カンダタ退治を頼まれた翌日、俺はロマリア王に誘われてモンスター格闘場に来ていた。
捕獲されたモンスターを石造りのコロッセオで戦い合わせ、その結果で賭博を行う。
ゲームでも描かれていた、「お前らもっと切羽詰まった世界観じゃないのかよ、ここだけ世界観違いすぎだろ」という設備である。
変に現実に則した解釈が行われているこの世界では、さすがに地下に巨大闘技場が拵えられているということはなかった。
それこそ、古代ローマのコロッセオのような石造りのスタジアムそのまんまである。
「これが噂の格闘場か」
「うむ。モンスター同士が戦い、勝者を当てれば配当が得られる。我が国の重要な収益源だ」
「少し野蛮な気もしないでもないが……まあ、見世物としては面白いかもしれないな」
目の前では大鴉と一角兎が戦っている。
人間の敵として一括にされがちなモンスターだが、その中でも異種族はこうして戦い合うのだ。
そう考えると、人と魔王の戦いも自然の営みの一環でしかないのかもしれない。
「格闘?」
「格闘……?」
ルナリアとエイダちゃんがモンスターに対して格闘という単語を使うことに違和感を感じているが、そこは仕方がない。
ゲームでも格闘場なのだ。そういうものなのだ。
「さあ、手に汗握る格闘技スタジアムはこちらだよ。どのモンスターが勝つかズバリ当てれば儲かるぜ!」
呼び込みをするカウンターの男に声をかけ、賭け札を購入する。
「次の試合は……フロッガー、大アリクイ、サソリ蜂か」
どんなモンスターかわからない? カエル、アリクイ、蜂だ。
多少歪だが、ほぼほぼ地球の動物と変わらん。
「美味しそうですね」
「うむ?」
ルナリアの言葉に、ロマリア王が困惑する。
美少女が突然モンスターを美味しそうとか言い出したら、そりゃ困惑する。
こんな女に誰がした。
俺です。俺がモンスター食べさせまくったからです。さーせん。
「どうだ? 賭け札を買うかい?」
「ああ、買うけど……どれにしようか?」
仲間達に訊ねてみる。
確かドラクエ3のモンスター格闘場には予想屋がいる。
いるが、それを当てにしてはいけない……みたいなことは聞いたことがある。
「サソリ蜂か、サンセットじゃ馴染み深いな」
エイダちゃんがそう言った。
「なんで? 確かにあそこら辺で出現した気がするけど」
「あっちじゃ普通に食うからな」
「へー。まあ蜂の子とか食うしな」
色々と貧しい時代だ。サソリか蜂かよく判らないが、食べてみようってヤツはいそうだ。
「美味いんだぜ? エビみたい、ってよく言われてるな」
「エビかー。……あれ?」
そういえば、ブッシーの町でエビ料理を食べたような……
俺とルナリアは顔を見合わせて、そして顔を逸らした。
「ま、まあいいや。じゃあサソリ蜂で行こう」
「サソリ蜂だね。毎度あり! おっ、そろそろ試合が始まることだ。さあ、スタジアムへいっておくれ!」
促され、俺達はコロッセオ中央を見下ろせる席に座った。
会場に3匹のモンスターが入場する。事前に説明されていた通り、フロッガーと大アリクイ、そしてサソリ蜂だ。
なお3匹とも食べられるモンスターだと先程判明した。
ドラのような楽器が鳴らされ、3匹の戦いが始まる。
まず集中砲火を受けたのは、大アリクイだった。
大アリクイも反撃するが、おもに地上にいるフロッガーに攻撃が向かう。
順当に最初にオオアリクイが倒れる。
フロッガーとサソリ蜂のサシ勝負となったわけだが、既にダメージを受けていたフロッガーが劣勢に。
2匹の削り合いとなり、そのままフロッガーが倒れた。
「おー! 勝ったぞ!」
適当に勝ったサソリ蜂が勝利してしまった。
大した金額じゃないけど儲けが出た。
「やったではないか、勇者よ!」
「あ、はい。何か奢りましょうか?」
「はっはっは! 王に奢ろうとは面白い奴だ!」
ロマリア王含め、仲間達におだいじんをする。
苦しゅうない、苦しゅうない。
俺達はロマリア王の案内で、高級な飯屋へと向かうのだった。
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