ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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トゥー・ザ・キャッスル

 

 そして再び、俺達は砂船に乗ってピラミッドへと向かう。

 事態の推移は早かった。

 船の甲板にて、俺はイシスの精鋭兵士達に囲まれていた。

 

「貴様が噂の勇者か」

 

 イシスの兵長が話しかける。

 

「はあ」

 

「女王様の命令である。ここで死んでもらう!」

 

「えぇー。なんでですか。こんなに真面目に勇者してるのに」

 

「貴様が魔族と内通していると、女王様よりご指示があった! よってここで死ね!」

 

 イシスの兵士は皆筋肉隆々だが、精鋭ともなるともはや彫刻のような肉体の持ち主達だ。

 そんなムキムキメン達に囲まれる俺。砂漠であるという以上に絵面が暑苦しい。

 見るからに強者な兵士達が抜剣し、俺の命を狙う。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 俺は魔族と通じてなんかいません! 僕はしにましぇーん!」

 

「ええい五月蝿い、惰弱者は砂の海に呑まれるがいい!」

 

 問答無用で襲いかかってきた。

 俺はブーメランを取り出す。

 

「殴打、殴打!」

 

「ぐわッ!?」

 

「あばばっ!?」

 

「つ、強い!」

 

 俺はイシス兵を蹴散らしていった。

 ブーメランを振るえば旋風が巻き起こり、兵士達が薙ぎ払わる。

 ブーメランは断面が翼のような形状となっている。つまり航空力学だ。

 それを振るえば竜巻が起こるのもまた航空力学の妙なのである。

 航空力学万能論。

 

「っと、目的は足止めだったな」

 

 この者達にとっての生命線はこの船だ。船なくして、彼らはこの砂漠で生きる術はない。

 というわけで、船の風車にブーメランを投げつけて破壊。

 古来より船の動力喪失は、撃沈と等しく扱われた。動ける基地であることが船の長所であり、動けなくなった船など脆弱な建築物でしかないのだ。

 

「よしてめぇら、ずらかるぞ! ケツまくって逃げろ!」

 

「セリフが賊のそれです」

 

「…………。」

 

 ルナリアの呟きとアミーラのジト目をスルーして、船から飛び降りる。

 俺に続く少女達。その背の鞄には、必要な食料などが既に確保されている。

 

「どういうことだ、勇者は弱いはずでは……!?」

 

「うろたえるな! 追うんだ! 殺すんだ!」

 

「この地点から徒歩で人里に辿り着けるはずがない! 何を考えている……!?」

 

 俺達は、追跡してくるイシス兵を丁寧に叩きのめしていく。

 間違えてはいけない。兵士達は女王の命令に従っているだけだ、殺したらイシスの民が困るし、反感を持たれたら面倒だ。

 だから殺さず、かつ革命を起こすまで人知れずに無力化する必要があった。

 故に砂漠のど真ん中まで精鋭兵士達を引きずり出したのだ。

 

「あとはイシスまで走るだけだな」

 

「解決法が力技です」

 

 俺達のステータスなら砂漠を走って横断できる。昼間の灼熱だって、ヒャドで仮設小屋内を冷やせばやりすごせる。

 ここまで来てなんだけど、実は砂船を使わなくても旅はできたのだ。

 面倒だから船を使ったわけだけど。

 3人は砂の海を疾走する。目指すはイシス。

 到着すればロマリア王と合流して、いよいよ革命だ。

 

「ところで貴方様、首尾よく精鋭兵の皆様が暗殺をしてきてくださりましたが……」

 

「ルナリア、言葉が変だぜ」

 

「……くださりましたが、もし暗殺が行われなければどうするつもりだったのですか?」

 

 どうするって、そりゃあ……

 

「殴打、殴打っ」

 

「蛮族ですね」

 

 俺達の応酬に、アミーラちゃんが声を殺して笑っていた。

 ツボったらしい。

 

 

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