次の日、マキナたちは再びギルドへと足を運んだ。
「おはよう、調子はどう?」
受付嬢のパティーが笑顔で話しかける。
「正直、まだ納得はいっていません」
「まあ、事実貴女たちのハンターランクでは、大型モンスターの狩猟は許可できないの」
彼女は笑うと、依頼を見せる。
「基本は採集や小型モンスターの討伐がメインよ。こつこつやっていきましょう」
そういって、2人に依頼を紹介した。
「サシミウオの採取、クンチュウ退治・・・」
マキナは不満ながらもアイナと一緒に依頼を選んでいく。
「・・・キノコ採取」
アイナが1つの依頼を取り上げた。
「遺跡平原の依頼ね。それなら、ハンターになりたての人たちでも簡単にできそうね」
パティーはそれを受け取ると、
「じゃあ、2人で依頼を受ける。それでいい?」
「はい!!」「・・・はい」
マキナは相変わらず不機嫌だが、アイナが説得して依頼を受けることになった。
パティーが印を押そうとしたとき、
「あ、パティーさん!!。さっき情報が入ったのですが、どうやら、遺跡平原の狩猟環境がどうも安定していないようです」
「え?そうなの?」
「はい、モンスターがいるかもわからないようです。行商人が襲われたという情報は無いのですが・・・」
他の受付嬢が走ってきて情報を伝える。
「そんな!!」
アイナがテーブルを叩く、
「ここまで来てですか!?」
マキナは拳を握りしめる。
パティーは困った。もう印を押すところまで来ている。
安全を考えれば、しっかりと確認が取れたときに行くべきだ。
しかし、彼女たちにあれだけのことを言った後だ。抑えているものが彼女たちにもあるのだろう。
パティーが困っていると視界の隅に、ある人物が入る。
「あの人は!!」
パティーはすかさず受付を離れ、その人物のいるテーブルに歩いて行った。
「すみません」
「ん?」
パティーに声をかけられ男は顔を少し上げる。
飲み物を置き、彼女のほうを向いた。
「コウさん。ですよね?」
「・・・・そうだが」
そこにいたのは、コウという男。見た目は20代中頃、グレーの瞳に白髪を後ろで高く結んで、キリンテールのようにしている。
「お願いがあるのですが、というか依頼を受けていただきたいのですが」
「依頼?」
「はい」
彼女は強引に彼を立たせると、マキナたちのところに引っ張っていった。
「あ、あの、パティーさん?」
あまりに急なことだったので、アイナが聞く。
「彼はコウさん。腕はかなり立つハンターよ。彼が付き添う形で行くのはどう?」
彼女が他の受付嬢たちに確認をとる。
「まあ、それなら問題はありませんが・・・」
受付嬢たちも彼を見るや否や首を縦に振った。
彼がどれだけ信頼されているかが伺えるものだった。
「・・・子守をしろと?」
彼が聞くと、
「子守って私たちはもう15ですよ!!子どもではありません!!」
マキナがずいっと主張した。
「駆け出しだろ?子ども同然だ」
彼が言うと、
「なんだと!!」
とマキナが掴みかかろうとしたので、アイナが慌てて止める。
「それで、依頼はどんなものなんだ?」
コウは隣でギャアギャア騒ぐマキナを無視して、その内容を聞いた。
一通り聞くと、
「なるほど、彼女たちが依頼を成功させるのを見守っていろと」
「はい、そして万が一の時は」
「俺が守れと」
「はい」
パティーが頷く、
「・・・俺以外でもよくないか?」
コウが周りを見ながら言う。
「いいえ、貴方しかいません。私が断言します」
パティーは譲らない。他のハンターよりも彼のほうが適していると確信しているからだ。
「しかし、俺は―」
コウが言おうとしたそのとき、
「コウ。受けなさい」
という声がした。
声のしたほうを見ると受付の机の端に座った竜人族の老人がこちらを向いていた。
「ギルドマスター!!」
パティーが背筋を伸ばす。珍しい、彼がクエストを勧めるなんて。
「キミは今、迷走の中にいる。その子たちは、キミの道を示してくれる。私はそう思う」
と言って笑いだした。
「・・・・」
コウはそれを聞き、再び彼女たちを見た。1人は勝気な瞳をした少女、もう1人は優しい瞳をした少女、そのどちらとも、強い瞳をしていた。
「了解した」
彼はそう言うと、依頼書に自分の名前を書き込む。
「ありがとうございます!!」
パティーは笑顔で、依頼書に印を押した。
「一時のパーティーですが、よろしくお願いします」
アイナがそう言うと、
「私はまだ認めていないから!!」
マキナは「ふん」と言って集会場を後にした。
「明日の朝に出る。準備しておけ」
コウもそう言うと、2人と別れた。
こうして急遽3人のパーティーが組まれることとなったのである。
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