キチガイトリオの外征録   作:氷華陸佐

4 / 7

 誠に申し訳ございません、生きてはいます。仕事が忙しすぎるだけです。亀更新ですが楽しんで頂けたら幸いです。
 ちなみに作者が神庭で一番好きなキャラはひめひめです。つまりそういう事です、可哀想に。


リリィは弾にもなる。みんな知ってるね?

 うちのガーデンの理事長には、何が見えているのだろうか。

 相変わらず帰還する事が許されず、居候させてもらっているルドビコの方々からの視線が痛くなってきた頃。突如として東京一帯にクリオンが大量発生、私達もまたその対応に追われていた。

 あのババァが黒幕でも何ら驚かないが、逆に違うだろうとも確信できる。なんだかんだ言ってアレは人類側の味方だ、なんか百合ケ丘の理事長たる高松祇恵良氏とはガーデン間どころか府の垣根を越えた擬似姉妹らしいし。

 そうなるとうちの理事長七大都市伝説の一つ、虹の軌跡の未来予知精度が数年単位というのがかなり信憑性を増してくるが。

 そして何故か同席することとなった東京圏防衛構想会議。いやまぁ当事者となったが故の事情聴取としての参加と理解できなくはないんだが、なんで二つか三つ離れた府の防衛構想会議に参加せにゃならんのか。

 会場たるルドビコに集まったリリィ達がどこの誰かを二川さんに聞いていると、聞いた事のある地名を含んだガーデンの名前があった。

 

「おー、御台場かぁ。まだ去年の話なのに懐かしいな」

 

「あれはまさしく死闘でしたね」

 

「酒井様達もあの戦いに参加してらしたのですか? ですがそんな記録はどこにも……」

 

「まぁありゃ非公式の戦いだからな。集まった奴らも有志だし、記録には残ってないと思うよ」

 

 去年の御台場迎撃戦の裏で行われていた、東京ビッグサイト防衛戦。コミケの中止を憂いた同士が集まり、建物及び周囲の被害を決死の覚悟で食い止めた戦い。

 世界中のリリィどころか老若男女人種関係なく一致団結して尚苦戦したが、土壇場でアーセナル組が実物大ユニコーンガンダムをLACに改造、ヒュージへとガンダムファイトを仕掛けた事により辛勝を収めた。

 そのガンダムに乗って「ユニコォォンッ!」と叫びながら巣無しアルトラへと吶喊していった名も知らぬ少年は元気だろうか?

 そしていざ会議が始まったものの、前に立つ藤田さんが話すのはほとんど私達に関係の無いものだった。というか外征の条件緩和やら事実上機能停止したガーデンの補助など、むしろなんで今までやってなかったのか不思議なくらいだ。

 

「ほい八切、からの五飛び」

 

「あっもうまた……! 私に順番下さいよ!」

 

「大革命です」

 

「「なん、だと……!?」」

 

 だから退屈すぎて、会議前にドンキで買ってきたトランプで大富豪を始めるのも致し方ないのである。

 そしてそんな中、会議はルドビコに派遣するレギオンの話へと移行した。

 会議中にトランプをする私達への非難の視線でマシになっていたものの、ヘルヴォルの名が上がった時点でそのうちの幾つかが彼女らへと向く。

 短い間とはいえ肩を並べて戦った、真面目でまともな方達にそんな視線が向けられるというのは大変心苦しい。というわけで。

 

「相澤さん達は、今のヘルヴォルの評判を変えようとしています。その証拠を、今からお見せしましょう」

 

 私の合図の後、陽菜がハンドリフターで持ってきたのは熱湯の入った大きな水槽。すかさず果穂乃が設置した階段に、テンパる相澤さんを登らせる。

 

「えっ待ってください確かに変えようとしているのは間違ってはいませんがこういった方向性では──アッ」

 

 階段には手すりも何も無い為抵抗らしい抵抗すらままならない相澤さんを、私は容赦なく突き落とす。

 こうしてかつては悪名高かったLGヘルヴォルは、愉快なリアクション芸人集団への一歩を踏み出したのだった。

 そしてその後の合同訓練、名称はタグ。まぁルールを聞いた限り、要はしっぽ取りという事だろう。

 くじ引きの結果、チームメイトは何故か私達三人が固定、そして川村さんに定盛さんと丹波さん。他のチームよりも人数が少ないのは端数が出たのか、それともキチガイとは関わりたくないのか。

 話すのは初めての川村さんとは、改めて自己紹介し合う。

 

「──ふぅん、最初は大事な会議中に遊んでるなんてどうかと思ったけど。方法はどうあれヘルヴォルの件には感謝しておくよ。いやに準備が良かったけど、もしかしてアレも仕込みだったりするのかな?」

 

「実はそうなんだ。だからヘルヴォルの皆さんの事は、生暖かい目で見てやって欲しい」

 

 しれっとヘルヴォルに全ての責任を転嫁させつつ、次の話はこの訓練における作戦へとシフトする。

 

「今回なんだけど、酒井さんには司令塔を任せてもいいかな? 噂通りの実力か、見せてもらいたいんだ」

 

「ほー、いいよ」

 

 という事で全員分のレアスキル及びサブスキルの構成まで聞いてから、私は頭の中でいかに面白くなりそうかを軸に作戦を構築する。

 当然真面目に指揮をするつもりは全くないが。

 まず移動してきたのは周辺で一番高い建物の屋上。私が鷹の目で周囲一体を監視し、他チームのリリィ達の位置を把握する。

 川村さんにはテスタメントで丹波さんの天の秤目を広域化してもらい、その恩恵を受けた私が自前の鷹の目を併せて弾道計算。その指示を元に陽菜が狙いを付け。

 

「ねぇ、ちょっと本気でやるの? さすがに冗談よね──っていやぁぁぁぁ!?」

 

 定盛さんをぶん投げる。

 ドップラー効果で七色に輝く定盛さんに空中から強襲されたリリィ達に為す術はなく、すかさず手の空いた誰かが目を回す定盛さんを、同じく気絶している相手のタグごと回収する。

 怪我についても、定盛さんと相手のリリィは果穂乃のヘリオスフィアにより防御結界が強化されているから心配はいらない。

 定盛さんは高所から高速落下する恐怖を何度も味わうだけだし、相手はそもそも何が起こったのかも分からない。まさにWin-Winの関係だ。

 警報が鳴った後現れたヒュージにも定盛さんを投げつけていたのでその場にいなかった私は後に聞いたのだが、世田谷方面では三体の特型ヒュージが乱入してきたらしい。





【保有レアスキル】
酒井六花……鷹の目(S級)
綾瀬果穂乃……ヘリオスフィア
東雲陽菜……薩摩と三河の系譜(自対象かつ直接戦闘能力限定で全てのレアスキル及びそのS級付与)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。