ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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免罪符という名の罪悪

 

 

 砂船は巨大だ。

 そして、砂漠に住まう魔物はその砂船に匹敵する巨体であった。

 現地において地獄の鋏と呼ばれるカニ型の魔物。ゲーム中においても強敵だったが、その理由を直面して俺達は理解した。

 でっかい。

 建物のように巨大なカニが、砂漠を爆走しているのだ。

 そんなものに襲撃されるならば、そりゃあゲームでも強敵なわけだ。

 

「奴には物理攻撃は効かない! 魔法を使える奴は攻撃し続けろ!」

 

 対処に慣れているらしい船員が叫ぶ。

 甲板にいた者達は各々に武器を構え、魔法を放とうとして―――

 

「やっ!」

 

 ジャンプで肉薄したルナリアが、杖による殴打の一撃で硬い甲羅を粉砕した。

 華麗なアラビアン衣装で宙を舞い、一撃で強敵を撃破する姿はまさに英雄。

 彼女はカニの巨体を蹴り、再び船に戻ってくる。

 杖を構え、やがてカニが沈黙しているのを確認して警戒を解いた。

 

「う、うおおおっっ!」

 

「すげえ! すげーぞ聖女様!」

 

「やべえ! 可愛いのに強い!」

 

 船員も乗客達も大興奮だ。

 美しく可憐な美少女が戦う姿に、伝説を見ない者はいない。

 彼らはそこに、確かに英雄を感じ取ったのだ。

 

「…………。」

 

 俺、勇者だよな?

 主人公交代のお知らせ。

 というか、なんか同じ裏技を使ったはずなのに、ルナリアの方が強いんだよな。

 これだからこの裏技を使いたくなかったのだ。

 バグ技だから、なにが起こるかわからない。

 結果から言えば、俺は強くなった。

 そして、それ以上にルナリアが超強化されてしまった。

 どうなってんだこれ。これじゃあ本当に俺がおまけで、聖女ルナリアが主人公だぜ。

 

「こういう意味不明な副作用が起こるから、出来ればこの裏技は使いたくなかったんだ」

 

 俺はニヒルな笑みとともに呟いた。

 自分の声が震えていた。

 

「勇者様、この力があればきっと魔王を倒せます。きっとこの力は神の思し召しでしょう」

 

 そう言って聖印を切るルナリア。

 

「きみ、割と都合のいいときだけ信心深くなるよね」

 

 俺のツッコミを無視して、彼女は微笑んでいる。

 最近思うんだけど、ルナリアは聖女というより魔女かもしれない。

 

「神父の父がよく言ってました。良いことがあれば神の祝福、悪いことがあれば神の試練ということにしておけと」

 

「ひでー神学もあったもんだ」

 

「悪事を働く時は明白なる天命と言い張れ、とも言っていました」

 

「マニュフェストディスティニー!?」

 

 俺は思う。

 邪神ってこうやって生まれるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

現在のレベル

アルス   レベル99

アミーラ  レベル99

 

 

 

ルナリア レベル198

 

 




ルナリアはレベルカンスト化がなぜか2回発生したので、ほぼステータスマックスでカンスト状態です。
アルスもレベルマックスで異常なステータスになりましたが、ルナリアは更に頭一つ飛び抜けてトチ狂った数字になりました。

勇者(笑)
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