TS願望持ちの転生者は理想のロリに成りきります 作:暇じゃない暇人
下手な戦闘シーンがありますが、温かい目で見守ってください。(文才が欲しいな~)
薄暗い洞窟の中で、一つの影が動いている。
それは2足で歩き、腕は脚に比べて妙に長かった。背丈は人間でいうところの子供サイズで、薄暗い洞窟の中では見えにくいが緑色の肌をしている。
極めつけに耳はやや浅く尖っていて、まさしくファンタジーでお馴染みの存在であるゴブリンが、洞窟の中を歩いていた。
そのゴブリンは一匹だけで仲間は近くに見えない。群れから離れているというよりは元々一匹だけだったのだろう。
そんなゴブリンを物陰から覗いている人物が一人いた。
その人物は通路の角に背中を預け、ほんのわずかに顔を出し、ゴブリンの姿を観察する。
やがて、観察が終わったのか。腰から吊るしていた剣を抜き、飛び出すタイミングを計り始めた。
ゴブリンとの距離は大体10メートル程で、丁度人影に向かって背を向けた。その瞬間。人影はゴブリンに向かって一気に駆け出した。
そのまま近寄り、背中を斬りつけようとしたが、走り寄る音に気づいたゴブリンが振り向いたが、時すでに遅し。
剣のリーチにゴブリンがおり、しかし無手のゴブリンの攻撃が届かないであろう絶妙な位置から、人影は胴体めがけて剣を振った。
その剣は回避されることなくゴブリンの胸へと吸い込まれていき、”ズバッ”という手応えとともにゴブリンの体に切り込みを入れる。
「グギャ――!!!」
ゴブリンは悲鳴を上げながら後退した。どうやら斬られる寸前に振り向いたことで、急所を狙った軌道が僅かにずれ、その結果致命傷を免れたようだ。
人影はゴブリンに追撃をかけようとし、相手の懐に飛び込んだ。
そのままもう一度斬ろうとしたが、そうはさせじとゴブリンも両手を使って反撃してくる。
人影は慌てずに、先に迫って来た右手を手刀で弾きながら背後に回り込み、がら空きの背中に向かって一閃。
そしてゴブリンは前のめりに倒れ込み、二度と起き上がることはなかった。
「はー……疲れた」
人影は気だるげな感じでそう言った。先ほどの動きからは想像も出来ないような可憐な少女の声だった。
少女が立っている場所は丁度、洞窟内に点在する光源のすぐ下。
暗闇を明かりで照らす光源は少女のことも照らしだす。
照らされた顔は一目見て幼いとわかるもので、年齢はどれだけいっていても10代前半といったところだろう。
その少女の髪の長さは肩よりも少し下くらいで、根元が黒で髪先に進むほどオレンジ色になるグラデーションとなっており、一部銀髪が混じっている。
顔の造形も整っており、非常に可愛らしい。その中でも最も目を引かれるのは赤い瞳だろう。
ルビーの様に美しい瞳はだるそうにやや細められているが、その美しさは全く損なわれていない。
服装を見てみても戦う服というよりは、ただ単に動きやすい服という感じで、防御力は期待できなさそうだ。
全体的に見ても、このような危険な場所にいるのは間違いだとほとんどの人は思うだろう。が、どうやら少女はこのまま洞窟を出る気は毛頭ないらしく。ゴブリンの死体に背を向けて、洞窟の奥深くへと歩みを進めていった。
☆ ☆ ☆
この世界は残酷だ。俺はそのことをよく知っている。
何も悪くない人が野盗に襲われて殺されても、戦争に巻き込まれて村を焼き滅ぼされても、ある日突然攫われて奴隷にされることも、この世界じゃ珍しくもなんともない。
そのため、一人で生きていこうと思えば自衛する力は必須となってくる。まあ、”自衛できる”程度の力でははっきり言って全くの不十分でもあるが。それは今はいい。
重要なのは、何をするにしても力がなければ呆気なく死ぬことなんて珍しくなく、そして今の俺程度の強さだと何もできずに死ぬ可能性が非常に高いということだ。
つまり、俺が理想とするロリになったとしても強くなければ普通に殺されて終わることだろう。
それを何とかするために俺ができること。それはレベル上げだ。
俺がこの世界に転生する際に得た力。それは簡単に言えば俺にだけレベルという概念が存在するというもの。
どういうことかというとこの世界にはレベルという概念が存在しない。敵を倒して経験値を手に入れてレベルアップするということがない。
強くなりたくばひたすらに自己鍛錬するしかないという、ファンタジーなのに現実味がある世界なのだ。
そんな世界だったら。「お前普通にチートやん。ズルない」といった声が寄せられそうだが、結論から言おう。こんなの全然チートじゃない。
この世界における強さの基準は大きく分けて2つ。一つは種族、もう一つはギフトである。
種族が大切な理由は性能差が大きすぎるためだ。例えば吸血鬼を例に挙げると、(個体差はあるが)身体能力や五感に魔力。どれをとっても人間どころか獣人やエルフよりも高ステータスのことが多い。そのうえ夜になると全能力が向上し、満月だとさらに強くなる。
しかし弱点として朝になると弱体化したり、聖属性の攻撃にはめっぽう弱くなったりするが、それを込みにして考えても吸血鬼はこの世界における上位種であると言えよう。
ここだけ聞けば「じゃあ、種族で全部決まるくない?」と思うかもしれないが安心してほしい。一応救済的なものもあり、それがギフトだ。
ギフトは種族に関係なく持つことが出来る能力で、獲得できるものはいずれの種族の場合でも少数だが、ギフトの種類によっては自身よりも強い種族を倒すことも現実味を帯びてくるようになる。
ちなみに、人間はほとんどの種族と比べて平均的な能力は格段に低いが、このギフトを持つものが出る確率で言えば全種族の中でもトップクラスに高く、多様性にも富んでいる。
そして中には人間にだけ与えられるギフトもある。まあ、一番有名なのでは『勇者』だな。
どのような性能かといえば、成長率に大幅な補正が入る上に聖属性、光属性、雷属性の高い適性をデフォで持ち、勇者専用のスキルを複数使える。そして最もヤバいのは、人間以外の全種族に対する特攻を持っているという点だろう。
人間以外の種族が多数を占めるこの世界で異種族絶対殺すマン(マンといっても男だけではなく女が持つこともある)だ。それの意味することのヤバさは想像に難くない。
絶対強者として知られる高位吸血鬼や天狼、竜人や精霊等々も勇者のことは警戒しなければならないほどだというのだから、何ともまあとんでもないギフトがあったものだ。
そしてダメ押しとばかりに、勇者限定で装備できる聖剣というものもあるらしく、これもまた異種族特攻が入っているため、ただでさえヤバい勇者がさらにヤバくなるという事態に陥るらしい。
まあ、勇者なんて見たこともないしここ200年出てない上に世界の危機にも現れなかったというのだから、実在するかどうか酷く怪しいがな。
閑話休題
要するに、この世界で大まかの強さを決めるのが種族とギフトの2つだということを頭に入れておけば問題ない。
そのうえで俺の場合を考えてみよう。
俺の今世の種族は下級亜種精霊という、何ともまあ弱そうな種族であった。
もちろん人間よりは強いのだが、じゃあ上位種どもに対抗できるのかといえばそんなことは全くなく、ほとんどの場合鎧袖一触になるだけだ。
では俺だけが持つレベルという概念を加えるとどうなるか。ある意味俺のギフトといえるモノを使うことで、確かに俺は強くはなった。だが、依然として上位種どもとの圧倒的ともいえる差は縮まることはない。
それは単に俺のステータス限界値が低かったからだ。
例えば竜人の平均的な筋力を500とした場合、俺の初期値は30くらいでレベルキャップ時で55が良いところだろう。
俺の場合は初期値が高くて伸びが悪いステータスだったのだが、それにしてもひどすぎると思う。
このように、圧倒的な種族差の前にはレベルなんてものは焼け石に水が良いところ。
だがしかし!俺は生まれ変わった!超可愛いロリに!
これによって俺のレベルはリセットされ、下級亜種精霊なんていう伸びの悪いステータスを持つ種族から、別の種族へと変わったはず(変わってなかったとしても可愛いから許す)
であるならば、更なる高ステータスを手に入れるのも夢ではない。
そのうえ、偉大なる神様。バビル様の御力により、(時間経過によってだが)元の下級亜種精霊の力も引き出せるようになるというのだ。これはもう、鍛えるしかないだろ!?
そんなわけでやってきました。ダンジョンでーす。
ここに来た理由はもちろんレベル上げのため。なぜなら今の俺のステータスは下級亜種精霊のフェイルだった時の初期値よりも低いからな。早期にレベル上げをしておきたいというものだ。
ちなみにここは誰も知ってる人がいないんじゃね?と思うくらいに人里離れている小規模ダンジョン。
俺は以前ここに来たことがあるが、あの時はスバルのために使うチュートリアルダンジョン的なものとして扱った。
ここのモンスターはかなり弱いため、練習としてはうってつけで、今の俺が単独でクリアできる難易度となっている(ある意味これが一番重要)
いやー懐かしいな。あの時は俺もスバルも何もわからなかったから、とりあえず経験値を稼ごうとしてたまたま通りすがったここに入ったのだ。
あ、そういえばあの時、一時的な隠れ場所として使った小屋があったけ。誰かが使ってる様子はなかったのに内装は綺麗に保たれているという不思議住宅だったな。
このダンジョンでレベル上げした後で、もしまだ在ったら寄ってみるか?
まあ、それはおいといて。今はレベル上げに集中しないと。
さっきゴブリンを狩ったからレベル2になったが、もっと上げる必要がある。
このダンジョンでの目標レベルは10。だが実際のところはそこまで上がらないだろうから、6以上を目安に頑張るつもりだ。
そんなこんなで、最深部目指して歩いています。ちなみに、このダンジョンの小規模っぷりは本物で、入り口から最深部までは大体1.5キロ程といったところ。
現在地はそろそろ900メートルを超えるところかな?
む、あれは……モンスター来た!
うひょっ、あぶな!何しやがるこの蝙蝠!
俺の前に現れたのは、大きさが50センチほどのなんというか、デフォルメされた感じの可愛い蝙蝠。
おい、その無駄にキラキラした目で見てくんじゃねえ!
それなのにお前がいると相対的にこっちの目が死んでるみたいになるじゃねえか!別に死んだ目系ロリじゃねえから!ただちょっとダウナーオーラ漂わせてるだけで、目が死んでるわけじゃねえから!
くそ!ムカつく!なんでモンスターなのにそんな綺麗な目してやがる。
もういい、叩き落してやる!オラッ!……避けんな!もういっちょ!オラ!て、逃げるなー!
目玉キラキラ蝙蝠は俺に背を向けて逃走を始めた。
「逃げるな経験値!!」
俺は
え~先程キャラがぶれるようなシーンがございましたが、今後はこの様な事がないよう努めさせていただきます。申し訳ございません。
よし!一人反省会はこのくらいにして、ボス部屋行くぞ!
蝙蝠殺してレベル3になったが、ボスの落とす経験値で6以上になるのか?なにぶんここに来たのは久し振りすぎてボスの落とす経験値完全に忘れてるんだよな~。まあ、何とかなるか。
幸い。ここのボスが何なのかは覚えている。対処法も簡単だし、負ける要素なんて端からない。そうじゃないと安全を期すため、元の体の性能を完全に引き出せるようになってから動くことも視野に入れなければならなかった。もちろん、そんな悠長なことは御免だ。
そいじゃ、ボス部屋入ってと。あ、扉が閉まった。
部屋の大きさは10メートル四方の箱型で、出入り口は今俺が入って来た扉だけ。
そして、部屋の真ん中から光とともに何かが出現する。
それは150センチ程の大きさをした、不定形のモンスター。
簡単に言うとスライムが出てきた。このスライムこそがこのダンジョンにおけるボスモンスターである。
こいつは普通に弱いからさっさと倒してしまおう。さて、どれくらいの経験値を落としてくれるかな。
そうして俺は勝ちが分かりきった戦闘を開始した。
うん、やっぱ楽勝だったわ。
油断したせいで雑魚敵に負けてアーレーされることもなく、俺はボスを倒した。
てか、新しく手に入れた魔法とか試そうと思ってたのに使う間もなく勝ってしまった。どうしよう。
「ま、いいか」
うん、そうだな。別の敵に試せばいい。
それよりもまずはスライムから戦利品をいただくとしますかね。早くしないと消滅しちゃうからな。
俺は息絶えたスライムに近付き、持っているポーチの中から取り出したビンを使って、スライムの液体を回収する。
こいつの体液はまあまあの値段で売れるんだよな~。なんでも金属を溶かしやすくする性質があるらしく、鉱石から金を取り出すのに使えるだとかなんだとか。ま、詳しくないから良く分からんがな。
そうしてビンの中身が満杯になり、ふたを閉める。
これだけだと大した値段じゃ売れないだろうし。あと何周かしてもう少し集めますかね。
ボス部屋では基本、ボスを倒した後にダンジョンの出口に飛ばされる。つまり、このまま待っていれば勝手に外に出ることが出来るため、帰り道を気にしなくていい親切設計をしている(とはいってもこのダンジョンは1.5キロしかないから、ありがたみは薄いけど)
しかし、しばらく待っても何も起きない。
あれ?変だな。普通ならもう外にはじき出される頃だと思うのだが……ん?
その時、ボス部屋の壁に罅が入った。
……………めっちゃ嫌な予感がする。
罅は次第に広がり始め、やがて全方位に広がったころ。
パリー――ン!!
という音と共に四方の壁が崩壊し、まるで宇宙のような模様をした空間が顔をだす。
先ほどまで洞窟の中に掘られた部屋だったはずが、どことも知れない摩訶不思議な部屋へと変貌した。
そして、いつの間に現れたのか。空間の中央には黒い甲冑を着た騎士の様な者の姿があった。
……やべえ、これどうしよう。
途方に暮れたその瞬間。騎士の姿がブレて…俺の目の前に現れた。
!?
俺はそれに驚き、一瞬硬直してしまう。
そのスキを見逃すような相手ではないだろうことは、雰囲気から既に分かっている。
俺が何か行動を起こす前に…
!!?
斬撃の威力はすさまじく、俺の体は壁まで吹き飛ばされる。
「ガハッ!!」
壁に叩きつけられ、空気と共に血を吐き出した。信じられないことに、まだ生きてるらしい。
やばいやばいやばい!これは本気でヤバい!冗談抜きで死ぬ!なんだってこんな時に!
この世界は残酷だ。それを俺はよく知っている。
例えば、ある日突然攫われたり、住んでいたところを焼かれたり、戦争に巻き込まれたり。様々な不幸が起こる。
だからこれもその一種。低レベルの駆け出しが、何の対策もなしに強敵とぶつかる。これもまた、この世界にありふれたことなのだ。
だからと言ってひどすぎる。なんだってよりにもよって今の状況で
必死に顔を上げ、奴を見る。すると、頭部より少し上あたりにネーム欄が表示された。
【審判騎士 影】
これが出るってことは間違いない。今の俺じゃ、まず勝てん。
理想のロリになるためのレベル上げをしようとした最初のダンジョンで死地に遭う。前途洋々はこういうことを言うのかな?
心の中で軽口をたたきながら傷を押さえる。…洒落にならない傷だ。出血量もマズイ。さて、どうしよう。
そうして俺は先ほどのボス戦とは一転した死闘を余儀なくされるのだった。
【審判騎士 影】
推奨レベル(主人公の場合) 35
フェイル(ロリ状態)
現在のレベル 3
なお、ジャイアントキリング等の能力はなし。
一言で言えば無理ゲー
次話はスバル視点の予定