男女の逢引というには世知辛く生々しくシモ系な話をしてしまった。
食堂に向かうと、ロマリア王がグラタンみたいな料理を仲間達と食べていた。
初対面のメンツとも既に挨拶は済ませたらしい。
「それ、暑くないっすか」
「暑い」
暑い暑いと唸りながらガツガツとグラタンを食すロマリア王。
「だが塩味が強いから匙が止まらん。汗をかくと身体が塩分を求めてしまう」
「火傷しそうなほど熱いのに本能が求めてしまう、まるで恋ですね」
「なんの話だ?」
キュウリのグラタンか、美味しいのだろうか。
寝ていたから忘れていたが、香ばしい匂いをかぐと急に腹の虫が鳴き始めた。
「よし、俺もキュウリグラタンいってみよう」
水分が多いキュウリとグラタン、本当に合うのか見極めさせてもらおう。
俺達もグラタンもどきとミント茶を頼む。やがて届いた皿を前に、俺達は各々感想を口にした。
「暑い……」
「と言いますか、熱いです……」
「あっちぃ……」
「…………。」
なんで俺達、砂漠の一番熱い時間帯にグラタン食べてるんだろ。
夏にカレー食べたくなる気分に近い。明らかに間違ってる。
でも美味い。グラタンはどう調理しても美味いのだ。
というかこれキュウリじゃないな。
「例の件、話がまとまった。このあと時間をもらえるか?」
ロマリア王がグラタンを食べながら、何の気なしに言った。
「例の件?」
「これからについて、である。お前が出会ったという古代の王を交えて話がしたい」
「はあ。半日で国家の方針って決まるものですか?」
「決めねばならないのなら決めるさ。帳尻合わせはあとですればいい」
まあ、いつだって議論を尽くせるなんて贅沢か。
「細々した打ち合わせは今後行うとして。勇者よ、お前は渦中の中心にいながらなんの責任も背負わないのはズルいと思わんか?」
ロマリア王はずる賢い大人の顔で俺の目を覗き込んだ。
「人には人の責任というものがあります。責任者は黙って責任を背負ってください」
「自分だけ無責任な場所から高みの見物か? それは男として情けないぞ」
「勇者だってただの一兵卒です。戦争の責任を一兵卒にまで求めちゃ駄目です。というか俺が背負ったら重すぎて潰れちゃいます」
戦争の責任は責任者には強く求められるが、末端の兵士にまで全体の功罪を問うことは少ない。
歴史上には敗戦国の兵士を奴隷にして責任を求めた場合もあるが、そんなのは中世以前の文化だ。
以前から道理的におかしいと言われていたし、ジュネーヴ条約でしっかりと駄目って決められた。
第二次世界大戦で大々的にやった国もあるけど。
「ならば貴様も責任者となればいい」
なんかロマリア王が変なことを言い出した。
「結論から言わせてもらおう。勇者アルスよ」
俺は急激にわきあがる嫌な予感に悪寒を感じる。
「お前、この国の王になるつもりはないか?」
どっかで聞いたイベントきたー!