道中が本格的な山岳地帯に入ると、路面の過酷さ以上にモンスターの頻度に驚かされた。
次々と襲いかかってくるモンスター。アリアハン周辺より強いウサギのモンスターや、巨大な芋虫のモンスターなどが次々に迫ってくる。
そして、人間も。
「いやあ、大したものですな」
街道途中の広場で焚き火を囲んでの休息中。商人の男が、俺達をやたらと囃してくる。
どうやら俺達は、一般的な護衛より強いらしい。商人は「行程が例年より早くて助かります」としきりに喜んでいる。
「はっはっは。いうほどでも」
俺はお調子者のように笑いつつ、内心暗澹たる気分だった。
モンスターが増えていることが問題なのではない。その中に、それなりの人間が混ざっているのが問題なのだ。
「にしてもこのあたりは賊が多いですね」
それとなく訊いてみる。
商人は苦笑し、説明してくれた。
「貧しい地というのはそういうものです。どうにも、サンセット地域には魔法秘密結社があるらしくて」
「秘密結社?」
「まあ賊です。魔法中心で戦う集団なので、自称「秘密結社」なわけです」
判るような判らないような話だった。
山を幾つも超えていくと、遂に炭鉱町が目の前に現れた。
平地が狭いからか、町がぎゅうぎゅうと詰め込まれたような印象を抱かせる。
そんな谷間の町ブッシーに辿り着いたのは、ちょうど日が一番高い頃合いだった。
「いやー助かりました。例年だと物資を奪われていたんです」
道中で仲良くなった商人のスーンと話しつつ、馬車から荷物を下ろしていく。
聖女様のルナリアは肉体労働免除だ。
いや聖女じゃねーけど。女の子にがっつり肉体労働とかさせないけど。
「そんな蚊に刺された、みたいなノリで……賊に襲撃されたら命はないんだろう?」
「そういうわけではないんですよ。奴らにとっても商人が来なくなっては飢えますからね。生かさず殺さずで収奪するんです」
「みかじめ料みたいなもんか。経済活動が賊ありきになってるな……」
「あははは、この町は外部との物流がないと破綻しますからね。多少の損失は見て見ぬ振りです」
物資を荷台から下ろす作業を手伝いながら、スーンと会話を交わす。
山賊に襲われているというのに、コイツはどこか気楽そうに笑っていた。
「良いのですか、それで? 食料を渡していては、賊はいつまでも居座るでしょう。長期的な損失が決して小さくないことは、商人である貴方様なら見えているはずです」
柵にお尻を下ろして休憩しているルナリアが、賊に半ば寄生されている現状に不快感を示す。
「仕方ないんですよ。町があれば、格差が生まれます。こんな辺鄙でいびつな町なら尚更です」
「ああ、前に言っていた「貧しい土地ってそういうもの」ってやつか」
「はい。貧困層はスラムで朽ちるか、悪事に手を染めるか……根本的に仕組みを変えないと、「秘密結社」はなくならないんです」
「それは分かりますが、賊に物資を渡す理由にはなりません」
「いやまあ、そうなのですが……渡さないとそれはそれで、ボコボコにされてしまいますから」
スーンの考えは事なかれ主義というか、甘い対応に感じた。
だからといって商人に毅然と賊に立ち向かえ、なんて言えない。
町の歪さから生まれた賊に、歪な対応で茶を濁す。
「いいのでしょうか、それで」
釈然としない様子のルナリア。俺も同意見だ。
「こういう状況でこそ国にビシッと動いてほしいもんだけど、遠いんだよなぁ」
「直線距離は近いのですけれどね」
「この町の者も、王都は近くて遠い、とはよく言いますね」
王都は大陸東部をどう考えているんだろう。このまま無法地帯として放置していれば、最悪実効支配権を失うことになるんじゃないあろうか。
町の支配者層が国を無視して好き勝手動き出したり、あるいは賊が周辺地域をまとめ上げて独立宣言したり。
そうなれば、大陸内部で内戦だ。
「いや、考えすぎか……」
さすがに俺の考えすぎであって欲しい。ドラクエで扱う問題じゃない。
「それに、賊が明日壊滅したとなれば、それはそれで問題ですよ」
「なんで?」
「おそらく町の住人の何割かは賊と関わり合いがあります。どこからどこが賊か、なんて誰にも判らないのです」
「だから「秘密結社」なわけか……癌細胞みたいだな」
境界が曖昧で、切除すれば解決とも言い切れない。
あるいは、人間社会に巣食う病とは、例外なくそういうものなのかもしれない。
「おまたせしました、 物資の確認が終わりました」
そんな会話をしていると、少女がやってきた。
「ああ、ありがとうございます。では受け取りのサインをお願いします」
「はい」
銀髪の少女が、スーンが差し出した紙にサラサラとサインする。
随分と細身で華奢な少女だ。俺は彼女の顔を見て―――
「んんっ?」
俺は彼女を見て、首を傾げ、そして驚いた。
俺は彼女を知っていた。半年以上前に一度会っただけだけど、見間違えるはずがない。
「どうかいたしましたか?」
俺の様子に、少女も不思議そうにこちらを見る。
そして、ぎょっとのけぞった。
「あっ、アンタは!?」
少女は慌てふためき、そして回れ右してダッシュで逃げた。
顔見知りらしいスーンは、その様子を見てキョトンとする。
「あの、エイダさんとお知り合いで?」
「そうだ、エイダちゃんだ。どうしてここに?」
お互い困惑の言葉をぶつけ合う。彼女を知らないルナリアは俺に訊ねた。
「勇者様、あの方はどちら様でしょう?」
「ああ。彼女はエイダ、アリアハンの娼館で会った女の子だ」
口にして、しまったと思った。
ルナリアの目が冷たい。
やっべ。
やっべ!
「だ、大丈夫だから! 俺は童貞だから!」
ルナリアは無言で柵から立ち上がり、宿へと歩き出す。
やべー! 今年38回目の愛想尽かされ案件かもしれん!
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職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
3 盗賊
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主人公に対するスタンスを決定します。1(敵対的)〜10(友好的)
1 極めて敵対的
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ゲーム中のランダム種配布により性格とステータスを決定します。
名前 エイダ
年齢 15
職業 盗賊
性格 すばしっこい
容姿 銀髪細身の美少女
力 5
素早さ 15
体力 7
賢さ 7
運の良さ 11
HP 12
MP 13
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あとがき
性格すばしっこい、ってなに(困惑)
そして関係性を最悪にするサイコロ神の悪意よ
メッセージでエイダを盗賊にすることを提案されたので、それを採用しました。
ただ設定が盗賊でも職業が盗賊である必要はないと考えサイコロを振ったわけですが、結局盗賊になりました。
サイコロ神に翻弄されております。