ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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その後、彼らの姿を見たものは誰もいなかった……的なやつ

 

 

 俺達は1年かけて、一隻の船を作り上げた。

 カツカツの財政の中、実験艦とか試験用とかあれこれ言い訳して資金をちょろまかし、艤装の名目を分散させてこっそりと就航させた船。

 

「これぞ最新鋭の超戦艦ヤマト!」

 

 俺は新造された砂船を前に、両手を広げて叫んだ。

 場所は月夜の砂漠。煌々と満月に照らされた船が、イシスにほど近い砂漠に停泊していた。

 1年も王様やってると色々としがらみもあるというもの。そして得てして官僚は優秀なエリート集団だ。

 馬鹿正直に国を捨てる準備なんてしていたら、奴らは絶対に気付く。

 

「だから何もかも中途半端にブッチしてきたぜ!」

 

 突然王様が失踪する準備なんて何もしていない。

 ほら、ドラクエ3のラストってそんな感じだし。宴が終わったあと、そこに勇者達の姿はなかった……みたいな感じだし!(ネタバレ)

 

「俺は1年間苦楽を共にしてきたあいつらの力を信じている……あいつらならきっと大丈夫だ」

 

 俺に肩車で乗っているアミーラちゃんが、足をバタバタさせて叱責してくる。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

アミーラの1年間での成長度合いをサイコロで決定します。

 

身長                   5

起伏                   6

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 彼女は今年で13歳、中学校に入学するくらいの歳だ。

 順当に成長している。いきなり急成長するわけでもなくちびっこのままというわけでもない、極めて普通の伸長具合。

 俺も勇者として鍛えているので、中学生くらいの子を肩車するくらいどうってことはない。

 そんなアミーラちゃんも、貧困街では裏のドン。

 けったいなあらくれを引き連れて街を総回診の如く練り歩く姿は、まさに巨塔の主。

 そんな彼女はしっかりもの。きっと完璧に後任への引き継ぎをしてきたのだろう。

 報連相とっても大事。報告連絡だけして満足して、相談しない奴はぶっとばす。

 

「ところで、この船はそのような名前だったのですか?」

 

 1年の間にどこからか調達したのか、アラビアンナイトドレスから聖女服に戻ったルナリアが訊ねてくる。

 

「いやごめん適当言った」

 

「勇者様の人生っておしなべて適当ですよね」

 

 おしなべてって今日日きかねえな。

 だが適当だって言いたくなるというもの。

 この船の名前については担当者に任せておいたのだが、そいつはまさかの名前を付けてやがった。

 

「アリア号」

 

「えっ」

 

「アリア号」

 

「ええっ……」

 

 怪訝そうな顔をするルナリア。

 あの日以来姿を消した傾国の美女、その名がなぜか船には付けられていた。

 俺が王座をぶんどる口実に、じつは女王アリアと秘めたる恋仲だったと噂を流したのがいけなかったのかもしれない。

 勇者と女王がこっそり相思相愛だったりとか、いかにも市政の噂好きが好きそうなエピソードだ。

 あくまで噂レベルに留めて、公式見解ではなにも公表していない。

 公然の秘密くらいの塩梅にしておいたのだけど、まさか担当者が気を使ったのだろうか。

 余計なことを。

 

「まあ名前はさておいて、船長はどこだ?」

 

 俺は周囲を見渡す。船の素人である俺達だけで運用なんてできないので、ちゃんと人員を確保しておいたのだ。

 

 

 

 

 

 

ラハブ・サンドウェイバー

――――――――――――――――――――――――――――

ステータス外要素をサイコロで決定します。

性別(6以上で女性)           5

年齢(あまりに不自然であればやり直し) 97

容姿(かっこよさ、かわいさ)       5

頭の良さ                 2

運動神経                 8

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「ラハブさん、船の準備はどうですか?」

 

「おうよ! いつでも出発は可能だぞ、勇者よ!」

 

 声が大きな貫禄ある老人。彼、ラハブ老人こそが俺が選んだ船長だ。

 なんと御年97歳。さすがに高齢すぎるかとも思ったが、経験豊かでまだまだ活力に溢れている御老体なので問題ないと判断した。

 他にも彼があっちこっちから引き抜いてきた若い船員が数名おり、彼らで船の仔細を動かすこととなる。

 

「あんまりグダグダやってても仕方がないし、それじゃあ出発しますか」

 

 俺が頼むと、ラハブが部下達に号令をかける。

 

「よし! 野郎ども、出港だ! 喇叭を吹け! 錨を上げろ!」

 

 パラパラー、とラッパが鳴り響く。

 俺達も船に乗り込む。俺が座るのは玉座のように立派な椅子だ。

 ここは提督席とかそういう偉そうな椅子ってわけじゃない。この椅子そのものが船と直結した魔導装置なのだ。

 

「魔力供給開始! 炉の温度、安定して上昇しています!」

 

「ボイラー圧力、安定域に達しました!」

 

「クラッチ接続! アリア号、発進!」

 

 動き出す船。

 こうして俺達は新造の船を駆って、砂漠の北へと旅立ったのだった。

 

 

 

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