まだ朝日も顔をのぞかせない時間帯、バルバレの入り口にコウの姿があった。
「おはようございます」
すると、そこにマキナとアイナの姉妹も合流する。
マキナのほうはまだ完全に目が覚めていないようで、「う~ん」と何かを言いながら、目をこすっている。
「今回の依頼はアオキノコ5つの採取だ。俺は周りを警戒しているから。採取は君たちが中心に行うように」
コウがそう言うと、途端にマキナがカッと目を開いて、
「そんなのわかってる!!貴方は手を出さないでください!!」
「承知している。報酬も受けとらないよ」
彼はそう言うと、遺跡平原へと向かう荷車に乗った。
すると、
「旦那しゃーーーーーん」
と言う声がした。
マキナたちが後ろを振り向くと、全身を装備で包んだ。灰色の毛をしたアイルーが一匹走ってきたのだ。
「レオン!!」
コウが驚いて荷車を降りてくる。
「どこ行くにゃ!!、筆頭オトモであるぼくをいて行くにゃんてありえないにゃ!!」
むんと腰に手を当ててアイルー―レオンが言った。
「わかった。悪かったよ。こいつは俺のオトモアイルーのレオンだ。あと1人くらいならついてきても大丈夫だったし、いいか?」
「・・・・」
コウが聞いても彼女たちからの返事がない。
しばらくして、
「「か、かわいいーーーーーーー!!」」
と叫ぶと、レオンに2人が抱き着く。
「な、なんにゃーーーーー!?」
レオンが慌てふためいている。
「オトモアイルーなんて初めて見た!!」
「すごい!!よろしくね」
コウの時とは全く違い歓迎ムードである。
コウはため息を吐くと、
「行くぞ。速く乗れ」
こうして、3人と1匹は、遺跡平原へと向かっていったのである。
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到着したのは、ちょうど日が出てきたころだった。
ベースキャンプに着くと、コウは持ち物と支給品を確認する。
そんな彼をマキナはいぶかしげな眼で見ていた。
「ねえ、アイナ」
「何?」
「あの装備・・・・」
「うん。そうだね」
アイナも気が付いていたようで、彼の装備に目を向ける。
ハンターの養成所では、当然ハンターのランクやクエストのレベルなど、基本的なことも学ぶ。
その中には当然、装備についても学ぶ機会があるのだが、
「あれは間違いなく、G級だよね?」
「うん」
マキナはグッと手を握った。
G級のハンターはいわばハンター界の伝説だ。限られた者にしかなれない極地だ。
コウという男は、その頂に至った人物なのだ。
深い蒼装備は、リオレウス亜種の特徴である。その希少な素材を以って作られたのが、『リオソウルZシリーズ』だ。
獲物は操虫棍を装備している。その装備は、影蜘蛛と言われるネルスキュラの素材から作られた『リーバーズストローク』である。
「すごい人なんだね」
「・・・・・」
冗談で身に着けられる装備ではない。彼の実力が嫌でも伝わってくるものであった。
いつか自分たちもあそこにたどり着けるだろうか。
そう、2人は彼を見ながら思った。
「集まってくれ」
コウが言うと、2人はマップを広げた。
「今回はお前ら2人が依頼をこなす。俺は極力手を出さない」
「わ、わかっている!!」
マキナが顔を赤くして答えた。
「レオン。お前も手伝うな」
「えーーー」
と少しすねたように彼が答える。マキナたちの足元に駆け寄りスリスリしていた。
移動中も仲良くしていたので、大分なついたようだ。
「基本は昼間に行う。アオキノコを10個納品すればおしまいだ」
彼はマップを閉じると、アイナに手渡した。
「さあ、行こう。基本お前たちがどこに行くかは任せる」
「はい!!」
アイナは受け取ると、それをポーチにしまった。
「カラの瓶は持っているか」
「はい、持っています」
「支給品を確認しておけ」
コウはアイナに持ち物を聞く、
「マキナ、砥石は大丈夫か?」
「え、持っているけど」
「あと、これをもっておけ」
さらにコウはマキナにアイテムを渡していく。
「硬化薬に、鬼人薬、強走薬、この辺りは前衛として持っておいたほうがいいぞ」
「そんなの私はまだ、作れないし、買えないし」
「だから俺のを分けてやる。受け取っておけ」
コウはそう言って彼女のアイテムポーチにアイテムを詰め込んでいく。
「ちょ!!止めてよ!!何!?あたしらのお父さんか!!」
マキナは顔を真っ赤にして言った。
「む、そのつもりはなかったのだが」
彼は悪げのない顔をしていた。
「も、もういい!!アイナ行くよ!!」
そう言ってマキナはベースキャンプを出て行った。
「すみません。きっと恥ずかしいんです」
アイナはコウに謝る。
「気にするな。好きでやっていることだ」
アイナはそれを聞くと、微笑みながらマキナを追いかけた。
「旦那さん。相変わらずのお人好しですにゃ」
「そうか?」
「自覚が無いのが恐ろしいですにゃ」
筆頭オトモがやれやれと首を横に振る。
コウはそのあたりがわからないまま、彼女たちを追いかけるのだった。
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