「第1回これからどうしよう会議ー!」
いざないの洞窟内の拠点にて。
会議の音頭を取る俺に、眉をひそめるルナリアとため息を吐くエイダちゃん。
こらこら、会議を時間の無駄と切り捨てるのは意識が低い証拠だゾ☆
「まず情報をまとめよう。ここはいざないの洞窟、他の大陸へ渡る旅の扉ってのがある場所だ。ちなみにエイダちゃんは旅の扉の詳細な場所を知ってるのか?」
「知ってるけど教えない」
ぷいっとそっぽを向くエイダちゃん。
会話には応じてくれるみたいだけど、根本的に敵というスタンスらしい。
坑道内部には詳しくないけど場所は知っている、というあたり何かしら特徴のある場所と思われる。
こういう情報を漏洩するのがエイダちゃんのツメの甘さだろう。
「では次です。この周辺には秘密結社を自称する賊がいて、それは町と半ば同化しています」
ルナリアが2つ目の情報を提示する。
「盗賊であり傭兵であり、そしてこの町が抱える私兵としての側面もあるということでしょう」
「サンセットはアリアハンの領土内なんだろ? 正規軍とは別の兵力が、正規軍に成り代わっているなんてありうるのか?」
「歴史上、稀によくあります」
「どっちだよ」
「ここはアリアハンという国家から、半ば独立してる地域ですから」
「辺境伯ってやつ?」
「陛下が賊の身分を保証すればそうなるかもしれません。しかしそうはならないかと」
「ならないのかよっ!」
叫んだのはエイダちゃんだ。
なるほど、エイダちゃんはこの地域の半ば独立を望む立場なのか。
「もしサンセットがアリアハン大陸の北西端だったら、あるいは認められたかもしれません。しかしアリアハン王都とサンセットは近すぎます。船ならば比較的短期間で往来できるほどに」
そう言って、ルナリアはエイダちゃんを見た。
ヒロインの立場を奪われるのではないかと危惧しているのかもしれない。
「大きな影響力を持つ隣人を持つのは、王都としては望ましくありません」
「地政学ってやつか」
「くそっ! 話が違うじゃねえか!」
頭をガリガリと掻くエイダちゃん。
なんていうか、随分と初対面の時との印象が違う。
いや娼館で接客している時に本性なんて見せないだろうけど。それにしたって、随分騒がしい子だ。
「あるいは、本当に独立するつもりなのかもしれません」
「王都に伺いを立てずに、ってことか。そうなったらガチで戦争だな」
国家とはヤクザのようなものである、なんて聞いたことがある。
制圧して面子を周囲に示せば正当性を認められる。
近代ではこの周囲に認めさせるのがとにかく難しい。
昔はかなりいい加減だった。なんなら国家が、他国で内戦している両勢力と外交することすらあった。
つまり、節操がない。
このドラクエ3の世界はどうみても節操なしの中世なので、あるいはサンセットが独立宣言してアリアハンとの外交が膠着すれば、なあなあで独立してしまうのかもしれない。
なんて考えて、はたと気が付く。
「俺には関係ねーや!」
「……そうですね。勇者様はそれでよろしいのでないかと」
なんかバカにされた気がしたが、さておくことにした。
「第3にそんな武力勢力がなぜか俺達を追いかけ回してきたわけだが……」
俺とルナリアはエイダちゃんを見た。
これについては、やはり彼女に聞くべきだろう。
「ルナリア、拷問とか出来る?」
「なぜ出来ると思ったのですか?」
「教会って地下で異教徒に毎日拷問してるんだろ?」
「偏見が過ぎませんか?」
「えっ? 教会に拷問道具ないの?」
「教会で拷問が行われているのを見たことなんてありません」
「拷問道具がないと断言してほしかったぜ」
エイダちゃんみたいなかわいい子に拷問なんて出来ない。
というわけで、俺は提案する。
「俺もルナリアも拷問なんて出来ないだろう? だから、断食って形で追い詰めてみようと思う」
「貴方様、それはかなり残酷な罰かと思いますが」
ルナリアは俺を呆れた目で見ていた。