アリア・イシス
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ステータス外要素をサイコロで決定します。
性別(6以上で女性) 7
年齢(あまりに不自然であればやり直し) 69
容姿(かっこよさ、かわいさ) 8
頭の良さ 7
運動神経 1
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「皆が私を褒め称える。でも一時の美しさなど何になりましょう。姿かたちではなく、美しい心をお持ちなさい。心にシワはできませんわ」
砂漠の国イシス。オアシスの麓に築かれた石の城、その謁見の間につれてこられた俺達。
そこで俺達は、美しい女王と出会った。
薄暗い宮殿の最奥の玉座に収まる美女。やや遠目だが、その美貌は鮮烈に周囲に印象を与えていた。
左右に控える若い美女達とは一線を画くオーラの持ち主。たとえ玉座に座っていなくとも、きっと俺は彼女がこの城の主だと理解しただろう。
「我が名はアリア。砂と秩序の国イシスの女王です」
「お初にお目にかかります。自分はアルス、アリアハンから旅立った勇者でございます」
「……え、そっち?」
「こっちでございます」
膝を付き名乗りつつ、俺はこの国の女王について考える。
確かに大した美貌だ。だが妙に薄暗い謁見の間、そして遠目でもわかる濃い目の化粧に俺は違和感を覚えていた。
なんか胡散臭いぞ、この美女。
ルナリアが若さ特有のピチピチオーラを強く感じさせる美貌の持ち主だからか、相対的に女王の枯れ木のような乾いた気配を感じてしまう。
たぶん、見た目より歳いってる。
あれか、美魔女ってやつか。
ぶっちゃけ誰得な、そりゃ年齢にしては若いけど……ってやつか。
別に俺達の方から「なんとお美しい」とか言ったわけじゃないのに、自分から「皆が私を褒め称える」とか言い出すのはちょっと香ばし過ぎやしないだろうか。
あんまり友達になりたくないタイプの女である。
「私も王の端くれ、あなた方の武勇は聞き及んでいます。悪辣な盗賊集団を一網打尽にし、強大な魔族を退けたとか」
「恐縮であります、女王様」
誇張が入っているというか、情報が遠い土地過ぎるせいかさすがに漠然としている。
さっきの情報だって事前に把握していたわけではなく、隣に立つ情報官に耳打ちされて把握したとかじゃないだろうか。誰がパーティーのリーダーなのか把握してなかったし。
背中がゾワゾワする。この国に入ってから、違和感が拭えない。
「して聖女よ。どのような目的でこの国を訪れたのですか?」
「…………。」
この女、ちゃんと言ったのにルナリアをリーダーだと判断しやがった。
情報官が変な顔をしている。俺はともかく部下は信じてやれよ。
やっぱ顔か。顔がいいとリーダーに見えるのか。
あるいはおっぱいか。おっぱいにシンパシーでも感じたか女王よ。
ルナリアが俺に目配せした。
私が主導で話していいのか、という意図を感じる。
俺は小さく頷く。あとは任せたぜ。
「…………。」
「聖女よ、どうかしましたか?」
「い、いえ」
戸惑うルナリア。どういうことだ、という感じの視線を俺に向けてくる。
違う、今の頷きは「俺に任せろ」って意味じゃない。お前に丸投げしただけだ。
かれこれ2年も一緒に旅してるのに、以心伝心できてねえ。
「王女様、我々は昨今活動が活発となっている魔族の影を追ってきました。ネクロゴンドとアッサラームが狙われて、イシスが狙われないとは考えにくいのです」
俺は口八丁手八丁でごまかしにかかった。
ルナリアが「それでいいのか」と視線を向けてくるが無視。
仲間達には俺達の目的がピラミッドというダンジョンだとは伝えている。伝えているが、まさか正直にこの国の王族にそれを伝えることなんて出来ようはずがない。
だって王の墓だぜ、中に入る許可が出るとは思えない。
だから俺は誤魔化す。悪いのは魔族、そういうことにする。
「自分達はかつて、凶悪な魔族の吸血鬼キューレと戦いました。奴は強敵でした。当初こそ少女の姿でしたが、ダメージを与えると姿が変貌し、筆舌に尽くしがたい異形の化け物と化しました」
「はあ」
「奴はまさに化け物でした。カバのような容姿、4本の指、二言目には腸を食い尽くしてくれるわの一点張り。時折魔法で眠りこけるおちゃめなところがキャワキャワ系の、中間管理職魔獣だったのです」
「はあ……」
女王の顔がひきつる。
せっかくなので俺達の価値を上げるために、キューレにはとことん強敵になってもらおう。
奴が強大であればあるほど、俺の価値が上がるというものだ。
「戦いの最中で言っていたのです、イシスの王家の墓に眠る秘宝、魔法のアーティファクトを奪い力の糧にすると……!」
「……なんと。確かに国の北部には我が一族の墓がありますが……まさか、黄金の爪……!?」
「……具体的な名前はわかりかねますが、地下に封じられた呪われたアイテムだと言っていました」
ゲーム中の情報を小出しして信憑性を与える。
騙せ騙せ。どうせこの国に居座る気なんてないんだ、ちょっくら墓に入れればそれでいい。
隣から「勇者がそれでいいのか」という仲間達の視線を感じるが、知ったこっちゃない。
キューレは言っていた。好き好んで争いという解決法を選ぶ者などいないと。
そんなことを言っておきながら、魔族はこの世界屈指の大帝国を殲滅した。
これは種族間の生存競争などではない。正義も慈悲もない戦争だ。
誰もが望まず、誰も止められない濁流と化した戦いだ。
そう、もう誰の手にも正義なんてないのだ……。
よし。自己正当化はこれくらいにしよう。
きっとキューレも許してくれる。「戦争なんだからかまへんかまへん、おおきに!」って。
「女王様! 我々に、黄金の爪の回収を命じてください! 必ずしや悪しき魔族より、彼のアーティファクトを死守致します! あっやべっ!」
「やべ?」
「いえ、矢部さんに似た方がいたもので」
やばい、口が滑った。
この流れだと、ピラミッド攻略後に黄金の爪を納品する必要がある。
俺は黄金の爪なんて入手する気はない。俺達のレベルならいけるのかもしれないが、昔ゲームでプレイした時のトラウマがある。
確か、黄金の爪を入手すると魔法が使えない状況で一歩歩くごとに魔物にエンカウントするのだ。
爪系の武器は現状俺達のパーティーに合ってない装備だし、命がけで手に入れる意義がまったくない。
どうしよ。
「……よろしい。イシスの砂船を出しましょう、ピラミッドに赴き呪われしアイテムを回収してきなさい」
国からの協力を得てしまった。
つまりピラミッドからの帰路もイシスの世話になるのだ。
ピラミッド攻略後はイシスに強制連行である。
どうしよどうしよ。
テキトーに生きているツケがこんなところで回ってきた。
「御衣。必ずしや、黄金の爪を守り抜いてみせます!」
どーしよー!