どちらも動くことは無く何も言わなかったが、やがて二宮の腕の中で不意に柳瀬が身じろぎした。もう降りるだろうかと腕の力を緩めると、柳瀬が肩口から顔を上げて「あの、」伺うように尋ねる。
「ぼくは、結局……二宮さんにどこまで触れていいの?」
「……今触れている範囲であれば、問題ないが」
ううん、少し迷うように頭が揺れた。不満だろうか。これ以上となると無理なことはないにしても、色々と気を回す必要が出てくる。
「それも、あるんですけど。そっちじゃなくて……コマンドとか。前にキウイ食べたこと、あったじゃないですか。あれって二宮さんがやりたくてやったことじゃないんだよね?」
ぎくりとした。やりたくなかったことというと語弊がある──正しくは、やってはいけないことだったからだ。あれは、明らかに肉欲的なものだった。肉欲というと今抱き合っているのだってそうだけれど、あれはその比ではない。それに、柳瀬自身が大したことではないと考えているなら余計に、ああいった行為をするのは危うい。
「……二宮さんにばっかり言わせるのはズルいと思うから、言うね。あのとき、ぼくも……結構、ギリギリだったんです。その……元々ダメだって言ってたコマンドを……したくなってしまったというか。だから、二宮さんはお仕置きや躾を望んだし実際にしたけど……本当に良くなかったのはぼくだったんです。ぼくのしたかったことを止めるために、あなたのせいにした」
柳瀬の手が二宮のシャツを握った。二宮は自分が手を出す出さないの話ばかりをしていたが、Domとしてコマンドを出せる立場でかつプレイの主導権を握っている以上、その注意は柳瀬にだってされるべきなのだ。柳瀬が柿崎に言われた「Domである以上二宮を守る必要がある」という言葉は、二宮が暴走しそうになったとき止める必要があるという意味以外にそういう側面も含んでいた。
何より恋人であるならば、年齢差という超えられないものがあるにしろ……対等でいたいと考えているならば、お互いが気を付けて引くべき一線は引かなければならない。
柳瀬の言わんとしていることを理解して、二宮は細く長く息を吐いた。彼は二宮が思うほど何も分かっていないわけではないようだ。
「……そうか。そうだな……」
「それに……キスのときは、あんなことになっちゃいましたけど。嫌なときは嫌だと、セーフワードも、ちゃんと、使って欲しいです。元はと言えばぼくがちゃんとしなかったせいでややこしいことになったんですけど……使う理由がわかってるから、ぼくも必要以上のショックは、もう受けないので……」
「わかった。おまえが過剰なコマンドをしたと思ったら、俺は迷わずセーフワードを使う。……逆に、俺からおまえに触れるようなことで……コマンド以上のことをしそうになったら、別のコマンドで止めるかGlareを使うかしろ」」
「……たしかに、そうやって基準を決めておくのが一番わかりやすいですよね……。うん。いい塩梅になりそう」
彼の声は考え込むように沈んでから、ややあって頷いた。互いが互いの抑止力になるのが恐らく一番いいのだろう。それぞれが耐えなければと考えていた時期はある程度は上手くいっていたが、そのある程度を過ぎたところで瓦解したのだから。
「逆に、たつきは我慢してるプレイはないのか。プレイに入る前にいいかダメか判断しておくのも手だと思うが」
「え? ん~、基本的に好き勝手やってるのとおもうんですけど……あっ! 一個だけあります」
耳を傾ける。同意書で明確にバツ印を付けたコマンド以外で、出来ることなら何でも叶えてやりたかった。……が、続けられた言葉にしばし二宮は固まった。
「二宮さんのこと、抱っこしたいです!」
「……おまえが、俺をか?」
逆ならば、まさにこの状況を含めて結構な頻度でやっているが。体格差を考えると物理的に難しいだろうし何年計画のつもりなのだと思わず渋面になるが、ずっと二宮の肩に預けていた身体を起こし、柳瀬はにっこりと頷いた。
「生身ではまだ無理ですけど、トリオン体なら楽々ですよ! 一番最初に二宮さんとプレイしたときだって、作戦室の前まで運んだんですから」
そういえばそうだった。しかし、どうしてわざわざ自分のような上背の者にそうしたがるのか二宮は理解できなかった。どう答えたものかと悩んだところで柳瀬がしゅんとしたように伺う。
「……ダメ、ですか?」
「……、……換装するなら、ボーダー内でだ」
「……やった! じゃあぼくの隊の作戦室、そのうち開けられるようにしておきますねっ」
彼の笑顔にまあこいつが喜ぶのであればいいかと思う。意識して甘やかそうとしなくとも、柳瀬に十分甘いことに二宮はまだ気付いていない。
*
気を取り直して、というのだろうか。のんびり抱き合っていたら電車があるうちに終わる気がしない。はっとして二宮の膝から降りた柳瀬は変わり身早く彼を急かした。
とは言っても、それ以降はあまり変わった項目もなく比較的スムーズに記入を終えられた。今回は原本を柳瀬の手元に、二宮は写真をデータ保存することにした。
今日のうちに済ませておきたいこと、残りはGlareの練習だけだ。ラジオを消した柳瀬はソファへ座り、二宮はさらに一段腰を下ろしてクッションを座布団がわりに、カーペットの上へあぐらをかいていた。いつもとは見上げる側が逆になる。Glareの練習ではこの方がやりやすい気がする、と柳瀬が言ったのを二宮がすぐさま頷いたのだ。
「はじめるね」
「ああ」
「セーフワードは?」
「柳瀬」
「ふふ、うん」
早速だ。笑みを深くして呼吸を整える。Glareを使うのはどんなときか、先ほどの会話を思い出しながら二宮は思案した。練習するのであれば、シチュエーションを似せた方がやりやすいし、いざという時も身体が動きやすいだろうと考えてのことだ。
「例えば……お仕置きか。俺が言うことを聞かなかったときに出すGlareは、おまえのコマンドを無視すればわかりやすいか」
「う……うん。そうだね、状況的に……。あと、二宮さんとのことに限らず……これまででぼくが怒った時のこととか、参考になるかな……」
「……、空き部屋でプレイをしたとき、たつきが萎縮してプレイにならなかったことがあっただろう、俺が立ち去ろうとしたとき……Glareを使おうとしてたんじゃないのか? すぐに感情ごと引っ込めたみたいだが」
「……ああ……」
プレイの途中であるにもかかわらず、闖入者によってこれ以上のプレイは無理だと二宮は切り上げようとした。柳瀬がDomとしてのプライドを傷付けられたように感じ声を荒げてしまったときのことだ。あのときは自分や二宮個人の問題ではなく、どちらかというとDomとSubという属性で考えていたからああいう怒りに繋がったような気がする。結果的にプレイは続行でき威圧のGlareも放つことはなかったのだが、身勝手な感情の乱れに振り回された経験はあまり楽しい思い出とは言いがたい。
そもそもGlareをむやみに人へぶつけることは避けるべきだと教えられてきたから、堪えることに慣れている柳瀬にとって瞬間的に、過剰でない範囲とはいえGlareをぶつけることは心理的なハードルが高かった。だからこその実地訓練なのだが。下手をすると一気にSub dropまで落としてしまいかねない行為なだけに心臓が嫌な音を立てる。
(……ううん、このためにマサ先輩は……)
師匠の顔を思い浮かべる。ぶつけられたアレをいきなり二宮に試すことはためらわれるが、Glare自体に慣れていない柳瀬にとっては十分以上に参考になる。緊張で乱れかけた息を整えるために口元に手を添えて、影浦から受けたGlareの半分、いや四分の一くらいをイメージして、深く息を吸った。
「……匡貴、ぼくと目を合わせて」
いつもの癖か、一瞬だけちらと柳瀬を見上げたがすぐに彼は視線を逸らした。Subがコマンドに従わない。セーフワードは使われていない。言うことを聞かない悪い子には、お仕置きをする必要がある。背筋がぞくぞくと痺れるのを自覚した。
そういえば、お仕置きを受けたいがためにDomの気を引くことを目的として、わざとコマンドを無視するSubもいると聞いたことがある。どうしてこのタイミングで思い出したかはわからないが、柳瀬の方を一瞥してからわざわざ目をそらした二宮がそんなSubを彷彿とさせたのかもしれない。そう考えると──怒りよりも愛しさの方が勝った。そうだ、これだ。お仕置きするのは何も彼が憎いからではない。可愛いから、好きだからお仕置きをするのだ。
「……こら、」
咎める声は甘かった。彼を呼びながら、調節したGlareを彼に向けて放つ。二宮が息を呑み、視線はそらした場所に固定された。
「匡貴、こっち見て」
ぐら、瞳がややぶれてから、道に迷った幼子のように柳瀬を見上げる。彼と目を合わせたまま二宮の側頭部を包み込み、彼の頭を撫でながら目一杯褒めた。
「Glareびっくりしたね、耐えてくれてありがとう。ちゃんと目を合わられてえらいよ。……逸らされたときはドキドキしちゃった」
「……、……ああ……」
「痛くない?」
「いた……くは、ない」
「どんな感じした?」
「……想像してたほどの苦痛も、押さえ付けられる感じもしなかった。……真夏に、冷房の効いた部屋から炎天下に出たような……」
「十分ヤなやつじゃん、それ」
くすくす笑いながら、もっと彼を褒めてあげたくてソファから腰を下ろした。身体に触れて、褒めるために手を握った。彼の返答は思ったよりはっきりしているが、指先が冷えているようだ。それを感じ取つてしまえば、もっと難しいコマンドを与えてそれからとびきり褒めてあげたいという欲求が、本人でさえ気付かないうちにすうと覚めていく。
「……、」
練習とは言ったけれど、やはりやめた方がいいだろうか。セーフワードの練習と違って柳瀬にはダメージがない分、加減がわからない。一応Glareをきちんと出せることはわかったのだし……。決意したにも関わらず怖気づいていると、二宮の冷えた指先が柳瀬の細腕をひとまとめにした。片手で柳瀬の両手首を拘束し、大儀そうに細長く息を吐く。
「抵抗してみろ」
「……? うん……」
彼の意図がよくわからず、けれど言われた通りにしてみる。抵抗ということは、きっと拘束から抜け出せばいいのだろうと腕を引いてみた、が、二宮の指は外れないどころか柳瀬自身の腕すらろくに動かせない。
「っ、あれっ? んん……っ、え、嘘ぉ……」
どれだけ力を込めても二宮の拘束はびくともしない。徐々に意地になって押したり引いたり、はたまたひねったりを繰り返すが、がっちりと固定されたままの腕はついぞ離れることはなかった。
一通り試してやはり駄目だということを悟った彼を、二宮はぐいと引き倒す。背中にラグの柔らかい衝撃があり、そろそろと目を開けると柳瀬に覆いかぶさる二宮と、天井をゆったり回るシーリングファンが目に入った。
頭上に持っていかれた腕は先ほど以上に動かない。ぱちぱち、瞬きを繰り返して二宮の顔をうかがえば、彼は表情の読めない瞳で柳瀬を見つめていた
「言っておくが、これでも本気じゃないからな」
「……う、ん……そ、そうだよね……」
その言葉に柳瀬がうろたえて、しかしあざのことを思い出す。まったく痛みはなく、あれほどの力は感じない。柳瀬、呟くように呼ぶ二宮にはどこか凄みのようなものがあった。
「向き合ってる状態でもろくに抵抗できなかった。この体勢になればなおさらだ」
「っ、にのみやさん、なんっ……」
二宮は空いた方の手で柳瀬の腹を服越しになぞった。驚き収縮するそこに指先を押し当て、揺れる瞳をとらえながらそのままへそを通り胸、喉、そして顎を伝ってやがては唇に到達する。触れられた箇所すべてが熱い。
「やめ、……ぅひっ」
いつもとは明らかに違う、痺れを纏わせる触れ方に柳瀬は身をすくませ、けれどはっきりと口にした。
「やっ……止まっ、て、ダメ!」
顔を背け拒否をして、コマンドは正しく機能している。ぴくりと二宮が反応したが、コマンドは振り切れないほどではない。Subの欲求と噛み合っていれば大喜びで考えるより早く従ってしまうこともあるが、お仕置きを受けるためにわざと無視するSubもいるくらいなのだ。二宮はまとめ上げている手にじわりと柳瀬の汗が浮くのを感じながら、それでもやはり止めなかった。
「コマンドは、その気になれば無視できる。多少煩わしさはあるが……なら、塞いじまえばいい」
「……!」
二宮の指先が、半ば無理やり正面を向かせた柳瀬の口元を覆うその瞬間。部屋を一陣の風が吹き抜けたような心地がした。瞬間、二宮の全身の力が抜けて震えながら柳瀬の上に倒れんだ。二宮の関節という関節――自身の意志ではぴくりとも動かせない指先まで、嫌な音を立ててきしんでいるような気がする。
「……っはあ、あ、はあっ……」
その下から何とかして這い出た柳瀬が大きく息を吐く。もうとっくにGlareは引っ込めていたが、柳瀬が影浦から受けたものと同じように余韻がひどいらしい。荒く上下させる二宮の背中を、彼の呼吸を乱さない速度で撫でさする。
「……ごめん、ごめんね……匡貴、ありがとう」
二宮の意図は柳瀬にも伝わっていた。彼が怖気づいていることを二宮は気付いていたのだ。もし万が一のことがあれば、二宮は柳瀬を好きにできてしまう。片腕でやすやすと抑え込まれてしまったのがその証拠だ。だからこそ取り返しのつかないことになる前に、二宮自身を止めろと示していた。
手に伝わる呼吸が徐々に穏やかなものへ変わっていく。頃合いをうかがってこっち向ける? とコマンドを使えば彼はゆっくりと体を反転させた。滲んだ汗に張り付いた髪をよけて、いい子だねと囁きを繰り返す。ハンカチを取り出し彼の汗をぬぐえば彼は目を細めてほうっと安心したように息を吐いた。Glareにより無防備に剥ぎ取られた心には、Domから与えられる何もかもが深くしみこんでいく。
汗も落ち着いたところで柳瀬はしてほしいことはあるかと尋ねた。ご褒美の延長線だ。つらいコマンドに耐えたあとはとびきりのご褒美でねぎらってやる必要がある。威圧目的のGlareを浴びたともなるとなおさらだ。二宮は少し考えたあとに口を開いた。
「……キスを、」
「……、ん、いいよ。してあげる」
寝そべる二宮へゆっくりと顔を近づければやがて、ちゅ、と小さなリップ音がした。それは発汗のせいか夕方に数回だけしたキスよりもずっとしっとりしたもので。柳瀬の危機感をあえて煽るためとはいえ、今の今まで密着していたのも相まって余計に生々しく感じてしまう。妙な照れから早々に身体を離し首まで赤くさせる彼を知ってか知らずか、二宮は足りないとでも言うように再び口を開いた。
「……、キスをしろと、……命令してくれ。コマンドされたい」
「……匡貴、ぼくに、キスして」
乞われるままに言ったけれど、より顔が赤くなるのを自覚する。想いを確認しあった今、柳瀬が指示せずとも二宮がキスする場所は一つだった。
「……たつき、……」
やはり怠そうに上体を起こした二宮が柳瀬を呼んだ。その声が掠れているのは強烈なGlareを浴びたせいか、それとも別の理由があるのか。ゆっくりと起きあがった彼は柳瀬の頬に指を添える。しっとりとした彼の唇の感触は柳瀬がした触れるだけのものよりも少し長かった。唇を離した後も二宮はじっと目の前の恋人を見つめ、やがて柳瀬の肩に頭を預けた。
肌寒い気温に彼の体温が心地良い。ケアも兼ねて二宮の体温にすり寄り背中へ手を回そうとしたところで、頭を持ち上げた二宮は柳瀬の頬へ唇を寄せた。
「わっ、……っふ、ふふ、くすぐったいよ……」
そして断続的に行われる音、唇が引っ付くのに合わせて繰り返されるリップ音は、場所が違うからかそれほど羞恥心を煽るものではなかった。しかし、繰り返すそれは徐々にもう一度、柳瀬の唇へ向かっていることに気が付いてしまう。
これは、このままでは、この頻度で唇にされてしまったら照れのあまりどうなってしまうかわからない。ほんの少し想像しただけで言いようのない強烈なむず痒さを感じた。
そろそろご褒美には十分なはずだと止めようとしたところで。
二宮の舌が、柳瀬の唇を、べろりと、
「っキス、って、言ったじゃん!!」
一瞬固まりかけた思考が一周回ってGlareの存在を思い出させた。ぱん、と放たれたそれに先ほどと全く同じく二宮の身体が硬直ののち弛緩し、柳瀬に向かって倒れ込んでくる。後ろ向きに倒れるよりずっといいが体格差の分だけ支えるだけで一苦労だ。
ずり落ちそうになる彼の脇に手を差し込んで抱きつくように支えながら、落ち着かせるためケアをしていく。彼の目的はわかっているけれど、この場合必要なのはケアかお仕置きか、どちらかわからないくらい柳瀬は羞恥に混乱していた。
今のは二宮が暴走したわけでもお仕置き目的にわざとコマンドを無視したわけでもない――否、強いていえば後者なのだが――柳瀬をGlareの行使に慣れさせるための行為だった。二宮へ言葉をかけながら、しかしふにゃふにゃと妙な鳴き声のようなものを上げる柳瀬に二宮はまた目を細めた。
「……たつき、」
「うん……なあに?」
「……俺はGlareを受けても、死ぬわけじゃない。……わかっただろ」
「……うん、」
そう伝える彼は怠そうな発声だが、彼の持つ芯の強さが確かにうかがえる。
「……おまえが望まないことはしない。おまえが望んでも、キス以上のことはしない。もしかするとその関係で、変に距離を取ったように思うこともあるかもしれない。だがもし不安になったら、言え。その度伝える。……たつきのことを、俺がどんなに思ってるか」
それは熱烈な愛の告白だった。なんと返事したら良いのか分からず、ただ今は顔が見えない体勢で良かったと。返事の代わりに二宮の肩に顔をうずめることで答えた。
二宮が手を回せばすっぽりと包み込まれてしまう。これではどちらが抱きしめているのかわからないと柳瀬はひっそりと笑い、すっかり穏やかな呼吸にもどった二宮へ声をかけた。
「……ねえ、もうちょっと落ち着いてからでいいんだけどさ。Glareのちゃんとした……正統派? な使い方も、してみたいんだけど……」
「うん……?」
しかし二宮の返事が存外眠気を連想させるものだったので、慌ててオープンにしかけた要求を半分くらいに戻した。
「威圧とかお仕置きじゃなくて、プレイの、ご褒美の時に使うような……。ああ、いや、また今度会うときとかで、いいと思うんだけど」
「……いや、今日しよう。調節の加減も……この機会にしっかり慣れておいた方がいい」
そう語る彼の声はやはりどこかまどろんでいる。やはりGlareを受けた疲労が出ているのだろうか?
柳瀬は頷きながらもコマンドを用いて彼を待たせ紅茶を用意して様子をうかがう。二宮の世話を焼きながら、もう少し彼が落ち着くまで待つことにした。