ミカとナギサのアソビ大全   作:あるふぁせんとーり

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ゆるいナギミカって需要あるんですかね?


3つ目:ミカとナギサとスローライフ

「ミカさん、このようなものを頂いたのですが」

 

 そう言って、ナギサは少し大きな箱を屋根裏部屋に持ち込んだ。「開けて良い?」、ミカが尋ねるとナギサはコクリと頷いた。

 

「わーっ!!『ぶっとべ!あにまるの森』じゃん!!しかも『ゲームガールズアドバンスSP』まで付いてる!!動画で見たことあるよ!」

「『あにまるの森』……ですか?」

「そうだよ!まさか『あに森*1』も知らないのナギちゃん?!世間知らずが過ぎない?!」

「それは……その……あまりテレビゲームというものに縁がなく……」

 

 他愛のない会話を繰り広げながらも、彼女は次々と箱の中身を取り出していく。テレビと繋げるためのスタンド、充電コード、USBケーブル、白地にピンクの特別仕様らしきジョイコン……大体のパーツが出揃ってから、ミカは言った。

 

「……ねえ、ナギちゃんの部屋行っても良い?」

「別に構いませんが……何か問題でも?」

「ううん、そうじゃなくてね!ほら、ナギちゃん最近新しくテレビ買ったって言ってたじゃん?こういうゲームっておっきい画面でやった方が楽しいからさ!」

「そういうことなら……分かりました、行きましょう」

 

 二人は部屋を軽く片付けると、見つからないようにそそくさとナギサの部屋に向かった。

 


 

「……うん、これで出来ると思う!」

 

 説明書を見ながらなんとかゲームガールズをテレビに繋ぎ、準備を整えたミカとナギサ。二人で仲良くソファに座ってテレビ画面を眺めている。

 

「えっと……次は……」

「ユーザーを選ぶんだよ!」

 

 ミカの助言を聞いて、ナギサは先日と同じく『Nagi』と名付けられたティーカップアイコンのユーザーにカーソルを合わせ、Aボタンを押す。一気に画面が暗くなった。

 

「?!電源切れですか?!」

「違う違う、読み込み中だよ!」

 

 そして数秒の暗転後、似天堂のロゴが浮かんだ後にポップな感じのタイトルロゴが現れる。その背景ではデフォルメされた獣人達が楽しげに暮らす様子が流れていた。

 

「……!これが……!」

「そう、『あに森』だよ!」

 

 もう一度ナギサがAボタンを押すと、ゲームの幕が上がった。

 


 

 始まると、いきなり電話が掛かってきた。セリフはとても早口だったが、ところどころ聞き取れはする、そんな感じ。そして主人公の秘書を名乗る電話の向こうの彼女は続ける。

 

「『まず、見た目を教えて下さい!』」

「見た目……」

「ここで主人公の見た目を決めるんだよ!ナギちゃんの分身だから、頑張って作ってね!」

「じゃあ、少し頑張ってみます……」

 

 ナギサはジョイコンのスティックを動かし、無数のパーツを組み合わせていく。そして数分……。

 

「……これで大丈夫……でしょうか?」

「どれどれ……あっはは!もろナギちゃんじゃん!」

 

 画面を見るなり、ミカは笑った。そこに映っていたのはプラチナブロンドの長髪が特徴的な、少しツリ目の少女。……要は、彼女の隣にいる桐藤ナギサに瓜二つであった。よく見ると、彼女の手元にはコントローラーとは別に携帯用の手鏡も置いてある。

 

「違うんですか?先程『分身』と……」

「ううん!ただナギちゃんキャラメイク上手だなーって!」

 

 隣に座っているナギサと同じように、画面の中の彼女も楽しげに笑っていた。

 

「『では、お名前を教えて下さい!』」

「名前を?!個人情報保護的にこれは……」

「あはは!これもハンドルネームだよ!」

 

 そう言われて、ナギサは我に返って『ナギ』と打ち込んだ。

 

「『ナギさんでよろしいですか?』」

「ナギさん……少し新鮮な響きです」

 

 彼女はカーソルを「はい」に合わせる。

 

「『……はい!準備が出来ました!では役所でお待ちしてます!』」

 

 彼女がそう言うと、電話がぷつっと切れた。そしてその電話を受けていた画面内の主人公が家を出たところで、チュートリアルが始まった。

 

「『まずはLスティックで歩き回ろう!』」

「Lスティックは……」

「そう、そっちで合ってるよ!」

 

 ナギサが左の親指でスティックを動かすと、それと連動して『ナギ』が動き回る。それを見て、ナギサは少し胸が高鳴るのを覚えた。そして家の周りをぐるっと一周したところで画面に「クリア!!」の文字が浮かぶ。

 

「『次はLスティックとBボタンで走ってみよう!』」

 

 その指示とともに画面上に一つの矢印が現れる。この方向へ向かえば良いのだろうか、とナギサは少し手元を確認した後に、指示通りにコントローラーのボタンを押した。『ナギ』が矢印の方向へダッと走り出した。

 

「おお、ナギちゃん飲み込み早いね!」

「いえ……それで、次はどうすればいいんでしょうか?」

「うーん……あ、さっき「役所で待ってる」って言ってたじゃん!矢印の方行ってみればあるんじゃない?」

「そうですね、そうしてみます」

 

 ミカの提案に乗ったナギサの操作で『ナギ』は矢印を追いかけて村の中を駆け抜ける。「これ現実のナギちゃんより運動できるんじゃ?」なんてことを考えながらミカは紅茶を啜った。

 

「『あ、ナギさん!お待ちしておりました!』」

「……?彼女は……」

「『私はあなたの秘書を務めさせていただく『ちーこ』と申します!』」

「ちーこ……?」

「チワワの『ちーこ』さんだよ!今巷ですっごく人気なんだって!」

 

 そして会話を進めていくと、『ナギ』の後に続いて一匹……一人?の鶴が入ってくる。

 

「『あ!村長!』」

「なるほど、この方のお手伝いをするのが……」

「『ほほっ、この若人が新しい村長さんじゃな』」

「んんっ?!」

 

 困惑するナギサの表情を見て、ミカはまた笑った。

 

「『『鶴は千年亀は万年』といえども、わしもそろそろ引退じゃ。故に後任を探したくての。そこに現れたのがおぬしというわけじゃ』」

「えっと、つまりこれは……」

「『故に、新しい村長はナギ!おぬしじゃ!!』」

「そうきましたか?!」

「あっはは!ナギちゃんには教えてなかったもんね!『ぶっとべ!あにまるの森』は村長になって村を発展させるゲームなんだよ!」

 

 ミカがそう言って、スマートフォンの画面を見せる。そこにはインターネットに転がった、クオリティの高い『あに森』の村の数々。ナギサは目を輝かせた。

 

「『それではナギさん……いえ、ナギ村長!この村の新しい名前を決めて下さい!』」

「私が名前を……」

 

 ちーこの指示に従って彼女は名前を考える。一時でも日常を忘れられる舞台に、どんな名前を付けようか。トリニティ関連は以ての外、かと言ってセンスの良い名前が思いつくわけでもない。そして少し悩んだ後に、ナギサは隣に座っていた彼女の顔を見た。

 

「……では、これで」

「へえ……うん。良いと思うよ!ナギちゃんらしいし!」

 

 互いに微笑んだ後に、ナギサは「オッケー」にカーソルを合わせ、ギュッとAボタンを押し込む。

 

「『では、これから『こうちゃ村』のために頑張りましょう!ナギ村長!』」

 

 こうして、ナギサの『こうちゃ村』開発は幕を開けた。そしてこれから『あに森』は彼女の日々の癒やしとなっていくのだが……それはまた別の話。

*1
百鬼夜行のゲーム会社『似天堂』が発売している、動物の住人たちと一緒にまったりと暮らす人気シリーズ。任天堂ともどうぶつの森とも全く関係はない。




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『あに森』はこれから先もたまにやると思います!
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