいけない。そういうの良くない。きっとこれはあれだ、ルビス様のアレだ」

 

「勇者様ぁ、確信もなくぅルビス様を疑ってますよぉー?」

 

 弁明しつつも、俺たちは一つの共通認識に至った。

 エイダちゃんの身体はどうやら変質してしまったらしい。俺のせいで。

 股間のロトの剣どころか、完全に中身まで女体化してるっぽい。

 

 

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