ようこそマイナス至上主義の教室へ   作:かつおのたたき

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第マイナス四話『ようこそ、実力至上主義の世界へ』

 

 

 5月最初の学校。オレを含むクラスメイトたちはこの学校での生活に慣れ、教室で面白おかしく談笑している。

 ここまでの1ヶ月、多くのことがあった。

 プールの授業があったり、小テストがあったり、友人ができたり……本当に様々な、初体験があった。

 

 そして、そんな生活の中でオレにも友人と呼べる存在ができた。

 

 まずは隣の席に座った堀北鈴音(ほりきたすずね)、こいつは……隣人、ではなく友人。本人に直接友人とは口が裂けても言えやしない、言おうものなら口を裂かれるかもしれない、だが、やはり友人という言葉がピッタリな関係だろう。

 教室の前の方で女子に囲まれている男は平田(ひらた)洋介(ようすけ)、この一ヶ月で既にクラスのリーダーとして頭角を現しているThe陽キャ。

 あそこに集まっている須藤(すどう)(いけ)山内(やまうち)は部活動説明会に共に行ってから仲良くなった三人。

 あちらで多くの生徒に囲まれている女子は櫛田(くしだ)桔梗(ききょう)、堀北と仲良くなりたいからと手を回すように頼まれてから話すようになった(結局仲良くなることには失敗したようだったが)。

 他クラスまで目を向ければ、Bクラスの一之瀬(いちのせ)帆波(ほなみ)。こう考えると、結構女子と知り合っているな。オレもリア充一歩手前じゃないか? 

 

 そして、オレの右斜め前の席に座り堀北に無視されながら声をかけ続けているのが球磨川(くまがわ)(みそぎ)。この男について語れることはさほど多くない。だが、特に仲のいい人間だと言える。

 

『────だから、唐揚げにはレモンがかかってた方がいいと思うんだよね』

 

「本当に懲りないのね。球磨川くん、あなたには反省というものができないのかしら?」

 

『あれ? 僕はこう見えて、中学時代は“反省”と呼ばれていたほどなんだけど……』

 

「しっかりと反省できるような人は“反省”と呼ばれるほど繰り返さないわ」

 

 隣で漫才を繰り広げている二人組、と言っても相方である堀北は心底嫌そうにしている。大人しく本でも読んでいなさい、と堀北に本を渡された禊は、声をかけることをやめて読書を初めたようだった。

 

「何を渡したんだ?」

 

「罪と罰」

 

 堀北に聞いてみるとそんな答えが返ってくる。

 

「禊用に用意したのか?」

 

「まさか、読み終わったから(てい)よく渡しただけよ」

 

 本から目は逸らさないままに冷たく答える。そんな様子を見て再び禊が振り向いてくる。

 

『つまりこの本は君からのプレゼント……ってコト!?』

 

「あげるわけじゃないわ、貸すだけよ」

 

『うぅ、君との友情を感じて死ぬほど感動したよ。ありがとう、僕は君に出会うために生まれてきたんだ……』

 

 堀北からの言葉を聞き、過剰に涙を流しながら答える。

 

『ま、もう飽きちゃったから返すんだけどね。オチは見たし』

 

「何度も言うようだけど、私とあなたは友人では無いわ。そもそも私に友人を作る気が無い。当然、あなたとなることもない」

 

『えぇ! 僕とこんなに長く会話してくれる相手は君と清隆ちゃんだけなのに!』

 

「あなたが一方的に話しかけてきているだけよ」

 

『その度に君たちが返事をしてくれるから僕みたいなのが付け上がるんだよ!』『全く反省して欲しいよ』

 

「何かしらのリアクションを返すまで雑音を振りまくのはどこの誰かしら?」

 

『清隆ちゃん』

 

「いや、違うだろ」

 

 自然にオレに押し付けるな。

 

 3人で楽しく(当社比)会話をしていると、始業のチャイムが鳴った。同時に手にポスター筒を持った茶柱先生が教室へ入ってくる。

 その表情は普段以上に険しい。しょうもないジョークのひとつでも飛ばせば手に持ったポスターでボコボコにされるんじゃないかと言うほどだ。

 

「せんせー、ひょっとして生理でも止まりましたー?」

 

 池がまさかの発言を繰り出す。そんなことばかり言うからモテないんじゃないか? 

 

「これよりホームルームを始める。が、その前に何か質問はあるか? 聞きたいことがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」

 

 池のセクハラに一切構わず、そんなことを言った。生徒たちからの質問があることを確信しているかのような口ぶりだ。実際、数人の生徒が挙手した。

 

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど、毎月1日に支給されるんですよね?」

 

本堂(ほんどう)、前に説明した通りだ。ポイントは毎月1日に振り込まれる。そして今月も問題なく振り込まれたことは確認されている」

 

「え、でも……。振り込まれてなかったよな?」

 

「……お前たちは本当に愚かな生徒たちだな」

 

 顔を見合わせる生徒たちを前に、怒りとも悦びともとれる不気味な気配をまといながら言う。

 

「座れ、本堂。二度は言わん」

 

「さ、佐枝ちゃん先生?」

 

 聞いたことの無い厳しい口調を前に本堂は腰が引け、そのままズルっと椅子に収まった。

 

「ははは、なるほどそういう事だねティーチャー、理解出来たよ、この謎解きがね」

 

 高円寺(こうえんじ)が声高らかに、笑った。そして足を机に乗せ、偉そうな態度で本堂を指さした。

 

「簡単なことさ、私たちDクラスには1ポイントも支給されなかった、ということだよ」

 

「はぁ? なんでだよ、毎月10万ポ

 

『おいおいちょっと待ってくれよ! それじゃあ何?』『僕たちのクラスは何らかの理由で()()()()()()()()()()0()()()()()ってことかい!?』

 

 本堂の言葉を遮るように禊が立ち上がり声をあげた。

 

『確かにこの学校は進学校で、このクラスの生徒の素行はお世辞にも良いものじゃなかったけど……!』『遅刻欠席当たり前の世紀末よろしくな最低クラスだったけど……!』

 

「もういい、球磨川。座れ」

 

 クラス全てを批判するような、指摘した問題こそがポイントを喪った理由だと主張するような言葉。

 

「態度に問題はあるが、球磨川と高円寺。お前たちの言う通りだ。それにしても、ここまでヒントをやって気づいたのが数人とはな。嘆かわしいことだ」

 

 茶柱先生は呆れたように首を振るとため息をつく。

 

「……先生、質問いいですか? 腑に落ちないことがあります」

 

 平田が手を挙げる。他の不安に包まれた生徒たちを代表して挙げたのだろう。

 

「振り込まれなかった理由を教えてください、でなければ納得できません」

 

 確かに、何故ポイントが振り込まれなかったのか、詳細な説明はされていない。

 

「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の私語や携帯を触った回数391回。この学校では、クラスの成績がポイントに反映される。その結果お前たちは振り込まれるはずだった10万ポイント全てを吐き出した。それだけのことだ」

 

 その詳細な数字に、ある種の納得が得られた。教室の隅に設置された監視カメラの意味、この一ヶ月で生徒の素行を注意する教師がいなかった理由、etc…。

 最悪な形で多くの疑問が解消されていく。

 

「茶柱先生。僕らはそんな話、説明を受けた覚えはありません……」

 

 多くの生徒たちがその言葉に動揺する中、平田が努めて冷静に言葉をひねり出した。

 

「なんだお前らは説明がなければ理解できないのか」

 

「当たり前で────

 

『おいおいおい、そうは問屋が卸さないんじゃない?』

 

 再び禊が立ち上がり声をあげた。

 

『遅刻はいけません、授業中に喋っちゃいけません。なんてのは義務教育でしっかり教えられることじゃないか!』

『でもまぁ、確かに僕たちは悪くない。だって知らなかったもん』

『僕たちみーんな、無知で浅慮で愚鈍だっただけなんだから!』

 

 禊の堂々とした、心の柔らかい部分を逆撫でるような演説に生徒たちは反論することが出来なかった。絶対的な正論、誰もが知っている、いちばん簡単な善悪。

 

「座っていろと言ったはずだが……まぁいい、球磨川の言う通りだ。これはお前たちが当たり前を果たせなかった故の自己責任でしかない」

 

 だが、と薄笑いを浮かべながら言葉を続ける。

 

「私もお前たちが憎いわけじゃない、一つだけいいことを教えてやろう」

 

 その呆れと愉悦の交じった表情は、生徒たちを見下しているとありありと示すようで、生徒たちの自尊心を淡々と傷つけていく。

 

「仮に、現状を改善して遅刻欠席を無くしてマイナスをゼロにしたとしても、ポイントは減らないが増えることは無い。つまり、どれだけ努力しようと来月振り込まれるポイントも0だ。裏を返せば、どれだけ遅刻欠席をしたとしても問題は無いというわけだ。よかったじゃないか」

 

『だってさ! よかったね! みんな!』『みんなはこのままで良いみたいだよ!』

 

「お前、他人事みたいに……」

 

 誰かがぼそりと呟いた。

 

 ヘラヘラと、感情の読めない笑顔で煽る禊に対し、周囲の生徒たちは得体の知れない物を見るような視線を向け始める。

 茶柱先生から向けられる呆れや愉悦、その理由はうっすらとだが理解出来る。しかし、禊から向けられる無意味な()()。同じ立場にいるはずなのに違うような……得体の知れなさ。

 そこから生まれた、怒り、困惑、不安、恐怖、多くの感情が綯い交ぜになった視線の雨を前に、禊は一切の動揺を表情に出さない。ただ正確に、明確に、己を含めた生徒たちを追い詰める。

 

『だからさ! みんなこのままでいいんじゃない? 茶柱先生だってこう言ってるんだし!』

 

「いや、それは……」

 

 平田が禊の言葉に反論しようという時、ちょうどホームルームの終了を告げるチャイムが鳴った。

 

「どうやら無駄話がすぎたようだ。球磨川、平田、これからに関する議論ならホームルームが終わってからするといい。なんなら、授業中でも構わないぞ。ポイントは減らないからな」

 

 茶柱先生からのチクチクとした嫌味に反論できる人間はいなかった。

 

「だいたい理解しただろう。そろそろ本題に入るか」

 

 手にしていたポスターを黒板に磁石で貼り付ける。生徒たちは理解が及ばないまま、戸惑いながら呆然とその紙を眺める。

 

「これは……各クラスの成績、ということ?」

 

 半信半疑な様子で、堀北が言葉を漏らす。

 

 そこにはAクラスからDクラスの名前とその横に、最大4桁の数字が表示されていた。

 オレたちDクラスは0。そしてAクラスが940。Bクラスが650。Cクラスが490。

 これがポイントのことだとすると、1000ポイントが10万円に値する、というところか。全てのクラスが軒並み数値を下げている。

 

「ねぇ、おかしいと思わない?」

 

「あぁ、ちょっと綺麗すぎるよな」

 

『確かに、ね』

 

 オレと堀北は貼りだされた点数のある奇妙な点に気がついた。禊も気づいているようだ。

 

「よく見ろバカ共、Dクラス以外は全てのクラスがポイントを振り込まれている。それも1ヶ月生活するには十分すぎる程にな」

 

「な、なんで他のクラスはポイントが残ってんだよ。おかしいよな……」

 

「おかしいと言うなら、お前たちのことだろう。毎年このシステムでやっているが、0にまでなったのは……ふっ、このクラスが初めてだ」

 

 思わず笑ってしまったというように、その顔に薄く嘲笑を浮かべながら鼻で笑う。

 

「言っておくが不正は一切していないぞ。この一か月、全てのクラスが同じルールで採点されている。にもかかわらず、ポイントでこれだけの差がついた。それが現実だ」

 

「何故……ここまでクラスのポイントに差があるんですか」

 

 平田も貼りだされた紙の謎に気がついた。各クラス、あまりに綺麗にポイントに差がついている。

 

「簡単な話だ、この学校は優秀な生徒の順にクラス分けがされている。優秀な生徒はAクラスへ、ダメな生徒はDクラスへ。つまり、このDクラスはお前たちのような()()()()()()()()()というわけだ。この話を聞けば納得できたんじゃないか? この結果に」

 

 その言葉を聞いた堀北の表情が大きく強ばった。おそらく、クラス分けの理由がショックだったためだろう。

 それとは対照的に、禊は安堵したような、納得と悔しさを複雑に掛け合わせたような表情をしていた。あの宣戦布告以来の感情的な表情。個人としても思うところがあったのだろう。

 

 だが、オレとしては良かったと思う。これ以上下がることがないということなのだから。

 

「このポイントが0である限り、僕達はずっと0のままということですね?」

 

「ああ。このポイントは卒業までずっと継続する。だが安心しろ、寮の部屋はタダで使用できるし、食事にも無料のモノがある。死にはしない」

 

 そうは言ってもこの一ヶ月で狂った金銭感覚を治すことは相当に大変なことだろう。それこそ10万ポイント全てを使い切った山内なんかは阿鼻叫喚(あびきょうかん)と言った様子で震えているくらいだ。

 

「……これから俺たちは他の連中にバカにされ続けるってことか」

 

 ガン、と机の脚を蹴ったのは須藤だ。Dクラスであるということが無能の証明になってしまった以上、卑下する気持ちも理解できる。

 

「それが嫌なら少しでも上のクラスに上がれるよう頑張るんだな」

 

「あ?」

 

「クラスのポイントは何も毎月振り込まれる金と連動しているだけじゃない。このポイントの数値がそのままクラスのランクに反映されるということだ」

 

 つまり、仮にオレたちが500ポイント保有していれば、そのままCクラスへと上がれていたというわけだ。

 

「さて、十二分に残念な思いをしたお前たちには酷な事だが、もう一つ残念な知らせがある」

 

 そう言うともう一枚の紙を追加で黒板に貼り出した。

 

「これは以前行った小テストの結果だ、揃いも揃って立派な結果だな。先生は誇らしいよ」

 

 わざとらしく拍手を鳴らす。一部の上位を除き、生徒たちの多くは60点前後しか取れていない。須藤の14点という驚異的な数字は無視するとしても、その次が池の24点だ。平均点は65点前後か。

 

「これが本番なら、早々に7人は退学になっているところだったぞ」

 

「た、退学?」

 

「どういうことですか?」

 

 生徒たちが口々に口を開いた。その様子を見た茶柱先生がわざとらしく、笑みを浮かべる。

 

「ああ、言ってなかったか? この学校は中間テスト、期末テストで一教科でも赤点を取れば退学になることが決まっている」

 

「は、はぁあああああ!?」

 

 真っ先に声を上げたのは赤点組の7人、特に声の大きい池が目立った。

 

「ふっざけんなよ、佐枝ちゃん先生! 退学とか冗談じゃねぇよ!」

 

 その言葉に追従するように生徒が騒ぎ出す。

 

「そうですよ! 理不尽じゃないですか!」

 

 生徒たちが口々に文句を言い出した。

 

「退学はありえない」

「そもそもルール説明が──」「だから俺は──」

 

 生徒たちから溢れ出す不満の言葉。全ての悪感情が乗った言葉、ホームルームが始まる前の和やかな雰囲気が嘘のように、荒れる。

 

 茶柱先生はその言葉の全てを

 

「黙れ、バカ共」

 

 その一言で一蹴した。

 

「文句を垂れられてもルールだからな、私に言われても困る。それに、自業自得だと言っているだろう? どれだけ言葉を重ねようとお前たちが無能であることが変わることは無い」

 

「ついでに教えてやろう。お前たちがこの学校に入学してきた目的についての話だ」

 

 多くの生徒がこの高度育成高等学校に入学した理由。それは卒業するだけで希望の職種、進学先に入れることにあるだろう。大半の生徒はそれが目的であり、それは落ちこぼれと評価されたDクラスの生徒も例外ではない。

 

「残念な事だが、その恩恵にあずかれるのはAクラスで卒業した場合のみ、だ」

 

「そ、そんな……聞いてないですよそんな話! 滅茶苦茶だ!」

 

 立ち上がり声をあげたのは幸村(ゆきむら)という生徒だった。

 

「滅茶苦茶…? 当然のことだろう、ここは社会と同じだ。結果を出すことでのみ恩恵を受けられる。お前たちがどれだけ努力しようと、結果的にAクラスでなければ意味は無い。どうした? お前たちは反論することも出来ないのか? 自尊心まで不良品とは、全くお前たちには驚かされることばかりだな」

 

 茶柱先生の正しく、正しすぎる正論に生徒たちは押し黙ることしか出来なかった。その口から発される言葉に間違いはなく、間違いがないゆえに反論が許されたものではなかった。

 

 

 しかし、立ち上がる者が一人。

 

 

『ムカついたから』『不満に思うから』『無意味だと思うから』『自業自得だから』『事実だから』『みんなが反論しない理由ってこんな感じ?』

 

『じゃあせっかくだし』『僕が代表して反論しちゃおうかな』『馬鹿みたいに!』

 

『僕たちは悪くない』

 

 その言葉を聞いた茶柱先生は興味深そうに、口を開く。

 

「ほう、この惨状を前にして『悪くない』と(のたま)うか。いやはや恐れ入ったよ。恥知らずというかなんと言うか、誰が見たってこの結果を招いたのはお前たちで、確実に悪いのはお前たちだろうに」

 

『全くもってその通り、確かにこの現状を作ったのは僕たちです。が、見切りをつけるのがあまりにも早いんじゃないですか?』

 

『だってほら、僕たちがこれからすぐにでも即々(そくそく)一瞬で迅速にスピーディーにAクラスまで駆け上がるかもしれないでしょう?』

 

『先生の口振りから察するにポイントを増やす手段は存在してるみたいですし』

 

 茶柱先生に向き合い、その瞳を合わせ言葉を吐く。堂々と、逆境に押し潰されないその姿は先程までの言葉が嘘のように、滔々と意見を述べていく。

 

『というか、みんなも落ち込みすぎじゃない? それともマジで自分が世界一無能(マイナス)で世界一不幸(マイナス)で世界一の敗者(マイナス)だと思ってるわけ?』

 

『この程度で逆境? この程度で理不尽? 全く、甘い甘い、甘すぎる。僕レベルまで落ちてきて初めてそういう事は言って欲しいよ』

 

 禊の演説を聞き、困惑する生徒たちに向き合いそんな言葉を吐いた。禊は本気で呆れたように顔を覆う。そして

 

『だがその甘さ』『嫌いじゃあないぜ?』

 

 良いセリフを吐いた。

 

『負け犬の先輩として君たちに教えてあげよう』『()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その言葉を聞いた茶柱先生は先程までの嘲笑を無くし、苦虫を噛み潰したような表情で口を開く。

 

「はっ、随分な大言壮語だな。そこまで言うのなら応援しておいてやろう、中間テストまでは残り三週間、じっくりと熟考し退学を回避してくれ。ホームルームは以上だ」

 

 少し強めにドアを閉めると、茶柱先生は今度こそ教室を後にした。

 

 後に残されたのは、不安と困惑が抜けきらない生徒が半分。禊の言葉に感化された生徒が半分。そして肩を落とす赤点組たちだった。

 

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