カリーム氏曰く、アッサラームからイシスへ向かう船までは1月ほど馬車で移動せねばならないらしい。
その為、俺達はアッサラームには一晩だけ滞在して翌朝には出発する運びとなった。
「キャラバンの人達は徹夜で働いてたみたいだな」
「そのようですね。必要と判断しての休息でしたが、こうして見ると申し訳なく思ってしまいます」
廃墟となった町の郊外にて、キャラバンの馬車が並んでいる。
数はだいぶ減っている。キューレの襲撃による半減もあるが、カリーム氏はキャラバンを更に分割することを決めたらしい。
「半数はロマリア、半数はイシスへ行かせる。国が滅んだんだ、奴隷の受け入れはどこでも過剰供給だろうからな」
カリーム氏も寝ていないだろうに、疲れ知らずな顔で書類に目を通していた。
疲れ果てた顔で馬車に押し込まれる者達を見ると、やはり思うところはある。
こちとら人権バンザイな現代人だ。人を人として扱わないのは見ていて楽しくはない。
「エイダさんに服従の首輪を付けさせていませんでしたか? それも猛獣用……」
「あーあーキコエナーイ」
しょうがないだろ、エイダちゃんは反発してこっちに攻撃してくるリスクさえあったんだから。
今後だってそうだ。綺麗事じゃ何もできっこない。
「俺は既に、勇者という罪を背負っているんだぜ…」
「はあ」
なにいってんだこいつ、という目でルナリアが俺を見据える。
俺がエイダちゃんに首輪による拘束を行った際、一切彼女が否定しなかったことを忘れてはいけない。
「1ヶ月かけて船着き場の町まで行って、そこからは船でイシスを目指すわけだが。俺はここに残る、色々とやることがあるからな」
カリーム氏はアッサラームで仕事をするらしい。
この崩壊した町で仕事とは、なかなか大変そうだ。
「さて、旅費は俺から支援するとして、それ以外の支援についてだが……」
なにかくれるらしい。
「タダより高いものはない」という警句がこれほど強く脳裏によぎったことはないぜ。
「やあ、おはようございます」
声をかけられ視線を向けると、そこにはエルマン氏が来ていた。
「おはようございます、エルマンさん。……そちらの人達は?」
俺は彼の背後にいる数人について訊く。全員初対面だ。
「彼等はこの町にいた冒険者ですよ。モンスターの襲撃で損害を受けて、にっちもさっちも行かなくなり奴隷落ちした者達です」
「えっ」
怪我をして治療費を払えなかったとか、そういうことなんだろうか。
生き延びたのに奴隷になっちゃったのか。それは災難というか。
カリーム氏は肩を竦める。
「間抜けなだけさ。いざって時のための資金もなく、いざって時のための人脈も作れなかった。同じような境遇でも奴隷落ちを回避した奴なんてザラに居る、こいつ等はただのバカだ」
「カリームさん、辛辣すぎ」
さすがに口が悪すぎると思い、注意した。
カリーム氏はバツが悪そうに頭をかき、彼らがなぜ連れてこられたかを話す。
「俺のほうから、1人買ってやる。仲間として扱うなり、盾としてこき使うなり好きにしろ」
「奴隷を盾にして戦う奴のこと、世間は勇者だと認めないと思いますけど」
「いいから選べや」
バシンと背中を叩かれ、俺は奴隷達を詳しく見た。
ハンマ
――――――――――――――――――――――――――――
ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 4
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 32
容姿(かっこよさ、かわいさ) 4
頭の良さ 0
運動神経 7
――――――――――――――――――――――――――――
職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
4 魔法使い
――――――――――――――――――――――――――――
フマド
――――――――――――――――――――――――――――
ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 2
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 25
容姿(かっこよさ、かわいさ) 7
頭の良さ 9
運動神経 5
――――――――――――――――――――――――――――
職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
9 遊び人
――――――――――――――――――――――――――――
ファーマ
――――――――――――――――――――――――――――
ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 6
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 19
容姿(かっこよさ、かわいさ) 3
頭の良さ 3
運動神経 4
――――――――――――――――――――――――――――
職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
3 盗賊
――――――――――――――――――――――――――――
アミーラ
――――――――――――――――――――――――――――
ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 6
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 12
容姿(かっこよさ、かわいさ) 0
頭の良さ 3
運動神経 10
――――――――――――――――――――――――――――
職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
8 商人
――――――――――――――――――――――――――――
タリク
――――――――――――――――――――――――――――
ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 2
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 29
容姿(かっこよさ、かわいさ) 9
頭の良さ 7
運動神経 4
――――――――――――――――――――――――――――
職業をサイコロで決定します。(不可能ならやり直し)
1勇者 2賢者 3盗賊 4魔法使い 5僧侶 6武道家 7戦士 8商人 9遊び人
4 魔法使い
――――――――――――――――――――――――――――
男性魔法使い ハンマ 32歳
男性遊び人 フマド 25歳
盗賊少女 ファーマ 19歳
商人少女 アミーラ 12歳
男性魔法使い タリク 29歳
「ふーむ」
俺はプロフィール帳と本人を見比べ、唸った。
遊び人は前と同じ理由で却下するとして、盗賊少女もできれば入れたくない。感傷かもしれないけど、エイダちゃんのポジションを残しておきたいのだ。
魔法使いについては男性が二人いるわけだが、片方はイケメンなので無条件で却下だ。ルナリアを寝取られたりしたら俺は魔王軍に寝返るのを躊躇うつもりはない。
消去法で残ったのは魔法使い(おっさんの方)と商人少女なわけだが……
「なんだこの、アラビアンな衣装?」
布の服状態なのに既に神秘のビキニ並の露出度のちびっこがいた。
これはあれか、アッサラーム名物ベリーダンスの衣装ってことか。
華やかな衣装を着た少女だが、顔は完全に覆われており、美醜云々以前に容姿はさっぱりわからない。
それでもスタイル抜群の美女であれば妖艶さが醸し出されていたかもしれないが、身体は年相応のストーンとした感じなので、結局ただのお遊戯衣装みたいになっている。
なんだこれ。どういう需要向けの奴隷だ。
「お目が高い。その子は私の娘ですよ」
エルマン氏があっさりと白状した。
商人ギルドのギルド長の娘が奴隷落ちとか考えにくいので、明らかに作為的なものを感じる。
胡散臭せえ……