芋虫料理の店に連れてかれそうになり、流石に俺達は必死に抵抗した。
そして次に連れて来られたのが、カエル料理の店だった。
アリアハンでもまあまあ食べてたけど、カエル料理多いなこの世界。
だが内蔵抜いて丸揚げしただけってのはワイルド過ぎると思う。
「カエルの形まんまだぜ」
料理って大事なんだな、と思った。
それでもやはり肉は正義。食べてみると美味い。
味? 揚げ鳥。以上。
香辛料を使っているわけでもなく、少なくともそれ以上の何かを期待する料理ではない。
古代ローマにも香辛料くらいあるはずだけど、しかし考えたらゲームでは胡椒が金に等しく扱われていた。
中世世界において、食文化とは融和せずモザイク状態を維持している。
スーパーに行けば世界中の香辛料調味料が瓶詰めされて陳列されている世界ではないんだ。
だから、揚げ鳥の味は主に塩。
ただの塩じゃないのか、少し赤く色が付いた結晶が大きい塩だ。
ハーブとかはロマリアにもあるけど、少なくともこの料理には使われていない。
相変わらずご飯が欲しいと思いつつ食べていると、ジュースが運ばれてきた。
何気なく飲んで気付く。
「これワインだ」
そういえば地中海といえば葡萄、葡萄といえばワインだ。
アリアハンでは飲まれていなかったので、ワインは初めてだ。さすがに飲みやすい。
こっちでは子供でも水感覚で飲むんだっけ。
「おい」
ソプラノの声が隣から聞こえた。
俺は血の気が引いた。
「おい、ヘボ勇者。聞いてるのか」
「誰だコイツに酒飲ませたの」
ルナリアの目が据わっていた。
馴れ馴れしく俺に肩を組み、ぐいぐいと身体を揺すってくる。
まるで高校生にカツアゲされる中学生の気分だ。
美少女に密着されているというのにまったく嬉しくない。
「エイダちゃん、助けて! エイダちゃーん!」
俺は助けを求めて、もう一人の仲間であるエイダちゃんに目を向けた。
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エイダの酒に対する嗜好をサイコロで決定します。
嗜好 1(興味なし)
酒癖 2(耐性なし)
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「くー……」
寝てた。
誰もが美少女だと思うあどけない顔を見せ、エイダちゃんは完全に夢の世界に旅立っていた。
天使のような寝顔だが、こいつ、俺を暗殺しようとしたやべーやつである。
「おい聞いてるのか!」
「聞いてるよ……なあルナリア、結局俺達はこいつのことを信用していいと思うか?」
「私はお前のことも信用してないが!」
「まじかよ」
1年以上一緒に旅をしてきたというのに信用されていなかった。
酔いどれルナリアはさておいて、エイダちゃんは元敵だ。
いや、敵という立ち位置は未だ変わらないのかもしれない。ただ目的がたまたま重なったというだけで。
魔王討伐。彼女はその目的の為に、俺達についてきた。
だが―――
「俺自身、別に積極的に魔王倒そうとしてないんだよなぁ」
ルナリアもそうだ。彼女は知識欲を満たすことが旅の目的であり、魔王は特に目的ではない。
俺達とエイダちゃんには、明確に立場の違いがある。
それが、いつか致命的な決別に繋がるかもしれない。
だから、だから俺は―――
「首輪つけたろ」
モンスター格闘場で入手した、対象に言うことを聞かせる為の呪いの首輪をエイダちゃんに装着した。
デンデンデンデン、デンデンデンデン。
どこからともなく効果音が聞こえた気がした。
「よし」
問題は解決した。