うわあ、地球、怨念に塗れすぎぃ!   作:スカウトマニア

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とりあえず思いついた場面だけ書いています。
グランゾンはOG版よりα版の方が強いと勝手に思っています。DCの総予算の三分の二がつぎ込まれている事、ガンバスターやエルトリウムを作れる世界の技術で作られている事、が理由です。


復讐の三幕と食事

『ああ、少しは慰めになっていたか。ごらんよ、魂があるべき場所へ還るよ』

 

 不意にエルダーシャがひどく優しそうな声色で口にすると、先ほどの戦闘でロンド・ベル隊に破壊されたレギオン達の残骸が淡い光を発し、溶けるようにして消えて行く中から、無数の人々が姿を現す。

 老人も、若者も、子供も、男と女の区別なく居る。誰もがジオン公国のコロニー潰しで無残に虐殺された者達ばかり。

 エルダーシャは彼らを殺戮でしか鎮魂の叶わない穢れきった魂と告げたが、同時にレギオンとして形を与えられた彼らを破壊することで、負念から解放され魂の救済がなされるとも告げた。

 

 今、戦闘の行われた宙域で起きている現象は、エルダーシャの言葉が正しいものだと証明するなによりの証拠だった。だってほら、憎しみから解放された人々の魂が浮かべる顔のなんと安らいでいることか。

 彼らは正しくコロニー潰しによって奪われた命と未来への憎しみを浄化して、この争いばかりの悍ましい世界と別れを告げられたのだから。

 

『これで少しだけ穢れた魂が救われたか。よかった、よかった。相手が君達でよかったというのもあるね。君達のほとんどはジオン公国の関係者ではないようだし、根も善良のようだ。それを感じ取ったから、彼らも君達を相手に本気で害そうとはしなかった』

 

 それはアムロのような地球圏トップエースやバニングのようなベテラン達が、戦闘中に抱いていた違和感だった。レギオン達はチャンスをみすみす不意にし、避けられる筈の攻撃を避けずに受けていた節が何度も見受けられた。

 それがロンド・ベル隊メンバーのほとんどが、レギオンと化した死者達にとって復讐の対象でなかったから、というのはある程度の信憑性がある。

 救われてゆく魂達のあまりの多さに、クスハは堪えきれずに涙を流していた。だって、それは、それだけ多くの人々が憎悪に染まり、恨みを抱いていたことを意味するのだから。

 

『二十八億と一千五百万、その全てがレギオンとなったわけではないし、レギオン一体を複数の霊魂が成り立たせているから、君達が相手をするレギオンは一万にも届かない程度かなぁ。それなら、君達も対処可能だろう』

 

「エルダーシャさん、レギオンとなった人達に復讐を止めさせることはできないんですか? こんな風に救われる道もあるのに、誰かの命を奪うなんて、悲しすぎます。あまりに、悲しくて……」

 

『そうだねぇ。コロニー潰しとやらに直接は関わらなかった人々も、今のジオン共和国とやらにはたくさんいるだろうし、そういった人々からすればどうしてレギオンに殺されなければならないと、理不尽を訴えるだろうね。それは、私にも分かるよ』

 

「だったら!」

 

『でも、それを決めるのは復讐をする側ではないかな? ジオン公国を率いていたのは、ギレン・ザビという人物だったそうだが、そのギレン氏やザビ家の支配を受け入れ、選出したのは他ならぬジオンの人々だったのだろう?

 ならば当時のジオン国民全員に責任があるさ。まだ生まれても居なかった子供だとか、コロニー潰しに反対して、投獄されたとか、そういう事情があれば情状酌量の余地はあるだろうけれど、そも、私に言ったところで彼らの復讐は止まらないよ。

 彼らの負念を触媒にレギオンという形を与えたのは私だが、先ほども言った通り、彼らの復讐は彼ら自身の意志で行われているものだからね。少しだけ我慢してもらうくらいなら、なんとか出来るけれど、正直、君達もそろそろこの宙域から離れた方が良いよ』

 

 ざわり、と確かに宙域の雰囲気がざわめくのをクスハやカミーユばかりでなく、コウやキース、ラッセルやキョウスケも感じ取る。彼らには視認できないが、死霊達の放つ重圧が増しているのだ。

 

「私達が、さっき、戦ったから? 私達も復讐の対象に……」

 

『いや? むしろ多くの仲間を解放した君達は感謝の対象だよ。ただ、少人数だが君達の中にもジオン公国の関係者がいるようだからね。死者は生者とは異なる認識を有する。

 復讐の対象を見逃したりはしないさ。今はまだ私のお願いを聞いて、待ってくれてはいるけれど、いつまでも待ってはくれない。とりあえずサイド3への襲撃は控えてもらえるようにお願いするから、情報をもってお帰りよ』

 

 エルダーシャの言葉が鋭い刃となって心に刺さったのは、クワトロ、アポリー、ロベルトらエゥーゴ所属の元ジオン兵達。

 ロンド・ベルのほとんどのメンバーがレギオンから緩い攻撃を受けたのに対し、この三名だけは復讐の対象として苛烈な攻撃に晒されていた。

 

 首を絞め、心臓を抉りだし、八つ裂きにしても飽き足りない仇が目の前にいるのに、恩人からの懇願で手を出さずにいる死霊達の葛藤たるやいかばかりか。

 それを察したロンド・ベルは、あまりに予想外の事態とにわかには信じがたい情報と共に、いったん、サイド3へと帰還するしかなかった。

 

 エルダーシャは地球人類に対して積極的に敵対しているわけではない。消極的だが友好的な存在といってもいいだろう。

 だが、死者を重んじ、その嘆きに耳を傾けられる能力と感性がある為に、地球圏の一部の人々にレギオンという罰を齎し、結果として新たな混乱を生んでしまったのは、否定しようのない事実であった。

 

 

 宇宙要塞アクシズ。元はジオン公国所有の資源採掘用の小惑星である。

 一年戦争後に軍事要塞化されたアクシズは、核パルスエンジンを用いてアクシズそのものが移動可能であり、地球圏の混乱に乗じてザビ家主導によるスペースノイド独立の悲願を果たす為に、地球へ接近していた。

 独自開発した技術を盛り込んだMSや艦艇を多数保有し、所属している兵士達が新兵中心の為、練度に問題こそあるが無視できない戦力を誇る中小規模勢力だ。

 

 地球連邦軍が全力を出せれば大した敵ではないが、宇宙も地上も敵だらけで、なんなら同じ連邦軍内での派閥争いも絶賛開催中の地球連邦軍としては、後回しにしている敵対勢力だった。

 侵略者達からちょっかいは出されても、まだ本格的な戦闘のなかったアクシズは、今、地球近海の宙域にて激しい戦闘に陥っていた。

 襲っているのはやはりというべきか、レギオン達である。

 ジオン系に地球連邦系の混在する編成だ。

 

 当然、エルダーシャとレギオンの情報など知るわけもないアクシズ側は、誇るべきジオンを真似た兵器と憎き地球連邦系を模した機体を混ぜて襲ってくるのに、多くの者達が頭に血を登らせていた。

 例外はニュータイプや強化人間といった特異な感性を持つ、極々一部の希少な例外達だけ。

 その例外の一つであり、アクシズの軍事・政治両方を支配する若き女傑ハマーン・カーンは、全長800~1,000メートルの巨艦グワダンの艦橋で、総旗艦のクルーでさえ練度の低い現状に苛つきながら、モニターに映るレギオンを睨む。

 

 整った顔には決して浮かべてはいないが、この時、優れたニュータイプ能力を持つハマーンはアクシズに攻め寄せるレギオン達から発せられる憎悪の荒波に襲われて、かつてない恐怖に肌を粟立たせていた。

 生きている者の怒りや憎しみなら知っている。だが死者の、既に命を失った者達から浴びせられる憎悪は、怒りは、恨みの念は、ハマーンの知らぬものであった。

 

(私の心をこうもざわつかせる。奴らは何だ? 地球になにが起きている? なぜ、こうも宇宙よりも暗く、冷たい思念が私達を蝕んでくる!?)

 

 ハマーンの鉄の精神をもってしても、内心の平静を保てぬ冷たく燃える殺意の炎、決して逃がしはしないという憎悪の嵐が、アクシズを包み込む。

 たとえアステロイドベルトに引きこもっていても、レギオンはやってきただろう。時計の針が進まなくなった彼らにとって、距離も時間も意味はないのだから。

 

 そしてレギオン全体から見れば少数派であるが、ジオン以外にも憎悪の念を滾らせる死霊達は大勢いた。

 スペースコロニーという密閉された空間で、毒ガスによって無残に殺された人々が、エルダーシャにより自分達の仇を討つ力と機会を与えられて、ティターンズへと襲い掛かる。

 かつてはジオン公国の宇宙要塞ソロモン、地球連邦に接収された現在はコンペイトウと名前を改められた要塞に本拠地グリプスが戦場だ。

 

「なんなんだ、奴らは!! ええい、残っている戦力は! あんな訳の分からん連中にティターンズが敗れるなどあってはならん。我々は地球の守護者なのだ!」

 

 ティターンズの実質的な司令官であるバスク・オムは、特徴的なサングラスの奥に隠した盲いた目に怒りと微量の恐怖を浮かべて、前線で戦う兵士と指揮官達を鼓舞する。

 マラサイとハイザック、サラミス改とアレキサンドリア級を主力とするティターンズの防衛線に、ハイザック、ジムⅡ、ジム・クゥエルと自分達を殺した時に使われていたMSを模したレギオンが押し寄せている。

 レギオンサラミス改からなる艦隊も共に出現しており、侵略者とアクシズ、ジオン残党を相手に戦果を挙げていたティターンズのエリート達に、餓鬼の如く襲い掛かり相討ちも辞さず、むしろ望むように一機、また一機と落としていた。

 

 だがそれでもティターンズに救いがあったとしたなら、死せる復讐者達に自分達を殺した作戦に関わった者とそうでない者を判別する能力があり、ティターンズの中ではむしろ少数派のその連中へと向かって、レギオン達は怨念をまき散らしながら群がっていることだろう。狙われるものからすれば救いでもなんでもないが。

 無視されるティターンズの機体が多く、その代わりに狙われた者はまず助からないという極端な光景が作り出される。

 レギオンの最たる狙いは作戦の指揮を執ったバスク・オムであったが、彼自身はグリプス内部の指揮所から指示を下しており、レギオンの軍勢をもってしても恨みを晴らすのは難しかった。

 

 そしてアクシズ、ティターンズと同じく死霊の復讐の対象となったジオン残党デラーズ・フリートであるが、暗礁宙域に秘かに建設された『茨の園』と呼ばれる、一勢力の本拠地としては貧弱な基地の位置をレギオンは正確に把握し、殲滅戦を仕掛けていた。

 デラーズ・フリートの運用する兵器のほとんどは一年戦争の機体で、アクシズから秘密裏に供与されたガザシリーズやエンドラといった一部の例外を保有するのみである。

 その分、パイロットは一年戦争から従軍していたベテランがほとんどを占めるのだが、それも尋常ならざるレギオンを相手にすれば、新兵と変わらない。死者の怨念が形になった、最新鋭の機動兵器と同等以上の兵器など、誰が戦った経験があるというのか。

 

 無数のスペースデブリによって、一種の回廊が形成されている暗礁宙域で、ジオン公国の敗北を認められない残党と殺された恨みを忘れず、ついに復讐の機会を得たレギオン達との戦いは殺戮の様相を呈していた。

 マラサイやネモに匹敵するレギオンザクⅡ、レギオンザクⅠは、中身こそ素人の死霊だが同時に彼らにとっては肉体そのもの。

 死者と化した彼らに既に死への恐怖はなく、激突すれば頭部が潰れ、四肢がもげるスペースデブリを意に介さず、デラーズ・フリートに襲い掛かっていた。

 

 入念に張り巡らされていた警戒網の内側に突如として出現した死霊の大群に、デラーズ・フリートは混乱に陥りながらもよく反応し、迎撃に当たっていたのは確かだ。

 万が一、地球連邦軍に見つかった際に備えて限られた資材と人員で可能な限り用意した攻撃衛星や機雷群、ブービートラップに引っかかり、破壊されるのも構わず突き進むレギオンに、旧式機が大半を占めるデラーズ・フリートのパイロット達は得体のしれない恐怖を抱きながら迎え撃った。

 

 ドラッツェというガトルとザクⅡを流用したキメラMSまで動員するデラーズ・フリートの中にあって、ひときわ目立つ活躍をしていたのは、ソロモンの悪夢の異名を持つエースパイロット、アナベル・ガトー大尉だ。

 ガトーはオーストラリアはトリントン基地から強奪したガンダム試作2号機は、奪った核弾頭運用の為、首魁のエギーユ・デラーズ座乗艦グワジン級の格納庫に預け、一年戦争終盤の愛機ゲルググS型で出撃している。

 

 アクシズの支援などもあり、最新の技術でアップデートされたゲルググは、ガトーの操縦によく応え、襲い来るレギオンを一機、二機、三機と次々と撃墜している。

 その実力と死霊達の放つ重圧に屈しない胆力は、流石はジオン公国トップクラスエースの一角と言えた。一年戦争時代からの部下であるカリウスが乗るリック・ドムⅡを僚機に、想像の余地を超えた敵を相手にも奮闘している。

 

「この宇宙に物の怪が生じたとでもいうのか。だが我らの志は、この程度でくじくことは出来んぞ。我らはスペースノイドの未来の為に立っているのだ!!」

 

 ガトーが芯から疑わずにいる信念は、オープンチャンネルで発せられたわけでも、友軍を鼓舞する為に口にしたわけでもない。自分の戦いの根幹を、生き恥を晒してまで戦い続けている理由を再確認する為だ。

 だが、それはレギオンを相手にしている時に、自分だけに聞かせる為であれ、命が惜しければ口にするべきではなかった。途端にレギオンMSの首が一斉に動き、カメラアイがガトーのゲルググを捉える。

 

 ガトーは背骨が氷に変わったような寒気と悪寒に、呼吸を忘れた。いや、出来なくなったというべきか。もしも視線で人を殺せたなら、ガトーは百回も千回も殺されていただろう。

 お前達が解放すると声高らかに謳いながら殺した自分達を前にして、それを言うのかと。レギオンとなった死霊達の憎しみを煽るのには十分すぎた。

 レギオンMSが、レギオンガトルが、レギオンセイバーフィッシュが、どれだけビームを撃ち込まれようと、バズーカを、ザクマシンガンを、クラッカーを、メガ粒子砲を撃ち込まれようとも構わずに、ガトーのゲルググへと殺到する。

 血の臭いを嗅ぎつけた飢えた鮫、飢えたピラニアでもこうはなるまい。生存のための捕食ではなく、復讐の為の殺戮に突き動かされるレギオン達にゲルググは奮戦空しく飲み込まれる。

 

「我らの、ジオン公国の、スペースノイドの栄光ある未来が、こんな、ところで、私は!!」

 

 ガトーのゲルググが撃墜されたのをきっかけに、デラーズ・フリートの防衛線は一挙に崩壊を加速させたが、逃亡しようにも周囲をスペースデブリに囲まれているばかりでなく、あらゆる逃亡ルートをレギオンが埋め尽くしている。

 グワジン級のブリッジで、デラーズは援軍も見込めず、逃亡も不可能な状況に追い込まれたのを歴戦の経験と軍人としては優秀な頭脳により、苦々しく思いながらも認めていた。

 崇拝するギレン・ザビが実妹キシリア・ザビに謀殺されたア・バオア・クー戦から、艦隊を率いて離脱し、今日まで送った臥薪嘗胆の日々が無為となる事実を、なんとか飲み干そうと努力する。

 

「無念、もはや我らの志は潰え、ギレン閣下の理念を継ぐことは叶わぬか。だが、宇宙には必ずや我らの意志を受け継ぎ、愚昧なる地球連邦から宇宙市民の独立と尊厳を勝ち取らんと立ち上がる者が、必ず……」

 

 デラーズからすれば非業にして無念の死を受け入れる為、陶酔するように胸の内を明かしていたが、レギオン達はそれすら、いや、それこそ許せなかった。自分達を虐殺したお前達がなにを気持ちよく死のうとしているのか、と。そう彼らは言いたかっただろう。

 苦渋を堪えるような表情を浮かべていたデラーズだが、その表情が凍り付いたのはグワジン級へまっすぐと突っ込んでくるレギオンマゼランを目撃したからだ。

 

 より正確にはレギオンマゼランの艦橋に溢れる、あの日、毒ガスで殺された時の姿のままの死霊達と視線が交錯したから。

 その瞬間、デラーズは自分達が誰に襲われているのか、誰によって殺されるのかを理解し、殉死による陶酔から恐怖と絶望へと最後の感情を塗り替えるのだった。

 

 かくの如く暗礁宙域の一角で行われた戦いは、激しい戦闘光やミノフスキー粒子の散布など諸々の影響を見せ、それを察知した地球連邦軍からロンド・ベル隊が派遣され、そこで彼らが見たのは……

 

「あたしは知らなかった、知らなかったんだよぉ。毒ガスなんて、あれは、睡眠ガスだって、誰も、誰も死なないって……許して、許して……」

 

 黒かった長髪を真っ白に変えて、母艦たるザンジバル級リリー・マルレーンの中で、泣き叫びながらベッドの上でうずくまるシーマ・ガラハウを含むシーマ艦隊と、ア・バオア・クー攻防戦などでデラーズ・フリートに拾われてしまった学徒兵などだった。

 嫌々の殺しもすべて分かった上での殺しも、殺された方からすれば大差はないが、それでも七年以上悪夢を見続けているシーマの罪悪感と拾われた相手が悪かった学徒兵などは、情状酌量の余地がありと、精神病院送りに留められたのである。

 

 こうしてアクシズ、ティターンズ、デラーズ・フリートの内、レギオンの最初の襲撃ではデラーズ・フリートのみが壊滅することとなった。

 現時点ではまだ地球連邦軍の正規部隊であるティターンズが、レギオンに襲撃を受けたことで連邦軍の戦略に若干の問題が生じたが、レギオンの一部が極悪非道を働く侵略者達に対しても攻撃を仕掛けて、連邦軍と連邦市民の被害が減ったこともあり、ティターンズへの反感もあってレギオン並びにエルダーシャを討伐対象とするバスクの訴えは、のらりくらりと躱されて延期に延期を重ねる。

 

 このように地球圏に新たな波紋と混乱を無自覚に齎したエルダーシャであったが、彼はとある負念の美味しそうな匂いを感じ取り、一時的な根拠地にしていた廃コロニー群から離れて、地球は南アタリア島上空へと姿を現していた。

 南アタリア島はDCならびにSDFの本拠地であり、かつて飛来した異星人の戦艦マクロスやメテオ3と縁のある場所だ。

 

 そしてエルダーシャを前に対峙しているのは、重力の魔神グランゾン。DCの総予算の三分の二をつぎ込んだ機体であり、地球から遠く離れた宙域での戦闘に対処する為に開発された経緯を持つ。

 つまり地球大気圏内どころか、地球に近い宙域でさえ、その全力を発揮してはならない極めて強力強大な機動兵器である。

 

『こんにちは、シュウ・シラカワ博士』

 

「あなたが噂に聞くエルダーシャ。外宇宙からの来訪者ですか。私をご指名とのことですが、ご用向きはなんです? これでも多忙の身でしてね。あまり時間を取らせてほしくないのですが……」

 

『なあにささやかなことだとも。食事に来ただけだよ』

 

「食事?」

 

『そうとも。興味深いね。君の魂を縛り、自由を奪っているのはカドゥム・ハーカームの亜種か何かの思念かな?

 この地球に彼らが降り立った形跡はないから、地底世界の方が由来か。変質したハーカームの負念、ふふ、想像するだけでも涎が出るね。さて、どんな味なのかな』

 

 エルダーシャが発する、ご馳走を前にした子供のように弾んだ思念を受けて、シュウは自分の自由意思を束縛する地底世界ラ・ギアスの破壊神サーヴァ・ヴォルクルスの意志が、大きく揺れ動くのを感じた。

 そして同時に確信する。エルダーシャが捕食者で、ヴォルクルスは被捕食者であり、自分が真なる自由を取り戻す絶好の機会が訪れたのを。




エルダーシャはラ=グースと戦える、アンチスパイラルとガチンコできる、グレートアトラクター率いる宇宙怪獣、宇宙超獣軍団と殴り合えるくらいの戦闘能力を想定しています。つまり虚無戦記クラスですね。
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