ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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化け物

 

 

 

「いやなに今の。中に誰かいたの?」

 

「いえ、その……」

 

 再びゆっくりと石扉を開ける。

 

「ひえっ」

 

 向こうからも誰かがこちらを覗いていた。

 隙間から魔法の炎が吹き出し、ルナリアの頭を焼く。

 

「わっ。びっくりしました」

 

「頭焼かれてびっくりで済ませてるぞこの人……」

 

 扉が完全に開かれる。

 そこで待ち構えていたのは、吸血鬼の少女キューレだった。

 

「勇者……! このような場所ででくわすとはな!」

 

 彼女はこちらを睨みつける。

 

「キューレか。こんなところで何をしてるんだ?」

 

「言うか! ふざけているのか!」

 

 そう簡単に情報漏洩はしてくれないらしい。まあファラオのピラミッドに侵入している時点で、悪事を働いているのは明白なのだが。

 

「この先には行かせられぬ! 死んでもらうぞ!」

 

 キューレが叫んだ瞬間、俺たちの間に激しい熱の柱が上がる。

 

「ベギラゴン!」

 

「げっ」

 

 後退する暇もなく、俺たちは熱に包まれる。

 肌が粟立つような感覚。ギラ系の魔法は初めてみたが、遠赤外線による攻撃なのだろうか。

 俺は咄嗟に腕で身を守ったが、熱の中心にいたルナリアは涼しげな表情で立っていた。まるで何も起こっていないかのように。

 

「……なに!?」

 

「砂漠で炎系の魔法はやめてほしいです」

 

 彼女はそれだけ言うと、隙を見てスタスタと扉の中に入っていった。

 まさかのキューレスルーである。

 

「ちょ、行くのか?」

 

「キューレさんの目的はわかりませんが、この中にそれがあるのは確実です。確保しておきましょう」

 

「お、おう」

 

 俺とアミーラもその後に続く。

 

「馬鹿な……! 私の炎を受けて平然としているだと……!?」

 

 キューレは驚愕の表情を浮かべている。そりゃそうだ。ベギラゴンといえばその系統で最強の魔法だったはず。

 俺だってここまでダメージが軽いとは思わなかった。

 あとこれ炎なの?

 

「ベギラゴン! ベギラゴン! ベギ……」

 

 キューレは続けて魔法を何度も放ったが、それすらルナリアは平然としていた。

 

「バカな……!?」

 

 驚愕の表情を見せるキューレ。俺達のパワーインフレを知らなかったらしい。

 俺はここで攻勢に出るべきと判断した。

 

「よし、作戦変更だ! キューレを捕縛するぞ!」

 

「あ、はい」

 

「お、おのれー! なめるなよぉ!」

 

 キューレは手に炎の魔力を溜め、それを高速で打ち出す。

 

「メラゾーマ!」

 

 俺たち三人は散開してそれを回避する。俺の真横を通り過ぎた炎の弾丸は、そのままピラミッドの通路を駆け抜けていく。

 そして遠方で激しい爆発が起こった。

 

「そういう魔法を使うな! 倒壊したら全員生き埋めだぞ!」

 

「貴様らを打倒できるなら安いものだ……!」

 

 キューレは自滅覚悟で俺達を打倒することにしたらしい。たしかにそれはこれ以上ない攻撃だろう。ピラミッドが壊れれば生き埋めだし、そうするとステータスが高い俺達も窒息死とかする可能性だってある。

 

「一気に仕掛けましょう」

 

「ああ」

 

 俺達は一斉にキューレに迫る。

 キューレは更に魔法を連発してくるが、どれも俺に通用する威力ではない。魔法職は接近されると弱いのは界隈の常識だ。

 近接戦できる聖女とかもいるけど。

 

「くっ、化け物め……!」

 

 接近されたキューレは、それでも諦めずに魔力を溜める。

 だが距離が近すぎる。溜めている間にボコボコにできるだろう。

 

「終わりだ!」

 

 俺は拳を振りかぶり、キューレに叩きつける。

 そのときだった。

 キューレが、不敵にニヤリと笑ったのだ。

 彼女の目の前で爆発が巻き起こった。それは普通の攻撃や防御魔法ではなく……

 

「メガンテ―――!」

 

「自爆魔法っ!?」

 

 メガンテは自らの命と引き換えに敵に大ダメージを与える禁断の魔法。

 自らの命と引き換えに発動する自爆技である。

 

「勇者よ! 私の命を代価にしたこの一撃、くらえええっ!」

 

 次の瞬間にはキューレの体は粉々に弾け飛び、その残骸が部屋中に散らばっていた。

 

 

 

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