俺達はめっきり減った小規模キャラバンを護衛しつつ、西へ西へと向かっていた。
基本的には馬車で待機するので、どうしても暇になる。
魔法の実験をするルナリアの傍ら、俺は思索にふけっていた。
「俺、そういえばこのあたりのこと、全然しらねー」
暗黒大陸。この呼名は、この世界でも使用されていた。
地球でいうところのアフリカ大陸。多種多様な文化が入り乱れるこの地は、中世時代に文明発展の中心であったヨーロッパ地域からして、全くの未知の領域であった。
故に、暗黒大陸。
勿論カリーム氏のように、そこに文明があることを知る者もいた。だが、大多数にとっては南方の大陸は「よくわからない世界」だったのだ。
「いや、現代人の俺だってアフリカ大陸のこと全然知らないんだ。中世のことを笑えないな」
というか、現代でも日本は所詮アフリカ(笑)とか言える立場でもない。
西洋人からして、日本だって大して認識は変わらないのだ。
極東なんて呼び方は伊達ではない。
実際、ゲーム中のジパングの描写なんて未開人そのものである。
他の国が中世時代風なのに、ジパングはなぜか弥生時代風。
なんなら時代的には、ジパングの描写は江戸風でも良かったはずなのだ。
「…………?」
アミーラちゃんが不思議そうに俺を見ていた。
急に意味不明なことを言い出したら訝しむのは当然だろう。
俺は割とこんなのなので、早めに慣れて欲しいところ。
俺が改めろ? 知らんな。
「ささやき、えいしょう、いのり、ねんじろ……?」
船着き場がある町までの道中、俺達は試したいことを消化していた。
1つは復活の杖の使用。これまでも倒したモンスターや虫の死骸で実験してみてはいたのだが、今回はエイダちゃんの亡骸を使っての蘇生実験だ。
ルナリアは首を傾げつつ、復活の杖のアイテムとしての使用を試みている。
「あの、この詠唱? はなんなのでしょう? 聞いたことがないのですが……」
「すまん特に意味はない」
ルナリアは無言で俺を復活の杖で殴り始めた。
あの、無表情で暴力振るってくるの流石にやめてもらえませんか?
「待て待て待て、これは詠唱によって集中力に指向性を持たせるという試みだ。特に意味のない呪文であっても、精神統一の一助となるという研究を読んだことがある」
「貴方様は魔法に詳しくないようですが……少なくとも私はそのような研究は知りません」
「俺が今考えたからな」
ルナリアは無言で俺を拳で殴り始めた。
あの、せめて魔法職らしくバギとか使ってもらえませんかね。