山々の合間に作れらた鉱山町、ブッシーの夜。
俺はウエスタン風の酒場に置かれた狭い丸テーブルで、ルナリアと顔を突き合わせて料理を出迎えた。
「おまたせしましたー!」
「待ってましたー!」
郷土料理だという木の実とエビの身を炒めた料理。
周りの客が美味そうに食べているので俺達も注文したが、香ばしい香りがたまらない。
「では食前のお祈りを……」
「いただきます!」
お行儀の良いルナリアの祈りの言葉をガン無視して、俺は一口食べる。
かなり強い調味料のしょっぱさ、香草と香辛料もかなり強い。
だがそれがいい。とにかく全方位つよつよ味なのがいい感じだ。
まさに男の子の味。そう、これは……
「ご飯が欲しい!」
そうだ、これはご飯が合う料理だ。
というかこの町においては、ご飯ではなく酒と共に楽しむ料理なのだろう。
ぷりぷりとしたエビの旨味と濃厚さを、野菜のシャッキリ感がリフレッシュする。
単品で飽きずにひたすら食べられる料理だ。いやご飯は欲しいけど。
「お酒……ですか」
ルナリアが上品な手付きで料理を食べながら、他の客が煽るジョッキを見つめていた。
「飲みたいのか? っていうかルナリアって酒飲めるのか?」
「そうですね……」
――――――――――――――――――――――――――――
ルナリアの酒に対する嗜好をサイコロで決定します。
嗜好 8(かなり好き)
酒癖 10(極めて悪い)
――――――――――――――――――――――――――――
「実を言いますと、アリアハンにいた頃はそれなりに嗜んでいました」
恥じらいつつ微笑むルナリア。
妙に愛らしいその笑みに、俺はドキッとしてしまう。
「そうなのか? なら別に飲んでもいいんだぞ、今日からしばらくは宿だし」
「よろしいのですか? 迷惑をかけてしまうかもしれませんが……」
「いいよいいよ。介抱するよ。着替えとかも任せてよ」
「そうですか? ではお言葉に甘えて。すいません、お酒をピッチャーで戴けますか?」
はいよろこんでー! と返事が帰ってくる。
「ピッチャーってなんだ? 野球?」
「グラスのサイズの1つですわ」
なるほど、ショートとかグランデみたいなもんか。
「おまたせしましたー!」
ウェイトレスがズドンと巨大な容器をテーブルに叩き落とす。
これがピッチャーか。
……でけぇ。
くっそでけえ。
同じ飲み物の容器としては、あれだ、安い焼酎の大きなペットボトル。アレと同じサイズ感だ。
「え? ルナリアこれ飲むの? 一人で全部飲むの?」
「ああ神よ。この身に日頃の介護疲れの褒美を戴けることを感謝します」
ルナリアは俺の言葉を無視して、巨大なコップになみなみと注がれた黄金色の酒に口を付ける。
ごっきゅ、ごっきゅ、と頬を紅潮させて心底美味しそうに一気飲みする。
そして赤ら顔となり、げふーっとおくびをした。
美少女だからオブラートに包んで表現したが、おくびとはゲップである。
ルナリアは俺を見つめ、ニッコリと笑う。
「おいヘボ勇者ぁ!」
「!?」