ドラクエ3リプレイ   作:蛍蛍

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強さと引き換えに失ったもの

 

 

 ポルトガを旅立った俺達は、地中海の中を縦横無尽に走り回った。

 幽霊船の影響であっちこっちに残留してしまった船乗り達をそれぞれの母港に戻すべくの航海。海洋ギルドとの連携を密に行い効率的な航路を試行錯誤したものの、それでも往復した回数は2度3度ではない。

 東へ行き、西へ行き。十二分に使い古された安全な航路ということもあり、幽霊船の出現に警戒する以外は特にリスクもない船旅。

 魔物は当然出現するものの、さすがに今更この地域の敵に苦戦などしない。

 とはいえ、俺はエイダちゃんにしてしまったミスを忘れてはいない。

 まだ弱い彼女を無理に危険地帯に連れ出し、結果としてあの魔物の大襲撃に晒して命を落とさせてしまった。

 だがレベルアップの裏技は使いたくはない。あの技は常に致命的なデータ破損のリスクを孕む。

 だから俺は、ソニアが事故死しないように最善の安全策を取ることにした。

 

「ソニア、これを着るんだ」

 

 最初の航海中、俺はソニアに装備変更を促した。

 

「え、あの、マジですか?」

 

 以前大量に複製しておいた神秘のビキニをソニアに押し付ける。

 当然、ソニアはドン引きである。

 

「こいつは最高クラスの魔法の防具だ。下手な鎧よりずっと硬い」

 

「いや、でも……うぅ、分かりました」

 

 渋々ながらもソニアは一度部屋に戻り、神秘のビキニを身に着けた状態でダイニングに戻ってくる。

 男性の船員達が歓声をあげた。絶世の美少女のビキニ姿はやはり眼福だ。

 

「ちなみに、このビキニは服の下に着込んでも効果があるぞ」

 

「なんでそれを先に言ってくれないんですかっ!」

 

 ソニアが涙目で抗議してくる。

 なぜ言わなかったかといえば、その方が楽しいからに決まっているだろう。

 ソニアはもう一度部屋に戻り、ミニスカドレス姿で戻ってくる。

 

「やっぱりかわいい女の子はかわいい服を着ないとですよね!」

 

「お前、その格好で魔王退治する気か……」

 

 ゲームだとドレス姿で戦うお姫様キャラってたまにいるけど、目の前でやられると違和感しかない。

 俺の知る限り、ドラクエでもドレス姿で戦うお姫様はいなかったはずだ。

 壁をぶち破るお姫様はいるけど、この人はドレスは着ていない。

 ドレスを着たままお姫様抱っこされつつ主人公に戦うことを強いるお姫様はいるけど、この人は戦わない。

 いやまあ、ドラクエの装備にはひかりのドレスとかもあるから、ドレス姿で戦うのは公式の解釈の範疇なのだろうけど。

 

「それとこれ、ガーターベルト。これも魔法の装備で守備力が大きく上がるから装着してくれ」

 

「あ、ルナリア様やアミーラ様が履いてたのはそういう理由だったんですね。てっきり……」

 

 納得した様子のソニア。

 なんすか。俺の趣味でガーター履かせてると思ってたんですか。

 

「武器ってないんですか?」

 

「うーん、すまん、ない」

 

 ソニアは武道家なので、装備できる武器はそもそも少ない。

 とはいえ小さなメダルで貰える景品に、爪系のアイテムがあったと思うんだけど……

 というか、あったはずのアイテムが袋の中に見当たらない。グリンガムの鞭とかどこいった?

 

「まさか、本当にアイテム消失してる?」

 

 俺は身震いした。これだからキメラバグの裏技は使いたくないのだ。

 

「と、とりあえず全員の武器の編成を見直そう。アミーラちゃんは攻撃力は十二分だから、広範囲攻撃系の武器を付けるべきだと思うんだ」

 

 俺はアミーラちゃんに刃のブーメランを持たせた。

 その代わりに、自分はポルトガで購入した鋼の鞭を装備する。

 ……やっぱおかしい気がする。他にも強力な武器、あった気がするんだけど。

 とにかく色々と装備を見直し、俺達は魔物との戦いに挑んだ。

 

「ギガデイン!」

 

「バギクロス!」

 

「…………。」

 

 ソニアは隊列の最後尾。

 俺とルナリアは魔法で魔物を薙ぎ払う。

 たまにアミーラちゃんのブーメランが薙ぎ払う。

 一撃で町を壊滅させかねない大魔法が、通常攻撃のように吹き荒れていた。

 そこらへんの雑魚相手に。

 

「で、出番が来ないのですがっ」

 

「武道家が戦いに参加できるスピード感なら俺達の負けだ」

 

「武道家が一番遅くて一番後衛ってどうなんですかっ!?」

 

 そうは言われても。

 万が一にも敵の攻撃を許しては、あるいは一番後衛のソニアにまで攻撃が届くかもしれない。

 すべては時の運。まともに戦っていては、確率でソニアは格上の魔物に殺される。

 それを回避するには、とにかく先に殲滅するしかない。

 最速で、最大火力で。

 その手段こそ―――

 

「ギガデイン!」

 

「バギクロス!」

 

「…………。」

 

「私はなにをすれば……」

 

 吹き荒れる雷鳴と暴風。

 まさに世紀末。荒れる地中海沿岸地域。壊滅する魔王軍。広がる勇者の悪名。

 ああ悲しき戦争の悲劇。犠牲となるのは常に市政の民なのである。

 いや、俺達は民間人巻き込んでないけど。

 少なくとも人的被害はない。

 

「ゆ、勇者様っ! 船が巻き込まれてマストが折れてます!」

 

「人類連合軍から保証すると伝えておけ!」

 

「おい勇者! 建物に雷が落ちて火災が発生したぞー!」

 

「連合軍から弁償するから問題ない!」

 

「勇者様、ロマリア軍が砂漠地域でパスタを茹でる水がないと訴えていますが……」

 

「それは知らん」

 

 そんな感じで、俺達は幽霊船から艦隊護衛をしつつ地中海クルージングと洒落込んでいたのであった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

艦隊護衛依頼の期間を12面サイコロで決定します。

 

12

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 ……1年くらい。

 また1年経っちゃうのかよ。

 




また1年です。サイコロ神は絶対。
というかいつの間にか、グリンガムのムチが消滅していました。私がプレイ上で裏技を使いたがらない理由がこれです。
鍵とかキーアイテム消滅してたらやばかった。
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