疲れた。
精神的に疲れた。
ダンジョンのセーフエリアへと戻った秋水は、とてもげっそりしていた。
なんと言うかもう、疲れた、以外の言葉が思いつかない。
祈織の店にドロップアイテムを納品しに行ったら、まさかの 『ダン・ジョンさん』 について詰められるし、入れたと思っていたネックレスを入れ忘れていたし、最後にはまたもや祈織がダンジョンのドロップアイテムという存在にニアピンしてくるし。
心臓に悪すぎる。
薄らぼんやりとしか設定を決めていない 『ダン・ジョンさん』 について唐突に根掘り葉掘りと鎬に聞かれ、精神的にげっそりして、祈織は異世界だの魔法だの言い出して、こちらは吐きそうである。
なにあの二人、怖すぎるんだけど。
「あー……ダン・ジョンさんの設定、ちゃんと考えねぇとなー……」
座布団ではなく畳の上に直接座り、秋水は天井を見上げる。光る岩が眩しいぜ。
嘘の設定を矛盾なく考える。
苦手だ。
「……そういや、セーフエリアも本格的に再整備しないと」
『ダン・ジョンさん』 の設定考えるの面倒だな、と考えたら、ふと違うタスクが脳裏をよぎる。
畳の下に敷き詰めている草を、そろそろちゃんとした敷き材に交換しなくてはいけない。
ついでに棚とかもちゃん水平になるように調整しなくては。
どうしよう、質屋で鎬にチクチクと精神的に嬲られ、祈織にはダンジョンの存在にニアピンされ、とてもじゃないがやる気が出ない。
これは、そう、精神的なリフレッシュが必要だ。
「――よし、ジム行くか!」
平日の午後4時。
この前もこの時間にジムに訪れたが、やはりこの時間は有酸素運動がメインの客層が多い。
早速ジムに到着した秋水は、ぐるりとジムの中を見渡し、筋トレ民の人数のわりにはパワーラックやトレーニングベンチなどフリーウエイトのエリアが空いていることにご満悦、にっこりである。
なお、にっこりの完成度はお察しの通り。
秋水の笑みを見た何人かが、ここは今から凄惨な殺人現場になるのか、と絶望して震える。
それを横目に、秋水はコートを脱いでリュックサックとともに棚に入れ、タオルとトレーニンググローブ、そしてポーション入りのペットボトルをリュックサックから取り出す。
大股でしっかり腕を振りながら歩いてきたが、さすがに2月の寒空の下を歩いたのだ、もう少し体を温めたい。
体を温めるには、やはりHIITだな。高強度インターバルトレーニングだ。
秋水は準備運動をしようと、棚からストレッチコーナーへ向かおうと踵を返し。
「あれ?」
見覚えのある人がいた。
パワーラックではなく、オリンピックベンチに腰を掛け息を整えているところで顔を上げ、秋水の存在に気がついたようだ。
バッチリ目が合った。
セット間休憩中のようだ。これでトレーニングの真っ最中なら躊躇うところだが、今ならば軽く挨拶しても問題ないだろう。
「こんにちは、日比野さん」
「こんにちは、棟区さん。奇遇だね」
日比野 道(ひびの みち)。
秋水と同じクラスの、筋トレ民である。
クラスメイトとか、まして友達というクソみたいな枠組みではなく、彼は筋トレ民だ。つまり仲間だ。
日比野のいるところは、バーベル、バーベルラック、そしてトレーニングベンチのある、オリンピックベンチ。主にバーベルベンチプレスが行える器具である。
ベンチの状態とバーベルラックの位置から察するに、やはりバーベルベンチプレスをやっているところなのだろう。
筋トレビッグ3の1つ、筋トレ民の大好物、ベンチプレス。
トレーニングベンチの上に寝そべって、バーベルを胸の上まで下ろしたり上げたりする筋トレである。
主に大胸筋、三角筋の前部、上腕三頭筋が鍛えられる種目だ。
ちら、と秋水はバーベルの方へ視線を向ける。
片側には、20㎏と10㎏のプレートが1枚ずつ。
それが両側にあり、バーベル自体の重量と合計すれば、80㎏。
いい重量だ。
今日は無心に脚トレしようかと思っていたのだが、知り合いがベンチプレスをしているのを見ると、不思議と胸トレをしたくなってくるのは何故だろうか。
「日比野さんは胸の日ですか?」
「そうそう。この時間良いよね。フリーウエイトのコーナーが広々してて」
「おっと、今日は随分と追い込むつもりですね」
「ベンチプレスしたら、ケーブルマシンで上から下まで角度変えながらプッシュして、チェストプレスとペクトラルフライで追い込む予定」
「ガチじゃないですか」
「棟区さんにガチ扱いされると嬉しいね」
はは、と日比野が照れたように笑いつつ、呼吸を整えるようにして、ふー、と息を吐ききる。
呼吸法もしっかりしている。
それにしても、徹底した胸のトレーニングの予定である。あとは足を台に乗せてリュックを背負った腕立て伏せを組み込んだら、完璧じゃなかろうか。
やはり日比野はガチ勢の気質があるようだ。
自分のようなエンジョイ勢も日比野を見習うべきだろう。感心するように秋水は大きく頷いた。
なお、この自称エンジョイ勢が、この場の誰よりもガチ勢であることは、秋水自身の筋肉が雄弁に物語っていた。
「ああ、お邪魔をしてしまいましたね。それでは日比野さん、大胸筋を頑張って」
そろそろ息が整ってきた日比野を見て、次のセットの邪魔をしてはいけないな、と思った秋水はサムズアップを日比野に向けながら挨拶をする。
筋トレは自分の筋肉と対話する、半ば孤独な鍛錬。
邪魔をしてはならない。
秋水のハンドサインに対して、ノリの良い日比野も同じくサムズアップを秋水に向け。
「――あ、そうだ」
向けたところで、ふとなにか思いついたかのように声を上げた。
なんだろうか。
秋水がサムズアップを示した右手を下ろすと、今度は日比野が、ぱん、と顔の前で両手を合わせ、拝むようなポーズになる。
「棟区さん、ベンチプレスのフォーム見てほしいんだけど、ちょっとだけ時間ある?」
「いいですよ」
即答。
日比野がお願いしてきたことに、秋水は一切の迷いや考えを挟むことなく、ノータイムで頷いた。
フォームを見ることくらいお安い御用である。
同じ筋トレ民にお願いされたら、それくらい受け入れて当然だ。
「わ、即レス。いや、でもありがとう」
「いえいえ。他の方の筋トレを間近で見るのは、こちらとしても勉強になりますので」
「……棟区さんが言うと説得力が違うね」
日比野が少し苦笑を浮かべると、近くにいた他の筋トレ民が、うんうん、と何故か頷いていた。
秋水としても、他の筋トレ民のトレーニングを間近で見るのは有益なことである。特に今は、美寧の筋トレを指導するというトレーナーみたいな役目を引き受けている以上、本当に勉強になるのだ。
「えっとさ、最近ベンチを80㎏でやってるんだけど、なんだか鬼門みたいなんだよね」
気を取り直し、日比野がラックに掛かっているバーベルへと振り返りつつ、軽く説明をしてきた。
80㎏が鬼門。
なるほど。
それだけで秋水は内容を理解した。
筋トレ民同士というのは、筋トレという共通言語による言葉の圧縮率がエグいのだ。
「上がりはしますか?」
「上がりはするんだけど、5回が限界って感じかな」
「75㎏辺りでは?」
「10回を5セット……ごめん、見栄が出ちゃった。10回を4セットで、5セット目がだいたい8回くらい、調子よかったらギリギリ10回かな、ってところ」
「なるほど、確かに80㎏にボトルネックが出てますね」
「そうなんだよね。6回5セットが目標なんだけど、80㎏に重量上げたら急に回数が落ちちゃって」
「かしこまりました。早速様子を見させてもらっても良いですか?」
「ありがとう。是非是非」
筋トレ民以外は、なに言ってんだコイツら、という会話を交わしてから、秋水はオリンピックベンチの頭側の方へと回り込み、その間に日比野はベンチに仰向けに転がり準備を始める。
通訳を入れる。
日比野はいわゆる、スランプ状態に入ってしまった、という相談だ。
ベンチプレスで順調に扱う重量を伸ばしていったのだが、80㎏になった途端、急にバーベルを持ち上げるのが上手くいかなくなった、という話である。
扱う重量の伸び悩み。筋トレにおいてはよくある悩みだ。
80㎏が日比野が扱える限界なのか、それともなにかフォームのエラーがあるせいで上手く持ち上げられないのか。
それを客観的な視点で見て欲しい、ということである。
なるほど、それは確かに他者の視点が欲しい場面だ。
筋トレ仲間が現状打破の協力を要請している。
これは筋トレ同志としては見捨てられない案件であった。
「……ふー」
日比野はゆっくりと息を吐く。
ベンチの上で上半身をごそごそ動かし、スタートポジションのフォームを作る。
肩甲骨は、しっかりと寄せて下げ、ベンチに押しつけている。
胸椎はしなやかに曲がり、体はベンチの上でブリッジを形成できている。
尻をつけ、床に着いた両足はしっかりと踏ん張れる位置であり、力も逃げていない。
とても良いフォームだ。
ぶっちゃけ、美寧よりも綺麗なスタートポジション、など仲間同士を比較するのは大変失礼か。
日比野がゆっくりと手を上げ、バーベルを握る。
「ん?」
一瞬だけ秋水は目を細めるが、すぐに気を取り直す。
手幅がやや広い。
ノーマルグリップのバーベルベンチプレスなら、バーベルを握る手幅は、肩幅の大体5割増しくらいである。
だが、日比野の手幅はやや広い。肩幅の6割増しかそこら、7割増しには至っていないと思うが、といったぐらいだ。
ワイドグリップと呼ばれる構えに近い。
重量挙げのパワーリフティング競技におけるベンチプレスのやり方だ。
高重量を扱える反面、可動域が短くなるため大胸筋の最大伸展と最大収縮が行われないという致命的な弱点がある。
「ふっ」
疑問を呈するのは後だなと考えていると、日比野が短く息を吐き、バーベルを下から押し上げてラックから外した。
若干、バランスがぶれる。
押し上げるときに肩甲骨は上がっていない。
しかし、ラックから外したらフラつきがある。
なるほど。
秋水は日比野の様子を見下ろし、まじまじと観察する。
なお、端から見ればわりとヤバい光景である。
「――ぅ」
ゆっくりとバーベルが日比野の胸、みぞおちの直上まで下ろされる。
勢いはつけず、ゆっくりと。
ネガティブ動作もしっかりと行っている。
だが、軌道が歪んでいた。
ふむ。
「ふ」
そして胸に軽くバーベルがつき、そこから力の向きを切り返す。
秋水は一瞬だけオリンピックベンチのセーフティバーを確認する。
今は胸を反らすようにして上体をブリッジさせているから、セーフティバーの設定位置より上に胸があるだけで、ブリッジを止めてべたりと寝たらちゃんとセーフティバーより下に胸がある位置だ。
良かった。バーベルが胸についた瞬間、設定ミスっているのかと一瞬疑ってしまった。申し訳ない。
若干の罪悪感を覚える秋水を余所に、日比野はゆっくりとバーベルを押し上げる。
ベンチに肩甲骨を刺すように固定しつつ、大胸筋と腕と肩の力で、ゆっくりとバーベルが持ち上がる。
持ち上がっては、いる。
軌道がブレている。
よし、中断。
日比野が丁度バーベルを上げ終わり、再び下ろす方へと力の向きを切り返すタイミングで、秋水は上からがしりとバーベルを掴んだ。
え、と日比野が驚いた顔になるが、まずはバーベルをラックに掛けて安全を確保させる。
秋水が軽く誘導するように力をラックの方に伝えると、中断だという意図を正しく察してくれた日比野は拒否することなくバーベルをラックへ戻し、ガチャリ、と下ろした。
「理解しました」
「え、嘘、まだ1回しか見せてないんだけど?」
安全を確保したのを確認してから、秋水が告げれば、日比野はベンチに横になったまま目を丸くする。
いや、まあ、1回見れば十分だ。
「日比野さん、まずは重量を落とすことをお勧めします」
「え?」
「土台固めです。今は押す力より、支える力の方が少し遅れている印象ですね」
そしてベンチより上体を起こした日比野へ、秋水はそんな提案をした。
想像ではあるが、日比野はベンチプレスの重量を、かなり順調に伸ばしていたと思われる。
恐らく、土台が固まるよりも早く、重量を上げてきたのだ。
日比野はフォームに問題は見当たらない。
肩甲骨周りや胸椎の柔軟性も十分だ。
それでいて80㎏のバーベルが上手く持ち上がらないのは、単純に筋力が足りていないからである。
しかも、土台部分だ。
ベンチプレスは大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を鍛える筋トレである。
だからと言って、その3つの部位の筋肉しか使わない、わけではないのだ。
「確認しますが、日比野さんは50㎏を20回できますか?」
「え、20回って、10回を2セットってこと?」
「いえ、連続で20回です」
「連続!?」
ぎょ、としたように日比野が目を見開いた。
「いや、さすがにそれは……」
「なるほど。では、まずはそれを目標にすると良いかと」
そして言い淀んだところに、秋水は小さく頷きながら返しつつ、少し腰を落としてラックに掛かっていたバーベルを握った。
ひんやりとした鉄の感触。
トレーニンググローブもつけていないので、生々しいバーベルの冷たさだ。
それを握ってから軽く腹圧を入れ、腰を起こす動きに合わせてバーベルをラックから持ち上げる。
「気を悪くされるかもしれませんが、見た限りにおいて日比野さんのベンチプレスは、フォームが良くてもバーベルの軌道がブレています」
「えっと、まあ、なんかバーベルふらつくなって思うけど、そんなに?」
「はい。恐らく日比野さんが自覚されている以上にブレていました」
「わお、ショック」
秋水の指摘に、がくり、と日比野が肩を落とす。
口調は軽いので、そこまでショックは受けていないようだ。たぶん、ある程度は自覚していたのだろう。
「でも、それと重量を落として回数を上げるのと、関係あるの?」
「あります。先程も申しましたが、土台を固めるのが目的です」
そして首を傾げる日比野の前で、持ち上げたバーベルをゆっくりと肘を曲げながら持ち上げる。
バーベルカールだ。
肘の位置を固定しながら、上腕二頭筋の力でバーベルを持ち上げていく種目である。
そして当然、上腕二頭筋を鍛える種目だ。
だからと言って、上腕二頭筋以外の筋肉を使わないわけではない。
「日比野さんは、体幹の筋力が追いついていないと思われます」
え、と日比野が驚いたような声を上げる。
ほぉ、と何故か近くにいた筋トレ民の数名まで声を上げる。
なんか気がついたら、秋水と日比野の周りで筋トレしている人が増えていた。
「ベンチプレスは胸・肩・腕の筋肉を主に使いますが、実際のところ様々な筋肉が総動員されています。足で踏ん張るためには足の筋肉が、ブリッジを安定させるには腰回りの筋肉が、腹圧を入れるには腹の筋肉が、それぞれ連動しています。そして肩の三角筋も主に前部を使用しますが、かと言って中部と後部を使用していないわけではなく、上腕三頭筋や前腕筋群などと連動しながらバーベルを動かすときのバランスを取っているのです」
「えーっと、つまり?」
「土台となる基礎工事が疎かになっている印象を受けます。上に建っている家がグラつく原因はそれかな、と」
「あ、納得」
細かい説明ではなく例え話に切り替えると、日比野は即座に理解してくれた。
なお、説明しつつ秋水はバーベルカールを続けている。
直立したまま、肘の位置を完全に固定し、バーベルを上げ、下ろし、上げ、下ろし。
日比野の目がバーベルを追っている。
ついでに、周りの筋トレ民の目もバーベルを追っている。
「このバーベルカールは上腕二頭筋の種目ですが、足腰や背中に腹筋といった他の筋力が弱ければ、体が前後にぐらぐらと揺れてしまうでしょう。ですが体幹という土台を鍛えておくと、体がブレず、バーベルの軌道が安定します」
「あ、一応説明のためにやってたんだね」
「はい」
「良かった、無意識に筋トレ始めたのかと思った」
「無意識に筋トレをしていたら異常者じゃないですか」
「だよね」
どこかほっとした様子の日比野。さすがの秋水もそこまで筋トレ狂いではない、つもりである、たぶん。
「でも、なるほどね、土台作り。考えたことなかったな……」
そして顎に手を当てながら、日比野が思案するように呟く。
まあ、体幹トレーニング、通称コアトレと呼ばれる筋トレは、結構地味である。
ベンチプレスのようにどんどんと重量を増やし、目に見えてレベルアップしていくという面白さはあまりない。
しかし、分かりやすいレベルアップに傾倒し、体幹という基礎を疎かにすると、今の日比野のように必ずどこかで躓いてしまうのだ。
なのでまずはバーベルの軌道が完全に安定させられるくらいまで重量を落とし、土台となる体幹を徹底的に鍛え直す。
日比野はフォームも柔軟性も問題ないのだ。
基礎さえ固めれば、80㎏というスランプも、難なく超えられるはずだ。
なるほど、基礎。
ふと、秋水は気がつく。
気がついたそれを顔に出すことなく、バーベルカールを止めて、そっとラックへとバーベルを下ろした。
「いや、ありがとう棟区さん。ちょっと重量落として土台作りを頑張るよ」
「いえいえ。参考になれば幸いです」
「ほとんど答えじゃないか、参考どころじゃないよ。重量を伸ばすことばっかりに意識がいってたから、凄い的確な助言だよ。本当にありがとう」
手放しに褒めてくれる日比野に、秋水はちょっとだけ照れくさくなって首の後ろを撫でる。
仲間から褒められるというのは、なんだかむず痒い。
だが、嬉しいものだ。
どういたしまして、と返しつつ、秋水は僅かに笑みを浮かべた。
「ああ、そういえば時間とらせちゃってゴメン。あとは自分で頑張ってみるよ」
「いえ、筋トレのご相談でしたらいつでもどうぞ。頑張ってください」
「ありがとう棟区さん。たぶんトレーナーに向いてるよ。棟区さんも頑張って」
ぐ、と応援するように日比野へサムズアップを向けると、それに応えるようにして日比野もにかっと笑ってサムズアップを秋水に向けてきた。
ここからは、お互い孤独にトレーニングの時間だ。
自分の筋肉との対話の時間だ。
筋トレは孤独である。
しかし、筋トレの仲間がいる限り、独りではないのだ。
さーて、とベンチから立ち上がってバーベルの重量調節を始めた日比野に背を向けて、秋水はウォーミングアップをするために改めてストレッチコーナーへと足を向ける。
基礎。
自分自身が日比野へと向けたアドバイスが、秋水の頭の中でもう一度流れた。
分かりやすいレベルアップに傾倒し、体幹という基礎を疎かにすると、今の日比野のように必ずどこかで躓いてしまう。
なるほど。
なるほどな。
基礎の訓練。
土台作り。
それを疎かにしてしまうと、どこかで躓く。
それはダンジョンアタックにおいて、今の秋水自身への、戒めの言葉でもあった。
補足しますと、ジリちゃんがロードローラーで爆走し、クラスの雰囲気を木っ端微塵に粉砕した現場には、日比野くんはいませんでした。先に帰ってたんだね。
美寧「他の人に筋トレ指導するとか、寝取られじゃんねっ!!!!!(血涙)」