ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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でかい

 

 

 俺たちの旅路はついに海に突入し、一路ロマリアを目指す。

 俺はてっきり、このまま一息にポルトガへ向かうものと思っていた。

 しかし中世の船というのは、基本的に陸に近い場所を沿って進むものらしい。

 いざという時は上陸して安全が確保できるし、陸沿いに進む限りは道を間違えるリスクも低い。

 よく考えたら、目印もなにもない大洋のど真ん中で現在位置を確認するというのは凄いことなのだ。

 

「北極星が見えない昼はどうやって方向探すんだろ」

 

「方位磁針では?」

 

「あっ俺馬鹿なこと言った。忘れて。今の発言忘れて」

 

 海上航海は天体測量が大切という考えが強すぎて、方位磁針の存在忘れてた。

 海の魔物を殴り倒しながら進むアリア号。ぶっちゃけ幽霊船が現れたらむしろ色々とカットできて都合がいいレベル。

 立ち寄った港町では頻繁に物資を補給できるし、ありあまる魔力による氷魔法で食料もエイダちゃんの死体も新鮮さを保っている。

 船室の狭さはあれだけど、思ったよりずっと快適だ。

 ポルトガに到達したのは地中海に乗り出して2週間後。

 早すぎてちょっとびっくりした。中世以前の旅がイコール海路だったのも判る。

 とかく、俺達はポルトガに辿り着いたわけだが……

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

町の状況をサイコロで決定します。

発展度合                2

治安の良さ               8

教育レベル              10

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 8月。偏西風が運ぶ温暖な空気によって未だ夏らしい港町ポルトガは、これまで見てきた中でもっとも先進的な文明を感じさせる都市であった。

 折り重なるように連なる鮮やかな色合いの建物。無秩序に発展したことを伺わえる入り組んだ道。

 おそらくは平日であろうに、まるで祭りの日のように街を行き交う大勢の人々。

 たぶんこれでさえ、幽霊船の影響でそれなりに目減りした状況なのだろう。

 そして町外れの一角を占める広大な敷地と、そこに佇む荘厳な建物。

 ポルトガ港の麓に建つそれは、他ならぬこの都市国家の王城である。

 海と街をまとめて見下ろすその威容は、見る者を圧倒するかのようだ。

 規模でいえば他の国の王城より小さいのだが、高い石壁に守られた構造といい、贅沢に飾り付けられた建物の造形といい、ひどく威圧的な印象を見る者に与える。

 小規模でありながら常に世界に影響力を響かせ続けた、ポルトガという国の歴史がそうさせるのだろうか。

 海に面した土地柄から交易で発展したとは聞いているが……やはり国の規模に対して、経済力は大きそうだ。

 

「煩雑だが小綺麗な町だな」

 

「そうですね」

 

 ポルトガの町中には、一般的な港町と同じように酒場や宿屋が多く存在する。

 アリア号に大きな保冷庫があるとはいえ、船旅の間は保存がきく食料ばかりで胃を満たしていた俺達は、この機会に久しぶりに新鮮な食べ物を口にしようと足を運んだ。

 

「これはまた、ワイルドな」

 

 適当に入った食堂で出てきたのは、青魚の炭火焼きであった。

 炭火の香ばしさと滴る油、下手な味付けはせず塩を振っただけ。

 それが、大皿に大盛りで運ばれてきた。

 

「おおっ、こりゃ美味いっ」

 

 警戒していた臭みもなく、ひたすらに旨味が口の中に広がる。

 暴力的なまでに溢れる油。米が欲しい。けどないからワインを流し込む。

 ああ美味い。胃袋が次のひとくちを欲している。

 

「この青魚はポルトガの名物だそうです。鮮度がすぐ落ちるので、この近辺でしか食べられないとか」

 

「ほー。商人の町っぽいから警戒してたけど、飯が美味いのは良い印象だな」

 

 俺は食堂の窓から見える王城を眺めながら、給仕に追加のワインを注文する。

 ちょっと前までは異世界なのに律儀に日本の法律守って禁酒していたが、俺はイシス滞在中に酒を覚えてしまった。

 というかもうすぐ二十歳になるわけだし。セーフセーフ。

 

「…………。」

 

 無言で食べるアミーラちゃん。

 表情はわからないが、その食べる勢いから彼女も気に入ったことが窺える。

 

「ガハハハ! この魚の焼き物をありったけもってこい! それと酒はもっと強い奴だ!」

 

 じつは一緒に行動していた船長と船員がいきなり騒ぎ出している。

 ひさびさの上陸とはいえ、人様の迷惑にならないか注意しとかないと。

 

 

 

 

 

 

「うぷっ……さすがに頼み過ぎたか」

 

 予想外の美味しさに、はしゃいで食べ過ぎたかもしれない。

 

「おいおいおいおい勇者ぁ!? 私の酒がもう飲めないってかぁ!?」

 

 相変わらず悪酔いするルナリア。もう最近は彼女の悪い酒については諦めている。

 卓上が一段落ついたと見て、俺は今後の予定について二人へ相談する。

 

「この後なんだけどさ……」

 

「はーいな?」

 

「海洋ギルドに顔を出すわけだけど……」

 

「あはははははっ」

 

 ルナリアが笑い上戸と化していて会話にならない。

 アミーラちゃんはちゃんと俺の方をみて話を聞くスタイルとなっているが、彼女は徹底した無言キャラなので相談が成立しない。

 完全に話を切り出すタイミング間違えた。

 

「……明日にするか」

 

「ああん? なんでだごらー!」

 

「…………!」

 

 酔っぱらいはともかく、アミーラちゃんは自分が蔑ろにされたと感じたのかムスッとしてる。

 いうて君だって、さして建設的な意見ないでしょ。それくらいわかるぞ。

 

「ふふっ……わたしはまだまだいけるぜぇー!」

 

 すっかり出来上がってしまったルナリアを横目で見て、俺は小さく溜め息を吐いた。

 

「これがいる限り、打ち合わせなんてできないだろ。今日は宿に戻ろうぜ」

 

 アミーラちゃんもルナリアの醜態を見ては、否とは言えない。

 

「りょーかいだぜぇー! 勇者ぁ!」

 

「わかったわかった」

 

「…………。」

 

 船長達に一言告げ、ルナリアをおんぶして宿に向かう。

 

「でかい」

 

 呟いた俺に、アミーラちゃんは無言で蹴りを入れてきた。

 聖女服のひらひらが地面に付かないように持つアミーラちゃん。結婚式のウエディングドレスを持つ子供みたいだ。

 ちなみに船を入手したものの、港ではできれば宿に泊まっている。

 アリア号で生活することもできるが、船内はお世辞にも広いとはいえないし、停泊中でも当然揺れる。

 資金的に余裕があることもあり、極力陸上で休むようにしていた。

 

「明日は早いぞ……もう休もう」

 

「えー、朝まで呑もーぜよ?」

 

 酔っぱらいに絡まれながらの移動となったが、宿の部屋は男女別にとったので俺は被害を被ることもなかった。

 というかアミーラちゃんもルナリアに絡まれたくないのか、男部屋で寝ていた。

 

 

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